PBXとは?コールセンター向けサービス5選と種類・選定基準を解説
PBXとは、構内交換機や電話交換機のこと。内線転送やパーク保留、ダイヤルインといった機能が豊富で、導入を検討しているコールセンターも多いでしょう。
とはいえ、PBXにはさまざまな種類があり、何を基準に選定したら良いのか迷う方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、コールセンター向けのPBXを5選ピックアップし、種類や選定基準を解説します。ぜひ参考にしてみてください。
コールセンターに欠かせないPBXとは?
PBX(Private Branch Exchange)とは、自社内の電話通信を管理・制御するための通信システムのこと。事業や組織内で使用されるのが一般的で、内部や外部との電話通信を効率的に行うために設計されていることが特徴です。
PBXは、外部の電話網との接続を容易にするシステムのため、架電業務の多いコールセンターにおいて欠かせません。
また、通話の記録や分析も、PBXの得意分野です。
コールセンターには、毎日膨大なデータが集まってきます。PBXによって分析された内容を基に改善を実施することで、コールセンターのパフォーマンス向上やトレンドの把握に役立つでしょう。
従来では、PBXはハードウェアとして提供されてきました。しかし、近年においてはソフトウェアベースのPBXやクラウドPBXが広く普及するようになっています。
オンライン上でPBXを導入できるようになり、効果的かつ効率的な通信を実現が可能になったのです。
PBXと従来のビジネスフォンの違い
PBXと従来のビジネスフォンでは、機能性やインフラ形態において大きく異なります。
機能性における違い
PBXは、内線通話やコール転送、会議通話、自動応答、音声メールといった機能が搭載されています。ソフトウェアベースやクラウドPBXにおいては、容量の拡張やデータ共有を容易に行えるでしょう。
一方で、従来のビジネスフォンは、通話機能に特化しています。システム上で拡張できるPBXとは異なり、内容の更新や変更が必要な場合はハードウェアの交換や追加が必要でした。
こうした機能面において、PBXと従来のビジネスフォンでは明確な違いがあります。
インフラ形態の違い
続いて、インフラ形態の違いです。
PBXは、オンプレミス型だけでなくソフトウェアやクラウド型が普及しています。インターネット経由で利用できるPBXを利用すれば、物理的な設備が必要ありません。遠隔地からもアクセス可能なので、リモートワークにも適しています。
ビジネスフォンは、オンプレミスで導入されることが多く、物理的なハードウェアが必要xです。拡張やアップグレードを行う際はコストがかかることもあるでしょう。
このように、PBXと従来のビジネスフォンは、機能面やインフラ形態で大きく異なることが分かります。
コールセンター向けPBXは3種類
コールセンター向けのPBXは、大きく3種類に分類されます。
- レガシーPBX
- IP-PBX
- クラウドPBX
コールセンター向けPBX1.レガシーPBX
レガシーPBXは、オンプレミスで導入できるPBXのこと。自社内の電話を電話回線でつなげる物理的なハードウェアによって設置されます。
レガシーPBXの特徴は、通話機能に焦点を当てています。そのため、会議通話や音声メールなどの機能が使えません。
ただ、既存の電話回線があれば工事が不要なので、利用人数によってはコストを安く抑えられるメリットがあるでしょう。
コールセンター向けPBX2.IP-PBX
IP-PBXとは、IPネットワークを利用して音声通信を行うPBXのこと。従来のアナログやデジタル回線ではなく、LANやインターネット回線を経由して音声の送受信を行います。
IP-PBXは、通話転送や音声メール、会議通話、自動応答、統計情報の記録といったさまざまな機能が搭載されています。自社の通信効率を向上させ、業務プロセスのサポートに役立つでしょう。
新しい機能の追加や利用人数の増減に対応しやすく、必要に応じてシステムを拡張できます。今後、事業規模を拡大する予定がある企業におすすめです。
コールセンター向けPBX3.クラウドPBX
クラウドPBXは、PBXの機能をクラウド上で利用できるツールのこと。オンプレミス型PBXと異なり、クラウドPBXはインターネット経由で利用でき、ハードウェアやソフトウェアの導入、保守、管理を自社内で行う必要がありません。
クラウドPBXは、通話転送や音声メール、自動応答、効果測定などの機能を多数搭載しています。業務プロセスの効率化につながるでしょう。
コールセンター向けPBXの主な機能
コールセンター向けPBXには、主に以下のような機能が搭載されています。
- 外線での発着信
- 内線同士での発着信
- 電話機やモバイル端末への転送機能
- パーク保留機能
- ダイヤルイン機能
- 代表番号の着信機能
外線での発着信
PBXは、外線での発着信が可能です。
