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CPaaSとは?読み方や市場規模・10個のサービス活用例を解説

インターネットの普及により、コミュニケーション方法の多様化が見られるようになっています。

それに伴い、企業では顧客との接点を持つために、複数チャネルへの対応が欠かせません。

とはいえ、複数チャネルに対応するにはコストがかかります。また、既存システムと連携できないと、不便に感じることも多くなるでしょう。

そこでCpaaSを導入すれば、コストをおさえながらマルチチャネルで顧客との接点を増やすことができます

本記事では、CpaaSの概要や市場規模や、サービス活用例10選とメリットを紹介します。

CPaaS(シーパース)とは ?

CPaaS(Communications Platform as a Service)とは、APIを使用するクラウドサービスのこと。読み方は「シーパース」です。

多様化するマルチチャネルにスムーズに対応するには、それぞれをつなぐ役割を持つインターフェースが欠かせません。

しかし、既存システムとの連携ができない場合は、システムを見直したり、自社で開発したりする必要があり手間とコストがかかります。

CpaaSなら、さまざまなチャネルをAPIと連携させることができるので、手間とコストをおさえられます

CPaaSと一般的なクラウドサービス・UCaaSとの違い

それでは、CPaaSと一般的なクラウドサービス、UCaaSとUCaaSとの違いをそれぞれ紹介します。

  1. CPaaSと一般的なクラウドサービスとの違い
  2. CPaaSとUCaaSとの違い

CPaaSと一般的なクラウドサービスとの違い

一般的なクラウドサービスは、連携可能なサービスがパッケージされています

SMSやメールの他にも、IVRや映像など複数のチャネルと連携させたいとき、一般的なクラウドサービスでは、全てと連携できない可能性があります。

CpaaSは、複数チャネルに対応できるため、必要な機能のみを選べるのが特徴です。CpaaSを導入すれば、企業の既存システムに合わせた運用を実現できます。

CPaaSとUCaaSとの違い

UCaaS(Unified Communications as a Service)は、顧客と多様な接点を持つためのクラウドサービスというところはCpaaSと変わりません。

主な違いとして、UCaaSにはオンラインコミュニケーションツール込みで、ワンストップサービスを提供できるところにあります。

ただし、CpaaSほどのカスタマイズ性はありません。

UCaaSはコミュニケーションを一元化したいときに適しています。カスタマイズ性にこだわる場合は、不向きとなることに留意しましょう。

CPaaSの市場規模

Mordor Intelligernceのレポートによると、2023年のCpaaS市場規模は125億3,000万ドルですが、2028年には472億3,000万ドルになると予測されています。

2023年から2028年までに、30.4%の成長率が見込まれます。

参照:Mordor Intelligernce|CPaaS市場規模・シェア分析 – 成長動向と予測(2023年~2028年)

働き方改革ではテレワークが推奨されており、多くの企業でもテレワークを導入するようになりました。

ビデオ会議の実現で、オフィスにいないスタッフも会議に参加できるようになったのも、CpaaS市場規模が拡大する要因の1つです。

顧客側の視点では、スマートフォンやタブレットの普及も大きく関係していると考えられます。

企業がCpaaSの導入でマルチチャネルへの対応を実現すれば、ユーザビリティの向上につながるでしょう。これにより、顧客満足度の向上と、企業の生産性向上効果も期待できます。

CPaaSが注目されている理由

CpaaSが注目される理由として考えられるのは、多様なコミュニケーション方法に対応しやすいことです。

例えば、コールセンターでは、これまで電話のみの対応でした。

顧客とオペレーターが直接会話できるものの、電話に出られなかったり担当者の不在でその場で対応できなかったりしたこともありました。

CpaaSの導入で、IVRやビデオ通話などが可能になれば、機会損失リスクを軽減できます

多様化するコミュニケーションに対応するには、自社開発を余儀なくされることもあるでしょう。

CpaaSなら外部サービスとの連携も可能なため、自社開発の手間やコストを削減できます。

用途に合わせて柔軟な対応ができるようになったのも、CpaaSが注目される理由です。

CpaaSの導入で実現できるサービス事例10選

では、CpaaSを導入すると実現可能なサービス事例10選を紹介します。

  1. コールセンターの運営
  2. コールバッククラウド
  3. SMS送信
  4. 多要素認証への対応
  5. システム障害の自動検知
  6. 会議室の自動予約
  7. 順番待ちの呼び出し
  8. AIボイスメール
  9. 医療・介護施設でのアラート通知
  10. プライバシーに配慮したコミュニケーション

