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営業ヒアリングを成功させるコツとは?役立つフレームワークも紹介

営業ヒアリングで顧客の興味や関心を引き出せなければ、成約にはつながりません。営業ヒアリングにはコツがあるので、闇雲に営業をかけても顧客の心はつかめないでしょう。

「トークスキルには自信があるのに営業ヒアリングがうまくいかない……」
「営業ヒアリング力を高めたいがコツが分からない……」

このように思う営業担当者は少なくありません。

そこで本記事では、営業ヒアリングを成功させるコツについて解説します。役立つフレームワークも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

営業ヒアリングとは?

営業ヒアリングとは、最適な提案を行うために顧客の課題を明確化することです。

自社商品やサービスを顧客に売り込む際は、競合との差別化を図る必要があります。

どんなに自社商品やサービスが優れているとアピールしても、顧客が魅力を感じられなければ成約には至りません

そこで、営業ヒアリングにて顧客の課題を導き出し明確化することで、自社商品やサービスを利用するメリットやベネフィットを的確にアピールできます。

営業ヒアリングで競合と差別化を図り顧客の心をつかめれば、成約につながる可能性も高まるでしょう。

営業活動におけるヒアリングの重要性

ヒアリングは、営業活動の初期に行います

営業活動にはいくつかのプロセスがありますが、ヒアリングで得た情報を元に一連の流れを進めていきます。

最初に顧客の課題を把握できなければ、最適な提案はできません。無理に商品やサービスを売り込もうとしても、商談は停滞してしまうでしょう。

営業ヒアリングによって、顧客の潜在ニーズを把握してもらうこともできます。ニーズに自社商品やサービスがマッチしていると理解できれば、成約につながる可能性も高まります

営業活動をスムーズに進めるためにも、営業ヒアリングが重要なのです。

営業ヒアリングの流れ8ステップ

それでは、営業ヒアリングの流れを8つのステップに分けて紹介します。

  1. 事前準備をする
  2. 顧客の基本情報を確認する
  3. アイスブレイク(雑談)で場を和ませる
  4. 課題やニーズを掘り起こす
  5. 顧客が望むゴールを引き出す
  6. 商品・サービスのプレゼンテーションをする
  7. 予算や決裁者・導入時期を確認する
  8. 購買意思を再確認する

事前準備をする

まずは、事前準備として、可能な限り顧客情報を収集します。

事前準備なしにヒアリングに臨んでも、顧客ニーズを正確に把握できないでしょう。顧客ニーズが曖昧なままでは、最適な提案はできません

また、事前準備で得た情報を元に、顧客ニーズを想定した仮説立てをしてください。事前に仮説立てしておけば、質問内容も絞りやすくなりスムーズに商談が進む可能性があります

