音声認識AIとは?仕組みやメリット・活用事例・おすすめツールも紹介

音声認識AIとは?仕組みやメリット・活用事例・おすすめツールも紹介
顧客からの問い合わせ内容を記録した音声データは、サービスの改善や品質管理に不可欠な情報です。
しかし、音声データ処理に時間がかかり、本来の業務に影響が出ているケースは少なくありません。
このような課題に音声認識AIツールを導入すれば、通話後の処理時間短縮や、通話データから顧客ニーズの洗い出しなどが可能になり、業務効率化につながります。
とはいえ、音声認識ツールは製品によって精度や特徴が異なるため、自社に合うものを選べるか不安に思う方もいるでしょう。
そこで本記事では、音声認識AIの仕組みやメリット・注意点について解説します。おすすめツールや選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
音声認識AIの仕組み・アルゴリズム

音声認識AIは「音声入力→分析→変換→出力」の4つで構成されています。
- 音声入力
- 音響分析
- 音声データの変換
- データをテキストで出力
以降で、それぞれの仕組みを見ていきましょう。
音声入力
音声入力とは、マイクから入力された音声を、データとして取り込むことです。
この際、音声波形・周波数・強弱などAIが処理しやすいように、特徴量を抽出して整形する役割も担います。
認識精度を上げるには、ノイズやエコーを除去して、クリアな音声に前処理するのも重要な要素です。
音響分析
音響分析とは、デジタルデータに変換された音声をコンピュータに理解させるために、音素に分解することです。
母音と子音から識別して、音響モデルと照らし合わせながら、入力したデータに最も近いものを探します。
音声データの変換
次は、音響分析で得られた結果に基づき、音声データを単語に変換する処理を行います。
予め登録された「発音辞書」と照合し、音素列に合わせ複数の候補を抽出します。
データをテキストで出力
音声データに変換した状態では、不自然な文章になることも少なくありません。
そこで、分析したデータを「言語モデル」に基づき、自然な文章に調整してテキストとして出力します。
音声認識AIにできること

では次に、業務に活かせる音声認識AIの基本的な7つの機能を紹介します。
- 文字起こし
- 資料や議事録の自動作成
- 翻訳
- 音声での文字入力
- AIアシスタント
- 電話の自動応答
- 音声による機器の操作
文字起こし
文字起こしは、録音された音声をテキスト化する機能です。
文字起こし機能を活用すれば、顧客対応の記録やミーティング内容をテキスト化する作業を自動化できます。
近年、リアルタイムでの文字起こしも可能になっており、作業時間を大幅に削減できるのもメリットです。
資料や議事録の自動作成
音声認識AIは、資料や議事録の自動作成にも対応します。
複数人が参加する会議では、話者識別による発言内容の整理はもちろん、AIによる重要箇所の要約なども可能です。
これにより、議事録や報告書の作成にかかる時間と手間が軽減され、時間とリソースをコア業務に充てられます。
翻訳
翻訳機能は、外国語での会議や商談というシーンで、言葉の壁を取り除きスムーズなコミュニケーションを実現します。
対面での打ち合わせやWeb会議など、これまで通訳を必要としたシーンにおいてAIが対応すれば、人件費の削減とスピードアップにもつながるでしょう。
音声での文字入力
音声での文字入力は、AIに話しかけるだけでテキスト化できるため、キーボード操作といった工程の削減が可能です。
これにより入力作業スピードがアップするだけでなく、移動中や外出先でも資料やメールの下書きを作成できるようになります。
AIアシスタント
AIアシスタントは、ユーザーが音声で指示した内容を瞬時に理解して実行します。
例えば、他の作業をしている途中でもスケジュールの確認や調整、必要な情報の検索などが可能です。
作業を中断せずに済むので、作業効率の向上につながるでしょう。
電話の自動応答
電話の自動応答は、オペレーターに代わってAIが対応します。
主に、コールセンターやヘルプデスクなどで採用されており、人では難しい24時間365日の対応が可能になるのがメリットです。
簡単な質問であればAIでも対応可能ですが、複雑な問い合わせ内容や、緊急性の高い通話をオペレーターにつなぐこともできます。
音声による機器の操作
音声による機器の操作は、AIが音声コマンドを理解して指示された内容を実行する機能です。
たとえば、手が塞がっている時でも、機器の起動や停止・設定変更などができます。
正確に指示を出せば、ヒューマンエラーの防止にもつながるでしょう。
音声認識AIのおすすめ11選

