オンライン営業とは?成功に導くやり方とコツを解説
インターネットの普及やDX化などの影響から、近年オンライン営業を導入する企業が増えています。
これまでの訪問型営業と比較すると多くのメリットがある反面、デメリットや注意点も存在するため、導入には慎重な見極めが必要です。
そこで本記事では、オンライン営業のメリットやデメリットを紹介します。成功に導くコツややり方についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
そもそもオンライン営業とは ?
オンライン営業とは、顧客先を訪問せずオンラインツールを活用した営業手法です。
オフィス内やテレワークなど、インターネットにつながる環境と、パソコンやタブレットなどのデバイスがあれば場所を問わずに実施できます。
オンライン営業は非対面で顧客に対応できることから、新型コロナウイルス感染症対策として注目されたのも、急速に普及した要因です。
オンライン営業を実施する5つのメリット
それでは、オンライン営業を実施するメリットを5つ紹介します。
- 時間を有効活用できる
- アプローチ数を増やせる
- 営業コストを削減できる
- 地理的な制約を受けない
- ナレッジを共有しやすい
時間を有効活用できる
まず、時間を有効活用できるのは大きなメリットです。
対面営業では、顧客先を訪問するための移動時間がかかります。さらに、顧客は迎え入れる準備をする必要があります。
しかしオンライン営業なら、営業担当者はオフィスから対応できるので、顧客先を訪問する必要はありません。その結果、移動にかかる時間を削減し営業活動に充てられます。
顧客も迎え入れる準備が不要になるため、手間を省けます。
アプローチ数を増やせる
オンライン営業なら、移動にかかっていた時間を顧客へのアプローチに活用できます。よって、営業の効率がグッと高まります。
また、時間に余裕ができれば、オンライン営業の準備もしっかりとできるでしょう。
アプローチ数が増えれば、売上アップにもつながります。
営業コストを削減できる
そして、営業コストを削減できます。
オンライン営業なら、顧客に出向く必要がないため交通費を削減できます。
日帰りが難しい遠方の顧客でもオンライン営業なら、宿泊費を削減できるのは企業にとっても大きなメリットでしょう。
商談に使用する資料も、データとして保存・共有が可能です。印刷が不要になれば、印刷代や紙代も節約できます。
地理的な制約を受けない
オンライン営業は、インターネット環境を整備できれば場所を問わず実施できるので、地理的な制約を受けないのもメリットです。
離島や海外の顧客ともやり取りができるので、アプローチできる領域を拡大できます。
ナレッジを共有しやすい
オンライン営業に利用するツールには、さまざまな機能が搭載されています。
Web会議ツールの録画機能を活用すれば、商談内容をデータ化して残せます。トップセールスのノウハウをチームで共有すれば、営業力の底上げが可能です。
議事録を自動で作成できる機能が搭載されていれば、議事録をマニュアルとして活用できます。
このように、ナレッジを共有しやすいのもメリットです。
オンライン営業のデメリット・注意点
オンライン営業には、デメリットや注意点も存在します。導入に当たっては、デメリットも理解しておく必要があります。
- 環境を整備する必要がある
- 信頼関係の構築が難しい
- 通信環境に左右される場合がある
- 大型商談には向かない
環境を整備する必要がある
オンライン営業ではスムーズな商談を実現するために、安定した回線やハイスペックのデバイスが必要になります。
すでに環境が整備されていれば問題ありませんが、これから環境を整備するケースでは、初期投資にある程度の費用がかかることに留意しましょう。
信頼関係の構築が難しい
非対面での営業は、対面式の営業に比べて、信頼関係の構築が難しくなります。
相手の顔が見えていても、画面越しでは熱量が伝わりにくく、リアクションも把握しづらいでしょう。
顧客に信頼してもらうためには、話を傾聴して適度に応えやすい質問を投げかけながら、反応を注意深く見るように意識してください。
通信環境に左右される場合がある
オンライン営業は、通信環境に左右される場合があります。
自社の通信環境を整備していても、顧客先の環境が悪ければスムーズなやり取りができません。
また、回線が不安定だと途中で切断され、大切な情報が失われる恐れがあります。
オンライン営業を実施する際は、自社と顧客先の環境をしっかりと確認してください。
大型商談には向かない
基本的に、オンライン営業は大型商談には不向きです。
画面越しの対応は、対面よりも手軽なため、緊張感が落ちやすい傾向があります。
商談を成功に導くには、1対1または少人数で、相手に集中することが大切です。
オンライン営業を成功させるコツ|商談準備
では次に、オンライン営業を実施する前の、商談準備のコツを紹介します。
- 安定した環境を確保する
- 顧客情報を収集する
- リマインドメールを送る
- 視覚的な資料を準備する
- トークスクリプトを作成する
安定した環境を確保する
オンライン営業の成功には、安定した環境の確保が欠かせません。
環境が悪ければ、音声の途切れやタイムラグなどが発生します。スムーズにやり取りできなければ、顧客にストレスを与えかねません。
