SDRとは?営業における役割やメリット・BDRとの違いも徹底解説
昨今、働き方の多様化により、非対面での営業活動であるインサイドセールスの導入が増えてきました。
中でも、顧客からの問い合わせをもとに営業活動を行う「反響型」のSDRのニーズが高まっています。
では、SDRとはどのようなセールス手法なのでしょうか。
そこで本記事では、SDRの役割やメリット、具体的な3つの施策を徹底解説します。
SDRとは反響型のインサイドセールス
SDRとは、sales development representativeの略で、顧客からの問い合わせや資料請求を受けて行う「反響型」のインサイドセールスのこと。顧客からのアクションでセールスを行うため、興味関心が高く成約につながりやすい特徴があります。
SDRの特徴は以下の2点です。
● WebサイトやSNSで情報を発信し問い合わせを促す手法
● 顧客が開始時点で「商品の詳細を知りたい」「購入したい」と前向きであること
こうした特徴から、顧客の興味関心が高まっているうちにスピーディーかつ効率的なアクションが求められます。
SDRの目的は、商談時の成約率向上を主軸とします。顧客の購入意思がもっとも強い段階でフィールドセールスにつなぐため、商談を行う営業担当者の負担を減らせる効果が期待できます。
SDRが持つ3つの役割
SDRが持つ役割は、大きく以下の3つです。
1. 見込み顧客の整理
2. 見込み顧客の育成
3. 見込み顧客の選別
見込み顧客の整理
SDRの役割として、マーケティング部門が集めた見込み顧客の整理があります。見込み顧客を整理することで、ユーザーごとの適切なアプローチ方法を検討できます。
見込み顧客の整理は、以下の項目で行いましょう。
● どの業界の人からの問い合わせか
● 役職・部署
● 企業の所在地
● 想定される活用シーン
● 自社商品・サービスの必要性
なお、見込み顧客の整理は顧客管理(CRM)ツールを活用すると効率的です。
見込み顧客の育成
見込み顧客を商談化につなげるための育成も、SDRの役目です。
見込み顧客の具体的な育成方法は、以下の通りです。
● ヒアリングで顧客のニーズを理解する
● 自社商品・サービスを購入する予算があるかを把握する
● 企業規模を把握する
● 決裁プロセスを理解する
見込み顧客の育成のポイントとして、顧客が自社商品やサービスに温度感の高いうちに行うことです。
顧客整理から育成までスピーディーに進めることで、商談につながる割合は大幅にアップします。
見込み顧客の選別
SDRでは、見込み顧客の選別も役割のひとつです。
SDRで獲得した見込み顧客は業界や職種、必要性などばらつきがあります。そのため、収益獲得につなげるには、商談化率の高い見込み顧客を選別し、優先的にアプローチする必要があります。
SDRで優先すべきターゲットは、以下の通りです。
● 自営業者
● 中小企業
SDRは、購買意欲の高い顧客を比較的温度感のあるタイミングで獲得することを目指します。そのため、意思決定へのプロセスが迅速な自営業者や中小企業を優先しましょう。
SDRを実施するメリット
SDRを実施すると、以下2つのメリットがあります。
1. コミュニケーションコストを削減できる
2. 温度の高い見込み顧客を獲得できる
コミュニケーションコストを削減できる
まず、コミュニケーションコストを削減できます。
従来の営業スタイルは、見込み顧客から反応を得た際に営業担当者が顧客のもとへ出向く対面営業が一般的でした。
一方で、SDRでは非対面での営業活動をベースとするため、顧客へのリアクションから関係構築を進められます。
結果、時間と労力を減らしながら、興味関心が高まったタイミングでフィールドセールスにつなぐ流れが実現します。
温度の高い見込み顧客を獲得できる
温度の高い状態の見込み顧客を獲得できることも、SDRのメリットです。
先述の通り、SDRでは顧客からのアクションをきっかけに営業活動を始めます。つまり、顧客が自社商品やサービスに興味を持っている状態でのセールスが可能なのです。
そのため、なるべく顧客の温度の高いうちにコンタクトをし、課題やニーズをヒアリングするようにしましょう。
SDRとBDRの違い
ここで、SDRとBDRの違いも整理しておきましょう。
BDRとは、Business Development Representativeの略で、新規開拓の営業を行うインサイドセールスのこと。自社からターゲットとなる企業を見つけ積極的にアプローチを行う「アウトバウンド型」の営業スタイルが特徴です。
BDRとSDRでは、主に顧客の規模とマーケティング手法の2点が異なります。
対応する顧客の規模
まず、対応する顧客の規模が異なります。
● BDR:従業員数100名〜4,000名未満の中堅企業から大手企業
● SDR:従業員数500名未満の中小企業から中堅企業
BDRでは能動的なアクションを行うため、1件のターゲットから最大限の成果を得る必要があります。それを実現するために、資本力の高いエンタープライズに絞り込みます。
一方で、SDRは案件数を獲得しやすい中小企業をターゲットとし、幅広い企業へのアプローチを行います。
マーケティング手法
BDRとSDRでは、マーケティング手法も異なります。
● BDR:新規開拓型(アウトバウンド)
● SDR:反響型(インバウンド)
BDRは、電話やメール、展示会やセミナーを通して新規顧客にセールスを行います。一方で、SDRでは反響型といわれるように、見込み顧客からの問い合わせをきっかけにセールスを行います。
BDRについて詳しくはこちらの記事でも解説しています。こちらの記事もあわせてご覧ください。
BDRとは?営業を成功させる5つの施策とポイントを徹底解説!
