営業の属人化が解消できない…その原因と問題・7つの解決策を解説
売上を拡大して組織として成長するには、営業活動で成果を挙げることが重要です。
しかし、営業職は属人化しやすいといった課題があります。特に、チーム営業なら属人化を解消できなければ、プロジェクトの遂行に影響を与える恐れがあります。
とはいえ、営業の属人化が起きる原因はさまざまであり、原因によって対処法は異なります。解消するのは容易ではありません。
そこで本記事では、営業の属人化が起きる原因と7つの解決策について解説します。解消する方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
営業の属人化とは担当者個人に依存する状態のこと
営業の属人化とは、担当者だけに依存している状態を指します。
営業担当者は、顧客情報や商談の進捗状況を把握していますが、他のスタッフや社内には情報共有されていない状態です。
もし、不在時に顧客からの問い合わせがあっても、他のスタッフは情報を一切把握していないため、その場で対応できません。
この場合は、折り返し電話をするか営業担当者が戻るまで対応できないため、顧客を待たせることになります。緊急の要件だった場合、即座に対応できなければ顧客からの信頼を失いかねません。
また、営業トップが担当を外れたり退職したりした場合、組織全体で営業成績の低下や営業活動が成り立たない状態になる恐れもあります。
特定の営業担当者がいないと営業活動が成り立たないのが、営業の属人化です。
営業の属人化が起こる4つの原因
営業の属人化はどの企業でも起こり得ることですが、主な原因は以下の通りです。
- 情報やノウハウを共有する体制が整備されていない
- 組織全体でゴールに向かう意識が低い
- 営業プロセスを標準化できていない
- ジョブセキュリティの意識を改善できていない
なぜ営業の属人化が起こるのか、その原因を詳しく見ていきましょう。
情報やノウハウを共有する体制が整備されていない
まず、情報やノウハウを共有する体制が整っていないと、属人化しやすくなります。
大前提として、営業ではノルマや目標が設定されるケースがあります。
営業マンは、それぞれがライバルで切磋琢磨する関係であり、情報やノウハウを渡したくないと思う方も少なくありません。
しかし、それではチーム全体の営業力は高まらず、成果も高まっていかないでしょう。
こうした状況を打破するには、情報やノウハウを共有して営業マン一人ひとりのレベルを均一化する必要があります。
組織全体でゴールに向かう意識が低い
組織全体でゴールに向かうという意識が低いと、営業の属人化が起こりやすい傾向があります。
営業活動において、個々での営業スタイルが根付いていると、社内で情報を共有するメリットや必要性を感じられなくなります。
「組織をチームとして考え全体で成果につなげる」という一体感を持てないままでは属人化を解消できません。
営業プロセスを標準化できていない
営業プロセスが標準化されていないのも要因の一つです。
そもそも営業プロセスとは、営業活動における流れのこと。主に次のような流れで進められます。
- 見込み顧客の獲得
- アポイントの獲得
- ヒアリング
- 商談
- クロージング
- 成約
上記のように営業プロセスを標準化できていれば、効率よく営業活動を進められるでしょう。
しかし、営業プロセスを標準化できていないと、営業担当者によって流れが異なるため営業成績にばらつきが生じます。
その結果、営業成績にも差が生じ、売上の低下につながる恐れがあります。
ジョブセキュリティの意識を改善できていない
ジョブセキュリティの意識が強いと、属人化が起こりやすくなります。
ジョブセキュリティとは、仕事の安定性という意味があり、営業担当者が自身の立場を守ろうとすることを指します。自身が担当している顧客情報や進捗状況を独占すれば、自分以外は対応できません。
営業担当者本人は自分の立場を守れますが、結果的に組織としては属人化による影響を受けたり、プロジェクトの遂行に支障が出たりします。
営業の属人化で生じる7つの課題
営業の属人化が起きるとどのような問題が生じるのでしょうか。
ここからは、営業の属人化で起こる7つの課題について解説します。
- 組織として営業活動を管理できなくなる
- 営業成績にばらつきが生じる
- トップセールスがいないと回らない組織体制になる
- 営業ノウハウが蓄積されない
- 顧客情報のサイロ化で適切なアプローチができない
- 引き継ぎやクレーム対応が困難になる
- 売上予測精度が下がるリスクがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
組織として営業活動を管理できなくなる
