単純接触効果とは?営業での意味や活用のコツと4つの手法を紹介
はじめは興味や関心を持てなかった物でも、目にしたり触れたりする機会が増えるにつれて気になるようになった経験はないでしょうか。
このような状況を行動心理学では、単純接触効果と呼んでいます。単純接触効果は、営業やマーケティング分野にも活用が可能です。
とはいえ、効果的に活用するにはコツを理解したうえで実践しなければなりません。
本記事では、単純接触効果の意味や活用のコツ、4つの手法について解説します。
単純接触効果(ザイオンス効果)とは ?
単純接触効果(ザイオンス効果)とは、繰り返し接触することで徐々に評価がアップする心理的現象です。
たとえば、初対面では悪い印象を持った人でも、繰り返し会い相手への理解度が高まると、好印象に変わるといったケースも単純接触効果に該当します。
単純接触効果の定義では、時間の経過ではなく、接触したり目に留まったりする回数が関係しています。
営業においては、広告やメールマガジンなどで顧客の記憶に強く印象付け、購買意欲を高めるのが単純接触効果です。
単純接触効果を営業活動に活かすコツ
それでは、単純接触効果を営業活動に活かす5つのコツを紹介します。
- 商談前にコンタクトを取る
- ルート営業で接点を増やす
- メルマガを配信する
- ビジネスチャットでこまめにコミュニケーションを取る
- 定例会を実施する
商談前にコンタクトを取る
まず、商談前のコンタクトでも単純接触効果を活用できます。
たとえば、リスティング広告なら、一度自社Webサイトを訪問している顧客にターゲットを絞れるのがメリットです。
顧客自らアクションを起こしているので、自社商品やサービスへの関心が高いと考えられます。
繰り返しアピールできれば、単純接触効果によってコンバージョンにつなげやすくなるでしょう。
ルート営業で接点を増やす
ルート営業は、顧客先を訪問するので直接的な接点を持てます。
営業担当者と直接話すため、印象に残りやすいのもポイントです。回数を重ねるほど覚えてもらいやすくなります。
商談に進んだ場合でも、商談直後にサンクスメールでフォローすれば、イメージアップにつながるでしょう。
メルマガを配信する
メルマガを配信するのも有効な手段です。
顧客ニーズにマッチした内容なら、開封してもらえる可能性が高まります。
単純接触効果を高めるには、キャンペーンやクーポンなど、顧客に有益な情報を発信するのもポイントです。
さらに、有効期限や会員だけの特典など、特別感をアピールすれば購買意欲を高める効果も期待できるでしょう。
ビジネスチャットでこまめにコミュニケーションを取る
ビジネスチャットは、都合の良いタイミングでコミュニケーションを図れます。
気軽にやり取りができるため、接触回数を増やしたいときにもうってつけです。
通知設定を活用すれば、顧客からのアクションに対して迅速に対応できます。こまめにコミュニケーションを取れば、信頼関係を構築しやすいでしょう。
定例会を実施する
定例会も、単純接触効果を高めるのに有効です。
大きなプロジェクトでは、完了までに長い時間がかかることも少なくありません。
その間も定例会でこまめにコミュニケーションを図れば、顧客に安心感を与えられます。
定例会は、双方で進捗状況を共有できるのもメリットです。
単純接触効果を営業で活用する時の注意点
単純接触効果を営業で活用する際は、いくつか注意したい点があります。逆効果にならないためにも、以下の4点に注意してください。
- 無意味な接触回数が多いと逆効果になる
- スパンが長引かないようにする
- 相手との関係性や相性を考慮する
- 迷惑になる時間帯は接触を避ける
無意味な接触回数が多いと逆効果になる
単純接触効果は、接触回数を増やすのがポイントですが、無意味に回数を増やすと逆効果になる恐れがあります。
接触回数は10回をピークにしてください。10回以上接触を続けると、「鬱陶しい」「しつこい」などネガティブな印象を与えかねません。
10回試しても効果を実感できない場合は、他の方法を検討する必要があります。
スパンが長引かないようにする
単純接触効果を高めるには、接触のスパンを長引かせないことも重要です。
特に商談前のコンタクトでは、接触のスパンが長いと顧客の興味が薄れる恐れがあります。
たとえばメルマガ配信の場合、週に1度では十分な効果を得られません。
ただし、回数が多すぎるのも逆効果です。顧客の反応を見ながら、配信回数を見極めてください。
相手との関係性や相性を考慮する
そもそも、顧客ニーズにマッチしていないのに、繰り返し接触すれば押し売りされていると感じるでしょう。
悪い印象を持っている場合は、どんなに訴求しても効果がない場合もあります。
相手との関係性や相性を考慮するのも重要です。
迷惑になる時間帯は接触を避ける
顧客に接触するタイミングにも配慮が必要です。
接触回数を増やすのが効果的でも、早朝や深夜、休み時間には迷惑になる可能性が高いでしょう。
