スコアリングとは?基本知識と評価方法や基準・ポイントを解説
企業が売上を伸ばすには、新規顧客の獲得が重要です。しかし、価格競争の激化や顧客行動の変化などによって、新規顧客の獲得は容易ではありません。
効率よく新規顧客を獲得するには、スコアリングによって見込み顧客を見つける必要があります。
とはいえ、スコアリングの役割を理解していなければ、効果的なマーケティングは叶いません。
そこで本記事では、スコアリングの基礎知識と評価方法、実施するポイントについて解説します。
スコアリングとは ?
スコアリングには、「採点」「得点」といった意味があります。営業活動におけるスコアリングとは、「見込み顧客を分析・数値化してアプローチの優先順位を決める評価方法」のことです。
スコアリングは、設定したルールに基づき評価され施策が決まります。しかし、ルールの精度が低いと正確な結果が導き出せません。
ルール設定の精度を高めるには、徹底した情報収集と分析が必要です。また、ルールは定期的に見直し改善することで、スコアリング精度も高まります。
スコアリングの役割
スコアリングの役割は以下の3つです。
- ホットリードを抽出してアプローチする
- コールドリードを抽出し差別化する
- 関連部署との連携ができる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ホットリードを抽出してアプローチする
まず、「ホットリードを抽出してアプローチする」といった大きな役割があります。
そもそもホットリードとは、スコアが高い(購買意欲が高い)見込み顧客のことです。
大前提として、全ての見込み顧客に購買意欲があるとは限りません。闇雲にアプローチしても成果につながらなければ、営業活動が無駄になってしまいます。
効率よく営業活動を行うには、ホットリードの見極めが重要です。
コールドリードを抽出し差別化する
コールドリードとは、スコアが低い(購買意欲が低い)見込み顧客を指します。
自社商品やサービスに関心はあっても、購買意欲が低ければ成果につながらない可能性があります。
スコアリングによってコールドリードを差別化できれば、ホットリードに集中できます。
関連部署との連携ができる
そして、関連部署との連携を実現する役割もあります。
スコアリングを実施するのはマーケティング部門です。マーケティング部門がスコアリングで抽出した結果を元に、営業担当者がホットリードに対してアプローチします。
関連部署との連携が取れていなければ、サイロ化による機会損失につながりかねません。
スコアリングにより関連部署との連携がスムーズになれば、成果につなげやすいでしょう。
スコアリングの評価基準は3つ
スコアリングには3つの評価基準があります。それぞれポイントを紹介します。
- アトリビュート(属性)
- インタレスト(興味)
- アクティビティ(行動)
アトリビュート(属性)
アトリビュートは、見込み顧客の属性を意味します。
属性対象 | 詳細 | スコアリング例 | |
---|---|---|---|
BtoB企業 | 企業 | 企業規模(資本金・従業員数) 業種 地域 | 資本金1億円以上:5点 資本金5,000万円以下:3点 自社企業がアプローチしやすい地域:5点 自社企業から遠い地域:3点 |
BtoC企業 | 個人 | 年齢・性別 所属部門 役職 | 部長:5点 課長:3点 係長:2点 |
BtoB企業とBtoC企業で異なるので、対象によって正確な見極めが必要です。
インタレスト(興味)
インタレストは、見込み顧客が持つ自社商品やサービスへの興味・関心度を指します。
主な項目は以下の通りです。
- 問い合わせの有無
- 資料のダウンロード数
- セミナー参加の有無
スコアリング例 | 電話での問い合わせ:10点 セミナーへの参加有り:10点 フォームからの問い合わせ:8点 自社サイトからの資料請求:8点 自社サイトにログイン後商品ページの閲覧:5点 |
---|
見込み顧客の興味が売上につながる可能性が高いほどスコアを高くすれば、アプローチすべき優先順位を把握しやすくなります。
アクティビティ(行動)
アクティビティは、見込み顧客の行動を把握する指標であり、インタレストに起因します。
見込み顧客が興味を示してから、次の行動を起こすまでの日数や回数を数値化するものです。
- 自社サイトを訪問した2日後に電話での問い合わせがあった
- 1週間前に自社サイトにアクセスがあり、5日前に資料請求している
ここでポイントになるのが、直近の行動です。
1ヶ月以前のアクティビティがあっても、それ以降の行動が見られなければ、他社商品やサービスを利用している可能性があります。
直近の行動でスコアが高い見込み顧客を抽出するのがポイントです。
スコアリングを実施する5つのメリット
では次に、スコアリングを実施するメリットを5つ紹介します。
- 見込み顧客を見える化できる
- マーケティング業務の効率化を図れる
- 部門ごとの役割を明確にできる
- 属人化を防げる
- リード情報を中長期的に活用できる
見込み顧客を見える化できる
見込み顧客を見える化できるのは、非常に大きなメリットです。
効果的にアプローチするには、成果につながりやすいホットリードの把握が必要になります。
コールドリードと差別化しないままでは、業務効率が低下し機会損失につながりかねません。
そこでスコアリングにより見込み顧客を見える化できれば、営業効率化につながるでしょう。
マーケティング業務の効率化を図れる
そして、マーケティング業務の効率化を図れるといったメリットもあります。
スコアリングで見込み顧客を見える化すれば、営業担当者はどの見込み顧客に対してアプローチすればいいかを把握できます。
マーケティング業務がスムーズになれば、営業担当者への伝達も早く生産性の向上につながるのもメリットです。
部門ごとの役割を明確にできる
部門ごとの役割を明確化できるのもメリットです。
スコアリングなしでは、マーケティング部門と営業部門で同じ見込み顧客に重複アプローチをしてしまうリスクがあります。
さらに、見込み顧客の差別化をしないまま営業活動を行っても、成果にはつながらないでしょう。
