AIを活用した商談分析方法とは?おすすめツール5選や活用事例も紹介

商談は売上に直結する重要なフェーズであり、商談の振り返りは営業力を強化し成果につなげるために不可欠なプロセスです。
しかし、人による振り返りは「主観的になる」「記憶の偏り」などがあり正確に分析できません。
そこで、商談の振り返りにAIも活用すれば、感情や記憶に左右されることなく客観的に分析・評価できます。
本記事では、AIを活用した商談分析方法について解説します。おすすめツール5選や活用事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
商談分析のAI活用が注目される理由

一般的に、営業担当者は商談を実施した後、日報で上司に報告します。
営業手法による違いはあるものの、1日に数件の商談を実施する場合は、日報にすべての商談内容を記載するのは困難です。
その結果、ブラックボックス化が起きやすくなり、商談に同行しない上司は内容を正確に把握できず、適切にフィードバックできません。
そこで、客観的な分析・評価を実現するために、商談分析にAIが活用されるようになりました。
AIの活用には商談内容の記録が不可欠ですが、データとして残るため、日報では拾いきれない詳細な情報の記録やナレッジの蓄積や共有にも活用できます。
AIを活用した商談分析方法

商談分析にAIを活用する方法としては、AI商談解析ツールの導入が有効です。
多くの企業では、同時に複数の商談を抱えるケースがあり、人の手ですべてを詳細に分析するのは難しいという課題を抱えています。加えて、分析に時間を取られ対応が遅れると、ビジネスチャンスを失いかねません。
そこで、AI商談解析ツールを活用すれば、膨大なデータを高速かつ正確に分析できます。その結果、タイムリーな意思決定が可能になれば、営業品質の向上にもつながるでしょう。
AI商談分析ツールでできること

それでは、AI商談分析ツールにできることを紹介します。
- 商談内容の可視化と共有
- フィードバック精度の向上
- ナレッジの蓄積
- マネジメント体制の構築
- 人材育成
以降でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
商談内容の可視化と共有
まず、商談内容を可視化して、社内で共有できます。
これまで営業マネージャーは「日報のみで商談内容を正確に把握するのが困難」という課題を抱えていました。日報は営業担当者の主観に左右されたり、記憶が偏ったりする傾向があり、可視化が難しかったからです。
そこで、AI商談分析ツールを導入すれば、商談内容を可視化できます。ツールに記録された情報やフィードバックを社内で共有すれば、属人化の防止にもつながります。
フィードバック精度の向上
商談内容を可視化できれば、日報では拾いきれない「営業担当者が自覚しづらい癖」や「営業パターン」などが見えてきます。
AI商談分析ツールで改善点が明確化されれば、フィードバック精度の向上が見込めます。
営業担当者が適切なフィードバックを受けられることで、個々のスキルアップや営業品質向上が実現すれば、組織力の強化にもつながるでしょう。
ナレッジの蓄積
ツールに記録された成功事例からは、成約につながるパターンを分析でき、トップセールスのナレッジを共有できます。
失敗事例では、原因の追求と改善点の洗い出しまでのプロセスを、自社ノウハウとして蓄積できます。
加えて、これらのデータを継続的に分析していけば、市場動向や消費者ニーズの変化に合わせたタイムリーな意思決定や、効果的な戦略の立案が可能です。
マネジメント体制の構築
AI商談分析ツールに記録されたデータは、商談結果だけでなく、商談のプロセスも分析し可視化します。
- 営業担当者ごとのスキルの差
- 発話比率や沈黙回数
- 質問内容
- アイスブレイクの質
- クロージングまでの流れ
上記は一例ですが、チーム全体の商談内容から傾向や課題を洗い出せば、マネジメント体制の仕組み作りにも活かせます。
人材育成
AI商談分析ツールは、人材育成にも活用できます。
たとえば、新人営業担当者の指導に当たって、商談に同行させ実践的に学ばせるのは非常に有効です。
しかし、すべての商談に新人や営業マネージャーが同行するのは、現実的とはいえません。
そこで、AI商談分析ツールに記録されたデータを活用すれば、実践的に学べます。さらに、成功事例はトークスクリプトや、マニュアルの作成にも活用できるでしょう。
AI商談分析ツールのタイプ