コールセンターでは、外部の相手と通話する機会が多いでしょう。PBXを導入することで、組織や企業は外部の電話ネットワークと通信し、外部の顧客とコミュニケーションを行えます。
また、PBXを利用することで、部署ごとに専用の電話番号を設置できます。相手先の電話にどの部署からかかってきたのかが判別でき、特定の部署からの着信音のみ鳴らすことも可能です。
内線同士での発着信
PBXは、内線同士での発着信も得意です。
同じ組織内の異なる部署や拠点に連絡をとりたい場合、内線番号を使用して通話が可能です。必要に応じて、内線通話の転送ができる点も魅力といえるでしょう。
遠隔地にいるスタッフにも内線通話が可能なので、リモートワークにも有効です。内線通話であれば電話料金がかからあいので、通話コストの削減に寄与するでしょう。
電話機やモバイル端末への転送機能
PBXは、電話機やモバイル端末への転送機能が搭載されています。
たとえば、オフィス外で仕事をしている担当者に電話をつなぎたい場合、担当者のモバイル端末に転送すれば外出先であっても迅速に対応できるでしょう。
PBXは、別のデバイスへの通話転送も可能です。デスクフォンやソフトフォン、モバイルアプリに対応するものが多いため、柔軟に対応ができるでしょう。
パーク保留機能
PBXは、パーク保留と呼ばれる機能が搭載されています。
パーク保留とは、一旦保留した電話を別の電話機で再開できる機能のこと。一旦受けた電話内容に対して、他の担当者に意見を求める場合や必要な情報を取得したい場合があるでしょう。
パーク保留機能を利用することで、保留中の通話を別の電話機で再開できます。
パーク保留の機能は、複数の担当者が協力して問題を解決するために欠かせません。チームコミュニケーションの向上に寄与するといえます。
ダイヤルイン機能
PBXでは、ダイヤルイン機能が利用できます。
ダイヤルインとは、1つの回線に対して複数の電話番号を追加すること。通常、1つの電話回線に対して付与される電話番号は1つのみですが、ダイヤルインを利用することで部署ごとに電話番号を設置できます。
規模の大きな会社の場合、外部からの着信が1つの番号に集中しやすくなり、電話を受けるオペレーターの負担になりかねません。
ダイヤルインを利用することで、顧客や取引先から該当部署につながり、特定のオペレーターの負担軽減や迅速な対応が実現するでしょう。
代表番号の着信機能
PBXには、代表番号への着信があった場合に、すべての電話機で受けられる機能があります。
PBXの種類によっては、あらかじめ設定した条件に従って代表電話の着信環境を切り替えることも可能でしょう。
たとえば「この時間帯だけは代表電話は総務部で着信したい」「この期間はすべての電話をで受けられるようにしたい」と、柔軟にカスタマイズできます。
PBXをコールセンターで導入するメリット5つ
PBXをコールセンターで導入すると、主に以下5つのメリットが得られます。
- 電話業務の効率化につながる
- テレワークに対応できる
- 通話コストの削減につながる
- 初期費用が削減できる
- 人数に応じた利用が可能になる
電話業務の効率化につながる
PBXを導入することで、電話業務の効率化につながります。
PBXでは、内線転送やパーク保留といった豊富な機能が搭載されているため、適切なオペレーターへ迅速な転送が可能です。
さらに、着信時のカスタマイズや発信時に表示する電話番号を変更できるため、通話業務において場所や人を選びません。
発着信における状況を一元管理することで、電話業務の効率化が図れるでしょう。
テレワークに対応できる
PBXを利用することで、テレワークに対応できるようになります。
PBXは、遠隔地やリモートワーカーとの通信を容易にするため、勤務体系に左右されません。
オフィス外からもシームレスにコールセンターに接続されるため、人材配置が容易になるでしょう。
通話コストの削減につながる
通話コストの削減につながることも、PBXを利用するメリットです。
PBXを利用すると、組織内の通話は無料または低コストで行えます。
特に、遠隔地や国際通話が多い組織においては、PBXを利用することで大きな節約が期待できるでしょう。
初期費用が削減できる
初期費用が削減できることも、PBXを利用するメリットといえます。
たとえば、レガシーPBXであれば、既存の回線を継続利用することで工事費用が必要ありません。クラウドタイプのPBXを利用する場合、ハードウェアの導入や設定にかかる初期費用を抑えられる可能性があるでしょう。
企業規模や予算に基づいて、適切なPBXを検討してみてください。
人数に応じた利用が可能になる
PBXは、人数に応じた利用が可能になります。
PBXは、組織の規模や企業の成長に合わせて人数の増減を変更できます。
また、PBXのプロバイダによっては、利用人数に基づいて価格設定をしているところがあります。必要なユーザー数に応じて適切なプランを選択できるため、コストの無駄なく利用できるでしょう。
PBXをコールセンターで導入するならクラウドPBXがおすすめ
