エスカレーションフローとは?コールセンターでの意味や作り方・3つのルールを解説
コールセンターのエスカレーションフローは、顧客満足度に影響する重要な施策です。
とはいえ、ビジネス上のエスカレーションとは意味合いが異なるため、どのように実施すればいいか迷う担当者もいるでしょう。
そこで本記事では、コールセンターのエスカレーションフローについて、意味や作るポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもエスカレーションとは?
コールセンターにおけるエスカレーションの意味とビジネス上の意味を比較してみましょう。
- コールセンターにおける意味
- ビジネス上の意味
コールセンターにおける意味
コールセンターでは、オペレーターが対応しきれないときに、上司へ対応を引き継ぐことです
コールセンターのエスカレーションは、緊急性があるケースもしくは受電したスタッフでは対応できない場合に活用されます。
緊急性の高い案件をオペレーター自身で対処しようとすれば、トラブルに発展しかねません。
特にクレーム対応では、迅速なエスカレーションが求められます。
ビジネス上の意味
ビジネスでのエスカレーションは、「上司に対応してもらう」「上司に相談する」「上司に指示を仰いでもらう」といった意味合いです。
上司に指示に従い担当者が対応することもあれば、上司が直接対応する場合もあります。
コールセンターと同様に、トラブルを未然に防ぎ適切な対応をするのが目的です。
エスカレーションフローとは?
エスカレーションフローは、エスカレーションをどのような手順で行うのか、その一連の流れを意味します。
「エスカレーションをシステム化する」とイメージしやすいでしょう。
詳しい手順については後述しますが、エスカレーションフローを活用すれば、緊急性が高い案件でもスムーズに対処できます。
コールセンターのエスカレーションをスムーズに実施するポイント
それでは、コールセンターのエスカレーションをスムーズにするポイントを5つ紹介します。
- エスカレーションフローを作成する
- 基準を明確にしておく
- 報告した担当者に責任は問わない
- エスカレーションする方法を明確にする
- 社内で共有して定期的に見直す
エスカレーションフローを作成する
エスカレーションフローは、一連の流れを示すものであり、問題が生じたときに即座に対応するためのものです。
コールセンターにかかってくる電話には、問い合わせ以外にクレームも含まれます。
クレーム目的で電話をかける場合、すでに企業や商品・サービスに不満を持っているでしょう。
オペレーターの対応に不備があり待たされれば、顧客の不満はさらに大きくなり重大なトラブルに発展しかねません。
コールセンターでのエスカレーションフローは、顧客満足度の低下を防ぐために重要なものです。
基準を明確にしておく
まず、基準を明確化してください。
オペレーターが判断に迷う案件を全てエスカレーションすると、管理者に業務が集中し通常業務に支障が出る恐れがあります。
- クレームの電話で上司を出すよう要求されている→直属の上司
- 商品説明の際に専門的な知識が必要である→技術者
- 値引きを求められている→権限を持つ上位者
予め基準を決めておけば、顧客を待たせることなく迅速に対応できます。
報告した担当者に責任は問わない
報告した担当者の責任を問わないルールも欠かせません。エスカレーション後は引き継いだ相手が全責任を負います。
エスカレーションを実施した際に、報告が責任を問われれば、エスカレーションを躊躇してしまうでしょう。
その結果トラブルに発展すれば、企業のイメージを損ないかねません。オペレーターが報告しやすい環境づくりを意識してください。
エスカレーションする方法を明確にする
エスカレーションは、方法を明確化してください。
- 緊急性が高い場合:電話
- 履歴を残す必要がある:メール
- 迅速に報告しつつ履歴も残したい:社内チャット
このように、方法を明確化しておくと、オペレーターが迷うことなくスムーズに対応できます。
社内で共有して定期的に見直す
エスカレーションフローは、定期的に見直し、その都度社内で共有してください。
コールセンターには、毎日多くの問い合わせや意見が寄せられます。業務の工程では、新たに追加しなければならないルールや手順が生じる可能性があります。
定期的に見直し社内で共有しておけば、新人オペレーターの育成にも活用できるでしょう。
エスカレーションフローの作り方5ステップ
では、エスカレーションフローの作り方5ステップを順番に見ていきましょう。
- エスカレーションが必要な対象を決める
- 対象のレベル分けをする
