AIで営業職はなくなる?活用する5つのメリットや方法・事例を解説
目覚ましい進化を遂げるAI技術は、人々の生活のみならずビジネスシーンにおいても業務効率化や生産性の向上など、さまざまなメリットを与えています。
近年、多くの企業でもAI技術を導入する傾向がある反面、AI技術の進化により「営業職がなくなる」との声が聞かれるのも事実です。
営業活動にAIの導入を検討するにあたって、不安や疑問を抱えている方もいるでしょう。
そこで本記事では、AIで営業職がなくなるのかについて解説します。メリットや導入方法、事例も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
AIの導入で営業職はなくなる ?
結論から述べると、AIを導入しても営業職がなくなる可能性は低いと考えられます。
たしかに、AIの導入で得られるメリットは多いものの、営業活動の全てをAIが対応できるわけではないからです。
たとえば、AIには高い学習能力がありますが、人の感情までは理解できません。
営業活動においては、顧客の感情を汲み取ったり働きかけたりといった、感情のコントロールが必要になるケースがあります。こうしたケースでは、人(営業担当者)による対応が必要です。
AIが人の感情に関わる業務に対応できない以上、営業職がなくなることはないでしょう。
AIを営業に活用する5つのメリット
AIを営業に活用するとどのようなメリットがあるのか、ここでは5つのメリットを紹介します。
- 人にしかできない業務に注力できる
- 営業活動の効率化につながる
- データドリブン営業によりパフォーマンスが向上する
- 業務を標準化できる
- 顧客エンゲージメントの強化につながる
人にしかできない業務に注力できる
まず、人にしかできない業務に注力できることが挙げられます。
営業職は、顧客対応の他にも、顧客情報の管理や資料作成などの事務作業にも対応しなければなりません。
株式会社セールスフォース・ジャパンのレポートでは、営業担当者が実際の営業活動に費やせる時間は28%程度と発表しているように、非常に少ないことがわかります。
そこで、営業にAIを導入すれば、事務作業をAIに代替えが可能です。営業担当者は人にしかできない業務に注力できるため、生産性の向上が見込めます。
営業活動の効率化につながる
そして、営業活動の効率化につながるのもメリットです。
- 目標設定
- スケジュール管理
- アポイント調整
- 顧客への対応(メール返信)
- 提案書作成
- 進捗状況の確認
- 日報作成
このようなルーティン業務は、プロジェクトごとに行わなければなりません。さらに、商談なども加わるため、業務量が多く煩雑化しやすいという課題があります。
こうしたルーティン業務をAIに代替えすれば、業務効率化を図れるので営業の質も向上するでしょう。
データドリブン営業によりパフォーマンスが向上する
データドリブン営業により、パフォーマンスが向上するといったメリットもあります。
インターネットの普及に伴う消費者行動の変化により、経験や勘に頼った意思決定が困難になっています。
顧客ニーズを正確に把握するには、より多くの情報が必要になるためSFAやCRMといったツールの活用が必要不可欠です。
しかし、膨大なデータを収集・分析しても、その結果を営業に反映できなければ意味がありません。
そこで、AIを導入すれば、データドリブン営業により顧客ニーズを正確に把握できます。さらに、ターゲティング精度の向上により、営業予測も立てやすくなるでしょう。
業務を標準化できる
営業職は、担当者に依存する傾向があるため、属人化しやすいという課題があります
さらに、商談内容について営業担当者から上司に報告する際に、主観が入ると正確に評価できないのも懸念点です。
そこで、商談内容を録音してAIに解析させデータ化すれば、営業活動を見える化できる他にも、客観的かつ定量的に分析できます。
さらに、データを営業活動の振り返りに活用して社内で共有すれば、業務を標準化できます。その結果、営業品質も向上するでしょう。
顧客エンゲージメントの強化につながる
どんなに優れた商品やサービスでも、顧客ニーズにマッチしていなければ、顧客からの信頼は得られません。
AIによりデータドリブン営業が可能になれば、膨大なデータを迅速かつリアルタイムで処理できます。
顧客ニーズを正確に把握して、ベストなタイミングで解決策を提案すれば、顧客エンゲージメントの強化につながります。
AIを営業に活用する際の注意点
AIを営業に活用する際は、以下に紹介する5つの注意点への理解が必要です。
- 導入コストがかかる
- 運用や保守の担当者を確保する必要がある
- 分析結果が正確ではない場合がある
- プライバシーやセキュリティに配慮しなければならない
- 人の対応が必要になる場合がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
導入コストがかかる