コールセンターでPBXの導入を検討している場合は、クラウド型のPBXがおすすめです。
クラウドPBXは、需要に応じたリソースの拡張が可能です。コールセンターの規模拡大による、新しいオペレーターの追加や機能の拡充なども容易に行えるでしょう。
クラウドPBXは、システムのアップデートやメンテナンスを提供会社で実施してくれます。最新の機能やセキュリティ対策を手間なく実施でき、安全な利用環境が得られるでしょう。
コールセンターにぴったりなクラウドPBXの選び方
クラウドPBXをコールセンターに導入する際には、以下7つのポイントを意識して選んでみてください。
- 料金・コスト面が妥当か
- 業務に必要な機能が揃っているか
- 現在の電話番号が引き継げるか
- 通話品質・使用感は良好か
- 回線数・アカウント数に不足がないか
- セキュリティ対策は万全か
- サポート体制が整備されているか
料金・コスト面が妥当か
クラウドPBXを選ぶ際は、料金・コスト面が妥当か吟味しましょう。
クラウドPBXは、基本的に有料です。利用するユーザー数や機能の充実度に応じて、月額料金が変動する傾向があります。
利用する人数や必要機能を考慮して、納得できるツールを選びましょう。
使い勝手に不安な場合は、無料トライアルサービスを利用してみるのも一つの手です。無料トライアルの実施は提供会社によって異なるため、事前に確認してみてください。
業務に必要な機能が揃っているか
必要な機能が搭載されているかも確認してください。
たとえば、内線転送機能やパーク保留機能は、コールセンターでの業務効率化に欠かせません。
複数のデバイスに対応できると、さらに便利でしょう。業務効率化に役立つ機能があるか、目的を達成するために有効なのか確認して選ぶようにしましょう。
現在の電話番号が引き継げるか
既存の電話番号を継続して利用できるか確認しましょう。
クラウドPBXの多くは、電話番号を変えずに引き継ぐことが可能です。 基本的に、市外局番やIP電話、フリーダイヤルをそのまま利用でき、電話番号を変更する必要がありません。
クラウドPBXの引き継ぎは、プロバイダにて行うことが多いです。引き継ぎできる番号であるかどうか事前に問い合わせておきましょう。
通話品質・使用感は良好か
通話品質や使用感も選定基準に入れましょう。
クラウドPBXは、インターネットを経由して通話が行われます。インターネット接続が悪いと、安定した通話ができません。クラウドPBXを使用する場合は、安定したネットワーク環境を確保しましょう。
また、使用感も重要です。操作しやすいシステムなら、ストレスなく業務に集中できる環境を構築できます。
生産性の向上にも寄与しますので、誰でも使いこなせるかどうか確認しましょう。
回線数・アカウント数に不足がないか
回線数やアカウント数など、自社の規模に適したシステムを選ぶようにしましょう。
クラウドPBXは、回線数や利用するユーザー数によって料金形態が異なる場合があります。
システムによっては、企業規模や利用者数に柔軟に対応してくれるところもありますが、事前に把握したうえで適したシステムを選んでください。
セキュリティ対策は万全か
セキュリティ対策が万全か確認しましょう。
コールセンターでは、個人情報や機密情報が扱われることがあります。
セキュリティ対策が徹底されていないと、情報漏洩のリスクが伴い、顧客の信頼を失いかねません。
セキュリティ対策や業界規制に準拠していることを確認し、安全に利用できる環境か判断してください。
サポート体制が整備されているか
サービスプロバイダーの信頼性や、カスタマーサポートの品質も重要です。
サポート体制が整備されていないと、操作感や利用方法が不明な際に業務が滞ってしまい、業務効率が低下しかねません。
24時間365日サポートを受けられるか、問題発生時に迅速に対応してもらえるかを確認しましょう。
コールセンターに最適なクラウドPBXおすすめ5選
コールセンターに最適なクラウドPBXのおすすめサービスは、以下の5つです。
- BIZTEL(ビズテル)
- Omnia LINK
- @nyplace
- MediaOffice
- ClocoクラウドPBX
BIZTEL(ビズテル)
運営会社 | 株式会社リンク |
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主な機能 | 外線発着信 内線発着信 IVR 応対記録 全通話録音 |
料金プラン | 要問い合わせ |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://biztel.jp/ |
BIZTELは、株式会社リンクが提供するクラウドPBXです。
業種を問わずあらゆるコールセンターで利用され、主に在宅ワークに特化した機能が充実しています。
当システムは、オフィス内の電話環境やIVR、モニタリングなど、コールセンターに便利な機能が搭載されています。
1ヶ月単位での契約が可能で、コストを抑えながら利用できるのも強みです。
