営業ダッシュボードを使いこなす!設定するKPI項目やおすすめツールも紹介

営業活動をスムーズに進めるためには、顧客情報や案件ごとの進捗状況など多くのデータを管理しなければなりません。
また、属人化を防ぐためには、全体を俯瞰しながらデータを一括管理することも大切です。
そこで営業ダッシュボードを活用すれば、さまざまなデータを見える化でき、データに基づく客観的な意思決定が可能になります。
とはいえ、営業ダッシュボードにも種類があり、課題や目標に合わせて選ばなければ活用できません。
本記事では、営業ダッシュボードを使いこなすコツについて解説します。設定するKPI項目やおすすめツール4選も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
営業ダッシュボードとは?

営業ダッシュボードとは、営業活動に関するあらゆるデータを整理して見える化するツールのことです。
集約した情報の一括管理や、必要な情報に素早くアクセスできるなど、業務効率化にもつながります。
さらに、営業マネージャーや営業管理者にとっては、チーム全体の情報を把握しやすくなり、データに基づき客観的な意思決定ができます。
なお、営業ダッシュボードを効果的に活用するには、目標達成までのプロセスを見える化するKPIを適切に設定することも重要です。
営業ダッシュボードにできること

営業ダッシュボードにできることを以下にまとめます。
機能 | 概要 |
---|---|
データ収集とデータ管理 | 既存システムや社内のあらゆるデータを収集して一元管理できる |
レポート作成 | 目的に合わせて必要なデータを抽出してレポートにまとめる |
リアルタイムの情報分析 | リアルタイムで情報を分析して結果を図やグラフで表示する |
フィルター機能 | 指定した条件で検索して欲しい情報にアクセスできる |
KPIモニタリング | 設定したKPIの状況をモニタリングする |
アラート機能 | 未達のKPIや異常な数値変動を検知すると通知する |
ツールによって搭載される機能は異なるため、上記はあくまでも一例ですが、営業ダッシュボードを活用すれば業務効率化や営業品質の標準化にもつながります。
営業ダッシュボードは7種類

では次に、営業の種類を7つ紹介します。
- 営業チームダッシュボード
- 営業担当別ダッシュボード
- リード管理ダッシュボード
- 顧客分析ダッシュボード
- 案件別ダッシュボード
- KPIモニタリングダッシュボード
- 地域別営業パフォーマンスダッシュボード
営業チームダッシュボード
営業チームダッシュボードは、チームのマネジメントに活用できます。
- プロジェクトの進捗状況
- KPIの達成状況
- 全体の営業成績
営業マネージャーや管理者が、チーム全体の情報を一元管理したいときに役立ちます。
営業担当別ダッシュボード
営業担当者別ダッシュボードは、担当者のパフォーマンスを個別に管理します。
- アポイント獲得数
- 商談化数
- 有効商談数
- 受注獲得数
- 未着手案件数・保留案件数など
営業担当者ごとに進捗状況を把握できるので、属人化の防止にも役立ちます。
リード管理ダッシュボード
リード管理ダッシュボードは、獲得したリードの情報を管理します。
- リード獲得数
- リードの質
- 成約につながったリード数
- コンバージョン率など
リードに関するあらゆる情報を管理できるため、マーケティング部門と営業部門の連携強化にも役立つでしょう。
顧客分析ダッシュボード
顧客分析ダッシュボードは、顧客情報を分析して結果を見える化します。
- 顧客行動
- 抱える課題やニーズ
- 受注確度
- 購買履歴など
分析結果を図やグラフ化して、わかりやすく表示できるのも特徴です。分析結果は、ターゲット選定や戦略の立案などにも活かせます。
案件別ダッシュボード
案件別ダッシュボードは、案件ごとに各フェーズをより細かく管理できます。
案件の獲得から成約までの「営業パイプライン」を見える化することで、ボトルネックの特定や改善にも活用が可能です。
KPIモニタリングダッシュボード
KPIモニタリングダッシュボードは、KPIの達成状況をリアルタイムでモニタリングします。
各KPIの状況を追跡するので、問題が生じても早期発見と改善が可能です。
地域別営業パフォーマンスダッシュボード
地域別営業パフォーマンスダッシュボードは、地域の情報を収集して見える化するので、それぞれ特徴や課題の把握に役立ちます。
自社商材のニーズが高い地域を特定し、効果的な戦略を立案する際にも役立つでしょう。
営業ダッシュボードを活用する5つのメリット

