インサイドセールスの将来性は?必要なスキルやキャリアパスについて解説
電話やメールなどを活用しながら、非対面で行うインサイドセールス。顧客先への移動が不要なため、業務効率化や人手不足を解消できるといったメリットがあります。
多様な働き方にも対応できることから、多くの企業で導入されています。しかし、変化が著しいビジネス環境において、インサイドセールスの将来性に不安を覚える方もいるでしょう。
そこで本記事では、インサイドセールスの将来性について解説します。必要なスキルやキャリアパスも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
インサイドセールスの将来性を見る前に確認したい現状の導入率
そもそも、インサイドセールスは1990年代にアメリカで発祥した営業手法です。
日本では、2000年代に入り外資系企業が導入していますが、コロナ禍により対面営業が制限されたことを契機に、多くの企業で導入されるようになりました。
2020年にHubSpot Japan株式会社が発表した調査結果※によると、インサイドセールスの国内導入率は36.4%です。(内46.9%の企業が直近1年以内に導入)
2019年の調査結果では国内導入率が11.6%だったことと比較すると、1年で国内導入率は3倍以上増えていることがわかります。
※2020年12月3日〜2020年12月6日
インサイドセールスの将来性が高い5つの理由
では次に、インサイドセールスの将来性が高いと考えられる5つの理由を紹介します。
- 営業活動の効率化を図れる
- 人手不足の課題を解消できる
- 多様な働き方に対応できる
- サブスクリプションモデルと相性が良い
- 顧客データを蓄積して活用できる
営業活動の効率化を図れる
顧客先に出向く訪問営業では、移動時間がかかるため1日に対応できる件数が限られます。遠方の顧客は往復に多くの時間を取られるため、1日に1件しか対応できないケースも少なくありません。
インサイドセールスは、電話・メール・Web会議ツールなどを活用した内勤型営業のため、移動にかかる時間を業務に充てられます。
短時間で多くの見込み顧客にアプローチできるようになれば、生産性が向上するだけでなく、商談機会の創出も増やせるでしょう。
人手不足の課題を解消できる
顧客先への移動が不要になるインサイドセールスでは、担当者1人あたりが対応できる顧客数を増やせます。
少人数でも多くの見込み顧客にアプローチできるので、リソースの最大化や採用にかかるコスト削減も可能です。
慢性的な人手不足の課題を抱える企業にとっては、大きなメリットになるでしょう。
多様な働き方に対応できる
インサイドセールスは、電話やメール・Web会議ツールなどのオンラインツールで、アプローチから商談機会の創出までを完結できます。
顧客先に出向く必要がないため、オフィス以外のリモートワークにも対応が可能です。やむを得ない事情で出社が困難なスタッフも、インサイドセールスならライフスタイルに合わせて働き方を選べます。
多様な働き方に対応できるようになれば、企業も採用の選択肢を増やせるでしょう。
サブスクリプションモデルと相性が良い
近年急速に普及している、サブスクリプションモデルと相性が良いのも理由です。
利用者のメリット | 企業のメリット |
初期費用をおさえられる 定額制なので加入へのハードルが低い 飽きたらいつでも解約できる | 継続的な利益を得られる 新規顧客を獲得しやすい 蓄積したデータをサービス改善に活用できる |
サブスクリプションモデルは利用者にも企業側にもメリットがあり、市場は今後も拡大していくと予想されています。
サブスクリプションモデルの市場拡大に伴い、インサイドセールスの将来性も期待できるでしょう。
顧客データを蓄積して活用できる
インサイドセールスでは、Web会議ツールの他にも、CRM・MA・SFAといったさまざまなツールを活用します。
ツールには活動ログが残るため、顧客データを蓄積して戦略の立案や効果検証・改善などに活用できます。
さらに、データに基づき客観的な判断が可能になれば、顧客に合わせた個別対応なども可能です。
顧客の課題に合わせて最適な提案ができれば、顧客満足度が向上して成果にもつながりやすくなるでしょう。
