成約率の平均はどれくらい?計算方法や高め方のポイントを徹底解説
営業活動に注力しても成約率の平均が低いなら、営業活動を最適化できていない恐れがあります。
とはいえ、成約率の平均は企業によっても異なるため、一概に数字だけでは判断できません。
「営業活動に注力しても成約率の平均値が上がらない……」
「成約率の平均値を上げる方法を知りたい」
このように考える営業担当者もいるでしょう。
成約率の平均を上げるには、原因に合わせた対策が必要です。
そこで本記事では、成約率の平均値や計算方法について解説します。高める方法や注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
成約率とは ?
成約率とは、契約が成立する割合を指しており、営業活動を最適化できているかを判断する指標の一つです。
アプローチ数を増やしても、成約につながらなければ売上は伸びません。営業活動を実施するにもコストがかかるため、成約率が低ければコストを無駄に消費します。
成約率が低いまま放置すれば、売上が低迷し経営不振に陥る恐れがあります。
成約率を高め売上を伸ばすには、早急に営業手法を見直さなければなりません。
業界別|営業成約率の平均値
営業における成約率平均は30~50%程度とされています。
ただし、業界によって営業手法や難易度は変わるため、成約率や平均値も変わってきます。
以下に、業界別の成約率平均値をまとめます。
業界 | 成約率平均値 |
---|---|
ソフトウェア | 22% |
金融 | 19% |
工業 | 27% |
電子機器 | 23% |
バイオテクノロジー | 15% |
このように業界でも成約率平均値は大きく変わるため、数字だけでは判断できないことに留意しましょう。
成約率の平均を求めるための計算方法
成約率は、以下の計算式で割り出せます。
(成約件数÷商談件数)×100
たとえば、100件のアプローチに対して成約が35件だった場合は、(35÷100)×100=35%となります。
自社の成約率平均値を測定する際は、数字だけで判断せずに、目標に照らし合わせながら測定することが大切です。
成約率が低い時に考えられる6つの原因
では次に、成約率が低い時に考えられる原因を6つ紹介します。
- 営業活動を担当者に一任している
- 営業プロセスが標準化されていない
- ノウハウやナレッジを共有できていない
- 必要な営業担当者を理解できていない
- アプローチする顧客の優先順位を誤っている
- 顧客のBANTを正確に理解できていない
営業活動を担当者に一任している
まず考えられるのが、営業活動を担当者に一任することで生じる「営業の属人化」です。
属人化の原因は、組織全体と個人の2つに大別されます。
組織全体 | 情報共有体制を整備していない |
---|---|
個人 | ノルマ達成を優先する 自分の評価を下げたくない |
そもそも、組織全体として情報を共有する意識が低ければ、属人化は避けられないでしょう。
個人の場合では、ノルマ達成のために自身の営業活動を優先します。
社内で情報を共有すると、ミスやクレームなども共有しなければなりません。自分の評価につながるので、自分を守るために隠そうとする心理が働きます。
営業プロセスが標準化されていない
営業プロセスが標準化されていないと、個々の営業担当者で成績に差が生じやすくなります。
営業プロセスは、以下の手順で進めます。
- リード獲得
- 見込み顧客の育成
- 商談・成約
- アフターフォロー
営業プロセスを標準化しないままでは、営業格差が大きくなります。同じ流れで営業活動を進めても、営業担当者のスキルが低ければ成約にはつながらないでしょう。
ノウハウやナレッジを共有できていない
ノウハウやナレッジを共有できていないのも、原因の一つです。
トップセールスなら、目標を上回る成約を獲得するのも難しくはないでしょう。
しかし、情報を共有する体制を整備していない企業では、トップセールスが持つノウハウやナレッジも社内に蓄積されません。
この状況を改善しない限り、トップセールスが好成績でも、営業スキルに乏しい担当者が成約率を上げるのは困難でしょう。
必要な営業担当者を理解できていない
営業プロセスを標準化しても、組織として成約率を高める体系を整備できていなければ成果にはつながりません。
たとえば、企業が売上を伸ばすには、新規顧客の獲得が必要不可欠です。
一から新規顧客を獲得するには、時間と手間がかかります。そこで、既存顧客から紹介してもらえれば、時間と手間をかけずに良質な新規顧客を獲得できる可能性があります。
ここで重要なのが、顧客と良好な関係性を構築している営業担当者です。管理者が必要な営業担当者を理解できていなければ、新規顧客の獲得にはつながらないでしょう。
アプローチする顧客の優先順位を誤っている
そして、アプローチする顧客の優先順位を誤るのも要因です。
成約率を高めるには、購買意欲の高いホットリードを優先しなければなりません。
自社商品やサービスに興味はあっても、購買意欲が低いコールドリード では成約にはつながらないでしょう。
優先すべきホットリードを把握できていなければ、営業コストだけを無駄に消費する恐れがあります。
顧客のBANTを正確に理解できていない
顧客のBANTを正確に理解できていなければ、成約率の平均値は上がらないでしょう。
BANTとは、ヒアリング時に用いるフレームワークの一種です。
- B(Budget):予算
- A(Authority):決裁権
- N(Needs):ニーズ
- T(Time frame):導入時期
顧客のBANTは、成約率に大きく影響します。
4つの要素を全て満たしていることが理想ですので、どれかが足りない場合は改善が必要です。
営業成約率の平均を高める8つの方法
それでは、営業成約率の平均を高める方法を紹介します。
- 営業活動を見える化する
- 営業目標を細分化して設定する
- 診断コンテンツを活用する
- トークスクリプトの品質を高める
- 顧客の課題感などを入念にヒアリングする
- 社内で情報共有体制を整える
- クロージングの質を向上させる
- 心理テクニックを取り入れる
それぞれ詳しく見ていきましょう.
