インサイドセールスのKPIとは?7つの指標と設定時のポイントを解説
営業活動にはマーケティングから見込み顧客の獲得まで、さまざまなプロセスがあり、さらに、フェーズごとに適切なKPIを設定しなければなりません。
近年注目されているインサイドセールスにおいても、例外なくKPIの設定が重要です。
しかし、業種によって運用方法が異なるため、インサイドセールスで成果を上げるには自社にマッチした指標を見極めることも大切です。
そこで本記事では、インサイドセールスにおけるKPIの重要性や、設定時のポイントについて解説します。手順や改善に向けたアクションも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
インサイドセールスのKPIとは ?
そもそもKPI(Key Performance Indicator)には、重要業績評価指標の意味があり、営業活動には欠かせない評価指標となります。
インサイドセールスにおけるKPIとは、ゴールまでの中間目標を設定すること。営業戦略の立案には、ゴールとなるKGI(重要目標達成指標)の設定が欠かせません。
しかし、ゴールまでにはさまざまなプロセスやフェーズがあるため、中間目標がなければゴールを見失いKGIを達成できない恐れがあります。
そこで、節目となるKPIを設定すれば、ゴールまでの工程を可視化できるので、業務効率化や生産性の向上につながるのもメリットです。
インサイドセールスでKPIを設定する重要性
インサイドセールスは、大きく3つのプロセスに大別されます。
- リードジェネレーション(見込み顧客)
- リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)
- リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
上記のプロセスには、さらに細かい工程があります。
営業活動においては、コミュニケーション不足や属人化などの影響から、さまざまなトラブルが生じることも少なくありません。
こうしたトラブルが発生したとき、管理者が各工程の進捗状況を把握できていなければ、迅速に対応できず顧客の信頼を失う恐れがあります。
そこで、KPIを設定することにより、各工程の進捗状況を定量的に把握できます。
管理者が営業活動全体を俯瞰できていれば、インサイドセールスにおいてトラブルが生じたときにも迅速な対応や改善が可能です。
インサイドセールスの代表的なKPIの7項目と平均の目安
それでは、インサイドセールスのKPIにおける、代表的な7つの項目と平均の目安を紹介します。
- 架電数・架電率
- 通話時間
- コネクト数
- メール開封率
- 商談化数・商談化率
- 受注数・受注率
- 受注額
架電数・架電率
架電数は、電話をかけた件数のことです。
架電率は、「応答件数÷架電数」で算出します。
なお、インサイドセールス白書2023によると、平均目安は以下の通りです。
- 架電数:36件/日
- 架電率:29%
参照:PRTIMES
通話時間
通話時間は、1件の通話にかかった時間のことで、「総通話時間÷通話数」で算出します。
通話時間が短いと効率的であり、長いほど効率が低下する可能性があります。
ただし、通話内容にもよるため、一概に時間だけでは判断できません。
コネクト数
コネクト数は、見込み顧客への架電で応答があった件数です。
インサイドセールス白書2023では、コネクト数の平均値は15件と発表しています。
インサイドセールスにおいて、見込み顧客であっても必ず電話に応答するとは限りません。
ただし、コネクト数を把握しておけば必要なアクション数の目安を把握できるため、戦略の立案に役立つでしょう。
参照:PRTIMES
メール開封率
メール開封率は、配信したメルマガがどれだけ読まれているかを表します。
インサイドセールスにおける、メール開封率の平均値は以下の通りです。
- 顕在層:15~25%
- 潜在層:5~10%
見込み顧客であっても、メール開封率はあまり高くありません。
メール開封率は、ターゲティングや配信日時なども関係する他、商材が顧客ニーズにマッチしているかも重要です。
商談化数・商談化率
商談化数は、商談の機会を獲得した件数を表し、「商談化数÷有効商談数」で算出します。
インサイドセールス白書2023によると、商談化数の平均値は、1日あたり2.6件です。
参照:PRTIMES
インサイドセールスでは、ターゲットとの接点があることが前提となるため、商談化率も高くなるでしょう。
受注数・受注率
受注数は、商談の機会を得てから重要を獲得した件数のことで、受注率は(受注数÷提案数)×100で算出します。
平均値については、ある程度運用してデータを蓄積する必要があるため、運用期間によって異なるのが留意点です。
受注額
受注額は、インサイドセールスで受注した金額を表します。
プランや商材の種類がある場合は、金額が大きい商材ほど営業効率が高いと判断できます。受注額については商材で異なるため、一概に数字だけでは判断できません。
平均値を割り出すには、1~2ヶ月以上運用した結果から見極めが必要です。
インサイドセールスのKPIを設定する手順3ステップ
では次に、インサイドセールスのKPIを設定する手順を紹介します。
- 関連部門と認識を擦り合わせて合意する
- KGIから逆算して目標設定する
- 目標から逆算して経過指標と行動指標を設定する
関連部門と認識を擦り合わせて合意する
まず、関連部門と認識を擦り合わせ合意したうえで進めます。
インサイドセールスでは、マーケティング部門と営業部門の連携が欠かせません。
部門間の連携が取れていなければ、認識のずれからトラブルが生じる恐れがあります。
認識がずれたまま進めると、リードを獲得できても商談につながらなければ機会損失のリスクを高めかねません。
関連部門とは認識を擦り合わせ合意してから進めてください。なお、認識の擦り合わせは、定期的な実施も大切です。
KGIから逆算して目標設定する
そして、KGIから逆算して目標を設定します。
営業プロセスや各フェーズは、プロジェクトを進める上でスケジュールが変更になることも多くあります。