コールセンターの運営

まず挙げられるのが、コールセンターの運営です。

新たにコールセンターを立ち上げる場合は、システムの構築や人材確保に教育など運用までに時間もコストもかかります。

CpaaSの導入により、自社サイトやアプリ内に「通話ボタン」を組み込んだり、IVRと連携させたりすることで業務効率化を図れるでしょう。

コールバッククラウド

コールバッククラウドは、営業時間外の着信があったとき、自動音声でその旨を伝えて折り返し電話の予約を取り付けることができます。

有人対応での24時間365日は、オペレーターの業務負担が増えるだけでなく、コストを考えた場合にも現実的ではありません。

CpaaSを導入すれば、IVRで24時間365日対応が可能になるので、機会損失リスクを防げます。

SMS送信

SMS送信は、携帯番号が分かれば送信できます。

機種やキャリアを問わないことや、開封率が高いのがメリットです。

また、国内では送信側には料金が発生しますが、受信した側には料金が発生しません。顧客も気軽に確認できるのはメリットといえるでしょう。

また、DMをハガキで送るよりもコストをおさえられます。

多要素認証への対応

多要素認証への対応ができるようになるのも、CpaaSのメリットでしょう。

サイトにログインする際の多要素認証は、以下の3種類です。

  1. 知識要素:会員が設定するIDやパスワード
  2. 所有要素:SMS認証、IVR認証
  3. 生体要素:顔認証、指紋認証

セキュリティ性を考えた場合は、二段階認証という選択肢もあります。しかし、そこで多要素認証ならセキュリティレベルが上がり、不正ログイン防止効果もアップします。

システム障害の自動検知

CpaaSの導入により、システムに障害が発生した際に、自動検知が可能になります。

障害を検知すると、即座に音声やSMSで知らせるため早期対応が可能です。

システム障害が発生しても、担当者が早期発見・対応すれば、業務への支障を最小限におさえられるでしょう。

会議室の自動予約

予約管理システムとアプリのAPI連携により、会議室の自動予約が可能になります。

スタッフとのやり取りの後、音声だけで会議室の予約をして空きがあればその場で予約が完了します。

また、当日になってキャンセルが発生しても、予約取り消し機能を活用すれば他の会議に充てられます。

順番待ちの呼び出し

順番待ちの呼び出しにもCpaaSが活躍します。

例えば、行列ができるような飲食店で、受付システムと連携させれば、順番が来たことをSMSで通知できます

顧客は並ばずに済むので、待ち時間を有効活用できるでしょう。

店側も待機場所を確保せずに済み、近隣住宅や店舗への迷惑も回避できます。

AIボイスメール

AIボイスメールは、留守番電話代わりになります。

携帯電話や固定電話の留守番電話に録音されたメッセージを、一括で管理できます。

さらに、録音されたメッセージをテキスト化すれば、音声が使用できない場合もメッセージ内容を確認できるでしょう。

医療・介護施設でのアラート通知

医療や介護施設では、患者さんに取り付けたセンサーが異常を検知した際に担当者にアラートで通知することもできます。

夜間や早朝など、時間を問わず通知されるため、迅速な対応が可能になるでしょう。

プライバシーに配慮したコミュニケーション

個人情報を守りたいときに、プライバシーに配慮したコミュニケーションの実現にも役立ちます。

例えば、フリマアプリで売り買いする際に、相手に自分の個人情報を教えたくないこともあるでしょう。

そこでCpaaSを活用すれば、個人情報をマスキングできるので安心です。

CpaaSを活用するメリット7つ

それでは、CpaaSを活用することで得られる7つのメリットを紹介します。

  1. 手軽に導入できる
  2. 業務効率の向上につながる
  3. コストを削減できる
  4. 柔軟にカスタマイズできる
  5. 顧客満足度の向上が期待できる
  6. コミュニケーションの多様化に対応できる
  7. セキュリティ強化ができる

