BtoBマーケティングにおけるKPI設定ガイド!手順や設定例も紹介
BtoBマーケティングでは、各施策の目標数値を達成するためには、それぞれKPIを設定しなければなりません。
KPIを適切に設定できなければ、効果測定やPDCAサイクルに影響を与える恐れがあります。
「BtoBマーケティングのKPI設定に難しさを感じている」
「BtoBマーケティング精度を高めるためにKPI設定を見直したい」
このように考えるマーケティング担当者もいるでしょう。
そこで本記事では、BtoBマーケティングにおけるKPI設定ガイドについて解説します。手順や設定例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
BtoBマーケティングにおけるKPIとは ?
BtoBは、成果を達成するまで長期化しやすい傾向があります。
もし、KPIを設定しなければ、目標を達成するためにすべきことを明確化できません。途中で問題が生じても課題を見出だせなければ、プロジェクトの遂行を妨げる恐れがあります。
そこで、KPIを設定すれば、ゴールまでの道のりが明確になるだけでなく、途中で問題が生じても早期発見と改善が可能です。
なお、BtoBマーケティングにおけるKPIは、目標から逆算して設定する必要があることに留意しましょう。
BtoBマーケティングにKPI設定が必要な理由
それでは、BtoBマーケティングにKPIが必要な理由を紹介します。
- ボトルネックを明確にできる
- チーム力の強化と生産性の向上につながる
- PDCAサイクルをスムーズに回せる
ボトルネックを明確にできる
まず、ボトルネック(業務の流れを妨げる問題)を明確にできることが挙げられます。
マーケティングプロセスは多岐にわたるため、人手不足や属人化によりボトルネックが生じるケースは少なくありません。
そこでKPIを設定すれば、ボトルネックが生じた箇所を把握しやすくなります。
ボトルネックを明確にできれば、精度の高い施策の立案が可能です。
チーム力の強化と生産性の向上につながる
戦略の企画や立案はマーケティング部が行いますが、戦略を元に顧客にアプローチするのは営業部です。
分業制では、部署ごとに設定するKPIが異なるケースもあるため、業務効率や生産性の低下を招く恐れがあります。
そこで、KPIをチーム全体で共有すれば、一つのベクトルに向かって進めます。生産性が向上する他にも、成果を達成するためにすべきことがわかるので、個人の成長にもつながるでしょう。
PDCAサイクルをスムーズに回せる
そして、PDCAサイクルを回しやすくなるのも理由の一つです。
マーケティング精度を高め成果につなげやすくするには、継続的にPDCAを回す必要があります。
- P:Plan(計画)
- D:Do(実行)
- C:Check(測定)
- A:Action(改善)
このようにPDCAサイクルは、4つのステップを繰り返しますが、KPIを設定できていなければ、どこに課題が潜んでいるかをすぐに把握できません。
KPIを設定すれば、課題を見つけやすくなり、PCDAサイクルもスムーズに回せるでしょう。
BtoBマーケティングのKPIを設定する手順4ステップ
BtoBマーケティングにおけるKPI設定は、以下の手順で行います。
- KGI(経営目標達成指標)を設定する
- KSF(重要成功要因)を洗い出す
- KPIを設定する
- KPIツリーを作成する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ1:KGI(経営目標達成指標)を設定する
まず、最終ゴールとなる、KGI(経営目標達成指標)を設定します。
KPIを設定する際は、KGIから逆算する必要があるため、KGIの設定は必要不可欠です。
- 今年度の売上を前年度より◯%アップする
- 上半期の売上を前年の◯%アップする
このように、KGIは期限と目標値を具体的に設定するのもポイントです。
ステップ2:KSF(重要成功要因)を洗い出す
次に、KGIを達成するために必要となる、KSF(重要成功要因)を洗い出します。
なお、KSFの設定は、定量的でなくても問題ありません。
- コンテンツを充実させて顧客満足度を向上させる
- SNSの導入で認知を拡大させる
KFSは、KGIを達成するためのキーポイントを設定するイメージです。
ステップ3:KPIを設定する
そして、KPIを設定します。
ここでは、KSFを元に数値で設定するのがポイントです。
- 新規顧客獲得率◯%増やす
- リピーターを◯%増やす
- セミナーの実施回数を◯回にする
このように具体的な数値で設定することで、指標を明確化できます。
ステップ4:KPIツリーを作成する
KPIツリーは、プロジェクト全体を可視化するために作成します。
KPIツリーがあれば、KGIの達成に向けてすべきことを見える化できるのがメリットです。
KPIツリーを社内で共有すれば、チーム力の強化にもつながるでしょう。
BtoBマーケティングのKPIを設定する際の注意点