まず、AIの導入にはコストがかかることに留意しましょう。
目的や種類によってコストは変わりますが、初期費用・ランニングコストの他にも、人材教育費用などもかかります。
AIの種類 | 費用相場 |
---|---|
AIの種類費用相場 | 50万円~1,000万円 |
生成AI | 300万円~3,000万円 |
画像認識システム | 300万円~3,000万円 |
予測分析 | 500万円~5,000万円 |
上記は目安ですが、精度と比例して費用も高くなる傾向があります。
運用や保守の担当者を確保する必要がある
AIを活用するには、運用や保守の担当者が必要です。
AIには定期的なメンテナンスが必要なため、保守には専門的な知識を持つ人材が欠かせません。担当者は、日々の監視や管理も行います。
また、問題が発生した場合には、原因に応じて適切に対処できる人材も必要です。
もし、運用や保守の担当者を確保できない場合は、代行サービスを検討するといいでしょう。
分析結果が正確ではない場合がある
AIの精度は、使用するデータによって変わります。
- データの質が悪い
- データ量が少ない
- 古いデータを使用している
このようなケースでは、分析結果が正確ではない場合があります。
分析精度を高めるには、データの質や量の他にも、最新のデータであるかを確認してください。
プライバシーやセキュリティに配慮しなければならない
AIに学習させるデータには、個人情報や機密情報が含まれているケースもあります。
もし、情報が流出すれば、起業の信頼を損なうだけでなく、法的問題に発展する恐れがあります。
AIの学習に必要なデータであっても、プライバシーやセキュリティへの配慮は欠かせません。
顧客情報を利用する際は、情報をどのように利用しているのか顧客に開示する必要があることも留意しましょう。
大切な情報を扱う以上は、営業担当者がAIリテラシーを身につけることも大切です。
人の対応が必要になる場合がある
営業プロセスには、AIによる代替えが可能なものと、代替え不可能なものがあります。
たとえば、顧客からの複雑な質問やクレームは、AIでの対応が困難です。
また、顧客によっては、完全に自動化されることで、人間性が感じられないと不安にさせることもあるでしょう。
顧客の要望によっては、人の対応が必要になる場合があります。
営業の具体的なAI活用方法8つ
では次に、営業においてAIを活用できる具体的な方法を紹介します。
- 営業資料の作成
- 営業報告書の作成
- 営業トークスクリプトの作成
- 商談や打ち合わせの議事録・レポート作成
- メール文の作成
- AIチャットボットの導入
- 市場調査・予測
- 顧客分析
営業資料の作成
営業資料は、顧客に自社を知ってもらい関係性を構築するために必要です。
- 会社紹介
- 自社商材に関する資料
- 提案書
- 顧客別案件資料
- 商材比較資料
- 導入事例
- サポートに関する内容
会社によって呼び方が違うものもありますが、これらを作成するには時間がかかります。
AIに代替えすれば、業務効率化につながり担当者の業務負担を軽減できます。
営業報告書の作成
営業報告書は、営業活動内容を報告するために毎日作成しなければなりません。
- 訪問先
- 取引先の担当者名
- 訪問日時
- 訪問目的
- 商談内容
- 商談で決定したこと
- 次回の行動予定
テンプレートを作成すればスムーズですが、わかりやすく書く必要があるため時間がかかることも少なくありません。
そこでAIを活用すれば、自動で報告書を作成できます。
営業トークスクリプトの作成
トークスクリプトは、商談で話す内容をまとめた台本のようなものです。
- 挨拶
- 導入
- 本題
- クロージング
トークスクリプトの作成には、ペルソナ設定や、顧客に合わせて複数パターン用意するなど手間がかかります。
AIを活用すれば、瞬時に作成できるだけでなく改善の提案も自動化できます。
商談や打ち合わせの議事録・レポート作成
商談議事録やレポートは、営業管理者が進捗状況を確認するために必要であり、商談ごとに作成します。
- 商談の基本事項
- 商談で決定した内容
- 議論事項
- 検討事項
- 次回の商談日時
商談議事録は、24時間以内に提出するのが一般的ですが、AIを活用すればスムーズです。
メール文の作成
メール文の作成にもAIを活用できます。
ChatGPTを活用すれば、営業メールにも対応が可能です。
AIなら件名と本文を作成できるだけでなく、自分で作成したメール文のチェックや校正にも活用できます。
AIチャットボットの導入
AIチャットボットの活用により、多くのメリットを得られます。
- 24時間365日対応できる
- 即座に対応できる
- 多くの顧客に対応できる
- 情報を蓄積できる
AIチャットボットは、営業時間外でも即座に対応できます。深夜や早朝、休業日の問い合わせへの対応が可能です。
人手不足でも多くの顧客に対応できるうえに、それぞれで得た情報を蓄積できます。情報を活用して課題を見出し改善できれば、顧客満足度の向上につながるでしょう。
