BDRとは?営業を成功させる5つの施策とポイントを徹底解説!
BDRとは、自社から新規開拓のターゲットに戦略的にアプローチをするアウトバウンド型のインサイドセールスのことです。ピンポイントでターゲットにリーチし、案件獲得した際は収益の安定化を図ります。
しかし、セールスのポイントをおさえておかなければ、効果的なアプローチはできません。
そこで本記事では、BDRの基礎知識から成功させる5つの施策とポイントを解説します。
BDRとは新規開拓を目指すインサイドセールス手法のこと
BDRとは、Business Development Representativeの略で、顧客へ戦略的にアプローチをするアウトバウンド型インサイドセールスのこと。主に自社から新規顧客に向けて行います。
一般的に、セールスは以下の2種類に分類されます。
● フィールドセールス:見込み客を探して訪問し商品やサービスを販売するもの
● インサイドセールス:DM送信や電話などを活用した非対面でアプローチするもの
従来のテレアポや飛び込み営業といったアウトバウンド手法では、人的負担が大きく限界がありました。そこでBDRは、効率よくアプローチできる手法として注目されています。
メインターゲットはエンタープライズ企業
BDRは、中堅企業から大手企業のエンタープライズ企業をターゲットとした営業活動を行います。具体的には従業員数100〜500未満の中堅企業、500〜4,000未満の大手企業が対象です。
エンタープライズ企業は、収益が安定していることから、新規開拓が成功した際はハイリターンが期待できるでしょう。得られる成果が大きい分、商談が成立する難易度も高いため戦略的に営業活動を行う必要があります。
近年、エンタープライズ企業への営業活動に注目が集まり、BDRの重要性が再認識されています。
BDRが重要視される理由・背景
BDRが重要視される背景として、以下の3つがあります。
● インターネットの普及
● SaaS市場が急激に成長している
● 大手企業と取引することで継続的な収益確保につながる
まず、インターネットの普及とSaaSの市場規模の拡大です。
SaaS(Software as a Service)とは、サーバー側で稼働するソフトウェアを利用者がインターネットを介して利用するサービス形態のこと。代表例には、クラウド型のビジネスチャットやWeb会議システムやSFA、CRMツールなどが挙げられます。
働き方改革によるリモートワークの普及によって、クラウドサービスの需要は高まり、SaaS市場は急速な発展を遂げました。
SaaS市場で成功するには、収益が安定していて長期契約を見込めるエンタープライズ企業にアプローチをする必要があります。先述の通り、大手企業との取引を獲得することで継続的な収益確保につながるからです。
現在の日本市場はエンタープライズ企業が約半数を占めています。仮に取引先が少なくてもエンタープライズ企業と取引を開始すれば、十分な収益が見込めるでしょう。
こうした背景から、エンタープライズ企業をターゲットにしたBDRに注目が集まっています。
BDRとSDRとの2つの違い
BDRを理解するうえで、SDRとの違いについても理解しておきましょう。
SDRとは、Sales Development Representativeの略で、見込み顧客を育て顧客になってもらう「反響型」のインサイドセールス手法を指します。
BDRとSDRの主な違いは以下の2つです。
1. ターゲット顧客の規模
2. アプローチ方法
ターゲット顧客の規模
BDRとSDRは、ターゲット顧客の規模が異なります。
中堅から大手企業をターゲットとするBDRに対し、SDRでは従業員数500未満の中小企業から中堅企業をメインとします。
それぞれ中堅企業がターゲットに含まれる点では重複しますが、自社商品をアピールしやすい方をBDRで担当することが一般的です。
アプローチ方法
BDRとSDRは、アプローチ方法も異なります。
自社から積極的に新規顧客にアプローチをかけるBDRに対し、SDRではオウンドメディアやSNSを通して見込み顧客からの問い合わせを図る受動型の営業活動がメインです。
BDRとSDRの主な違いは、以下の通りです。
BDR | SDR | |
ターゲット顧客の規模 | 中堅企業から大手企業 | 中小企業から中堅企業 |
アプローチ方法 | DMやセミナーなど積極的なアプローチを図るアウトバウンド型 | オウンドメディアやSNSを活用して興味関心を寄せるインバウンド型 |
それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けましょう。
なお、SDRの施策に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
SDRとは?営業における役割やメリット・BDRとの違いも徹底解説
BDRの具体的な施策6選
それでは、BDRの具体的な6つの施策を紹介します。
1. MAツールの活用で高品質コンテンツを配信する
2. 説明会や展示会で名刺交換する
3. キーマンとの1on1コミュニケーションに臨む
4. 未契約部門や他商材の商談機会を創出する
5. ダイレクトメール(DM)を郵送する
6. SNSチャネルを活用する
MAツールの活用で高品質コンテンツを配信する
BDRの代表的な手法として、MAツールを活用した高品質なコンテンツ配信があります。
MAツールとは、マーケティング活動を可視化するツールのこと。MAツールを使用することで、見込み客の獲得から顧客管理・育成といったマーケティングに関する作業を効率化します。
BDRがターゲットとするエンタープライズ企業にアプローチをするには、顧客の優先順位をつけて最適なタイミングでマーケティングを行うことが重要です。
MAツールを活用すれば、アナログでは対応しきれないデータを統合・分析を行えるため、良質なコンテンツ配信が可能になります。
説明会や展示会で名刺交換する
説明会や展示会といったオフラインイベントで名刺交換をし、顧客接点を増やすことも有効です。
特に展示会は多くの企業が参加するため、自社の商品やサービスを知ってもらえる絶好の機会です。積極的に名刺交換をし、新たなリード創出を目指しましょう。
キーマンとの1on1コミュニケーションに臨む
BDRでは、キーマンとの1on1コミュニケーションも重要な施策です。
キーマンとは、組織や団体において意思決定を行う重要人物のこと。例えば、営業活動においては「商談成立の決定権をもっている人物」を指します。
キーマンとコミュニケーションに臨むことで、商談につながる確率が高まります。
キーマンの見極め方は、以下の3点を参考にしてください。
● 商談中に決定権が誰にあるか確認する
● 会社規模で見極める(従業員200名未満なら代表、200名以上なら部長や役員)
● 組織構造から絞り込む(組織図をもとに部署の把握と決定権がどこにあるか確認)
キーマンとの接点をつかんで、商談につなげましょう。
未契約部門や他商材の商談機会を創出する
未契約部門や多商材の商談機会も作りましょう。
エンタープライズ企業は、部署数が多く導入するシステムの種類も豊富です。そのため、自社とすでに関係を構築している担当者や部署も存在するでしょう。
そのような場合は、未契約部門の商談を取り次いでもらうなどして他商材の商談機会を図っていきましょう。
ダイレクトメール(DM)を送付する
DM送付でのアプローチもBDRの代表的な施策の一つです。
新規開拓のエンタープライズ企業にDMを送る場合は、ターゲットやキーマンの属性に合わせるよう意識しましょう。DMの送信により、送付理由や商談を行うメリットを伝えられます。
ただし、DMのフォーマットでは広告と判断され開封してもらえないケースも少なくありません。その場合は「私信風メール」として送付することがポイントです。
私信風メールとは、受信者の名前を本文に差し込むなど受け取った側が「自分ごと」として内容を受け取れるよう配信できるメールのことです。
DMの送り方を工夫しながら、ターゲットへアプローチを行いましょう。
SNSチャネルを活用する
SNSチャネルの活用も有効です。
Instagramであれば画像や動画を通した商品紹介、Twitterでは音声を使ったリアルタイムでの会話やリツイートによるコミュニケーションが可能です。
自社の活動内容を詳しく発信したい場合は、Facebookを活用するのも一つの手でしょう。
SNSの特性やユーザー層に合わせて、自社の情報発信もしてみてください。
BDRで成果を上げるABM戦略
BDRで成果を挙げるには、ABM戦略が欠かせません。
そもそも、ABMとはAccount Based Marketingの略で、主にBtoBにおけるマーケティング手法のひとつです。主に、売上が最大化する企業を絞り込み、ターゲットの解像度を上げながら複数の部門が連携して最適な施策でアプローチします。
従来のマーケティングでは特定の業種や職種に対してアプローチを行ってきました。しかしABM戦略では「企業全体」を顧客と捉え、企業単位で最適なアプローチを行います。