営業活動を見える化する
まず、営業活動を見える化して、社内で共有してください。
営業活動を見える化すれば、課題や改善すべき点を把握しやすくなります。成約率を数値化すれば、自社の成約率がどのくらいかを正確に把握できるのもメリットです。
営業活動の見える化は以下の手順で実施します。
- 顧客の購買プロセスを明確にする
- 自社の営業活動を明確にする
- 営業プロセスを具体的に定義する
営業活動を見える化すると、各営業担当者の課題も見えてきます。課題を把握したうえで改善すれば、成約率の向上につながるでしょう。
営業目標を細分化して設定する
そして、営業目標を細分化して設定するのも重要なポイントです。なお、営業部全体だけでなく、個人での目標も細分化してください。
たとえば、月間の成約目標が10件だけでは、漠然としているため課題を正確に把握できません。
10件の目標を「テレアポ5件・訪問商談5件」など、細分化すれば課題を把握しやすくなります。
電話営業では成約率が低くても、訪問営業で目標を達成できれば、自身の強みと弱みから改善点を見出せます。
診断コンテンツを活用する
診断コンテンツも活用できます。
診断コンテンツは、マーケティング手法の一つで、複数の質問から構成されています。回答に応じて結果が表示されるので、顧客の課題を把握しやすくなるのがメリットです。
ニーズにマッチした提案ができれば、顧客満足度が向上し成約につながりやすくなります。
トークスクリプトの品質を高める
トークスクリプトは、一度作成したら終わりではありません。
変化する市場や顧客ニーズに合わせて、定期的に見直し品質を高める必要があります。
トークスクリプトの品質が高まれば、組織としての営業品質の底上げにもつながり、その結果成約率の平均も高められるでしょう。
顧客の課題感などを入念にヒアリングする
顧客の課題感は、入念にヒアリングする必要があります。
ヒアリングが不十分だと、顧客の課題感を正確に把握できません。的外れな提案をすれば、顧客から信頼してもらえないでしょう。
ヒアリングのコツは、ただ話を聞くのではなく、顧客に寄り添い共感する「傾聴力」を磨くことです。
なお、ヒアリングシートを活用すれば、顧客の課題に対する理解度が深まります。事前に質問すべきことを把握できるので、情報の伝え漏れを防げるのもメリットです。
社内で情報共有体制を整える
そもそも、営業部の属人化が生じていると営業品質の低下につながります。
属人化を防ぎ営業品質を向上させるためにも、社内で情報共有体制を整備してください。
社内で情報共有体制を整備する際は、「営業活動のルールを明確化する」「情報共有のメリットを理解する」といった取り組みも必要です。
クロージングの質を向上させる
成約率を高めるには、クロージングの質を向上させることも大切です。
スムーズに商談が進んでも、クロージングに失敗すれば成約にはつながりません。
また、クロージングは単なる締めではなく、テクニックが必要です。
テクニック | 目的 | 例文 |
---|---|---|
テストクロージング | 最終的に顧客の購買意欲を確認する | 商品の説明は以上となりますが、現時点でもご購入されたいと思われますか? |
成約後をイメージさせる | 自社商材を利用するベネフィットを訴求して購買意欲を高める | 導入後のプランはどちらがお客様に合っているとお考えですか? |
選択肢を用意する | 顧客自身が選ぶことで納得感を得られる | A・B・Cのうちどのプランが、お客様の課題解決に適していると思われますか? |
クロージング品質が高まれば、成約につながりやすくなるでしょう。
心理テクニックを取り入れる
成約率の平均値を高めるには、心理テクニックを取り入れるのも有効です。
テクニック | 概要 | 例文 |
---|---|---|
ドア・イン・ザ・フェイス | あえて拒否されそうな質問の後で受け入れやすい提案をする | 「こちらの最上位プランはいかがですか?」 「では、気軽に試せる基本プランはいかがでしょうか?」 |
フット・イン・ザ・ドア | 受け入れやすい提案の後で本命を提案する | 「まずは、無料サンプルからお試しいただけます」 「本商品でしたら◯ヶ月間お使いいただけるので大変お得です」 |