AI商談分析ツールは、大きく4種類に分かれています。種類によって特徴が異なるため、目的に合わせて適したタイプを見極める必要があります。
- 商談振り返り型
- 改善・提案型
- 伴走型
- 案件管理型
商談振り返り型
商談振り返り型は、商談内容をテキスト化して視覚的に把握したいときに適しています。
複数人が参加する商談では「話者識別機能」があると、誰がどんな発言をしたのか一目瞭然です。
また「キーワード検索機能」があると、重要な部分だけを聞き直したいときに素早く該当箇所にアクセスできます。
改善・提案型
改善・提案型は、課題の洗い出しや改善点を提案するので、商談品質を向上させたいときにおすすめです。
商談内容を要約して、要点ごとに課題や解決策を提案するため、具体的な改善策を客観的に把握できます。
さらに、チーム全体の営業スキルを可視化すれば、担当者ごとの強みや改善すべき弱みなどを把握できるでしょう。
キーワード検索機能を活用して、NGワードの発話回数なども把握できます。
伴走型
伴走型は、自社のリソースやノウハウだけで効果的な改善策を導き出すのが難しい場合でも、専門家による伴走支援を受けられます。
商談分析ツールとしての機能に、専門家の支援がプラスされているイメージです。
また、ツールを導入すれば継続的なサポートを受けられるので、自社ノウハウを蓄積したい場合にも適しています。
案件管理型
案件管理型は、案件別の分析に加えて、進捗状況やプロセスといった商談状況を可視化します。
たとえば、営業マネージャーが同時に複数の商談を管理する場合は、商談を一覧で確認でき、個別に確認する手間を省けるのは大きなメリットです。
チーム全体の商談を俯瞰して把握・管理できます。
AI商談分析ツールの選び方

では次に、AI商談ツールを選ぶ際におさえておきたいポイントを4つ紹介します。
- 機能で選ぶ
- 解析項目で選ぶ
- セキュリティの高さで選ぶ
- 既存ツール・システムと連携できるか確認する
機能で選ぶ
まず、求める機能が搭載されているかを確認してください。
「音声認識機能」や「文字起こし機能」などは、標準装備されている傾向がありますが、複数人の商談を分析したい場合は「話者識別機能」が必須です。
また「リアルタイムフィードバック機能」があれば、分析からスピーディに改善策を導き出せます。
なお、機能が充実するほど、価格が高くなることに留意しましょう。多くの機能が搭載されていても、使いこなせなければ意味がありません。
予算と価格のバランスも考えながら選ぶとよいでしょう。
解析項目で選ぶ
解析項目は分析精度に影響する重要な要素なので、必ずチェックしましょう。
たとえば、担当者のコミュニケーションスキルを分析したい場合には、以下の項目を解析できると精度の高い分析ができます。
- 質問回数と内容
- 沈黙回数と時間
- アイスブレイクの質
- クロージングまでの流れ
- 会話スピード
上記はあくまでも一例ですので、課題解決に役立つ項目を解析できるかを確認してください。
セキュリティの高さで選ぶ
AIを活用する以上は、セキュリティ面でのリスク対策が不可欠です。
たとえば、入力したプロンプトから学ぶタイプのAIに、顧客情報や機密情報などを使用すると、第三者への回答に使用される恐れがあります。
もし、誤って使用した顧客情報が流出して、その原因が自社にあると判明すれば、企業の信頼を失いかねません。
- 厳格な国際規格のセキュリティ認証を受けているか
- 情報へのアクセス権限を設定できるか
- データは暗号化して保管されているか
- データの保管期間や削除ルールが明確か
AI商談分析ツールを選ぶ際には、セキュリティ性の高さも確認するとよいでしょう。
既存ツール・システムと連携できるか確認する
既存ツールやシステムがあるなら、AI商談分析ツールとの連携が可能であるかも重要です。
機能や価格が自社にマッチしたツールを選んでも、既存システムと連携できなければ、営業活動を最大化できません。別途システムやツールを導入する羽目になれば、余計なコストがかかります。
ツールの導入効果を最大化させるには、既存ツールやシステムとの互換性があるものを選ぶ必要があります。
AI商談分析ツールのおすすめ5選

それでは、AI商談ツールのおすすめ5選を紹介します。
- ailead
- ACES Meet
- MiiTel Phone
- エンSX セールスアナリティクス
- SalesMAPs
ailead

運営会社 | 株式会社ailead |
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機能 | Web会議録画 IP電話録音 文字起こし SFA連携 録画再生操作 コメント 外部共有機能など |
料金 | 要問い合わせ |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://www.ailead.app/ |
aileadは、AIが商談や通話内容を分析・可視化するツールです。
独自AIが内容を自動で取得し、分析から可視化までを一貫して行います。さらに、SFAやCRMへの自動入力もできるので、大量のデータを入力する手間も削減できます。
商談の他にも、採用面接や社内会議など、さまざまなデータにも対応可能です。
また、リアルタイム分析にも対応しているため、商談中の状況もすぐに把握できます。
Web会議ツール・IP電話・カレンダーツールとの連携が可能なため、既存の業務フローを変えずに導入できるのも嬉しいポイントです。
ACES Meet

