データドリブンマーケティングとは?重要な15の指標や成功のカギを紹介
インターネットの普及による消費者行動の変化に伴い、企業が競合他社との差別化を測るには徹底したマーケティングが欠かせません。
データドリブンマーケティングは、さまざまなデータを元に分析を行い客観的な意思決定を可能にします。
とはいえ、データドリブンマーケティングの実施には、さまざまなKPIに基づき的確に行う必要があるため失敗例も少なくありません。
そこで本記事では、データドリブンマーケティングで重要な15の指標と成功のカギを紹介します。メリットについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
データドリブンマーケティングとはデータの分析結果を元に意思決定する手法
データドリブンマーケティングとは、顧客のさまざまなデータを分析し、その結果を元に客観的に意思決定を行う手法です。
これまでのデータ分析では、Web解析なども活用しながらの予測にとどまっていました。
- 顧客の行動履歴
- 顧客の購入履歴
- 顧客満足度
- リピート率
- アンケートに基づく顧客情報
そこで上記のようなデータを元に、データドリブンマーケティングを実施すれば、データを主導にした意思決定が可能になります。
データドリブンマーケティングが重要視される背景
データドリブンマーケティングが重要視されるようになった背景には、以下の理由が考えられます。
- デジタルマーケティング技術の進化
- 消費者行動の多様化
- 費用対効果重視の傾向
インターネットの普及に伴い、デジタルマーケティング技術や消費者行動は大きく様変わりしました。
顧客ニーズも変化しているため、従来のマーケティング方法では的確な分析が困難なケースも少なくありません。
また、マーケティングを実施するにも費用がかかるため、費用対効果を重視する傾向も見られます。
データドリブンマーケティングなら、必要なデータさえ揃えれば客観的な意思決定が可能です。
客観的にデータを分析できるので、顧客ニーズや課題を把握しやすくなります。これにより効果的な施策の実行が可能になりました。
データ主導で意思決定を行うため、社内での情報共有がしやすいのもポイントです。
データドリブンマーケティングを実施する5つのメリット
それでは、データドリブンマーケティングを実施するメリットを5つ紹介します。
- 競合よりも先手を打てる
- 精度の高い意思決定でROI向上が期待できる
- データに基づく分析や課題発見ができる
- 不要なコストの削減につながる
- 顧客満足度の向上につながる
競合よりも先手を打てる
まず、競合よりも先手を打てるのは非常に大きなメリットです。
データドリブンマーケティングでは、データに基づき客観的な分析ができます。これにより消費者行動やニーズを把握しやすくなるため、競合に先立って戦略を立案できるでしょう。
精度の高い意思決定でROI向上が期待できる
精度の高い意思決定によりROI(費用対効果)効果が期待できます。
マーケティングを実施しても、精度が低ければROIが下がる恐れがあります。
精度が低いままマーケティングを続けても、競合他社との差別化は図れません。
そこで、データドリブンマーケティングを活用すれば、精度の高い意思決定が可能になります。効果的な施策を見極められるので、コスト削減にもつながるでしょう。
データに基づく分析や課題発見ができる
データドリブンマーケティングでは、客観的な意思決定を実現するため、データに基づく分析や課題を発見できるのもメリットです。
一般的なマーケティングでは、担当者の感情に左右されるケースがあります。
しかし、データドリブンマーケティングは、データ主導で分析するため感情に左右されません。そのため迅速な分析と意思決定が可能になりました。
課題があった場合もすぐに発見できるため、早期に課題解決に向けて対応できます。
不要なコストの削減につながる
不要なコストの削減にもつながります。
的確に顧客ニーズを把握するには、膨大なデータが必要なためデータを収集するには時間とコストがかかります。
また収集した膨大なデータをすべて分析するにも、時間が必要です。
データドリブンマーケティングは、客観性のあるデータを用いるためコスト削減につながります。
顧客満足度の向上につながる