また、優良企業を絞り込むABM戦略と、中堅〜大企業をターゲットとするBDRとの親和性が高いです。
従って、中堅企業や大手企業をターゲットとするBDRで成果を上げるには、ABM戦略への理解が欠かせません。
BDRを成功に導くABM戦略のポイント4つ
では、BDRを成功に導くABM戦略のポイントは、以下の4つです。
1. ターゲット企業の決裁フローと組織図を把握する
2. LTVの高い顧客セグメントを分析する
3. 適切なKPIを設定する
4. One to Oneキャンペーンを実施する
ターゲット企業の決裁フローと組織図を把握する
まずABM戦略で重要なのは、ターゲット企業の決裁フローと組織図の把握です。
前述したとおり、ターゲットへ戦略的にアプローチをするには、決裁や承認の権限を持つキーマンとのコミュニケーションが欠かせません。
特に、エンタープライズ企業は、部署が多く決裁までのステップが複雑です。そのため、最短ルートで商談に進めるように組織図を把握しておきましょう。
LTVの高い顧客セグメントを分析する
ABM戦略を進めるうえで、LTVの高い顧客セグメントの分析が重要です。
LTVとは、顧客生涯価値のこと。一人の顧客が自社とのビジネス開始から終了までにもたらす金銭的価値を評価した指標です。
ABM戦略では、LTVが最大となるターゲットに集中してアプローチします。
できるだけ多くの顧客のLTVを最大化させるためには、顧客の特性をつかみ適切なアプローチ方法を分析してください。
適切なKPIを設定する
適切なKPIを設置し、進捗状況を数値化して計測できるようにしましょう。
BDRを成功に導くKPIの種類は、以下の通りです。
● メール開封率
● 架電数
● 商談数・商談化率
● 受注金額
BDRにおいてKPIを設置する際は、質と量のバランスに注目する必要があります。
活動量に対する商談件数、商談件数に対する受注率という質と量を同時に着目することで、目標達成に近づきます。
One to Oneキャンペーンを実施する
ターゲットとのOne to Oneキャンペーンも実施しましょう。
One to Oneキャンペーンとは、顧客一人ひとりに合わせたマーケティングのこと。どのユーザーに対しても画一的な施策ではなく、顧客ごとに適したマーケティングを実行します。
One to Oneキャンペーンの代表的な手法には、以下の3つが挙げられます。
● リターゲティング広告:過去にサイトへ訪問した閲覧者に、他サイト上で配信する広告
● レコメンデーション:顧客の購入履歴をもとに、興味関心の高い製品をサイト上で提示
● DM送付:顧客の興味関心の高そうな情報をDMで直接配信
顧客と1対1で向き合い、顧客が抱える悩みやニーズを引き出すことで顧客ロイヤリティが高まり、継続的な取引が見込めます。
BDRを成功に導くツール
BDRを効率的に進めるには、ITツールの活用が不可欠です。
BDRを成功に導くツールを以下にまとめました。
ツール | 特徴 | 機能 |
---|---|---|
MAツール | 顧客情報を一元管理 見込客の分析から育成まで行う | 見込み客の情報を一元管理と育成 スコアリングシナリオ作成 メール配信 分析レポート コンテンツ管理 |
SFAツール | 案件管理や顧客管理など営業活動全般の作業を効率化・自動化する | 商談情報管理 案件管理 顧客情報の管理 予実管理 営業行動の可視化 |
CRMツール | 顧客情報や顧客の購入履歴、問い合わせ履歴やアンケート結果など顧客情報を一元管理する | バスケット分析 アプローチタイミング分析 LTV計測 問い合わせフォーム生成 |
オンライン商談 ツール | オンライン上で商談を行う | オンライン上での商談 オンライン名刺交換 トークスクリプト表示 資料共有 チャット |
名刺管理ツール | 名刺をスキャナーやカメラを使用してデータとして取り込み、一元化する | 名刺のデータ化 自動読み込み機能 自動名寄せ 名刺検索 接点管理 |
おすすめのツールを知りたい方は、各ツールからご覧ください。
BDRの施策を成功させて収益の安定化を図ろう
SaaS市場の急速な拡大により、BDRは今後もますます重要となる手法です。
エンタープライズ企業をターゲットとするため時間と労力を要しますが、案件を獲得すれば収益の安定化が期待できます。
また、BDRを効率的に進めるにはITツールの活用が欠かせません。ツールを活用しながら最適なタイミングでマーケティングを行いましょう。