営業の属人化によって、組織として営業活動を管理できなくなる恐れがあります。
個々の営業担当者が活躍していても、管理者が全体の状況を把握できていなければ問題が生じたときすぐに対応できません。
もし重大な問題が生じ営業担当者では対応できなかったとき、管理者への報告や組織としての対応が遅れれば企業の信用を落としかねません。
属人化を解消できていれば、こういったトラブルにも迅速に対応できるでしょう。
営業成績にばらつきが生じる
営業成績にばらつきが生じるのも大きな課題です。
個々での営業活動では、売上1位と最下位に大きな差が出ます。
チーム営業では、チームが一丸となってゴールを目指しますが、担当者による対応の違いがあればプロジェクトの遂行に影響しかねません。
属人化が解消されないままでは、目標達成も困難になるでしょう。
トップセールスがいないと回らない組織体制になる
営業の属人化は、トップセールスに頼ることになるのも課題です。
トップセールスとは、営業成績が連続して1位か上位に位置する人を指します。営業に必要なスキルを兼ね備えており、ノウハウも持っています。
トップセールスのノウハウを社内で共有できれば、組織全体の底上げが可能です。
しかし、属人化の状態では、トップセールスに依存するため組織として機能しなくなる恐れがあります。もし、トップセールスが退社すれば売上に影響しかねません。
トップセールスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
営業ノウハウが蓄積されない
属人化を解消できなければ、営業ノウハウは蓄積されません。
トップセールスや上位成績を収める営業担当者は、独自ノウハウを活かして成果につなげられるでしょう。ノウハウには、失敗から学んだ教訓なども含まれます。
トップセールスや成績上位の担当者だけがノウハウを持っていても、社内で共有されなければ底上げは叶いません。ノウハウが蓄積されないままでは、人材育成にも影響が出る恐れがあります。
そこで、ノウハウを社内で共有できれば、他の営業担当者のスキルアップにつながる他、社内でノウハウを蓄積できます。
顧客情報のサイロ化で適切なアプローチができない
顧客情報のサイロ化により、適切なアプローチができなくなる恐れがあります。
そもそもサイロ化とは、システムや部署が独立して分断された状態のことです。
営業活動においては、他部署との連携が必要になるケースが多々あります。属人化により顧客情報のサイロ化が生じれば、他部署との連携がスムーズに取れません。
必要なときに適切なアプローチができなければ、機会損失のリスクが高まります。
引き継ぎやクレーム対応が困難になる
引き継ぎやクレーム対応を困難にする恐れがあるのも、属人化の課題です。
怪我や病気など、予期せぬ事態で営業担当者が交代しなければならないこともあるでしょう。
属人化していると後任の担当者が、引き継ぎに必要な顧客情報や進捗状況を把握できません。
前任への問い合わせで余計な時間がかかるため、早急に引き継ぎが必要な場合は、顧客満足度の低下につながります。
クレーム対応では、まず顧客情報の確認が必要です。顧客情報を確認しながら、適切な対応をしなければなりません。
しかし、属人化されていれば、担当者の不在時に適切な対応ができなくなります。クレームに対して迅速に対応できなければ、顧客満足度の低下だけでなく、企業のイメージダウンにもつながりかねません。
売上予測精度が下がるリスクがある
売上予測は、企業戦略の立案に欠かせない重要な施策です。売上予測を立てるには、以下のように多くの情報が求められます。
- 過去の売上実績
- 顧客情報
- 営業活動の実績(売上高や契約期間など)
- 平均成長率
- 契約率や解約率
属人化により情報を共有できていなければ、情報不足により正確な分析ができません。
売上予測精度が低下すれば目標達成できなくなり、企業の存続にも影響を与える恐れがあります。
営業の属人化を解消する方法7選
では最後に、営業の属人化を解消する7つの方法を紹介します。
- 営業プロセスを標準化する
- 組織全体でゴールを明確化する
- 評価制度を導入する
- 情報やノウハウを共有する体制を整備する
- 営業に関わるデータを見える化する
- できる営業マンに共通する人物像の型を浸透させる
- ツールを導入する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
営業プロセスを標準化する
営業の属人化を解消するには、営業プロセスを標準化することが先決です。
営業プロセスの標準化は、以下の手順で進めます。
- 現状と課題を把握する
- KPIを設定して営業プロセスを可視化する
- マニュアルに落とし込む