そして、顧客満足度の向上にもつながるのもメリットです。
そもそもデータドリブンマーケティングは、顧客満足度の向上を目標に実施する施策です。
顧客行動を正確に予測し、効果的に施策を実施すれば、顧客ニーズにマッチしたアプローチを実現できます。
顧客が求める商品やサービスを提供できれば、自ずと顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
データドリブンマーケティングに重要な指標一覧
データドリブンマーケティングに重要とされる施策を以下の表にまとめました。
指標 | 概要 |
---|---|
自社ブランドの認知率 | 自社ブランドの認知度を測る |
試乗(お試し) | 購入前に試し定量的に測定する |
顧客満足度 | 商品やサービスを途中解約した既存顧客の割合 |
解約率 | 商品やサービスを途中解約した既存顧客の割合 |
オファー応諾率 | ダイレクトメールに応諾した顧客の割合 |
NPV(正味現在価値) | 将来の売上-将来の費用=将来の利益を算出する |
LTV(顧客生涯価値) | 顧客が企業にもたらす利益を算出する |
利益 | 売上から費用を引き利益を算出する |
IRR(内部収益率) | キャンペーンの実施による投資利回り |
投資回収期間 | 累計支出と累計利益を得るまでにかかった期間 |
CPC(クリック単価) | 広告(リスティング・ディスプレイ広告など)を1回クリックするのにかかる費用 |
TCR(トランザクションコンバージョン率) | 広告をクリック→サイトを訪問して商品やサービスを購入した割合 |
直帰率 | Webサイトを訪問し、他のページに遷移せずに離脱した割合 |
広告費用対効果 | 収益÷費用で算出する |
口コミ増幅係数 | 口コミで商品やサービスが認知されたかを示す |
上記は、マーク・ジェフリー氏の著書でも紹介されている、世界的に有名な指標です。
データドリブンマーケティングを実施するうえで重要となるので、ぜひ参考にしてください。
データドリブンマーケティングの手順5ステップ
それでは、データドリブンマーケティングの手順を5つのステップに分けて紹介します。
- ステップ1.KPIツリーを設計する
- ステップ2.データを収集する
- ステップ3.データを加工する
- ステップ4.データを分析する
- ステップ5.施策を実行して効果検証する
ステップ1.KPIツリーを設計する
まず、KPIツリーを設計します。
データドリブンマーケティングでは、さまざまな角度からデータを分析しますが、KPIが曖昧なまま分析しても、精度の高い意思決定は叶いません。
目標を達成に向けて、KPIツリーで必要なデータを明確化すれば、的確な分析により精度の高い意思決定を実現できるでしょう。
ステップ2.データを収集する
次に、KPIツリーを元に必要なデータを収集します。
手作業でデータを集めようとすると膨大な時間がかかるので、ツールを活用してください。
ツールを活用すれば膨大なデータもスピーディーに収集できますし、データの一元管理も可能です。
ステップ3.データを加工する
次に収集したデータを加工します。
加工とは「可視化」することです。
データドリブンマーケティングに必要なデータはさまざまあるため、形式や保存場所が異なります。
そこでツールを使いデータをグラフや表に可視化すれば、膨大なデータでも効率よく処理できるでしょう。
ステップ4.データを分析する
次に可視化したデータを分析します。
分析することでデータを把握しやすくなるので、具体的なアクションプランにもつなげやすいでしょう。
また、アクションプランにつなげる場合は、仮説立てしておくのも有効です。
なお、データを分析する際は、専門的な知識を持つ人材が求められます。人材育成が難しい場合は、専門家に依頼するのも選択肢の一つです。
ステップ5.施策を実行して効果検証する
次に、分析結果に基づき立案した施策を実行して、効果検証を行います。
データドリブンマーケティングは、実行したら終わりではありません。
目的を達成するまでには時間がかかり、さらにその過程ではさまざまな課題や改善点も見出せるでしょう。
効果検証により得た結果は、次の施策に活かせます。
データドリブンマーケティングを成功に導くポイント
次に、データドリブンマーケティングを成功に導くポイントを5つ紹介します。