営業ダッシュボードの活用で得られる、5つのメリットを紹介します。
- データドリブンで迅速な意思決定ができる
- 最新情報を常に確認できる
- 必要な情報に素早くアクセスできる
- 情報を一元管理できる
- チームのパフォーマンス向上につながる
データドリブンで迅速な意思決定ができる
データドリブンで迅速な意思決定ができるのは、非常に大きなメリットです。
近年、インターネットの普及やデジタル技術の進化により、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。扱うデータ量も増えているため、過去の経験や勘に頼るのではなく、データに基づく意思決定が不可欠です。
そこで、営業ダッシュボードを活用すれば、データに基づいた迅速な意思決定を実現できます。
最新情報を常に確認できる
営業ダッシュボードは、リアルタイムで情報が更新・反映されるため、常に最新の情報を確認できます。
たとえば、顧客が問い合わせや資料請求などのアクションを起こしたときは、受注確度が高いと考えられます。
このようなシーンでタイムリーな意思決定ができなければ、競合他社に奪われたり、顧客の関心が薄れたりするかもしれません。
営業ダッシュボードで常に最新情報を把握できていれば、ビジネスチャンスが広がります。
必要な情報に素早くアクセスできる
そして、必要な情報に素早くアクセスできるのもメリットです。
顧客情報や案件情報を個別に管理すると、必要な情報を探すのに時間がかかります。
営業ダッシュボードで情報を一括管理すれば、チーム全員が必要な情報に素早くアクセスでき、業務効率の向上にもつながるでしょう。
情報を一元管理できる
営業マネージャーや管理者にとって、情報を一元管理できるのは大きなメリットになるでしょう。
まず、社内の情報が集約されているので、データの見落としを防げます。加えて、担当者ごとに個別確認をする手間もかからず、属人化を防ぎ情報をスムーズに共有できるのもメリットです。
チームのパフォーマンス向上につながる
常に最新情報を確認でき、データに基づく客観的な意思決定が可能になれば、チームのパフォーマンスも向上します。
また、営業ダッシュボードは、営業成績や成功事例といったポジティブな情報の共有も可能です。
適切な評価やインセンティブを設けることで、チームの意欲が高まると、モチベーションアップにもつながるでしょう。
営業ダッシュボードで設定すべきKPI項目

それでは、効果的に営業ダッシュボードを活用するために、設定すべきKPI項目を7つ紹介します。
- CAC(顧客獲得単価)
- 平均リードタイム
- 営業活動件数
- 受注達成率
- 営業成長率
- 成約率・失注率
- CLV(顧客生涯価値)
CAC(顧客獲得単価)
CAC(顧客獲得単価)とは、一人の新規顧客を獲得するのにかかるコストのことです。
具体例
- テレアポ代行費用
- 通信費
- 広告費
- コンテンツ制作費
- セミナー・ウェビナー運営費
- SNS運用費
- 営業活動費
- 人件費
上記は一例ですが、マーケティングから営業活動まで、新規顧客を獲得するのにかかった費用が含まれます。
平均リードタイム
平均リードタイムとは、見込み顧客の獲得から成約までの平均期間を指します。
各フェーズのリードタイムを把握できれば、ボトルネックの特定が可能です。
たとえば、商品を扱う企業では、リードタイムが長くなると在庫の増加に伴いコストも増える傾向があります。
このケースでは、リードタイムの短縮が不可欠ですが、リードタイムが短すぎると応対品質やチームのモチベーションが低下する恐れがあります。
平均リードタイムのKPIは、現状と照らし合わせて、実現可能な数値を設定することも重要です。
営業活動件数
営業活動件数は、担当者が行った営業活動の件数を指しています。
- テレアポのコール件数
- アポイントメールの送信数
- 飛び込み営業で訪問した件数
- 商談数
営業活動件数KPIを設定すると、営業担当者の行動量を視覚的に把握できます。
なお、営業活動件数のKPIを設定する場合は、期間も設定して目標を明確にするのも不可欠です。
受注達成率
受注達成率は、目標に掲げた売上や受注件数に対して、実際に達成した割合を指します。
たとえば、100万円の売上を目標に設定しているのに、達成できそうもない場合は早急な戦略の見直しが必要です。
KPIを設定していれば進捗状況を把握でき、課題に気づいた時点で即対応すれば、失注のリスクを軽減できます。
営業成長率
営業成長率は、一定期間において営業利益の成長した割合を指します。
営業利益は定量的に把握できる反面、フェーズごとの把握が困難です。
そこで、営業ダッシュボードを活用して、営業成長率のKPIを設定すれば、フェーズごとの把握や前期との比較なども可能になります。
成約率・失注率
成約率は商談を成立させた割合のことで、失注率は商談が成立しなかった割合です。
成約率と失注率のKPIを設定すれば、営業活動の成果を数値で客観的に把握し評価できます。
失注率が高く成約率が低い場合は、失注の原因を分析して改善につなげられるのもメリットです。
CLV(顧客生涯価値)
CLV(顧客生涯価値)は、一人の顧客が、取引開始から解約までの間に支払う収益のことです。
たとえば、CACが高い場合は成約を獲得しても、単発の取引ではコストを回収できない恐れがあります。
そこで、営業ダッシュボードのKPIにCLVを設定すれば、低い場合には原因と高めるための施策を導き出せるでしょう。
CLVが高い顧客を把握できれば、優先的なアプローチや丁寧なフォローアップで、優良リピーターに転換できる可能性があります。
営業ダッシュボードの作り方