そこで、スコアリングを実施すれば、マーケティング部門はホットリードの抽出、営業部門はホットリードへのアプローチに集中できます。
部門ごとの役割が明確化されていれば、生産性の向上にもつながります。
属人化を防げる
さらに、属人化を防げるといったメリットもあります。
営業職は属人化しやすい傾向があるため、担当者の不在時に他のスタッフが顧客からの問い合わせに対応できないケースは少なくありません。
そこでスコアリングの結果を社内で共有する体制を整備すれば、担当者不在時に顧客からの問い合わせがあっても、他のスタッフがカバーできます。
リード情報を中長期的に活用できる
リード情報を、中長期的に活用できるのもメリットです。
たとえば、自社サイトから資料請求や、セミナーに参加した見込み顧客を把握していても、全てがホットリードであるとは限りません。
そこで、スコアリングにより見込み顧客を可視化すれば、ホットリードを把握しやすくなります。
さらに、スコアリングの時点ではコールドリードだったとしても、購買意欲を高める施策を実施すれば、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)にもつなげられるでしょう。
スコアリングを実施するうえでの注意点
スコアリングは、以下に紹介する注意点を踏まえて実施してください。
- 営業担当者の負担が重くなりやすい
- ツールの導入に手間やコストがかかる場合がある
- すぐに成果が出るわけではない
営業担当者の負担が重くなりやすい
まず、営業担当者の負担が重くなりやすいのが懸念点です。
スコアリングによって成果につながる可能性が高いホットリードを把握できている状態でアプローチします。
成果への期待が大きいのに結果を出せなければ、スコアリングが営業担当者の評価を下げる原因になる恐れがあります。
営業担当者へのプレッシャーも大きくなるので、精神的な負担への配慮も必要です。
ツールの導入に手間やコストがかかる場合がある
スコアリングにツールを用いる場合は、導入の手間やコストがかかる場合があります。
見込み顧客数が少なければ、Excelでも対応は可能です。しかし、見込み顧客数が多くなるほどExcelでは手間がかかります。
効率よくスコアリングを実施するには、ツールが有効です。
しかしツールの導入にはコストがかかる他、業務プロセスの見直しなども必要になります。さらに、導入後も使いこなすまでには時間がかかるでしょう。
ツールを導入する際は、業務に影響が出ないように計画的に導入することが大切です。
すぐに成果が出るわけではない
精度の高いスコアリングを実現するには、多くのデータが必要です。
データ不足の状態でスコアリングを実施しても、精度が低ければ正確な分析はできません。
スコアリングは、回数を重ねてデータが増えるほどに精度が向上しますが、十分なデータを確保するには時間がかかることに留意しましょう。
スコアリング精度を高める6つのポイント
では最後に、スコアリング精度を高めるポイントを6つ紹介します。
- 評価項目を最適化する
- 顧客管理を徹底する
- スコアリングのテストを実施する
- スコアに頼りすぎない
- 定期的に分析と改善を繰り返す
- MAツールを活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
評価項目を最適化する
まず、評価項目を最適化してください。
スコアリングは3つの評価基準に基づき項目を設定しますが、企業によって適切な項目が異なります。
なお、全ての評価基準を設定する必要はありません。
最適化するには、過去のデータを分析して、自社にとってどの項目が必要化を見極める必要があります。
顧客管理を徹底する
顧客管理を徹底するのも重要なポイントです。
- 顧客がどんな課題を抱えているのか
- 自社商品やサービスが課題解決に役立つのか
- 顧客が求める答えは何か
このように、顧客への理解を深めてからアプローチすることも大切です。
スコアリングのテストを実施する
スコアリングのテストを実施してください。
テストでは既存顧客を対象にスコアリングを行います。既存顧客であれば、顧客への理解度も深いのでニーズを把握しやすいでしょう。
さまざまなパターンを設定してスコアリングテストを繰り返せば、自社に必要な項目を明確化できます。
スコアに頼りすぎない
そして、スコアに頼りすぎないことも大切です。
スコアリングによってホットリードを抽出しても、実際にアプローチしてみなければ結果はわかりません。高いスコアでも成果につながらない場合があります。
スコアが高いほど成果につながる可能性はありますが、スコアはあくまでも目安として捉えておきましょう。
定期的に分析と改善を繰り返す
スコアリングは、一度実施したら終わりではありません。定期的に分析と改善を繰り返してください。
先述の通りスコアリングは、繰り返すほど精度が高くなります。また、顧客行動は常に変化するため、設定する項目見直しも必要です。
定期的に見直しながら分析と改善を繰り返せば、さらにスコアはリング精度が向上します。
MAツールを活用する
効果的にスコアリングを実施したいなら、MAツールを活用しましょう。
MAとは、マーケティングオートメーションのことです。MAツールを導入すれば、マーケティング業務を自動化できます。
主な機能は以下の通りです。
- 見込み顧客管理
- スコアリング
- メール作成・配信
- シナリオ作成
- アクセス解析
- レポート作成
- 企業ログ分析
上記は一例ですが、ツールによって搭載されている機能は異なります。使いやすさやサポート体制を確認しながら、自社にマッチするMAツールを選んでください。
まとめ:スコアリング精度を高めて効果的なマーケティングを実現させよう
スコアリングは、見込み顧客に対して効果的なアプローチができるように評価することです。
自社商品やサービスに対して高い関心や興味を持つ見込み顧客を把握できれば、営業効率も上がるでしょう。
スコアリングの実施は、関連部署との連携がスムーズになる他、情報を共有する体制を整備して属人化を防ぐ効果も期待できます。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、スコアリング精度を高めて効果的なマーケティングを実現させてください。