バンドワゴン効果 | 大多数の人が支持しているとアピールして安心感を与える | 「こちらの商品は累計販売数100万個を超えています」 「〇〇ランキングで2年連続1位を獲得しています」 |
このように心理テクニックを活用すると、説得力が増します。
営業成約率の平均を上げる際の注意点
営業成約率の平均を上げるには、いくつか注意したい点があります。
- 迅速なレスポンスを心がける
- 顧客の話を傾聴する
- 押し売りをしない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
迅速なレスポンスを心がける
レスポンスは迅速にしましょう。
顧客の質問に対してすぐに対応できなければ、不安になります。すぐにでも回答が欲しいのに待たされれば、不信感を持たれかねません。
顧客からの質問は、興味や関心度が高いことを意味します。迅速にレスポンスすれば、顧客は安心できるので、信頼関係を構築しやすくなるでしょう。
信頼できる企業だと印象付けられれば、成約にもつなげられます。
顧客の話を傾聴する
顧客の話を聞く時は、傾聴しましょう。
傾聴とは、顧客の話に耳を傾け寄り添い共感することです。
顧客の話を聞くだけでは、課題を深く掘り下げられない恐れがあります。顧客の課題を正確に把握できなければ、解決策を提案しても納得してもらえないでしょう。
顧客の話を傾聴できれば、顧客の考えを深く掘り下げられるので、具体的に提案できるようになるのもメリットです。
きちんと話しを聞いてもらえたと理解してもらえば、好印象を与えられます。
押し売りをしない
押し売りはNGです。
自社商品やサービスに興味を持っていても、押し売りされたら顧客を不快にする恐れがあります。
成約につなげることも大切ですが、顧客主体で商談を進めましょう。
顧客に寄り添いながら丁寧にフォローすれば、長期的な信頼関係を構築できます。顧客からの信頼を勝ち取れば、成約率を高められるでしょう。
成約率が高い人にある3つの特徴
成約率が高い人には共通点があります。ここでは3つの特徴を紹介しますので、参考にしてください。
- 情報収集能力に長けている
- 顧客と良好な関係性を構築できている
- スケジュール管理を徹底している
情報収集能力に長けている
まず、顧客の課題を正確に把握するには、徹底した情報収集と分析が必要不可欠です。
情報が不足した状態で分析しても、精度が低ければ最適な提案は叶いません。
情報収集力に長けていれば、多くの情報から分析できるので精度が上がります。顧客ニーズを正確に把握できれば、成約のチャンスも増えるでしょう。
顧客と良好な関係性を構築できている
そもそも顧客と良好な関係性を構築できていない状態では、顧客の信頼を得られていません。
顧客に信頼されていなければ、どんなにアプローチしても魅力を感じてはもらえないでしょう。
顧客と良好な関係性を構築できていれば、提案を受け入れてもらいやすくなるので、成約率の平均を高めるチャンスを作れます。
スケジュール管理を徹底している
スケジュール管理は、営業活動において非常に重要です。
スケジュール管理ができていなければ、業務効率や生産性の低下につながる恐れがあります。
遅延により顧客への対応が遅れると、企業のイメージを損ないかねません。
スケジュール管理を徹底していれば、業務効率化によりアプローチ数を増やせます。顧客との接点が増えれば、成約率の向上にもつながるでしょう。
成約率の平均を上げるにはツールの活用も有効
成約率の平均を高めるには、ツールの活用も有効です。
- CRM(顧客管理システム)ツール
- SFA(営業支援)ツール
- 名刺管理ツール
- MA(マーケティングオートメーション)ツール
- オンライン商談ツール
ツールにより、営業活動を自動化できれば業務効率が上がります。
ただし、目標や課題によって適切なツールが異なるため、自社にマッチしたツールを見極めることが大切です。
まとめ:営業成約率の平均を上げて業績を底上げしよう
営業成約率の平均は、30~50%とあまり高いとは言えません。
業界によっても成約率の平均値は変わるので、一概に数字では判断しきれませんが、原因に応じて適切に対処する必要があります。
本記事で紹介した情報を参考にして、営業成約率の平均を上げて業績の底上げをめざしてください。