- 会社一体となってトップダウンで取り組む
- 正しいKPIツリーを構築する
- データを見える化する
- データの意味を理解する
- PDCAを回す
会社一体となってトップダウンで取り組む
まず、会社一体となってトップダウンで取り組むことが大切です。
トップダウンとは、上層部が意思決定を行い下層部に指示をすること。データドリブンマーケティングでは、会社に集約された膨大なデータを分析します。
さまざまなデータを効率よく分析するには、会社一体での協力体制が必要不可欠です。
トップダウンでの取り組みは、スムーズに協力体制を構築できます。
正しいKPIツリーを構築する
正しいKPIツリーを構築してください。
データドリブンマーケティングを成功させるポイントは、初期段階のKPIツリーの設置にあるといっても過言ではありません。
闇雲にデータを分析すれば、意思決定の精度が下がるだけでなく、無駄に時間を消費する恐れがあります。
膨大なデータから、目標を達成するのに必要なデータをピックアップするのも重要なプロセスです。
正しいKPIツリーを構築できれば、効率よく分析できて意思決定の精度も高まるでしょう。
データを見える化する
次に、データを見える化してください。
データドリブンマーケティングでは、データ主導で意思決定を行うため、データを理解する必要があります。
数字を並べただけでは、見づらいだけでなくデータの重要性を正しく理解できません。
そこで、表やグラフを用いてデータを見える化すれば、誰が見てもデータを正しく理解できます。
データの意味を理解する
「データの意味を会社全体が理解する」ことも大切です。
データ収集や分析を行う現場では、データの意味を理解しやすいでしょう。
しかし、現場に携わる機会が少ない経営層は、データの意味を理解できないケースがあります。
意思決定を行う経営層がデータの意味を理解できていなければ、目標を達成できない恐れがあります。
データの意味は会社全体で理解するように意識してください。
PDCAを回す
PDCAサイクルを回すことで、データドリブンマーケティングの成功率が高まります。
PDCAサイクル | 概要 |
---|---|
Plan(計画) | 目標を設定してアクションプランを立案する |
Do(実行) | アクションプランを実行する |
Check(測定・評価) | 実行後に測定と評価を行う |
Action(対策・改善) | 測定と評価を元に課題を見出し改善する |
なお、PDCAサイクルはスピーディーに繰り返すことも重要なので、スムーズに実施できる体制作りも必要です。
PDCAサイクルを継続的に実施することで、データドリブンマーケティングの精度が向上する効果が期待できます。
データドリブンマーケティングの失敗事例
では最後に、データドリブンマーケティングの失敗事例を2つ紹介します。
データの分析結果を有効活用できない
データドリブンマーケティングで重要となるデータを分析するには、専門的な知識を持つ人材が必要です。
データ分析はツールでもできますが、専門的な知識を持つ人材がいなければデータが無駄になる恐れがあります。
分析したデータがあっても、有効活用できなければ目標は達成できません。
人材不足でアクションにつなげられない
人材不足で、アクションにつなげられないケースは少なくありません。
精度の高い分析を行うには膨大なデータが必要ですが、データ収集には時間と手間がかかります。
そこからさらに、データを整理して可視化するにもリソースが必要です。
データドリブンマーケティングにはさまざまな工程があるため、人材不足ではアクションにつなげられない恐れがあります。
自社での対応が難しいなら、外注するのも選択肢の一つです。
まとめ:データドリブンマーケティングを理解して効果的な施策を実行しよう
インターネットの普及や技術の進化により、消費者行動が変化している昨今では競合他社との差別化が欠かせません。
データドリブンマーケティングを活用すれば、精度の高い意思決定を実現できます。競合に先手を打てるのもメリットです。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、データドリブンマーケティングを正しく理解して効果的な施策を実行し目標を達成してください。