なお、自社と顧客先の双方で、安定した環境であることも重要です。
顧客情報を収集する
顧客情報は事前に収集してください。
公式サイトや求人情報などから簡単に入手できる情報を把握できていなければ、顧客に不信感を与えかねません。
事前準備もなしに商談していると思われれば、顧客に信頼してもらえないでしょう。
入手できる情報は、可能な限り取得しておいてください。
リマインドメールを送る
リマインドメールは、商談の前日までに送ってください。
業務に追われていると、予定を忘れることも少なくありません。リマインドメールは、双方で商談日時を再確認する意味合いもあります。
なお、リマインドメールを送るときに、関連資料も併せて送付すれば、自社商材を理解してもらいやすいでしょう。
顧客への質問も一緒に送っておくと、当日スムーズに進められます。
視覚的な資料を準備する
オンライン営業では、画面で資料を共有できますが、見づらいと相手に理解してもらえません。
資料は視覚的に見やすいことを意識してください。
図や表を活用したり、色分けや文字の大きさ・太さを変えたりするのも有効です。
なお、一度に把握できる情報量は限られるので、シンプルにまとめましょう。
トークスクリプトを作成する
オンライン営業では、画面に集中するので時間の経過が分かりづらくなることに留意しましょう。
そこで、トークスクリプトを作成すれば、時間配分の目安になります。
トークスクリプトとは、会話の流れをまとめた台本です。トークスキルに乏しいスタッフも、トークスクリプトに沿って会話を進められます。
また、トークスクリプトがあると、以下のようなメリットがあります。
- 話の途中で脱線を防ぐ
- 重要な情報の伝え漏れを防ぐ
- 営業品質の標準化に役立つ
オンライン営業の経験が浅い方でも、トークスクリプトを参考にすれば効果的に商談を進められるでしょう。
オンライン営業を成功させるコツ|商談
では次に、オンライン営業の商談を成功させるコツを紹介します。
- 商談の流れに沿って進める
- 画面越しの印象を意識する
- 積極的にコミュニケーションを取る
- 答えやすい質問を用意する
商談の流れに沿って進める
非対面でも対面でも、商談の流れは変わりません。
商談の主な流れ
- 挨拶・自己紹介
- アイスブレイク
- 商談目的の認識を合わせる
- 企業・商材説明
- ヒアリング・質疑応答
- クロージング
トークスクリプトは、上記の流れに沿って作成するといいでしょう。
画面越しの印象を意識する
そして、画面越しの印象を意識することも大切です。
非対面でも、第一印象が悪ければ顧客に不信感を与える恐れがあります。
身だしなみはもちろんのこと、姿勢や画面から見やすい位置かどうかを確認してください。
また、声の大きさやトーンや、話すスピードなども聞きやすいことを意識しましょう。
可能であれば、実際にWeb会議ツールを使って予行演習しておくのもおすすめです。
積極的にコミュニケーションを取る
コミュニケーションは積極的に取ってください。
画面越しで相手の反応が伝わりづらいのは、顧客も同じです。
一方的に話してしまい顧客が理解できていなければ、もう一度説明しなければならず、時間を無駄にする恐れがあります。
「ここまでの説明で、ご不明な点はございませんか?」
「△△については〇〇の理解で相違なかったでしょうか?」
このように、途中で質問をはさみながら、顧客と認識のズレがないかを確認することも大切です。
答えやすい質問を用意する
顧客にとって最適な提案をするには、課題を正確に把握しなければなりません。課題を把握するために、「顧客が答えやすい質問」をしましょう。
たとえば、ヒアリングで課題を引き出す際に、「今の課題は何ですか?」と聞いてしまうと、相手は考えてから答えなければいけません。
一方、イエスかノーで答えられる質問や回答の選択肢を用意する聞き方なら、相手も答えやすいでしょう。
「先日お話をうかがった際は、〇〇にお悩みとのことでしたが、こちらは現在もお変わりないでしょうか?」
「当社の〇〇はご存じでしたか?」
なお、時にはあえて答えづらい質問も必要です。顧客に課題を理解してもらいたい場合は、即答できない質問も織り交ぜてみてください。
オンライン営業を成功させるコツ|商談後
オンライン営業では、商談が済んだら終わりではありません。成約につなげるためには、商談後のフォローも重要です。
- すぐに営業の振り返りをする
- サンクスメールで素早くフォローアップする
- 商談後アンケートを実施する
すぐに営業の振り返りをする
オンライン商談は気軽に実施できる反面、時間が開くと相手の熱量が冷める恐れがあります。商談後は、すぐに営業の振り返りを実施するのもポイントです。
まず、営業担当者が自身の対応を振り返り、次に成功事例と比較しながら課題を見出します。もし、同席したメンバーがいるなら、メンバーと一緒に分析してください。
そして、上司に報告書を提出したら、フィードバックをもらいましょう。上司からのフィードバックでは、自身が気付けなかった課題を指摘してもらえる可能性があります。
営業の振り返りで抽出した課題を把握できれば、顧客ニーズにマッチした提案ができるでしょう。
サンクスメールで素早くフォローアップする