まずは、現状を見直し課題を洗い出します。次にKPIを設定して、営業プロセスを可視化しましょう。可視化により、営業活動の流れが見えるので把握しやすくなります。
ここで重要となるのが、トップセールスや成績上位の担当者が実践しているプロセスを採用することです。
次に、可視化したプロセスを元に、マニュアルに落とし込みます。マニュアルを作成すれば、社内で営業プロセスの共有もスムーズになるでしょう。
組織全体でゴールを明確化する
次に、組織全体でゴールを明確化します。
営業プロセスを標準化しても、組織としてゴールを目指す意識を持てなければ意味がありません。
特に属人化が定着している状況では、営業プロセスを標準化しても時間の経過とともに意識が薄れる傾向があるのが留意点です。
そこで、組織全体が一丸となってゴールに向かうという意識を持てれば、連帯感が生まれ組織が活気づきます。社内に活気が生まれればモチベーションが上がり、生産性の向上にもつながるでしょう。
評価制度を導入する
評価制度の導入は、属人化の解消に有効な手段です。
ただし、個々での評価ではジョブセキュリティの意識が働きやすいため、逆効果になる恐れがあります。
評価制度を導入するなら、チーム全体を評価対象にするといいでしょう。また、結果だけでなくプロセスも評価対象にしてください。
チーム全体のプロセスを評価対象にすれば、ノウハウを共有しやすくなります。
情報やノウハウを共有する体制を整備する
情報やノウハウを共有する体制を、社内に整備しましょう。
そもそも属人化するのは、社内で共有するという意識が定着していないからです。顧客情報や個々の営業担当者が持つノウハウの他にも、案件情報や営業活動情報も共有してください。
情報共有する体制を整備すれば、チーム全体の営業活動を可視化できます。属人化の解消や、コミュニケーション強化につながるのもメリットです。
営業の情報共有について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
営業に関わるデータを見える化する
営業に関わるデータは、社内で共有しやすいように見える化しましょう。
情報共有ツールの他にもチャットツールを活用すれば、顧客との通話内容やオンライン商談内容をデータ化できます。
- 顧客の抱える課題に対してどのような提案をしたか
- クレームに対してどのように対処したか
- 成約につなげるための交渉テクニック
営業活動におけるデータを見える化すれば、スムーズに共有できるだけでなく、マニュアルとしても活用できます。
できる営業マンに共通する人物像の型を浸透させる
できる営業マンには、共通する特徴があります。そこで、社内にできる営業マンの人物像の型を浸透させるのも有効です。
- 目標達成に向けたプロセスを理解している
- 目標を達成しようとする意識が高い
- 自身のすべきことを把握できている
- 何気ない会話からでも情報を吸収している
- 改善が必要なときはフィードバックを求める
- 契約成立後もアフターフォローを欠かさない
上記は一例ですが、トップセールスや成績上位の営業担当者には必ず共通点があります。
社内でできる営業マンの人物像を浸透させれば、ナレッジを共有しやすいでしょう。
ツールを導入する
ツールを導入すれば、社内での情報共有がスムーズです。
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)は、業務効率化や業務負担の軽減効果も期待できます。
営業活動を可視化できるので、管理者が組織全体の状況を把握しやすくなるのもメリットです。
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営業の属人化解消にはツールが役立つと紹介しましたが、ツールにもさまざまな種類があるため何を基準に選べばいいか迷うこともあるでしょう。
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営業担当者ごとの成績や進捗状況をリアルタイムで更新し、目標を達成するとバラの花が咲くので一目瞭然です。
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社内のテレビにデジタルサイネージとして、速報や集計グラフを表示させればモチベーションアップにもつながるでしょう。
まとめ:営業プロセスの標準化と情報共有を徹底して属人化を防ごう
営業は属人化しやすい傾向がありますが、原因を把握できていなければ適切な対処法を見出だせません。
属人化を解消するには、原因を正しく理解して対処する必要があります。
営業プロセスの標準化や、情報共有意識を徹底すれば属人化の解消は可能です。ツールの活用も有効なので、本記事で紹介した情報やツールを参考にしながら、属人化を防いで成果につなげてください。