CPHとは?コールセンターでの平均値や計算式・上げる秘訣を解説
CPHは、コールセンター運営において重要な指標のひとつです。
CPHが低下すれば、コールセンターの評価を落としかねません。
とはいえ、CPHが低下する原因はコールセンターによって異なります。さらに、複数の原因がある場合は、原因に応じた対策が必要です。
そこで本記事では、CPHが低下する原因と、改善するポイントについて解説します。計算式や改善により得られる効果も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
CPHとはオペレーター1人が1時間に対応したコール数
CPH(Call Per Hour)とは、オペレーター1人が1時間に処理したコール対応数のことです。
コール対応は電話対応の他、後処理の時間も含まれるため、オペレーター1人あたりのCPHが高いほど、生産性が高いことを表します。
CPHの計算式は「対応件数÷稼働時間 」
CPHの計算式に当てはめれば、オペレーター個人の他、コールセンター全体の指標として活用できるのもポイントです。
- オペレーター個人:対応件数÷稼働時間=CPH
- コールセンター全体:全体CPH÷オペレーター数=1人当たりのCPH
オペレーター個人の例を見ていきましょう。
3時間稼働でトータル180件でのCPHは60、5時間稼働でトータル250件ならCPHは50です。
ただし、コールセンターによってオペレーター数や業務内容が異なるため、CPHの平均値は一概に言えるものではありません。
コールセンターにおけるCPH業務
コールセンターにおけるCPH業務は、受電・対応・後処理の3つです。全てをこなして1件としてカウントされます。
- 顧客からの電話を受ける
- 電話で顧客対応する
- 対応後の処理作業をする
顧客からの電話を受ける
まず、顧客からの電話を受ける業務です。
コールセンターには、顧客からの問い合わせやクレームなど、さまざまな内容の電話がかかってきます。
曜日や時間帯によっては、電話が集中することもあるでしょう。
この場合、「放棄呼」や「あふれ呼」が生じる恐れがあります。原因は、受電数がオペレーター数を上回り対応しきれないことです。
「放棄呼」や「あふれ呼」が多いと、CPHが低下する傾向が見られます。
電話で顧客対応する
続いて、受けた電話で顧客に対応する業務があります。
顧客によっては、すぐに通話が終了することもあれば、複雑な内容では通話時間が長引くこともあるでしょう。
オペレーターがその場で対応できずエスカレーションが必要になれば、その分対応時間が長くなります。
対応後の処理作業をする
オペレーター業務は、顧客からの電話を受け対応し、通話が終了した後の処理作業も含まれます。
- 通話内容をシステムに入力する
- クレーム内容や対応状況を管理者に報告する
- 注文や受注処理を行う
後処理は、ACW(After Call Work)とも呼ばれており、オペレータースキルやシステムの使いやすさなども、結果的にCPHを下げる原因になります。
コールセンターでCPHが低下する要因
コールセンターにおけるCPHの低下は、生産性にも影響します。CPHが低下する要因は以下の3つです。
- オペレーター数が足りていない
- オペレーターの教育体制が整備されていない
- システムや環境に不備がある
オペレーター数が足りていない
まず挙げられるのが、オペレーター数が足りていないことです。
オペレーター1人につき1件の電話しか対応できません。
対応中に電話がかかってきても、オペレーターの手が空いていなければ、放棄呼やあふれ呼が発生します。
オペレーター数が足りていない以上、そのままでは課題を解決できずCPHは低下し続けるでしょう。
オペレーター不足の改善には、募集して人材を増やすか、コールセンターの外注を検討する必要があります。
オペレーターの教育体制が整備されていない
オペレーターの教育体制が整備されていないのも、CPHが低下する要因です。
オペレータースキルが高いベテランなら、複雑な内容にも柔軟に対応できるでしょう。
しかし、オペレータースキルに乏しいと、顧客からの問い合わせに答えられず上司や管理者に指示を仰がなければなりません。
その間も時間は経過するため、1件あたりの対応時間は長くなります。
顧客の待ち時間が長くなれば、顧客満足度が低下しかねません。
システムや環境に不備がある
そして、システムや環境の不備も、CPHを低下させる原因です。
システムを導入しても、操作が複雑だと覚えるのに時間がかかります。
FAQやマニュアルがあっても、社内で共有されなかったり情報が古かったりすれば、意味がありません。
コールセンターのCPHを上げるには?7つの改善ポイント
では次に、コールセンターのCPH低下を防ぐためにおさえておきたい、7つの改善ポイントを紹介します。
- 数字だけで判断しない
- 低下した要因を明確にする
- スタッフの研修や教育体制を整備する
- CPH以外の評価指標を改善する
- システム・環境を見直す
- FAQを充実させる
- トークスクリプトを最適化する
数字だけで判断しない