SDRの具体的な施策3選
それでは、SDRの具体的な3つの施策を紹介します。
1. オウンドメディア運営
2. SNS運用
3. 紙媒体での露出
オウンドメディア運営
オウンドメディアの運営は、見込み顧客との関係構築に有効な施策です。
自社の商品やサービス関連の情報発信を行うことで、狙った顧客の悩み解決から問い合わせまでのアクションにつなげられます。
悩みやニーズをしっかりと満たしたコンテンツなら、顧客満足度も高められるでしょう。安心感を抱いてもらえます。
また、メディアを通してセミナーやイベントの開催を告知することで、顧客との接点作りにも活用できます。
SNS運用
見込み顧客との接点を増やすには、SNS運用も効果的です。
SNSは気軽に発信できるほか、画像や動画で企業の色を出しながらブランディングできます。
ただし、SNSごとに特性や強みは異なるので、使い分けなければいけません。
例えば、画像での発信ならInstagram、情報の拡散性を活かすならTwitter、ショートムービーならTikTokなど、自社のニーズやターゲットに応じたマーケティングが可能です。
紙媒体での露出
紙媒体での露出も有効な施策です。
紙媒体のメリットは、Web上にはない安定性と信頼度がある点です。Webコンテンツが一般化されている中で、紙媒体は差別化やブランディングに効果的です。
また、手元に残る分、記憶に定着しやすいという利点もあります。紙媒体での広告やパンフレットでの露出も行ってみましょう。
SDRを実施するうえでのポイント
SDRを実施するにあたって、以下4つのポイントを抑えましょう。
1. 基本方針を明確化してまとめる
2. 目的に基づいたKPIを設定する
3. 人材配置を見極める
4. システムの導入でアプローチを効率化させる
基本方針を明確化してまとめる
まず、基本方針を明確にしておくことが重要です。
SDRは、従来の対面型の営業スタイルとは異なるため対象となる顧客の属性も変化します。
基本方針を策定し、適切な対応を行えるように体制を整えましょう。
目的に基づいたKPIを設定する
目的に基づいたKPIの設定もしてください。
KPIとは、目標達成度を評価する指標のこと。SDRでは、見込み顧客を育成し、優良顧客になってもらうことを目的とします。
見込み顧客数や商談件数を確認し、自社の規模に最適なKPIを設定しましょう。
人材配置を見極める
SDRを稼働させるには、人材の配置を見極めることがポイントです。
主に、以下のような人材が最適です。
● 新しいことへ意欲的に取り組める人
● 主体性が高い人
● アイディアをプロセス化することが得意な人
上記に加え、フィールドセールス経験者であるとさらなる効果が期待できます。
システムの導入でアプローチを効率化させる
SDRを効率よく進めるには、システムを導入しましょう。
システムを導入することで、営業活動における非効率な作業を減らしてコア業務に専念できます。特にSDRは、リードが増えるほど対応件数も増加し、顧客管理や日程調整が過密になる傾向があります。
システムを導入し、作業の効率化・自動化を図りましょう。
SDRで活用すべきITツール
SDRを成功させるにはITツールの導入が欠かせません。そこで最後に、 SDRで活用すべきITツールをまとめました。
1. SFAツール
2. CRMツール
3. MAツール
4. 日程調整ツール
SFAツール
SFAは、SDRを行ううえでもっとも活用したいツールです。
SFAの特徴は、商談管理や見積管理など、営業プロセス全般を効率化・自動化する機能が豊富なことです。SDRを行ううえで、マーケティングで集めた見込み顧客を商談へつなげるアプローチが欠かせません。
SFAツールを活用すれば、商談に必要な情報を整理できるほか、営業担当者のアポイント調整まで行えます。
CRMツール
顧客管理に特化したツールなら、CRMツールを活用しましょう。
CRMツールでできることは、顧客の基本情報や購入履歴、問い合わせ内容などの顧客情報の一元管理です。各顧客の情報をリアルタイムでモニタリングする機能も活用できます。
SDRを成功させるには、見込み顧客の情報の正確な管理が欠かせません。CRMツールを活用すれば、顧客の属性や行動パターンまで把握できるため、営業活動の大きな助けとなるでしょう。
CRMツールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
顧客管理ツール(CRM)のおすすめ10選を比較!無料ツールも紹介
MAツール
MAツールとは、新規顧客へのマーケティング活動を可視化・自動化させるツールのこと。見込み顧客の商談化率を高める際に有効です。
MAツールには、アクセスログから自社商品やサービスと親和性の高いホットリードを抽出する機能が搭載されています。また、見込み顧客ごとの仮説を立てたうえでアプローチ方法を見出すことも可能です。
SDRを成功させるには、見込み顧客の優先順位や行動ログの把握がポイントとなるため、MAツールの活用は有効といえるでしょう。
日程調整ツール
日程調整ツールもSDRを行ううえで活躍するツールです。
日程調整ツールの強みは、会議や打ち合わせといったスケジュール調整を自動化できること。主に、日程候補のリストアップから予定登録、オンライン会議のURL自動発行も手軽に行えます。
SDRは、顧客の興味関心の熱量が高いうちのコンタクトが求められます。
日程調整ツールを活用することで、スケジュールの調整ミスや予定忘れと言ったヒューマンエラーを防ぎ、営業活動の効率化が期待できるでしょう。
日程調整ツールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
日程調整ツールのおすすめ10選!業務効率化するツールの選び方も紹介
SDRの実施でコストを削減しながら
見込み顧客獲得を目指そう
SDRは、顧客からのアクションをもとに案件獲得を目指すインサイドセールスの一つです。
SDRの成果を最大にするには、明確な基本方針と最適なKPI、最適な人材配置が鍵となります。また、自社の状況に合ったシステムの導入も有効です。
SDRの実施で、より多くの関心度が高い見込み顧客の獲得を目指しましょう。