ノンボイスとは?推進される背景やメリット・成功のポイントを紹介
コールセンターでは、オペレーターが電話に対応するのが一般的です。
しかし近年では、電話以外で対応するノンボイス化が推進されています。
「ノンボイス化を検討しているが顧客満足度が低下しないか不安……」
「ノンボイス化にはどのような選択肢があるのかを知りたい」
このように思う管理者は少なくないでしょう。
そこで本記事では、ノンボイス化がなぜ進んでいるのかについて解説します。メリットや成功のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ノンボイスとは音声を使用しないコミュニケーション手段のこと
ノンボイス(non voice)とは、音声を活用しないコミュニケーション方法のこと。ノンボイスの具体的な例として、以下のようなものが挙げられます。
- チャット
- お問合せフォーム
- SMS
- FAQ・よくある質問
- メールでの問い合わせ
- SNS
上記はすべて、音声を使わずテキストでのやり取りになります。
コールセンターでノンボイス化が推進される理由
それでは、コールセンターでノンボイス化が推進される理由について解説します。
- デジタル社会の普及
- 顧客による情報取得行動の変化
- 顧客によるコミュニケーション手段の変化
- 慢性的な人材不足
- テレワーク化による働き方の変化
デジタル社会の普及
まず挙げられるのが、デジタル社会の普及です。
総務省が2020年にまとめた資料では、スマートフォンの保有率は86%以上と公表されました。
参照:情報通信機器の保有状況
それまで、コミュニケーションは電話が主流でした。しかし、社会のデジタル化に伴って方法も多様化しています。
これまでは、企業の商品やサービスについて疑問や不安があったとき、コールセンターに電話をかけるのが一般的でした。
とはいえ、電話をかけるのを面倒に感じる方も少なくありません。
また高齢者の中には、電話での問い合わせを希望する声も多いでしょう。
コールセンターでもデジタル社会の普及に合わせて、さまざまな要望に応えられるようにノンボイス化が進む傾向が見られるようになりました。
顧客による情報取得行動の変化
顧客の情報取得行動の変化も、ノンボイス化に影響していると考えられます。
近年では、パソコンやスマートフォンなどで利用できる、メッセージアプリやボイスチャットツールなど手軽なコミュニケーション方法が人気です。
チャットや音声通話の他、ビデオ通話などもできることに加えて、無料通話ができることから幅広い世代に活用されています。
さまざまな情報が溢れている昨今では、ネットで検索すれば自己解決できることもあるでしょう。
こうした理由からコールセンターに電話をかける件数が減っています。顧客が気軽に問い合わせできるように、ノンボイス化の導入で対応せざるを得ないのも現状です。
顧客によるコミュニケーション手段の変化
インターネットの普及により、顧客のコミュニケーション手段が変化しているのも要因です。
電話では通話料が発生しますが、メッセージアプリやツールを使えば、電話代はかかりません。
データ通信量がかかるものの、無料でダウンロードできて通話料もかからなければ、電話を使う機会は減っていくでしょう。
アプリやツールは、気軽に導入できることに加えて、通話やチャットなど目的に合わせてコミュニケーション方法を使い分けられるのも選ばれる理由と考えられます。
コミュニケーション手段の変化に対応するには、ノンボイス化が有効です。
慢性的な人材不足
コールセンター業務全体を通して、慢性的な人材不足の傾向が見られます。
オペレーター業務は、「煩雑化しやすい」「業務量が多い」「クレーム対応など精神的な苦痛が多い」といった理由から、オペレーターの離職率が高いことも原因です。
人材を募集しても、すぐに辞めてしまうという悪循環に陥りやすいので、オペレーターの業務負担を軽減するためにノンボイス化が進んでいると考えられます。
テレワーク化による働き方の変化
コールセンターでも働き方改革の影響から、テレワークが普及しています。
オペレーターによっては働きやすい環境でも、コールセンターの人材不足は解消できません。
そこでノンボイス化を導入して、電話対応を減らすことで人材不足解消につなげています。
コールセンターをノンボイス化する顧客側のメリット
コールセンターのノンボイス化による顧客側のメリットは、自分にとって都合の良い時間や好きなタイミングで問い合わせできることです。
電話では、営業時間内に問い合わせなくてはなりません。顧客によっては、営業時間内に電話ができないこともあります。
よくある質問やFAQなら、顧客が自己解決できることもあります。チャットボットなら、24時間365日対応可能です。
営業時間に左右されず、好きなタイミングでサービスを利用して、問題を解決できるのは大きなメリットといえるでしょう。
コールセンターをノンボイス化する企業側のメリット
