営業のクロージングとは?基本の流れ3ステップと成功のコツも解説!
営業でのクロージングは、商談を成約につなげるために欠かせません。
しかし、思うような結果が出せず、セールス活動に焦りを感じる営業担当者は多いでしょう。
クロージングで重要なのは、顧客理解とタイミングです。売り込むことに必死になるばかりでは、成約は勝ち取れません。
そこで本記事では、クロージングの基本ステップと成功に導くコツ、注意点を解説します。ぜひ参考にしてみてください。
クロージングとは
営業活動におけるクロージングとは、商談の中でも最終フェーズに位置し、顧客との契約を結ぶステップのこと。営業担当者は、顧客が商品やサービスを購入するための提案を行い、成約に導くための意思決定を行います。
クロージングの役割は、顧客の購入の意思を確認し、成約に結びつける状況を作ること。顧客が抱える課題を理解し、自社の商品やサービスの導入で何を解決できるのかを明確にした上で進めることが重要です。
こうした段階を経て、顧客が「この商品、サービスを購入したい」と購入意欲の高まったタイミングでクロージングを行う必要があります。
もし、クロージングで成約に至らない場合は、顧客ニーズを把握できていない、適切なタイミングではなかったなどの理由が挙げられるでしょう。
クロージングを行うには、顧客の状況を見極める必要があります。クロージングを成功させるには、顧客との信頼関係と適切なタイミングをおさえましょう。
営業活動におけるクロージングの重要性
営業活動におけるクロージングは、顧客が「購入する」と決断する最も重要なステップです。
せっかく顧客の購入意志が固まっていても、クロージングを行わなければ時間の経過と共に購入意欲が低下し、商品やサービスへの興味関心が薄れかねません。
また、クロージングが曖昧な状態が続くことで顧客が別商品に興味を抱き、結果的に他社商品が選ばれる恐れもあるでしょう。
商機を逃してしまわないためにも、顧客の購入意欲が高まっているタイミングでクロージングを行うことは、成約を決めるために重要です。
クロージングの基本的な流れ3ステップ
クロージングは、基本的に以下の3つのステップに分かれています。
- テストクロージング
- クロージング
- 契約締結
テストクロージング
最初のステップは、テストクロージングです。
テストクロージングとは、ヒアリングや交渉の中で得た課題やニーズをもとに、クロージングを行うかどうかを見極めるステップのこと。興味の度合いを測るうえで役立ちます。
例えば、自社の商品やサービスに興味を持っているかどうかの確認、導入に対しての不安はないか、費用に関して納得しているかを問い、顧客の反応を確認します。
顧客が何らかの懸念点を抱えているようなら、課題解決に注力するようにしましょう。
クロージング
テストクロージングで顧客の購入意欲が確認できたら、本格的にクロージングを進めます。
クロージングで行うことは、購入意思に対する明確な問いかけです。
相手の主張を引き出せない曖昧な問いかけになると、成約のチャンスを逃しかねません。そのため、はっきりと顧客の購入意思を確認する必要があります。
問いかけのコツとしては、以下のことを意識してください。
- 現時点で購入意思はあるか
- 具体的な購入時期はいつ頃を検討しているか
- (いくつかプランがある場合は)どのプランを希望するか
クロージングでは、購入へ導くための選択肢を与えることがポイントです。いくつか条件を提示することで顧客に選択の余地が生まれ、契約締結に導きやすくなります。
契約締結
クロージングによって購入意思が確認できたら、契約締結に進みましょう。
契約締結で行うことは、金額や納期、購入数の確認です。これらの内容を整理することで、契約締結後の認識のズレを防止できます。
4つのクロージングトークと例文
それでは、クロージングで活用できる4つのトークと例文を紹介します。
- 沈黙のクロージング
- 自ら引くクロージング
- 想像させるクロージング
- 選ばせるクロージング
沈黙のクロージング
まず、沈黙のクロージングです。サイレントクロージングとも呼ばれ、文字通り「沈黙」の状態を使うクロージング手法を指します。
いざ契約の話になったとき、顧客が商品を購入するかどうかを考えるために沈黙が起きることがあるでしょう。沈黙が起きる理由は、顧客が契約するかを真剣に向き合っている証拠です。
ここで、沈黙を遮ってセールストークを続けて契約を促してしまうと、顧客の意思決定を妨げかねません。結論を出すまで、考える時間を与えましょう。
<沈黙のクロージングで活用できるトークと例文>
営業担当者「では、購入時期はいつ頃をご検討されますでしょうか?」
顧客「…」
沈黙の時間を待つ
顧客「来月あたりを予定しています。」
沈黙のクロージングでは、基本的に顧客の結論を待ちます。
もし、顧客が結論を出せずに困っている場合は、どの部分に悩んでいるかを聞くなど、フォローしてみてください。
自ら引くクロージング
自ら引くクロージングとは、あえて購入を勧めない手法のこと。あえて引くことで、顧客の方から「購入したい」と思ってもらうことが目的です。
自ら引くクロージングを使うかどうかは、相手の特性や商品によって判断できます。一般的に、積極的に販売したいものの購入ハードルの高い高額商品、営業に慣れている顧客に有効です。
<自ら引くクロージングで活用できるトークと例文>
営業担当者「こちらの商品について、何か不安な点はありますか?」
顧客「予算オーバーなのがちょっと…」
営業担当者「そうですよね。質の高い商品でお客様に満足していただきたいので、値下げが難しい現状です。お客様にはご納得いただいてから購入いただきたいので、私どもとしても無理に勧められません。今回は、ご縁がなかったということで構いませんよ。」
営業担当者「待ってください。予算を上げられるよう、上司に交渉してみます。」