BtoBマーケティングにおいて、KPIを設定する際は以下の注意点も意識してください。
- 定量的に設定する
- 実現可能な数値を設定する
- 可能な限り細分化する
- 項目にMLQを盛り込む
定量的に設定する
KPIは定量的に設定しましょう。
指標が曖昧では、目標を達成するためにすべきことを正確に把握できません。チーム内の認識にズレが生じて業務の遂行を妨げれば、成果につながらない恐れがあります。
KPIを定量的に設定すれば、ゴールへの道のりを明確化できます。
実現可能な数値を設定する
KPIを設定する際は、実現可能な数値であることも大切です。
高すぎる目標を掲げた結果、業務負担が増え業務に追われて精神的な負担が大きくなれば、チーム内に混乱を招く恐れがあります。
自社の現状と照らし合わせながら、実現可能な数値を設定してください。
可能な限り細分化する
KPIは、可能な限り細分化しましょう。
細分化ができていなければ、問題が生じたとき発生箇所の発見が遅れ、迅速に対処できません。
プロジェクトに遅れが生じれば、目標を達成できない恐れがあります。
KPIを細分化してボトルネックが明確になれば、改善に向けて最適な施策を実施できます。
項目にMLQを盛り込む
そして、項目にMLQ(Marketing Qualified Lead)を盛り込んでください。
MLQとは、マーケティングによって創出された、購買意欲が高い見込み顧客のことです。
一口に見込み顧客といっても、全てが成果につながるわけではありません。
KPI設定にMLQを盛り込めば成約につながりやすくなり、利益向上が見込めるでしょう。
BtoBマーケティングでの施策別KPI設定例
では最後に、BtoBマーケティングの施策別にKPIの設定例を紹介します。
- インサイドセールス・営業
- サービスサイト・オウンドメディア
- Web広告
- ウェビナー
- メルマガ
インサイドセールス・営業
インサイドセールスや営業では、見込み顧客の獲得を目的として以下の指標を設定します。
- 架電数/通話率
- 架電数/アポ獲得率
- メース送付数/開封率・返信率
- アプローチ数/商談獲得率
- 商談数/成約率
インサイドセールスでは、リード獲得を重視し過ぎると質が低下する恐れがあります。
質の高いリードを獲得するには、KPIの設定項目に、受注数や受注率、受注金額など、成果につながっていることが分かる指標も必要です。
サービスサイト・オウンドメディア
サービスサイトやオウンドメディアにおけるKPIは、以下の通りです。
- コンテンツ数/公開数
- 検索順位/検索流入数
- SNS流入数
- SNSシェア率
- PV(ページビュー)数
- UU(ユニークユーザー)数
- CV(コンバージョン)/CVR(コンバージョン率)
- ページごとの滞在時間
- 直帰率
- 離脱率
なお、近年ではパソコン以外に、スマートフォンやタブレットでアクセスするユーザーが増えています。
デバイスによって成果が変わる場合があるので、集計はデバイスごとに実施しましょう。
Web広告
Web広告のKPIは以下の通りです。
- インプレッション数
- CPA(顧客獲得単価)
- クリック数/CTR(クリック率)
- クリック単価
- CV数/CVR
- ROI(投資利益率)
なお、Web広告には、リスティング広告やディスプレイ広告など種類があり、それぞれ特徴が異なります。KPIを設定する際は、目的にマッチしているかも重要です。
ウェビナー
ウェビナーにおけるKPI設定例は以下の通りです。
- 集客数
- 参加申し込み数/申し込み率
- 当日参加数/参加率
- アンケート回収率
- ターゲット獲得率
- 商談数/商談化率
- CAC(顧客獲得コスト)
- 受注数
ウェビナーは、参加しやすいため見込み顧客を獲得しやすい反面、商談につながる確立はあまり高くありません。ただし、ニッチなテーマは参加者数が少ないものの、商談率が高い傾向にあります。
テーマによって設定する項目を見極めることも大切です。
メルマガ
メルマガのKPIは、以下の通りです。
- 配信数
- 配信成功率
- 開封率
- CTR(クリック率)
- 反応率
- CVR
- 配信解除率
なお、CTRはメール本文中の複数リンクをクリックしても、1回しかカウントされませんが、クリック率が高いと関心や興味も高いと判断できます。
反応率は、配信に成功し、かつメールを開封したユーザーがクリックした割合です。
まとめ:BtoBマーケティングのKPIは施策別に実現可能な数値を設定しよう
KPIは施策ごとに設定しなければなりません。BtoBマーケティングでは複数の施策を実施するため、目的に合わせたKPI設定が重要です。
また、ゴールが曖昧なままでは、KPIも明確化できません。目標を達成して成果につなげるには、KGI→KSF→KPI→KPIツリーの手順で実施することも大切です。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、BtoBマーケティングのKPIは施策ごとに実現可能な数値を設定して、成果につなげてください。