前述の通り、CPHはコールセンターによって異なるため一概には言えません。
また、CPHの数値だけでは、3種類のどの業務に原因があるかまでは判断できないのも留意点です。
CPHの数値が低いからとオペレーター数を増やしても、原因が他にある場合は改善されない恐れがあります。
CPHの数値が低いままで改善されない場合は、原因の究明を優先してください。
低下した要因を明確にする
CPHが低下した要因を明確にすることも大切です。
原因が曖昧なまま改善しようとしても、的外れな対策では悪化する恐れがあります。
まずは、3つの業務のどこに要因があるかを究明し、原因に応じて適切に対処することが重要です。
対策を取る前に、低下する要因を明確化することを意識してください。
スタッフの研修や教育体制を整備する
原因がオペレーターのスキル不足にある場合は、早急にスタッフの研修や教育体制を整備する必要があります。
自社ノウハウがなく教育体制を整備できないなら、コールセンター研修サービスを利用するのも選択肢の一つです。
CPH以外の評価指標を改善する
CPH以外の評価指標にも注目しましょう。
コールセンターにおける指標には、以下があります。
指標 | 意味 | 計算方法 |
---|---|---|
ATT(Average Talk Time) | 平均通話時間 | 通話時間合計÷総コール数 |
ACW(After Call Work) | 平均後処理時間 | 後処理時間合計÷対応件数 |
AHT(Average Handing Time) | 平均処理時間 | ATT+ACW |
ASA(Average Speed of Answer) | 平均応答時間 | 応答までの時間÷着信数 |
応答率 | オペレーターが対応した割合 | 対応件数÷着信数 |
その他の評価指標を改善すれば、CPHの改善にもつながります。
システム・環境を見直す
システムや環境を見直すことも大切です。
システムを導入しても、操作が複雑だと後処理に時間を取られます。
業務効率化を目的としてシステムを導入するなら、使いやすさもしっかりと確認してください。
FAQを充実させる
そして、FAQを充実させましょう。
FAQは、これまでの問い合わせ内容から、よくある質問と解答をまとめたものです。
簡単な質問であれば、新人オペレーターでもFAQを参考に対処できる場合があります。
待ち時間を減らせるので、顧客満足度の向上につながるでしょう。また、オペレーター自身で解決できれば、自信につながりモチベーションを維持しやすいといったメリットもあります。
トークスクリプトを最適化する
トークスクリプトは会話の流れをまとめた台本のようなものです。
コールセンターにおけるトークスクリプトは、以下のように作成します。
オープントーク | お電話ありがとうございます。 〇〇株式会社コールセンターの◯◯(オペレーターの名前)です。 ご用件をお伺いいたします。 |
---|---|
メイントーク | 〇〇(商品やサービス名)に関してのご質問ですね。内容を詳しくお聞かせください。 商品やサービス番号はお手元にございますか? →修理依頼を受ける 修理依頼を承りました。 恐れ入りますが、これから申し上げる宛先までお送りいただけますでしょうか。 |
クロージングトーク | ご案内は以上となります。 他にご質問はございませんか? 本日はお電話をいただきありがとうございます。 ◯◯株式会社コールセンターの〇〇が承りました。 |
上記は修理依頼に対する一例です。
なお、トークスクリプトも定期的な見直しと、アップデートを欠かさないようにしてください。
コールセンターのCPH改善で得られる2つの効果
では最後に、コールセンターのCPHを改善すると得られる効果を紹介します。
- 顧客満足度の向上につながる
- 運営コストを削減できる
顧客満足度の向上につながる
CPHの改善は、応対品質の向上や待ち時間の短縮につながります。
商品やサービスに不満があって電話をかけた顧客も、丁寧な対応で問題が解決すればオペレーターや企業に対して良いイメージを持ってもらえます。
クレームを目的とした電話でも、丁寧かつ迅速に対応すれば、顧客の怒りや不満も軽減されるでしょう。その結果顧客満足度が向上します。
顧客満足度が向上すれば、企業のイメージアップにもつながるのもメリットです。
運営コストを削減できる
CPHの向上により、運営コストの削減効果が期待できます。
オペレーターが働く環境に問題があるのに改善されないままでは、CPHの数値改善はおろかオペレーターの離職率を高めかねません。
オペレーターにとって働きやすい環境を整備し、離職率をさげられれば、採用費を削減できます。
まとめ:コールセンターのCPHを改善して顧客満足度を高めよう
コールセンターにおけるCPHは、オペレーター1人が1時間に対応した件数を表します。
数値が高いほど、コールセンター運営がスムーズであることの証です。
CPHの低下にはさまざまな原因があるため、原因に合わせた対策を見極める必要があります。
本記事で紹介した情報を参考に、コールセンターのCPHを改善して顧客満足度を向上させ、企業のイメージアップを図りましょう。