手軽に導入できる

まず、手軽に導入できることが挙げられます。

CpaaSを利用するにあたって、システムの構築が必要ありません

専門的な知識がなくても活用できますし、APIと連携させれば使い勝手も広がるでしょう。

通信基盤の構築にかかる時間を削減できるので、スピーディーに導入したいときにも適しています。

業務効率の向上につながる

業務効率の向上につながるのもメリットです。

CpaaSは、1つのシステムで多様な機能を活用できます。

個別に機能を使用するよりも、効率的に業務を遂行できるでしょう。

業務効率が上がれば、生産性の向上効果も期待できます。

コストを削減できる

コストを削減できるのもメリットです。

CpaaSは、既存システムを拡張するので、開発にかかるコストを削減できます

特にオンプレミス型の場合は、社内システムの構築が必要なため、初期費用が高額になり、導入までの時間もかかります。

CpaaSはクラウド型なので、コストをおさえられスピーディーな導入が可能です。

柔軟にカスタマイズできる

そして、柔軟にカスタマイズできるのは大きなメリットでしょう。

一般的なクラウドサービスはパッケージ化されているため、必要な機能が搭載されていないと別途追加しなければなりません。追加には手間がかかります。

その点CpaaSなら、目的に合わせて必要な機能だけというように自由なカスタマイズが可能です。

顧客満足度の向上が期待できる

CpaaSにより、顧客との接点を増やせばユーザビリティが向上します。

顧客にとって使いやすければ、ストレスもかかりません。顧客満足度の向上に直結するでしょう。

コミュニケーションの多様化に対応できる

CpaaSは、コミュニケーションの多様化にもスムーズに対応できます。

例えば、従来ではコールセンターへの問い合わせは、電話のみでした。

営業時間内に電話できない場合や、電話をかけるのが面倒に感じる場合は顧客の不満につながります。

CpaaSでは、SNSやメールなど、コミュニケーション方法の選択肢を増やせます

顧客にとってそれぞれ使いやすい方法で、円滑なコミュニケーションを実現できるでしょう。

セキュリティ強化ができる

セキュリティ対策を強化できるのもメリットです。

インターネット上でデータを管理するクラウド型のサービスは、どうしてもセキュリティ面でのリスクがあります。

CpaaSなら、データの暗号化やセキュリティ面の強化が可能です。

セキュリティリスクが軽減されれば、顧客も安心して利用できるでしょう。

CPaaSサービスのおすすめ3選

では最後に、CpaaSサービスのおすすめを3つ紹介します。

  1. Amazon Connect
  2. Vonage
  3. Twilio

Amazon Connect

運営会社アマゾンウェブサービス
料金従量課金性のため要問い合わせ
主な機能CTI
PBX
録音
分析など
公式サイトhttps://aws.amazon.com/jp/connect/

Amazon Connectは、Amazonが提供する従量課金制のCpaaSです。

主な機能には、電話とコンピューターを統合する「CTI」や、PBX(電話交換機)、通話の録音や分析など、コールセンター向けの機能があります。

利用料金は契約内容で異なるため、必要なサービスを見極めることが大切です。

Vonage

運営会社Vonage Japan合同会社
料金Voice API:0.0127ユーロ/分(約1.97円)
Verify API:0.0500ユーロ/分(約7.76円)
ビデオAPI:0.004ユーロ/分(約0.62円)
※2023年12月時点
主な機能SMS
音声通話
ビデオ通話など
公式サイトhttps://www.vonagebusiness.jp/

Vonageは、既存システムにマルチチャネルを取り込めるCpaaSです。

音声通話やビデオ通話の他、メッセージの送受信もできるので、リモートワークを導入している企業のビデオ会議などに活躍するでしょう。

SMSは220か国以上に対応しているので、グローバルなコミュニケーションを可能にします。

Twilio

運営会社Twilio
料金Twilio Segment:月額120ドル~(約17,069円)
Twilio Flex:5,000時間まで無料
1ドル/1アクティブユーザー1時間
150ドル/指定ユーザー1ヶ月
SMS:メッセージの送受信0.0079ドル~(約1.12円)
WhatsApp Business API:WhatsAppテンプレートメッセージの送信/0.0042ドル(約0.6円)
WhatsAppセッションメッセージの送信/0.005ドル~(約0.71円)
会話:アクティブユーザー/月額0.05~(約7.11円)
Verify:1検証/月額0.05~(約7.11円)
※2023年12月時点
主な機能音声通話
SMS
チャット
Eメールなど
公式サイトhttps://www.twilio.com/ja-jp

Twilioは、幅広いコミュニケーションチャネルと顧客データを融合できるCpaaSです。

CDP(顧客データプラットフォーム)で、データを一元管理できます。データベースが無限にセグメントできるため、異なるチャネルも管理しやすいでしょう。

データに基づくコンテキストを使用するため、ロイヤルティや生涯価値を高めることができれば、安定的な収益にもつなげられる効果が期待できます。

まとめ:CPaaSを活用して生産性や顧客満足度の向上を図ろう

CpaaSは、コミュニケーションの多様化に対応するには欠かせないものです。

専門的な知識がなくても気軽に導入できますし、コールセンターの運営から多要素認証への対応まで、幅広く活用できます。

コスト削減にもつながる他、柔軟なカスタマイズも可能です。

ぜひCpaaSを活用して、生産性や顧客満足度の向上を図りましょう。

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