また、24時間265日のサポート体制が整っているため、安心して利用できるでしょう。
Omnia LINK
運営会社 | ビーウィズ株式会社 |
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主な機能 | 受信/発信 保留/転送/パーク保留 全通話録音 IVR 発信番号通知 |
料金プラン | 初期費用:300,000円~ 基本料金:100,000円~ Omnia LINK使用料:9,000円/席 |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://www.bewith.net/service/omnialink/callcenter/ |
Omnia LINKは、ビーウィズ株式会社が提供するクラウドPBXです。
当システムは、電話の発着信や通話録音、IVR、通話のテキスト化を標準装備しています。コールセンターを効率化するためのさまざまな機能が充実している点が、魅力といえるでしょう。
コールセンターの規模に応じて、機能拡張やアカウント追加が容易にできるため、他のツールを追加で導入する必要がありません。
10席前後のプランから100席以上の大規模センター向けのプランなど、ユーザー数に応じた料金プランを選べる点も特徴です。
@nyplace
運営会社 | 株式会社コラボス |
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主な機能 | 発着信 着信振り分け CMS IVR 通話モニタリング 通話録音 顧客情報管理 |
料金プラン | 要問い合わせ |
無料トライアル | ○ |
公式サイト | https://collabos-service.jp/ |
@nyplace(エニプレイス)は、株式会社コラボスが提供するクラウドPBXです。
電話代行から顧客情報管理、コールセンターの構築から運用までの一連の流れをすべてサポートしています。
当システムの特徴は、世界のコールセンターでもっともシェアされているAVAYAの交換機を採用している点です。信頼性の高いサービスを使えるため、安心して利用できるでしょう。
通話モニタリングや着信時のポップアップ機能といった機能が充実しているため、コールセンターの業務効率化が期待できます。
MediaOffice
運営会社 | メディアリンク株式会社 |
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主な機能 | 内線発着信 外線発着信 着信スケジュール設定 発信者番号通知 ダイヤルイン グループ着信 パーク保留 通話モニタリング CRM連携 |
料金プラン(税込) | 基本使用料:38,500円 1ユーザー利用料:1,100円 100ユーザー利用料:66,000円 その他オプション有り |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://mediaseries.medialink-ml.co.jp/mediaoffice/ |
MediaOfficeは、メディアリンクが提供するクラウドPBXです。
IP-PBXやCTI、レポート作成や通話録音などのコールセンターに欠かせない機能がオールインワンになっています。
当システムは、製品ライセンスを購入することでオペレーター数の増減を自由にカスタマイズできます。
オンプレミスとクラウド型の両方から選べるため、自社のニーズに合わせて利用できる点も魅力といえるでしょう。
ClocoクラウドPBX
運営会社 | Cloco株式会社 |
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主な機能 | Cloco同士の無料通話 保留転送 グループ着信 フロム発着/発着転送 クラウドFAX IVR 通知番号切り替え |
料金プラン(税込) | 1ユニーク※SIP端末(chあり) 初期費用:1,980円 月額費用:1,980円 電話番号:220円〜 |
無料トライアル | ○(無料デモ) |
公式サイト | https://www.clocoinc.com/ |
ClocoクラウドPBXは、Cloco株式会社が提供するクラウドPBXです。
在宅勤務や国内外のオフィスとの無料通話が可能で、パーク保留や転送、グループ着信といった豊富な機能を搭載しています。
料金は「電話番号」「回線」「オプション」の3つから選択でき、1ユニーク1,800円からとリーズナブルに利用できます。
シンプルな操作画面なので、誰でも簡単に使えるでしょう。
まとめ:PBXはコールセンターで導入するならクラウド型を選ぼう
クラウド型のPBXを導入することで、発着信の制御や代表番号着信、内線同士での通話が容易になります。
クラウドPBXを導入するにあたって、コールセンターのニーズに適したシステムを選ぶことが重要です。
自社の環境やビジネス目標に合わせて、業務効率化を図りましょう。