将来性が高いインサイドセールスに必要な9つのスキル
将来性が期待できるインサイドセールスを成功させるには、以下に紹介するスキルの習得が必須となります。
- コミュニケーションスキル
- ヒアリング力・傾聴力
- 課題発見力
- 情報収集力
- 論理的思考力
- マーケティングスキル
- マネジメントスキル
- 仮説思考力
- ITリテラシー
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションスキル
インサイドセールスは、顧客との関係性を構築しづらいといった課題があります。
そこで重要となるのが、非対面でのコミュニケーションスキルです。
たとえば電話での対応は、声のトーンや丁寧な言葉づかいを意識する必要があります。電話では対面よりも声が低く聞こえるため、ワントーン高くハキハキと聞き取りやすく話すことも大切です。
ヒアリング力・傾聴力
インサイドセールスの役割は、見込み顧客の育成と商談機会の創出であり、育成とは顧客との関係性を構築することを意味します。
信頼関係を構築するには、顧客が抱える課題を正しく理解して、最適な解決策を提案する必要があります。
そこで重要となるのが、ヒアリング力です。顧客自身が気付いていない潜在的な課題を引き出すには、相手に寄り添い共感する傾聴力も求められます。
課題発見力
顧客の話に耳を傾け丁寧に対応しても、課題を正しく理解できなければ関係性を構築できません。
課題発見力が身についていれば、顧客との会話から現状を分析して、顧客が抱える課題を見出せるでしょう。課題発見力は、潜在課題の引き出しにも有効です。
情報収集力
インサイドセールスにおいて、顧客に最適な提案をするには情報収集力も欠かせません。
情報不足の状態で顧客にアプローチしても、最適な提案はできないでしょう。的外れな提案をすれば、顧客に不信感を与える恐れがあります。
アプローチする前に、できる限り多くの情報を収集する必要があります。ただし、情報の鮮度と質も重要です。
最新の情報を入手できているか、質の高い情報であるかも確認してください。
論理的思考 力
論理的思考(ロジカルシンキング)は、物事の筋道を立てて考えることです。
インサイドセールスにおいては、確度の高い見込み顧客を絞り込みアプローチする必要があります。
購買意欲が低い見込み顧客にアプローチしても、成約にはつながらないので労力が無駄になる恐れがあります。
論理的思考力があれば、確度の高い見込み顧客かどうかを見極めやすくなるでしょう。
マーケティングスキル
確度の高い見込み顧客を見極めるには、マーケティングスキルも必要です。
分業制を前提としたインサイドセールスでは、インサイドセールス部門がマーケティングを担うケースもあります。
マーケティング部門が創出した見込み顧客に優先順位を付ける際にも、マーケティング視点が役立つので、身につけておきたいスキルです。
マネジメントスキル
インサイドセールスでは、中長期的に顧客との関係性を構築しながら商談機会を創出しなければなりません。
新規顧客開拓だけでなく既存顧客のフォローなども必要になるため、業務量も多くなります。
スケジュール通りに業務を遂行できているか、課題解決に向けてどう対処すればいいかなど、自身を管理するセルフマネジメントスキルも必要です。
仮説思考力
インサイドセールスにおいて、仮説立ては重要な施策です。顧客が抱える課題の特定や、アプローチに最適なタイミングを見極める際には、仮説思考力が求められます。
たとえば、顧客が気付いていない課題がある場合は、ヒアリングで課題を引き出せません。
事前に収集した情報を元に仮説立てをすれば、顧客の現状や背景を理解しやすくなります。
仮説に基づく踏み込んだアプローチにより、顧客の心に響く提案ができれば、成果につながりやすくなります。
ITリテラシー
インサイドセールスでは、MAツールやCRM・SFAシステムなどを活用します。こうしたツールやシステムを使いこなすには、ITリテラシーが必要不可欠です。
インサイドセールスに必要な人材を確保しても、ITリテラシーが低ければ、業務効率の低下や情報漏洩のリスクが高まります。
スタッフの研修や資格取得のサポート、汎用性の高いソフトの導入などでもITリテラシーを