営業ダッシュボードの作り方は、大きく2種類あります。
- ExcelやGoogleスプレッドシートで作成する
- ツールを活用する
以降でそれぞれ解説します。
ExcelやGoogleスプレッドシートで作成する
ExcelやGoogleスプレッドシートは、手軽に導入できコストもおさえられます。
日常的に使用していれば、作成や管理もしやすいでしょう。グラフや表を作成できるスキルがあれば、簡単に作成できます。
ただし、営業ダッシュボードを管理できる人材が必要なこと、分析など複雑な操作には一定以上のスキルが必要なことに留意しましょう。
また、Excelはオフライン、Googleスプレッドシートはオンライン上での管理が前提です。状況に応じて使い分けてもよいでしょう。
ツールを活用する
ツールで作成すれば、リアルタイムで常に最新の情報を管理できます。
一口にツールといっても、種類があり搭載されている機能が異なるので、目的に合わせた見極めが必要です。
より高度な分析や設計を行うには、専門的なスキルを持つ人材の確保が不可欠ですが、情報共有はしやすいでしょう。
営業ダッシュボードツールの選び方

では次に、営業ダッシュボードツールの選び方を紹介します。
- 機能で選ぶ
- 使いやすさで選ぶ
- カスタマイズ可能かを確認する
- グラフチャートの見やすさで選ぶ
機能で選ぶ
まず、求める機能が搭載されているかを確認してください。
たとえば、データを更新や編集をする際に、元のデータに上書きするタイプでは、古い情報の確認や比較ができません。
リアルタイムで表示される機能が搭載されていても、ラグがあるとタイムリーな意思決定ができず、失注リスクを高める恐れがあります。
ラグがなく、スピーディーに情報が更新・表示されるかは非常に重要な機能です。
使いやすさで選ぶ
そして、使いやすさも確認したいポイントです。
- シンプルで見やすいようにレイアウトされているか
- 直感的な操作が可能か
- 一画面で複数の要素を確認できるか
営業ダッシュボードには、営業マネージャーや管理者の他に営業担当者も関わります。それぞれの立場で、使いやすいかも確認しておくとよいでしょう。
カスタマイズできるか確認する
カスタマイズが可能かを必ず確認してください。
カスタマイズできないと、不要なデータが表示されたり、必要な情報に素早くアクセスできなかったりして使いづらいと感じるからです。
カスタマイズ性に優れていると、求める情報に素早くアクセスでき、業務効率が向上します。
グラフチャートの見やすさで選ぶ
そして、グラフチャートの見やすさも重要です。
欲しい情報が表やグラフで表示されても、表示される範囲が広かったり、色分けがされていなかったりすると一目で理解できません。
また、データをグラフで表示する場合は、グラフの種類で見やすさが変わります。
- 円グラフ:全体を占める割合
- 折れ線グラフ:時系列での変化
- 棒グラフ:データの比較
- 積み上げ棒グラフ:全体量と各データの比較
上記は一例ですが、グラフの種類も確認するとよいでしょう。
営業ダッシュボードのおすすめ4選

それでは、営業ダッシュボードのおすすめ4選を紹介します。
- Salesforce
- MotionBoard
- HubSpot
- Tableau
Salesforce

運営会社 | 株式会社セールスフォース・ジャパン |
---|---|
機能 | リードファネルダッシュボード 予測ダッシュボード 営業リーダーボードダッシュボード 競合および成約率/不成約率ダッシュボード KPIおよび営業活動ダッシュボード 経営層向けデイリービュー(日報)ダッシュボード |
料金 | 要問い合わせ |
無料トライアル | ◯(30日間) |
公式サイト | https://www.salesforce.com/jp/ |
Salesforceの営業管理ダッシュボードは、6種類あり、目的に合わせて使い分けられるのが特徴です。
リードファネルダッシュボードは、営業とマーケティングの連携状況を一目で把握できるので、部門の連携強化に役立ちます。
- 予測ダッシュボード:営業プロセスの欠陥を特定
- 営業リーダーボードダッシュボード:営業成績の把握
- 競合および成約率/不成約率ダッシュボード:コーチングや介入が必要な分野を特定
- KPIおよび営業活動ダッシュボード:各担当者の行動を把握
- 経営層向けデイリービュー(日報)ダッシュボード:日報の集計時間を短縮
このように、営業活動における課題の洗い出しや改善、業務効率化まで幅広いシーンに活用できます。
MotionBoard