顧客の基本情報を確認する

次に、顧客の基本情報を確認しましょう。

ここでの確認は、事前に取集した顧客データと、公式サイトなどで確認できる顧客の基本情報を照らし合わせる程度で構いません。

さらに、簡単に答えられるアンケートを用意しておき、商談開始前までにアンケートに回答してもらい、顧客情報を再確認するといった方法もあります。

アイスブレイク(雑談)で場を和ませる

次にアイスブレイクで、場を和ませます。

アイスブレイクは「氷を溶かす」という意味に由来する、場を和ませる目的で利用される手法です。

初めて商談する場合は、双方共に緊張することもあるでしょう。

アイスブレイクで場を和ませることができれば、緊張がほぐれるのでスムーズにコミュニケーションを図れます

課題やニーズを掘り起こす

そして、課題やニーズを掘り起こしていきます。

顧客の課題やニーズを掘り起こす際は、事前に準備した仮説を活用しましょう。

例えば、顧客の課題を「人材不足」と仮説立てした場合、質問が漠然としていると顧客の潜在ニーズをうまく引き出せません。

「人材不足により、社員の負担が大きいとお悩みではありませんか?」
「人材不足を解消するために業務システムの導入を検討してみませんか?」

顧客ニーズを掘り起こす際の質問は、具体性を持たせることも大切です。

顧客が望むゴールを引き出す

次に、顧客が望むゴールを引き出します。

営業ヒアリングにおけるゴールとは、顧客が抱える課題の解決策を提示することです。

先ほどのテーマを例とすると、「社員の負担を軽減するには、自社の代行サービスが適している」と示すことで、顧客にゴールをアピールできます。

顧客にゴールを伝えることで、自社商品やサービスに興味を持ってもらえれば、成約につながる可能性も高まるでしょう。

商品・サービスのプレゼンテーションをする

そして、商品やサービスのプレゼンテーションをします。

顧客が抱える課題の解決に役立つことをアピールするのがポイントです。

自社商品やサービスを利用することで、顧客にどのようなメリットやベネフィットがあるかを伝えましょう。

予算や決裁者・導入時期を確認する

続いて、予算や決済者、導入時期を確認します。

担当者とのヒアリングが好感触でも、担当者が決済者ではない場合はその場で契約できません。

決済者が別にいる場合は、予算や導入時期を含めて上申してもらう必要がありますので、必ず確認してください。

購買意思を再確認する

最後に、購買意欲があるかを再確認します。

決裁権のある担当者とのヒアリングなら、その場で契約まで進むこともあるでしょう。

上申後に改めて商談を行う場合は、購買意欲の確認が欠かせません

購買意欲の確認ができれば、契約する前提で商談を進められるため、成約につながる可能性は高いと考えていいでしょう。

営業ヒアリングシートに盛り込みたい6項目

では次に、営業ヒアリングシートに盛り込みたい項目を6つ紹介します。

  1. 現状の悩み・課題
  2. 自社商品・サービスへの印象・不明点
  3. 希望納期・スケジュール
  4. 予算・希望価格
  5. 意思決定の基準・キーパーソン
  6. 他社サービスとの検討状況