高められるでしょう。
インサイドセールスのキャリアパス
それでは、インサイドセールスのキャリアパスを5つ紹介します。
- マーケティング
- フィールドセールス
- インサイドセールスマネージャー
- カスタマーサクセス
- コンサルタント
マーケティング
インサイドセールスでは、これまでマーケティング部門が担当していた、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)を担うケースが多くあります。
情報収集や分析など、マーケティングと似た業務もあるので、インサイドセールスでの経験はマーケティングにも活かせます。
特に意思決定までの時間が長いSaaS業界では、中長期的に顧客との関係性を構築するインサイドセールスでのリードナーチャリング経験が役立つでしょう。
フィールドセールス
非対面でのコミュニケーション力は、フィールドセールスにも役立ちます。
インサイドセールスで身につけたスキルは、商談の場でも活用できるでしょう。
実際に顧客と対面でのコミュニケーションを図りながら、成果につなげることができれば、やりがいを感じられるのも魅力です。
インサイドセールスマネージャー
インサイドセールスマネージャーも選択肢の一つです。
担当者として培ったノウハウは、人材育成やチームメンバーを管理する際にも役立ちます。
チームをまとめて成果を出せるようになれば、組織の成長にも貢献できます。
カスタマーサクセス
インサイドセールスでは、顧客に最適な提案をするために自社商材への理解も必要です。
自社商材への深い理解があり、さらに問題解決力や課題発見力を活かせば、カスタマーサクセスでも活躍できるでしょう。
コンサルタント
対象は異なりますが、コンサルタントの顧客の課題を解決するという役割は、インサイドセールスにも共通する部分があります。
インサイドセールスで身につけた課題発見力は、コンサルタントにも活かせるのでキャリアパスに入るでしょう。
インサイドセールスを導入する際の注意点
では最後に、インサイドセールスを導入する際の注意点を3つ紹介します。
- 社内体制を整備する必要がある
- ツールの導入が必須となる
- 人材確保や教育が必要になる
社内体制を整備する必要がある
インサイドセールスは分業制を前提としているため、導入にあたって社内体制の整備が必要です。
さらに、各部門が連携を取る必要があるため、これまでのフィールドセールスが全てのプロセスを担当する手法とは異なることに留意しましょう。
また、社内体制の整備には時間がかかるため、導入後すぐに稼働できるわけではありません。
ツールの導入が必須となる
インサイドセールスで確度の高い見込み顧客を見極めるには、入念な情報収集と分析が必要です。
情報が多いほど顧客の課題やニーズを理解しやすくなりますが、手作業では手間と時間がかかります。情報収集や分析に追われてしまい、コア業務に支障が出れば生産性の低下を招きかねません。
そこでツールを活用して作業を自動化すれば、効率よく業務を遂行できます。ツールは情報共有がしやすくなり、蓄積したデータを検証や改善に活用できるのもメリットです。
人材確保や教育が必要になる
インサイドセールスは非対面の営業手法となるため、専門性の高い知識やスキルを持つ人材の確保が欠かせません。
近年、少子高齢化や市場の縮小に伴い、人手不足の課題を抱える企業が増えています。
人材の確保が難しいなら、外注を検討するとよいでしょう。ノウハウを持つプロが対応するので、導入から稼働までの時短になるのもメリットです。
こちら記事では、インサイドセールス代行会社のおすすめ10選と、選び方を紹介していますのであわせてご覧ください。
インサイドセールス代行会社のおすすめ10選!選び方や費用相場も紹介
まとめ:インサイドセールスは将来性が高い!今後も需要が高まると予想できる
インサイドセールスは、近年急速に普及しているサブスクリプションサービスとの相性も良いため、将来性は高いと考えられます。
多様な働き方にも対応できるので、働き方改革を推進する企業にも適しています。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、将来性の高いインサイドセールスを導入して成果につなげてください。