自ら引くクロージングで重要なのは、自社商品やサービスに対して自信を持つことです。余裕を持って実践してください。
想像させるクロージング
想像させるクロージングも、成約を決める効果的な手法です。
「この商品を購入したらどのような生活ができるか」「このサービスを使うと何が解決できるか」と、購入後のメリットを想像させることで、購入意欲を高める効果があります。
<想像させるクロージングで活用できるトークと例文>
・営業担当者「このサービスを利用することで、これまで進捗管理やタスク管理にかかっていた時間を、別の業務に使えるようになりますよ。具体的にどのような業務の時間を増やしたいですか?」
・顧客「お客様との商談数を増やしたいですね。商談が増えれば、売上アップも期待できますし。」
・営業担当者「そうですね。お客様とのコミュニケーションを増やすことで信頼関係構築にもつながりますし、多くのメリットが得られそうですね。」
想像させるクロージングでは、購入の意思を直接的に問うよりも、顧客の気持ちを高めることがポイントです。具体的なストーリーを挙げて、成約へ導きましょう。
選ばせるクロージング
顧客に選択肢を提示する「選ばせるクロージング」も効果的です。
選ばせるクロージングは、複数の選択肢を提示して顧客に選択してもらうテクニック。この手法では、「買うか買わないか」という思考から、「AとB、どちらを選ぶか」に切り替えることができます。
顧客によっては、買う買わないの決断を迫られている状況はストレスに感じるケースもあります。選択権を与えてあげることで、自然な決断をしやすくなるでしょう。
<選ばせるクロージングで活用できるトークと例文>
営業担当者「AプランとBプランでは、どちか良いしょう?」
顧客「この2択だと、Bが理想かな。」
営業担当者「さすが、お目が高いですね!なぜBプランが良いと思われたのでしょうか。」
顧客「このプランのこのサービスの方が、自分に合っている気がしました。」
営業担当者「良い決断をされていますね。こちらの商品を購入いただくと、さらに〇〇というメリットがあるんですよ。」
選ばせるクロージングでは、顧客が自ら選択してもらうように誘導します。選んだ理由を聞き褒めることで、購入の決断を促せるでしょう。
クロージングを成功させるコツ
クロージングを成功させるには、顧客心理への理解はもちろん、適切に対応するスキルが求められます。
具体的には、以下の3点を意識してください。
- 適切なタイミングでクロージングを行う
- 商品やサービスを購入する理由付けをする
- 営業ツールの活用も視野に入れる
適切なタイミングでクロージングを行う
クロージングを成功させるには、適切なタイミングで行うことが肝心です。
成功しやすいタイミングは、顧客が自社の商品やサービスの活用によって課題解決ができると判断した時点です。
分かりやすい例でいうと、顧客から以下の質問をされたときがベストなタイミングといえるでしょう。
- 契約後はどのようなサポートがありますか?
- 運用後のプラン変更は可能ですか?
顧客から積極的な質問があるということは、購入に前向きになっているサインです。的確な回答で顧客が決断する障壁をなくすことで、成約率はより一層高まるでしょう。
商品やサービスを購入する理由付けをする
顧客が決断できず迷っているときは、商品やサービスを購入すべき理由を改めて伝え、決断を促しましょう。
主な使用例として、以下を参考にしてみてください。
営業担当者「本サービスは大変多くのお客様に好評でして、特に〇〇という点におきましては〇〇というメリットがございます。お客様の〇〇という目標を達成に向けて、必ずお役に立てますよ」
このように、サービスのスペックを伝えるだけでなく、活用後のメリットまで伝えましょう。
営業ツールの活用も視野に入れる
営業ツールの活用も視野に入れてみてください。
クロージングの成功率を向上させるには、顧客理解が欠かせません。そこで活用したいのが、顧客情報の効率化を図るCRM管理ツールです。
CRM管理ツールは、顧客の基本情報から商談内容、見積書や請求書の履歴情報の一元管理ができるツールのこと。顧客の動向を分析し、適切なアプローチ方法をガイドする機能が搭載されているため、効率的にクロージングを行えます。
CRM管理ツールのおすすめツールや選び方のコツについては、こちらの記事で解説しています。参考にしてみてください。
クロージングで失敗しないための注意点
では最後に、クロージングで失敗しないための注意点を紹介します。
- 顧客目線でコミュニケーションを取る
- テクニックの頼りすぎは機械的になるので要注意
顧客目線でコミュニケーションを取る
クロージングにおいては、顧客目線でのコミュニケーションを心がけましょう。
なかなか成果につながらないときは、売り込むことに必死になってしまいがちです。しかし、売り込むことに注力しすぎると、顧客にネガティブな印象を与えかねません。
あくまで顧客目線で考え、自社の商品やサービスの価値を感じてもらえるように、対応してください。
テクニックの頼りすぎは機械的になるので要注意
テクニックに頼りすぎも要注意です。
クロージングには押さえておきたい手法がいくつかありますが、テクニックに頼りすぎると機械的なトークになる恐れがあります。
テクニックや手法は、あくまで補助として捉え、顧客との信頼関係構築を第一に進めましょう。
クロージングの基本を身につけて成果の出る営業活動をしよう
クロージングは、営業活動において成果に直結する重要なフェーズです。効率よく進めるための手法やテクニックがありますが、何よりも大切にしたいのは顧客に寄り添うことです。
顧客が抱える課題に真摯に向き合い、自社の商品やサービスがどのように貢献するのかを明確に伝える必要があります。
顧客理解の最適化を図るためにも、営業ツールの活用も検討しながら成果の出る営業活動を目指しましょう。