運営会社 | 株式会社ACES |
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機能 | 会議の自動記録・文字起こし 議事録自動作成 録音・録画データのインポート・エクスポート AI課題抽出 同一マイクでの話者分析 文字起こし検索など |
料金 | 要問い合わせ |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://meet.acesinc.co.jp/ |
ACES Meetは、商談内容をリアルに可視化する、高精度なAIツールです。
商談議事録や日報作成、分析と振り返り後の情報共有まで幅広い用途に活用できます。
AIが、トーク内容や発話情報などすみずみまでリアルに可視化して、抽出・要約します。
扱いやすく操作性にも優れており、重要な情報に素早くアクセスができるので、商談の振り返りもスムーズです。
さらに、独自アルゴリズムが戦略的な学習データを確保するので、改善策の洗い出しにも役立つでしょう。
MiiTel Phone

運営会社 | 株式会社RevComm |
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機能 | 通話分析 集計 ヒートマップ 議事録作成 CRM / SFA連携 会話コーチング 自動通話タグなど |
料金 | 要問い合わせ |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://miitel.com/jp/ |
MiiTel Phoneは、対面・電話・Web会議まで、すべてのビジネス会話を最適化するツールです。
対話によるコミュニケーションが発生するシーンに対応できるため、案件ごとに場所が変わってもツールを使い分ける必要はありません。
ビジネス会話を可視化するので、ブラックボックス化の解消にも役立ちます。さらに「AIコーチによるスキルの底上げ」「ノンコア業務の自動化」など、短期的な目的にも貢献します。
加えて、音声データを集約しビッグデータ化した後に分析することで、企業に適したインサイトの提供といった中長期的な目的にも活用が可能です。
エンSX セールスアナリティクス

運営会社 | エンSX株式会社 |
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機能 | AI解析 プロ講師による個別トレーニング |
料金 | 要問い合わせ |
無料トライアル | – |
公式サイト | https://en-sx.com/service/sales-analytics/ |
エンSX セールスアナリティクスは、AIが商談の課題を可視化し、プロ講師による個別トレーニングで営業の早期活躍をサポートします。
営業の早期活躍に不可欠なリソースの確保とトレーニングノウハウを、ツールの導入で実現できるのが特徴です。
AIによる商談分析では、成功する商談における実行度合いを4つのポイントで可視化します。さらに、改善点を具体的に指摘するため、課題の可視化も可能です。
プロの講師による個別トレーニングは、営業担当者だけでなく、営業マネージャーや営業部長まで、専任のパーソナルトレーナーが指導します。
SalesMAPs

運営会社 | TIS株式会社 |
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機能 | オンライン会議ツール連携 AI議事録作成 議事録自動作成など |
料金 | 通常プラン 事務手数料(契約月):3,000円/アカウント 月額利用料:6,500円/アカウント ライトプラン 事務手数料(契約月):3,000円/アカウント 月額利用料:3,500円/アカウント エンタープライズプラン 要問い合わせ |
無料トライアル | ◯ |
公式サイト | https://www.tis.jp/service_solution/salesmaps/ |
SalesMAPsは、AIを搭載した営業管理ツールです。
感情分析AIが顧客の表情や会話を解析し自動で評価するため、商談中の状況をリアルタイムで把握できます。
さらに、自動で要約と重要事項を抽出するので、商談に集中できるのも特徴です。
事前にメールアドレスを登録しておけば、入力の手間を省き、即座に社内で商談結果を共有できます。
営業状況を一元管理できるため、営業マネージャーの業務負担軽減にも役立つでしょう。
商談分析にAIを活用する5つのメリット