市場調査・予測
AIは、市場調査や予測にも活用できます。
確度の高い見込み顧客を獲得するには、市場のトレンドやニーズを正確に把握しなければなりません。
そこでAIを活用すれば、効率よく市場調査ができます。さらに、過去のデータから、将来的なトレンドの予測なども可能です。
顧客分析
膨大な顧客データを人の手で分析するには、時間と手間がかかります。
そこで、AIを活用すれば効率よく顧客に関するあらゆる情報を分析できます。
さらに、Webコンテンツのアクセス数を時間帯別に分析したり、季節による売上の変化など、顧客行動を細かく分析したりすることも可能です。
顧客行動を深く理解できれば、分析精度の向上にもつながります。
AIを営業に活用した成功事例6選
では次に、AIを営業に活用した成功事例を6つ紹介します。
- 株式会社大塚商会
- 日本生命保険相互会社
- みずほ銀行
- 星野リゾート
- 株式会社桧家ホールディングス
- 横浜銀行
株式会社大塚商会
株式会社大塚商会は、営業活動の効率化を目的として「AI分析サービス」を導入しています。
AIによって、20年以上にわたり蓄積したビッグデータを分析して、商談につながる特徴を自動的に抽出しました。
その結果、6ヶ月で7万件以上の商談提案を実現し、さらに商談数が3倍に増え生産性が向上するなど、営業力の強化に成功しています。
日本生命保険相互会社
日本生命保険相互会社は、成約率の向上を目的としてAIシステムを導入しています。
AIシステムの導入により、ロールプレイングを職員が使用する営業用の端末で手軽に実施できるようになりました。AIが表情や仕草を判定して、課題と提案をメッセージとして配信する仕組みです。
これにより、営業経験に乏しい社員でも適切な提案ができるようになり、営業力の底上げと標準化を実現しています。
みずほ銀行
みずほ銀行では、営業力の強化を目的としてAIを導入しています。
AIが、顧客先への訪問回数やパソコンの操作時間など、各営業担当者の行動履歴を分析します。
各営業担当者の行動履歴は、名札型のウエアラブルセンサーにより収集して、分析される仕組みです。
分析結果からKPIに関連した行動を特定することで、営業力の強化に向けて活用が可能になりました。
星野リゾート
星野リゾートでは、AIを搭載したクラウド型の顧客管理システムを導入しています。
これまで現場では、エクセルで顧客情報を管理しており、リアルタイムで情報を更新できないことや、社内での情報共有がスムーズに行かないなどの課題を抱えていました。
AI機能を搭載したシステムにより、リアルタイムでの情報更新や、スムーズな情報共有が可能になっています。
さらに、営業プロセスの最適化や、50%のキャンセル率減にも成功しています。
株式会社桧家ホールディングス
株式会社桧家ホールディングスでは、AIチャットボット「ひのくまコンシェルジュ」を導入しています。ひのくまコンシェルジュは、ビジネス版LINEで利用できるため、顧客がLINEを通して気軽に質問できるのが強みです。
AIチャットボットを導入したのは、経験に乏しい営業担当者でも素早く提案ができるようにという目的がありました。
結果として、AIチャットボットを利用していない担当者より、使用した担当者では受注数に1.5倍の差が生じたようです。
横浜銀行
横浜銀行は他社と共同で、AIを搭載した、営業応接記録チェックシステムを開発しています。
営業応接記録チェックシステムは、営業担当者と顧客のやり取りをAIが一時チェックする仕組みです。
これまで一時チェックは管理者が行っていましたが、AIシステムにより管理者の業務負担を軽減して、業務効率化を実現。さらに、AIにより、チェック品質の向上にもつながっています。
AIを活用したテレアポ営業代行ならディグロス
見込み顧客の獲得率を高めるには、テレアポも有効な手法です。
しかし、人手不足やノウハウ不足で、テレアポの人材を確保できないこともあるでしょう。
株式会社ディグロスでは、AIを活用したテレアポ営業代行サービスを提供しています。
最先端のAI技術により、コールから受付通話までを完全自動化。重要な通話だけをAIが選別して担当者につなげるので、業務効率化を図れます。
AIを活用した営業代行サービスを検討中の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ:AIを活用して営業の質や生産性を高めよう
進化が目覚ましいAI技術は、営業活動にも活用が可能です。
業務量が多く煩雑化しやすいため、残業が多くなったり属人化しやすかったりという課題にも、AIが活躍してくれるでしょう。
導入コストや専門的な人材の確保が必要といった課題もありますが、得られるメリットが多ければ導入する価値はあります。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、AIを活用して営業の質や生産性を高めてください。