自社商品やサービスに好印象を持っていても、接触のタイミング次第ではイメージダウンにつながりかねません。
相手の都合を考えて、最適なタイミングを見極めましょう。
単純接触効果で営業活動の効果を高める3つのポイント
では次に、単純接触効果を活用して営業活動効果を高めるポイントを3つ紹介します。
- 顧客にとって有益な情報を提供する
- 笑顔で好感度アップを図る
- 初対面の対応には気をつける
顧客にとって有益な情報を提供する
顧客にとって有益な情報を提供するのは、非常に重要なポイントです。
せっかく自社商品やサービスに興味や関心を持ってもらえても、不要な情報ばかり提供すれば不信感を持たれかねません。
顧客の属性や行動を分析しながら、顧客が必要とする情報を提供してください。また、質が低いと購買意欲が薄れる恐れがあります。情報は良質であることも重要です。
笑顔で好感度アップを図る
実際に顧客と対面する際は、第一印象で好感を持ってもらうのもポイントです。
身だしなみや言葉遣いなどにも注意しながら、笑顔で高感度アップを図りましょう。
ただし、真面目な話をするときに笑顔で対応すると、「ヘラヘラしている」と誤解されかねません。シチュエーションを考えながら、臨機応変に対応することも大切です。
初対面の対応には気をつける
顧客と初めて会う場合は、対応に気をつけてください。
しっかりと挨拶をするのはもちろんですが、以下のことにも注意しましょう。
- 爪が汚れていないか
- 口臭や体臭対策はできているか
- スーツにシワやシミがないか
- ワイシャツの襟や袖が汚れていないか
- 靴が汚れていないか
第一印象が悪いと、顧客に不信感を与える恐れがあります。一度でも不信感を与えると、挽回するのは容易ではありません。初対面の対応には、十分注意してください。
顧客先の担当者の名前がわかっている場合は、お客様よりも「〇〇様」と名前で呼ぶ方が親近感を持ってもらいやすいでしょう。
単純接触効果を営業活動で活用できる4つの手法
続いて、営業活動で単純接触効果を活用する手法を4つ紹介します。
- 対面営業
- 電話
- メール
- ビジネスチャット
対面営業
対面営業は、実際にお互いの顔を見てやり取りするので、強く印象に残りやすい特徴があります。
対面での接触では、身振りや手振り、表情など微妙な変化にも気づきやすいため、温度感を把握しやすいでしょう。
最適なタイミングで繰り返し接触できれば、成約につながる可能性も高まります。
電話
電話は、お互いの顔は見えませんが、対面が難しい場合には有効な手段です。
すでに対面で接触していても、先方の都合が悪ければ電話でのやり取りになることも少なくありません。電話越しでも丁寧に対応すれば、信頼関係を構築できるでしょう。
ただし、お互いの顔が見えない電話では、トークスキルが求められるのが懸念点です。そこでトークスクリプトを作成すれば、電話での対応品質を標準化できます。
メール
多くの顧客に対して一斉にアプローチしたい時は、メールが有効です。
メールは送信する側も受診する側も、都合の良いタイミングを選べます。
また、訪問や電話が難しい時は、メールを活用するのも選択肢の一つです。
メールを活用する場合は、顧客にとって有益な情報を定期的に配信することも意識してください。
ビジネスチャット
ビジネスチャットは、顧客と1対1でやり取りできます。
迅速かつ丁寧な対応を心がければ、文字だけのやり取りでも信頼してもらいやすくなるでしょう。
ビデオ通話機能が搭載されている場合は、顧客先を訪問しなくても商談が可能です。
気軽にやり取りできるため、単純接触効果も高められます。
単純接触効果はマーケティングにも有効
単純接触効果は、マーケティング分野にも有効的に活用できます。
広告やSNS、アプリの通知などの機能を活用して繰り返し発信すれば、マーケティング経験に乏しい担当者でも、効果的に接触回数を増やせるでしょう。
マーケティングの段階で顧客の記憶に残せれば、その後の営業活動にも良い影響を与えられます。
単純接触効果は社内のコミュニケーション強化にも活用できる
そして、単純接触効果は、社内のコミュニケーション強化にも役立ちます。
定期的に社内イベントを開催すれば、業務では接点を持たない部署ともコミュニケーションを図れます。会う機会が増えれば、社内であまり関わりが薄い人たちとも関係性を深められて、一体感が強まるでしょう。
日頃から社内のコミュニケーションを強化していれば、急遽他部門との連携が必要になった時もスムーズに対応できます。
まとめ:単純接触効果を営業活動に取り入れよう
単純接触効果は、接触する回数を増やし好感度を高めるという、心理学に基づく効果を指します。
テレビCMを繰り返し見て記憶に強く残っており、気づくとCMソングを口ずさんでいるのも、単純接触効果の一種です。
単純接触効果は、営業においても活用できるシーンが多くあります。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、単純接触効果を取り入れて営業活動を進めていってください。