運営会社 | ウイングアーク1st株式会社 |
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機能 | 営業実績管理ボード 製造生産管理ボード 販売実績 自由分析ボード など |
料金 | 要問い合わせ |
無料トライアル | 無料デモ |
公式サイト | https://www.wingarc.com/solution/salesmarketing/ |
MotionBoardは、マーケティング・営業・経営の3部門に役立つ営業ダッシュボードを利用できます。
営業実績管理ボードは、フェーズごとの進捗状況や案件詳細の確認を、期間や事業でセグメントでき、月次推移や昨年度対比なども表示できます。
製造生産管理ボードは、生産・品質管理システムのデータソースを活用して、生産状況や稼働率などの一括管理が可能です。
販売実績自由分析ボードは、直感的にデータを捉えられるため、経営やマーケティングに活用できます。
いずれも、無料デモで体験できるのは嬉しいポイントです。
HubSpot

運営会社 | HubSpot Japan株式会社 |
---|---|
機能 | 営業レポート作成 パフォーマンス管理 |
料金(税込) | 個人・小規模チーム向け 無料ツール:0円 Starter:月額1,188円/1シート Professional:月額105,600円/3コアシート込み 企業単位~大規模企業向け Professional:105,600円/3コアシート込み Enterprise:月額475,200円/5コアシート込み |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://www.hubspot.jp/products/sales/sales-reports |
HubSpotは、Google・Microsoft・Appleのいずれかで無料アカウントを作成すれば利用開始できる、無料ツールです。
クレジットカードなどの決済情報も不要で、正確なデータを用いて営業レポートを作成でき、パフォーマンス管理ダッシュボードとしても使えます。
標準装備された豊富なテンプレートから自由に選び、カスタマイズできるのも魅力です。
インターフェースも見やすく誰でも簡単に使えて、必要な情報に素早くアクセスできます。
Tableau

運営会社 | 株式会社キーウォーカー |
---|---|
機能 | 経営ダッシュボード SFA、CRMの可視化 需要予測 不動産テック エリアマーケティングなど |
料金 | 要問い合わせ |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://www.keywalker.co.jp/tableau/tableau.html |
Tableauは、ダッシュボードの作成・トレーニング・内製化支援までトータルでサポートする、BIツールです。
企業に蓄積された情報を集約・可視化・分析し、意思決定をサポートします。
ドラッグ&ドロップのみの簡単操作は、ツールに苦手意識を持つスタッフも抵抗なく使えるでしょう。
多様なデータソースに対応しており、リアルタイムで分析して最新の情報を見える化します。
必要に応じて支援メニューを選べるので、部分的に導入したい企業にもおすすめです。
営業ダッシュボードを効果的に使うコツ

では最後に、営業ダッシュボードを効果的に使う3つのコツを紹介します。
- 社内に定着させる
- データを定期的に更新する
- KPIも定期的に見直して改善する
社内に定着させる
まず、社内に定着させましょう。
営業ダッシュボードを導入しても、定着していなければ活用できません。
- 導入目的を明確にする
- 得られるメリットも伝える
- 使いやすい仕組みを構築する
- 研修やトレーニングを実施する
- 成功事例を共有する
このように、事前の入念な準備と体制を構築しておけば、社内にも定着しやすいでしょう。
データを定期的に更新する
データは定期的に見直し更新してください。
データの更新が遅れて古い情報を利用してしまうと、正確かつタイムリーな意思決定ができません。
週に1回~2回など、できるだけこまめに情報を更新して、常に最新の情報を確認できるようにしましょう。
リソース不足で定期的なデータ更新が難しい場合は、自動データ更新機能を搭載したツールで対応できます。
KPIも定期的に見直して改善する
KPIは設定したら終わりではありません。
顧客ニーズや市場の動向が変化する以上は、状況に応じて目標や戦略の見直しが必要です。
また、一度設定したKPIを達成できない場合は、原因を追求して適切なKPIに設定し直す必要があります。
このように定期的にKPIを見直し改善していけば、営業ダッシュボードの精度も高まるでしょう。
まとめ:営業ダッシュボードを活用してチームのパフォーマンスを最大化しよう

営業ダッシュボードは、営業活動に関するデータを見える化して一元管理できます。
必要な情報に素早くアクセスでき、業務効率化やデータに基づく意思決定ができるのもメリットです。
スムーズに情報を共有できれば属人化を防止でき、エンゲージメントの向上やモチベーションアップにも役立つでしょう。
営業ダッシュボードを活用して、チームのパフォーマンスを最大化してください。