ACW(平均後処理時間)とは?意味や重要性・3つの短縮方法を解説
コールセンターにおけるACW(平均後処理時間)は、応対品質の改善や向上に欠かせない指標です。ACWが長くなれば応対品質の低下につながり、顧客満足度や企業の信頼にも影響しかねません。
ACWを改善しないままでは、顧客満足度や生産性の低下につながる恐れがあります。
また、コールセンター業務における指標には、ACWの他にもATT・AHTなどがありそれぞれに関係しています。
そこで本記事では、コールセンターにおけるACWの意味や重要性について解説します。ACWを短縮する3つの方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ACWとは顧客との通話後にかかる平均後処理時間のこと
ACW(After Call Work)とは、オペレーターが通話を終えた後に行う、処理にかかる平均時間を意味します。
オペレーター業務は電話対応だけでなく、通話後に通話内容の記録や注文処理、クレームがあった場合はその内容をシステムに入力する業務も行います。
ACWはこれら全ての後処理にかかる時間を表す指標です。
ACWが長くなるほど、生産性や顧客満足度の低下に繋がる恐れがあり、それが企業イメージの低下にもつながりかねません。
ACWはオペレーターのスキルによっても異なるものの、ACWが長くなりやすいコールセンターでも業務フローを見直すことで短縮化を図れる可能性があります。
ACW(平均後処理時間)の平均値
まず、コールセンターの業務効率化に関わる指標は、以下の3つです。
- ATT(Average Talk Time):平均通話時間
- ACW((After Call Work):平均後処理時間
- AHT(Average Handling Time):通話から後処理までの平均時間
ATTは、顧客と通話する平均時間です。AHTは、ATTとACWの合計を表しています。
ACWの平均値は、「後処理時間の合計÷対応件数」の計算式で算出できます。
コールセンター白書2015がまとめたデータでは、ACW平均値は5,3分。3分~5分が約3割、3分未満は約2割となっていますが、その間オペレーターは電話に対応できない状態です。
ACW(平均後処理時間)の短縮が重要な理由
ACWを短縮しなければ、顧客満足度の低下につながります。
コールセンターに電話をかけた顧客がいても、ACWに時間がかかっていればその間、顧客の待ち時間が増えるでしょう。
クレーム対応だった場合は、待たされるほど不満が高まり、重大なクレームに発展する恐れがあります。
オペレーターは後処理を終えるまで、手が塞がった状態なので電話に対応できません。ACWが長引くことで、機会損失のリスクも高まります。
ACW(平均後処理時間)が長期化する3つの原因
それでは、ACWが長期化する原因を3つ紹介します。
- オペレーターごとにスキル・経験が異なる
- マニュアルやFAQが整備されていない
- 後処理のフローが複雑化している
オペレーターごとにスキル・経験が異なる
ACWが長期化する原因としてまず挙げられるのが、オペレーターごとのスキルや経験の違いです。
経験豊富なベテランオペレーターであれば、後処理にはそれほど時間はかからないでしょう。
しかし、経験やスキルに乏しい新人オペレーターは、後処理に時間がかかる傾向があります。
コールセンター全体で考えた場合は、オペレーターごとのスキルや経験の差が生じるのがACW長期化の原因です。
マニュアルやFAQが整備されていない
マニュアルやFAQが整備されていないのも原因です。
新人オペレーター自身が対応できない場合は、上司の指示を仰ぐ必要があります。上司の手が塞がっていたり離席中だったりすれば、その間は問題を解決できません。
そこで、マニュアルやFAQが整備されていれば、オペレーター自身で解決できます。
疑問を解決できれば自信になり、知識として蓄積されれば、オペレーターのスキルアップにもつながるでしょう。
後処理のフローが複雑化している
後処理のフローが複雑化しているのもACWが長期化する原因です。
コールセンター業務は煩雑化しやすく、業務量が多いためどうしてもフローが複雑化しやすい傾向にあります。
フローは業務を可視化するために必要なものです。しかし、内容が分かりづらかったり、無駄な手順が含まれていたりすれば複雑化は避けられません。
ACW(平均後処理時間)を短縮する3つのポイント
続いて、ACWを短縮するためのポイントを3つ紹介します。
- オペレーター教育を徹底する
- 後処理のフローを見直して改善する
- システムを導入する
オペレーター教育を徹底する
まず、オペレーター教育を徹底しましょう。
特に、オペレーターごとのスキルや経験に差がある場合は、差を縮めることが重要です。
新人オペレーターの教育に注力すれば、コールセンター全体の底上げになりACWの短縮化を図れるでしょう。
教育体制を整備すれば、オペレータースキルアップだけでなく、離職率の低下につながるといった効果も期待できます。
後処理のフローを見直して改善する
処理後のフローを見直して、改善することも重要です。
まず、フロー全体を見直して、無駄な工程がないか確認してください。無駄を省くことでフローを短縮化できます。
また、業務内容は変わることもあるため、フローは定期的に見直しましょう。
常に最適化しておけば、ACWの短縮につながります。
システムを導入する
システムを導入するのも有効です。
コールセンターに導入されているシステムには、次のようなものがあります。
- CRM:顧客関係管理システム
- CTI:コンピューターと電話・FAXを統合するシステム
それまで手作業で行っていた業務をシステム化すれば、業務効率が上がります。
他にも、モニタリング機能を活用すれば、管理者がオペレーターの状況をリアルタイムで把握できるのがポイントです。
ACWに時間がかかるオペレーターに直接指示ができるので、オペレーターの心理負担を軽減する効果が期待できます。
ACW(平均後処理時間)短縮のメリット3つ
では最後に、ACWの短縮化で生まれる3つのメリットを紹介します。
- 生産性が向上する
- 顧客満足度の向上につながる
- コストを削減できる
生産性が向上する
まず、生産性が向上する効果が期待できます。
ACWにかかる時間が長いほど、オペレーターが1日あたりに対応できる件数も減る恐れがあります。
ACWの短縮化により、オペレーターが1日あたりに対応できる件数が増えるでしょう。コールセンター全体で件数が増えれば、生産性の向上効果が期待できます。
顧客満足度の向上につながる
顧客満足度の向上につながるのもメリットです。
オペレーターが後処理に手間取り時間がかかると、その間は他の電話に対応できず、顧客を待たせることになります。
ACWを短縮化できれば、顧客を待たせる時間も短縮できるでしょう。
顧客もコールセンターのオペレーターが迅速な対応をすれば、顧客満足度の向上につながります。
コストを削減できる
そして、コスト削減にもつながります。
ACWの長期化を防ぐためには、人材を増やすのも一つの選択肢です。しかし、人材を増やすには採用や育成コストといった人件費がかかります。
そこで、オペレーター教育の徹底やマニュアル・FAQの整備を行い、ACWの短縮化を図れば、人材を増やさなくても生産性の向上を図れるでしょう。
まとめ:ACW(平均後処理時間)の短縮で業務効率化・顧客満足度向上につなげよう
ACW(平均後処理時間)は、コールセンターの応対品質における重要な指標です。
ACWが長くなるほど、生産性や顧客満足度の低下につながりかねません。結果的に企業イメージを損なう恐れもあります。
ACWが長くても、その原因を把握し改善すれば短縮は可能です。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、ACWの短縮化を図り業務効率化や顧客満足度向上につなげてください。