現状の悩み・課題

まず、顧客の現状の悩みと課題を盛り込みましょう。

最適な提案を実現するには、顧客の現状を正確に把握する必要があります。

営業ヒアリングは、顧客が気づいていない潜在ニーズを引き出せることもあるので、正確に把握するためにも現状の悩みと課題は重要な項目です。

自社商品・サービスへの印象・不明点

顧客が、自社商品やサービスにどんな印象を持っているのか、不明点があるのかも盛り込みたい項目です。

もしも顧客が、自社商品やサービスに不信感を持っていれば、成約につなげるのは困難でしょう。そのまま無理に商談を進めれば、不信感が強まる恐れがあります。

顧客が自社商品やサービスに不明な点があった場合は、どうすれば好印象を持ってもらえるか改善策を見いだせます。

顧客に寄り添い商談を進めれば、印象を変えられるかもしれません。

希望納期・スケジュール

希望納期とスケジュールは、必ず盛り込みましょう。

納期やスケジュールが曖昧なまま初段を進めてしまうと、希望納期に間に合わない恐れがあります。

せっかく自社商品やサービスを選んでもらったのに、納期に間に合わなければ企業の信用を失いかねません。

希望納期に間に合わない場合は、早めにスケジュールを伝えておくことが大切です。

予算・希望価格

予算と希望価格も重要な項目です。

顧客の予算感を把握できていれば、最適な商品やプランを提案できます。

希望価格に沿った提案をしてもらえれば、顧客も安心して商談を進められるでしょう。

意思決定の基準・キーパーソン

意思決定の基準やキーパーソンも把握しておきたいので、ヒアリングシートに盛り込んでください。

話をした担当者に意思決定権がない場合は、再度意思決定権のある担当者に営業ヒアリングをやり直さなければなりません

始めから意思決定者の基準やキーパーソンを把握できれば、キーパーソンに伝わるように営業をかけられます

他社サービスとの検討状況

他社サービスとの検討状況も盛り込みましょう。

競合他社がいても、顧客の比較対象を把握できれば、自社の強みを売り込み競合との差別化を図るヒントになります。

また、顧客ニーズを深掘りできれば、今後の商品やサービスの改善にも役立つでしょう。

営業ヒアリングを成功させるためのおさえておきたい3つのポイント

営業ヒアリングを成功させるには、ポイントをおさえて実践することが大切です。おさえておくべきポイントを3つ紹介します。

  1. 顧客の話への傾聴を重要視する
  2. 顧客を主体に話す
  3. 頭でイメージできるように噛み砕いて伝える

顧客の話への傾聴を重要視する

営業ヒアリングでは聞き役に徹するのが重要ですが、ただ話を聞くだけでなく「傾聴」を重要視してください。

傾聴とは、顧客に寄り添い、相手の立場になって共感しながら理解を示すことです。

自分の話しに親身に耳を傾け、共感してくれているとわかれば、顧客に好印象を与えられます。

顧客を主体に話す

営業ヒアリングでは、顧客を主体に話すのが鉄則です。

自社商品やサービスを売り込むのに必死になり、自分ばかりが一方的に話をすれば、顧客に不信感を持たれかねません

商談を進める際は、顧客を主体に話を進めましょう。主語を顧客にするのも有効です。

頭でイメージできるように噛み砕いて伝える

顧客に自社商品やサービスを紹介する際は、頭でイメージしやすいよう噛み砕いて説明してください。

社内用語や専門用語を使うと、顧客は意味を理解できません

商品やサービスを全く知らない人が聞いても理解できるように、わかりやすい言葉に置き換えることが大切です。

具体的なイメージを伝えたいときは、画像や動画を使うといいでしょう。

営業ヒアリングに役立つフレームワーク3選

営業ヒアリングにはフレームワークを活用するのも有効です。役立つフレームワークを3つ紹介します。

  1. BANT情報
  2. SPIN話法
  3. 3C分析

BANT情報

BANT情報は、法人営業でよく使われているフレームワークです。

Budget予算
Authority決裁権
Needs必要性
Timeframe導入時期

営業ヒアリングの後半に欠かせない、予算や決裁権のある人物の把握、顧客にとっての必要性や導入時期の把握に活用できます。

なお、BANT情報は4つの条件が揃わないと成約に至らない可能性があることに留意しましょう。

BANT情報を活用する際は、4つ全てが揃っていることが条件です。

SPIN話法

SPIN話法は4つの質問で構成されており、会話の中に質問として盛り込み活用するのがポイントです。

Situation状況質問
Problem問題質問
Implication示唆質問
Need-payoff解決質問

状況質問は、始めに顧客の課題を明確化するときに盛り込みます。

問題質問では、潜在的な課題を引き出し、示唆質問では課題を顧客に気づいてもらうのが目的です。

解決質問では、課題の解決に向けてどうすべきか質問をして、ベネフィットを提案します。

3C分析

3C分析は、業界での自社の立ち位置の把握や顧客ニーズ、競合の特徴や比較したときの強み・弱みの把握に役立つフレームワークです。

Company自社
Customer顧客
Competitor競合

営業ヒアリングでは、顧客に自社の強みをアピールし、競合との差別化を図りたいときに活用できます。

営業ヒアリング力を高める2つの秘訣

では最後に、営業ヒアリングを高める2つの秘訣を紹介します。

  1. 悩みや疑問に対して仮説を立てる
  2. SFAツール(営業支援システム)を活用する

悩みや疑問に対して仮説を立てる

顧客に質問する際は、悩みや疑問に対して仮説を立てましょう。

仮説を立てずに質問しても、顧客が答えられない可能性があります。

仮説立てするにも事前の情報収集が欠かせません。収集した情報に基づき仮説立てすることで、顧客が答えやすい質問を用意できます。

SFAツール(営業支援システム)を活用する

営業ヒアリング力を高めたいなら、SFAツールを活用しましょう。

SFAツールは、顧客情報収集・分析・管理など、営業活動を支援するツールのことです。

これら全てを手作業で行えば、時間と手間がかかります。

SFAツールを活用すれば、作業を自動化できるので、業務効率の向上にも役立つでしょう。自動化はヒューマンエラーの防止にも役立ちます。

まとめ:営業ヒアリング力を高めて成約獲得につなげよう

営業費ヒアリングは、成約に直結する重要なプロセスです。

営業ヒアリングに失敗すれば、成約率だけでなく、企業の売り上げにも影響を与えかねません。

営業リアリング力を高めるには、フレームワークの活用も有効です。SFAツールの導入より、業務効率の向上も図れます。

本記事で紹介した情報を参考にしながら、営業ヒアリング力を高めて成約獲得につなげてください。

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