- 誰にどの手段で報告するかルートを設定する
- エスカレーション後の流れを明確にする
- 実施したうえで定期的にフロー内容を改善する
エスカレーションが必要な対象を決める
まず、エスカレーションが必要な対象を決めます。
具体的には、オペレーターの判断で対応すると、後からトラブルに発展するようなケースなどです。
例えば、インバウンドコールセンターの場合では、クレーム対応が対象になります。
- 商品の不備で発生したクレーム
- 値引き交渉などオペレーターが判断できない内容
- 重大なトラブルに発展しか寝ない内容
上記は一例ですが、予め必要な対象を決めておけば、オペレーターが迷わず迅速に対応できるでしょう。
対象のレベル分けをする
次に、問い合わせ内容や緊急性に応じて、報告する対象をレベル分けしましょう。
- レベル1:オペレーターが対応できない場合
- レベル2:専門的な知識が必要な場合
- レベル3:緊急性は高くないが権限のある管理者に取り次ぐ必要がある場合
- レベル4:緊急性が非常に高い場合
用途に合わせてエスカレーション先を分けてください。
誰にどの手段で報告するかルートを設定する
続いて、どの手段で報告するかのルートを設定します。
例えば、緊急性が高いのにメールで報告すると、上司が気づかず対応が遅れる恐れがあります。
緊急性が高い場合は、迅速な対応が求められるので、電話や社内チャットなど、すぐに対応できるルートを設定するいいでしょう。
エスカレーション後の流れを明確にする
エスカレーションしたら終了ではありません。この段階では相談内容については何も解決できていないため、その後の流れについても明確化しておきましょう。
例えば、専用の業務システムを導入して対応状況を一元管理する、進捗に遅れが生じた時の対応をまとめるといった決めごとも必要です。
また、「どのように対処したのか?」をデータ化し、現場の担当者へ社内ナレッジとして共有する流れまで決定しておくといいでしょう。
そうすると、今後似たような事案が発生したときに現場担当者での解決率がアップします。
こうした対応後の流れもプロセスとしてまとめておきましょう。
実施したうえで定期的にフロー内容を改善する
さらに、実施した後に定期的なフロー内容の改善をしましょう。
一度決定したフローが、必ずしもうまく回るとは限りません。うまくいかない箇所は早急に手を打つ必要があります。
新たな問題や課題が生じても、その都度フロー内容を改善しておけば、エスカレーションの体制が整えられます。
エスカレーション後はトラブル事例と解決方法をデータベース化・共有がおすすめ
トラブル事例や解決方法をデータベース化して社内で共有すれば、オペレーター自身が対応できることもあるでしょう。
- 顧客情報:どんな顧客からどのような要望があったのか
- 対処方法:ルートと解決方法
上記2点をテンプレート化して共有すれば、エスカレーションが減り、業務効率化にもつながります。
エスカレーションを少なくする3つのコツ
では最後に、エスカレーションを削減するためのコツを3つ紹介します。
- オペレーターを教育する
- マニュアル・FAQをアップデートする
- オペレーターの対応できる権限を増やす
オペレーターを教育する
オペレーター教育を徹底してください。
例えば新人オペレーターの場合は、経験不足のためエスカレーションが増えるでしょう。
そこで、オペレーター教育を徹底すれば、新人でも知識を身に付けられるので自身で対処できるようになります。
マニュアル・FAQをアップデートする
マニュアルやFAQは、定期的にアップデートしましょう。
コールセンターにはさまざまな内容の電話がかかってくるため、マニュアルやFAQに記載されていないケースへの対応が求められる場合があります。
新たな事案が発生した場合でも、すぐにマニュアルやFAQをアップデートしておけば社内ノウハウを蓄積できます。
オペレーターの対応できる権限を増やす
オペレーターの権限を増やすのも有効です。
オペレーターの権限が限られると、報告先に業務負担が集中します。
オペレーターの権限を増やせば、できることが増えオペレーターとしての責任感が高まり、モチベーションアップにもつながるでしょう。
まとめ:エスカレーションフローを活用してスムーズな対応を心がけよう
コールセンターでのエスカレーションフローは、顧客満足度に直結するといっても過言ではありません。
エスカレーションを最適化することで、迅速な対応が可能になります。トラブルを未然に防げれば、顧客満足度の向上や企業のイメージアップにもつながるでしょう。
エスカレーションフローを活用して、スムーズな対応を心がけてください。