商談分析にAIを活用すると得られるメリットは、次の通りです。
- ブラックボックス化を解消できる
- データドリブンな意思決定が可能になる
- 作業を自動化できる
- 営業品質を標準化できる
- データを人材育成にも活用できる
以降でそれぞれ詳しく解説します。
ブラックボックス化を解消できる
まず、ブラックボックス化を解消できるのは、非常に大きなメリットです。
営業担当者が個別に情報を管理する体制では、営業マネージャーは議事録や日報でしか状況を確認できません。
商談のすべてを把握できるわけではないため、適切なフィードバックができず、成長機会の喪失やスキルの停滞といったブラックボックス化を引き起こす恐れがあります。
そこで、AI商談分析ツールを導入すれば、営業マネージャーは商談内容を詳しく把握でき、適切なフィードバックによりブラックボックス化を解消できます。
データドリブンな意思決定が可能になる
AI商談分析ツールを活用すれば、データドリブンな意思決定が可能になります。
顧客情報や課題・ニーズを正確に把握するには、多くのデータが必要です。加えて、市場動向や消費者ニーズは急速に変化するため、経験や勘に頼った意思決定は通用しなくなっています。
AI商談分析ツールは、膨大なデータも高速で分析・解析が可能であり、蓄積されたデータに基づき客観的に評価するので、精度の高い意思決定を後押しします。
作業を自動化できる
営業職は、業務量が多く煩雑化しやすいという課題を抱えています。
資料や日報作成、メール対応などのノンコア業務に時間を取られて、コア業務に支障が出れば売上機会の損失につながりかねません。
そこで、AI商談分析ツールがあれば、これらのノンコア業務を自動化して業務効率化を図れます。
営業担当者がコア業務に集中でき、業務品質が向上すれば、結果として顧客満足度や成約率の向上が期待できるでしょう。
営業品質を標準化できる
そして、営業品質を標準化できるのもメリットです。
AIによる分析結果や提案された改善点を、社内で共有すれば、経験やスキルに乏しいスタッフのスキルを底上げできます。
また、AIは感情に左右されないため、資料作成に活用すれば、誰が使っても一定の品質を維持できます。
加えて、AIの活用で成果につながる仕組みを構築できれば、結果として組織力の強化にもつながるでしょう。
データを人材育成にも活用できる
ツールに蓄積されたデータは、人材育成にも活用できます。
- 成功事例に基づくトークスクリプトの作成
- 記録された商談内容を活用した実践的学習
- AIを相手役にしたロールプレイング
このように、AIを活用すれば社内の教育体制を整備できます。教育体制が整備されれば、自社で新人教育ができるようになり、採用のハードルも下がるでしょう。
AI商談分析ツールを導入する際の注意点

では最後に、AI商談分析ツールを導入する際の注目点を4つ紹介します。
- 社内で協力を得る必要がある
- 分析データの扱いを学ぶ時間がかかる
- コストがかかる
- 情報の正確性に十分注意する
社内で協力を得る必要がある
まず、社内からの協力は不可欠です。
人によっては、AIに抵抗感があったり、使い方が分からず活用できるか不安に思ったりすることもあるでしょう。
社内からの理解を得ずに導入すると、現場が混乱して効果的に活用できません。
導入前に、AI商談分析ツールの導入目的を明確にして、どのようなメリットがあるのかを周知してください。
教育体制も整備すると理解してもらえれば、社内からの協力を得られてスムーズに導入できるでしょう。
分析データの扱いを学ぶ時間がかかる
AIの導入直後は、十分なデータ量が少ないため分析精度は下がります。学習を重ねるほど分析精度は向上しますが、分析データの扱いを学ぶには時間がかかることに留意しましょう。
また、データの質でも精度が変わるため、質の高いデータを使用することも大切です。
さらに、精度を維持するためには、定期的にデータ更新と品質チェックも実施してください。
コストがかかる
ツールによる違いはあるものの、初期費用やランニングコストがかかる場合があることに留意しましょう。
月額費用が安くても、初期費用が高額になるケースもあります。
初期費用が無料で、月額費用が予算内でも、導入初期は思うように効果が出ないことも少なくありません。
AI商談分析ツールを導入する際には、予算とのバランスや費用対効果を測定しながら比較するとよいでしょう。
情報の正確性に十分注意する
そして、AIは万能ではないため、情報の正確性には注意が必要です。
そもそもAIは、過去のデータから学習して分析・予測します。前例のない情報や学習データに含まれないパターンでは、正確に分析できません。
また、著作権のある画像や文章から学習した場合は、生成されたコンテンツが著作権侵害に当たる可能性があります。
最終的には人による確認が不可欠です。
まとめ:商談分析はAIを活用した方法で営業品質の向上を図ろう

商談分析にAIツールを活用すれば、チーム全体の商談を一元管理できます。
課題の洗い出しや改善策の提案、議事録や日報の作成まで、作業を自動化して業務負担を軽減できるのもメリットです。
膨大なデータも高速かつ正確に分析するので、データドリブン営業も実現できます。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、AI商談分析ツールで営業品質を向上させてください。