しかし、最終ゴールとなるKGIは変わりません。
そこでKGIから逆算して目標を設定すれば、ゴールに向かう道筋を把握できるので、目標を達成しやすくなります。
なお、チーム内で情報共有ができていないと、認識のずれが生じかねません。KPIを設定する際は、KGIに紐づけることも大切です。
目標から逆算して経過指標と行動指標を設定する
経過指標と行動指標は、目標から逆算して設定します。
チーム全体のスキルが高くても、個人レベルでは差が生じることもあるでしょう。チーム全体で設定すると、一部のスタッフ負担が大きくなりモチベーションを維持できなくなる恐れがあります。
経過指標や行動指標は、個々のレベルも踏まえたうえで設定してください。
インサイドセールスにおけるKPI設定のポイント3つ
インサイドセールスにおいてKPIを設定する際は、以下に紹介する3つのポイントを意識してください。
- 顧客と良好な関係性を構築する
- 顧客との接続数を増やす
- 自社商材とターゲットの整合性を取る
顧客と良好な関係性を構築する
そもそも、顧客と良好な関係性を構築できていなければ、どんなに優れた商品やサービスだとアプローチしても、信頼してもらえないでしょう。
無理にアプローチすれば、押し売りというネガティブな印象を与えます。一度でも悪い印象を与えれば、企業イメージを損ないかねません。
- 顧客の話を傾聴し共感する
- 顧客が求める解決策を提案する
- 定期的にメルマガなどで有益な情報を発信する
ただ自社商品やサービスをアピールするのではなく、顧客に寄り添い顧客が求める情報や解決策を提案することを意識してください。
顧客と良好な関係性を構築できれば、成果につなげやすいでしょう。
顧客との接続数を増やす
そして、顧客との接続数を増やすのも重要です。
インターネットの普及に伴い、顧客との接点も多様化しています。
従来の営業活動は、テレアポや訪問営業など接点が限られていました。
しかし、現在はメール・Web広告・ダイレクトメール・SNSなど接点が増えています。マルチチャネルを活用すれば、顧客との接続数最大化も可能です。
自社商材とターゲットの整合性を取る
自社商材とターゲットの整合性を取るのも重要なポイントです。
自社商材がターゲットのニーズにマッチしていなければ、リードを獲得できないでしょう。
そもそもリードを獲得できなければ、次のプロセスに進めません。
まず、自社商材にマッチしたターゲットを設定することが大切です。
インサイドセールスのKPI改善に向けた4つのアクション
インサイドセールスにおけるKPIを設定しても、途中で改善が必要になるケースは少なくありません。ここでは、インサイドセールスのKPIを改善する4つのアクションについて解説します。
- メールを最大限に活用する
- 社内でノウハウを共有できる体制作りをする
- スタッフの育成環境を整備する
- 各部門との連携を強化する
メールを最大限に活用する
もし、顧客との接続数が足りていないなら、メールを最大限に活用してください。
ツールを使えば、大量メールを一斉送信できます。定期的な発信も可能になるため、顧客との接続数を増やせるでしょう。
顧客にとって有益な情報を発信し続ければ、信頼できる企業と印象付けられます。
社内でノウハウを共有できる体制作りをする
社内全体で、ノウハウを共有できる体制作りをするのも重要です。
チームスタッフによって、経験やスキルに違いがあるのは仕方ありません。
経験豊富で高いスキルを持つスタッフなら、複雑な業務やトラブルにもスムーズに対処できるでしょう。
しかし経験に乏しいスタッフの負担が大きくなったとき、対応しきれなければ業務がストップする恐れがあります。
社内でノウハウを共有する体制が整備されていれば、営業力を底上げできる他、営業品質の標準化にも役立つでしょう。
スタッフの育成環境を整備する
これまでの営業手法は顧客と対面する形でしたが、インサイドセールスは非対面で対応しなければなりません。
対面なら表情や声のトーンなどから、相手の感情を読み取れます。しかし、非対面では相手の感情をつかみにくいのが懸念点です。
インサイドセールスでは、以下のように営業担当者と管理者で求められるスキルが異なります。
営業担当者 | ヒアリング力 情報収集力 コミュニケーション力 データ分析力 提案力 |
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管理者 | マネジメント力 コミュニケーション力 リーダーシップ力 決断力 行動力 |
経験やスキルを考慮しながら、必要に応じてスタッフの育成環境を整備してください。
各部門との連携を強化する
インサイドセールスでは、各部門との連携も重要です。
各部門で連携が取れていなければ、情報伝達ミスが起きかねません。
ミスに気づかないままプロジェクトを遂行し、後から修正や改善が必要になれば大幅な遅れが生じ、顧客の信頼を失う恐れがあります。
こうしたミスを防ぐには、各部門との連携を強化する必要があります。また、社内で情報を共有することも意識するといいでしょう。
インサイドセールスのKPIは定期的な見直しが必要
インサイドセールスのKPIは、定期的に見直すことが前提です。
プロジェクトの立ち上げ時にKPIを設定しても、業務を遂行する過程では達成できないタスクが生じることも少なくありません。
そのまま強引に進めれば、目標と現状の乖離が大きくなり、チーム全体のモチベーションを低下させる恐れがあります。
KPIを達成できなかった場合は、原因に合わせて柔軟にKPIを設定しなおしてください。
まとめ:インサイドセールスのKPIを適切に設定して成果につなげよう
インサイドセールスにおけるKPIは、ゴールとなる目標を達成するための中間目標を設定することです。
前提として、営業活動全体のゴールは中長期的なものになります。目標到達するまでの道のりも長くなるため、中間目標となるKPIの設定でゴールまでの道筋を可視化させましょう。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、インサイドセールスのKPIを適切に設定して成果につなげてください。