再アプローチの方法はいくつかありますが、電話はタイミング次第で迷惑になる恐れがあります。
メールなら相手に都合の良いタイミングで確認できるので、サンクスメールで素早くフォローアップしてください。
なおサンクスメールは、商談の実施日がおすすめです。素早くフォローアップして好印象を与えられれば、関係性を構築しやすくなります。
商談後アンケートを実施する
商談後のフォローアップとしては、アンケートの実施も有効です。
商談後のアンケートでは、顧客の反応から検討状況を把握できます。
もし、購買意欲が低いと、アプローチしても成約にはつながりません。顧客の検討状況を把握できれば、状況に合わせて対策できます。
成約にはつながらないとしても、商談内容を分析して原因を把握できれば、次回の営業活動に活かせるでしょう。
オンライン営業を最大化する7つのポイント
では次に、オンライン営業を最大化するポイントを7つ紹介します。
- 営業プロセスを見直す
- 言葉でのコミュニケーションをより重視する
- 顧客の商談体験をより良いものにする
- 資料や動画などのコンテンツを有効活用する
- オンライン営業のルールを明確化する
- 教育体制を整備する
- 社内で認識を共有する
営業プロセスを見直す
オンライン営業で成果が出ない場合は、営業プロセスの見直しが必要です。
営業プロセスとは、アプローチから契約まで、一連の営業活動のことを指します。
- リード獲得
- アプローチ
- ヒアリング
- 提案
- 商談
- クロージング
- 契約
一連の流れに沿って進めていても、どこかに課題があれば営業活動を最適化できません。
まずは、どこに要因があるのかを確認して、必要に応じてツールの見直しや営業活動の見える化などで改善します。
言葉でのコミュニケーションをより重視する
対面営業なら、身振り手振りを交えて相手の顔を見ながらアプローチできます。
しかし、オンライン営業では画面越しの対応となるため、言葉でのコミュニケーションを重視する必要があります。
「伝えたい内容を整理してわかりやすく伝えられているか」「丁寧な言葉づかいで聞き取りやすく話せているか」などを意識するといいでしょう。
顧客の商談体験をより良いものにする
どんなに熱心にアプローチしても、顧客が不信感を持てば成約にはつながらないでしょう。
- 安定した環境でスムーズに進められているか
- 初めての相手でも使いやすいツールを選んでいるか
- 有益な情報を共有しているか
このように、顧客の商談体験をより良いものにすることも大切です。
資料や動画などのコンテンツを有効活用する
画面越しで効果的にアプローチするには、資料や動画などのコンテンツも有効活用しましょう。
口頭で詳しく説明しても、内容が伝わらなければ意味がありません。視覚的に見やすい資料や、動画を使えば相手の理解度も高まります。
オンライン営業のルールを明確化する
成約に結びつけるには、対面での対応が必要になる場合もあります。
オンライン営業の担当者と、対面営業の担当者で情報を共有できていなければ、スムーズに進行できません。プロジェクトの遂行がストップすれば、機会損失のリスクを高めます。
属人化を防ぐために「どのケースでオンライン営業を実施するか」といったルールを明確化し、社内で共有してください。
なお、これまで対面営業での評価指数を設定している場合は、オンライン営業にマッチした評価指数の見直しも必要です。
教育体制を整備する
基本的な営業スキルは、対面営業と共通するところも多くありますが、オンライン営業に特化した教育体制の整備も必要です。
- 徹底した情報収集ができる
- 自社商材への深い理解がある
- オンラインツールを使いこなせる
- 画面越しに相手の反応を読み取るスキル
上記のように、オンライン営業に特化したスキルを持つ人材の確保が欠かせません。
社内で認識を共有する
社内で認識を共有することも、非常に重要です。
チーム内で認識を共有できていなければ、ミスやトラブルが起きやすくなります。気づくのが遅れれば、プロジェクトがストップしかねません。
こうした事態を防ぐためにも、定期的なミーティングやビジネスチャットなどを実施して、社内で共通認識を持たせてください。
オンライン営業にはツールの活用がおすすめ
オンライン営業をスムーズに進めるには、ツールの活用をおすすめします。
オンライン営業に便利なツールを以下にまとめました。
- Web会議ツール
- ビジネスチャットツール
- 営業リスト作成ツール
- MA(マーケティングオートメーション)ツール
ただし、闇雲にツールを導入すればいいわけではありません。目的によって選択肢が異なるため、用途にマッチした機能が搭載されているかを確認してください。
無料ツールは手軽に導入できますが、機能が限定される場合があります。有料ツールを導入する際は、自社予算にマッチしているかも確認してください。
なお、既存システムとの連携が可能かも確認しておくと安心です。
まとめ:オンライン営業の成果を最大化させよう
オンライン営業は、環境さえ整備すれば場所を問わず営業活動を実施できます。
営業コストの削減や、商談内容を記録してデータとして活用できるのもメリットです。
オンライン営業を成功させるにはコツが必要ですが、本記事で紹介した情報を参考にしながら成果を最大化させてください。