次に、コールセンターをノンボイス化すると企業にどのようなメリットがあるのかを紹介します。
- 業務効率化を図れる
- 固定コストを削減できる
- 人手不足の解消につながる
- 働き方改革を進めやすくなる
- 時間外対応で機会損失を防止できる
業務効率化を図れる
まず、業務効率化を図れます。
顧客によっては1件の対応でも長時間かかる場合もあるでしょう。オペレーター業務は電話対応の他にも、後処理や発注・配送の手配など多岐にわたります。
ノンボイス化を導入すれば、電話対応にかかる時間を短縮できるので、業務効率化につながるでしょう。
1件の対応時間を短縮できれば、その分を他の業務に当てられるため生産性の向上につながるのがメリットです。
固定コストを削減できる
ノンボイス化により、固定コストを削減できます。
FAQやよくある質問で顧客が疑問や悩みを解決できれば、電話をかけずに済みます。
オペレーター不足に悩むコールセンターでも、在籍しているオペレーターで対応できるようになるでしょう。
募集をかけずに済めば、人件費や教育費を節約できます。
人手不足の解消につながる
人手不足を解消できるのもメリットです。
チャットボットなら、AIが内容に合わせて対応できます。メールや問い合わせフォームでは、早急な対応が望ましいですが、オペレーターや担当者が余裕のあるときに対応できるでしょう。
電話に対応するよりも少ない人材で賄えるので、慢性的な人手不足でも対応できる可能性があります。
働き方改革を進めやすくなる
働き方改革を進めやすくなるのもメリットです。
チャットや問い合わせフォームなら、在宅勤務にも移行しやすいのでテレワークを希望するオペレーターにも対応できます。
電話でのクレーム対応は、オペレーターの精神的負担が大きくなり離職につながりかねません。
ノンボイス化すれば、オペレーターの精神的負担も軽減されるでしょう。
時間外対応で機会損失を防止できる
ノンボイス化は時間外対応が可能なため、機会損失を防止できるのもメリットといえるでしょう。
電話では営業時間内しか対応できません。
メールや問い合わせフォームなら、時間外でも受け付けられます。チャットボットを活用すれば、夜間や早朝の問い合わせにも対応が可能です。
コールセンターのノンボイス化を成功に導くポイント
では最後に、コールセンターのノンボイス化を成功に導く5つのポイントを紹介します。
- すべての問い合わせに対応できるわけではないと理解する
- 闇雲にチャネルを増やさない
- 顧客の属性に合わせてチャネルを変える
- 顧客の活用シーンに合わせてチャネルを変える
- 注力すべきチャネルを見極めて継続的に改善する
すべての問い合わせに対応できるわけではないと理解する
ノンボイス化は、すべての問い合わせに対応できるとは限りません。
簡単な内容であれば、チャットボットでも対応可能です。しかし、予め設定できないような複雑な内容や、値引き交渉などは有人対応が求められます。
闇雲にチャネルを増やさない
ノンボイス化する際は、ただチャネルを増やせばいいわけではありません。
闇雲にチャネルを増やしても、顧客ニーズにマッチしていなければ成功にはつながらないでしょう。
まずは顧客ニーズを理解することと、無理なく導入できるかを確認してください。
顧客の属性に合わせてチャネルを変える
顧客の属性によって、最適なチャネルは異なります。
属性を理解するためには、顧客の年齢層・職業・ライフスタイル・悩みや課題などを照らし合わせて、最適なチャネルを見極めなくてはなりません。
若年層ならスマートフォン、社会人ならパソコンやタブレット、シニア層は電話など、ターゲットに合わせて多様なチャネルに対応できるようにしてください。
顧客の活用シーンに合わせてチャネルを変える
顧客によってコールセンターやサポートセンターを利用する環境が異なります。
ビジネスマンや学生なら、通勤・通学途中や外出先でも気軽に利用できるスマートフォンやタブレット、ノートパソコンを使うことも多いでしょう。
専業主婦や高齢者は、自宅から問い合わせることが多いと考えられます。
幅広い層の顧客に対応するには、それぞれにマッチしたチャネルの使い分けが必要です。
注力すべきチャネルを見極めて継続的に改善する
さまざまなチャネルへの対応も重要ですが、多くの顧客が利用するチャネルに注力することも大切です。
さらに、ユーザーニーズは様変わりしていくので、主力となるチャネルの継続的な改善も欠かせません。
ニーズに合わせて改善していけば、ユーザビリティが上がり顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
まとめ:コールセンターにノンボイスを導入して業務効率化を実現しよう
デジタル社会の普及に伴い、コールセンターでの対応にも多様化が求められています。
顧客ニーズも変化しているため、電話に苦手意識を持つ方も少なくありません。
ノンボイス化を導入すれば、幅広いニーズへの対応が可能です。業務効率化も図れるので、慢性的な人材不足の解消にもつながるでしょう。