それでは、音声認識AIツールのおすすめ11選を紹介します。
- Colla Path
- Azure AI
- CoeFont
- Google Cloud Speech-to-Text
- コエステーション
- Watson Speech to Text
- COTOHA
- VOICEVOX
- AIGIJIROKU
- Nuance 音声認識
- Ami Voice
Colla Path

| 運営会社 | 株式会社ディグロス |
|---|---|
| 料金 | 要問い合わせ |
| 機能 | AIテレアポ セールスパフォーマー 日程調整 |
| 無料トライアル | – |
| 公式サイト | https://dgloss.co.jp/collapath/ |
「Colla Path」は、見込み顧客の発見から商談成立までのプロセスを、自動化して業務負担を支援するサービスです。
AIテレアポは、最先端のAI技術を駆使して、コールから受付通話までのプロセスを完全自動化します。
担当者につながる通話のみをコールスタッフに引き継ぐので、効率的な業務運営とコスト削減を目指す企業様におすすめです。
他にも、数字意識を高め成果を最大化する、業界No.1の「数字定着マネジメントツール」や、営業活動を円滑に進めるために開発された「日程調整ツール」も提供しています。
ツールの導入をご検討中のお客様には、電話やメールでご説明しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
Azure AI

| 運営会社 | Microsoft |
|---|---|
| 料金 | Voice Live Pro(m 単位のトークン請求)の場合 テキスト入力: 822.2776円 キャッシュされた入力: ¥411.1388円 出力: ¥3,289.1101円 ※2025年10月時点 |
| 機能 | 音声認識 音声合成 翻訳 話者認識など |
| 無料トライアル | – |
| 公式サイト | https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/ai-speech#Pricing |
Azure AIは、音声テキスト変換・テキスト読み上げ・音声翻訳の機能を活用して、他言語生成AIアプリを構築できるツールです。
人間らしい話し方や表現を使用しながら、リアルタイムで音声をテキストに変換します。
また、LLM(大規模言語モデル)機能を活用した、分析・要約・翻訳なども可能です。
料金体系は、使用した分のみを支払う「従量課金制」を採用していますが、料金計算ツールを使えば、おおよそのコストを起算できます。
CoeFont

| 運営会社 | 株式会社CoeFont |
|---|---|
| 料金(税込) | Free:0円 Standard:月額3,300円 Plus:月額55,000円 Enterprise:要問い合わせ |
| 機能 | テキストから音声に変換 リアルタイムボイスチェンジャー AI音声の作成 |
| 無料トライアル | – |
| 公式サイト | https://coefont.cloud/ |
CoeFontは、自分が話した言語を、リアルタイムで多言語に変換できるツールです。
外国語が話せなくても、自動翻訳しながら自分の声によるネイティブな発音でコミュニケーションを図れます。
海外企業とのやり取りや、複数言語が混ざった議事録をまとめたい時などにも柔軟に対応できるのが強みです。
10,000種類以上の多言語音声読み上げに対応しており、声優やナレーターなど、提供音声の選択肢も充実しています。
Google Cloud Speech-to-Text

| 運営会社 | |
|---|---|
| 料金 | Speech-to-Text V1 API:0.024ドル(約3.64円)/分 Speech-to-Text V2 API:0.016ドル(約2.43円)/分 ※2025年10月時点 |
| 機能 | 音声認識 翻訳 音声文字変換 ストリーミング 音声認識 音声適応など |
| 無料トライアル | – |
| 公式サイト | https://cloud.google.com/speech-to-text |
Google Cloud Speech-to-Textは、Google AIを使用して音声テキストに変換します。
数百万時間の音声データと、数十億の文章で学習したデータにより、多くの音声による言語や方言に対応できるのが強みです。
125の言語をサポートしており、短い音声・長い音声の他にも、ストリーミング音声のデータにも対応しています。
また、特定分野の品質要件に合わせて最適化されたデータも用意されているので、自社に合わせたカスタマイズもしやすいでしょう。
コエステーション

| 運営会社 | コエステ株式会社 |
|---|---|
| 料金(税込) | エディター:月額55,000円 WebAPI:月額77,000円 |
| 機能 | 音声合成 |
| 無料トライアル | – |
| 公式サイト | https://coestation.jp/business/ |
コエステーションは、テキストから簡単に合成音声を生成できる、音声合成サービスです。
いくつかの文章を読み上げるだけで、声の特徴をAIが学習しデジタルボイスを生成します。
声は、アーティストやタレントなど60以上の「公式のコエ」と「自分のコエ」から選べるのも特徴です。
また、一般ユーザーにコエ利用の募集をかけたり、特定のユーザーにリクエストしたりといった使い方もできます。
Watson Speech to Text

| 運営会社 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 |
|---|---|
| 料金 | ライトプラン:1か月500分まで無料 プラスプラン1分~999,999分:0.02ドル(約3.03円)/分 1,000,000分:0.01ドル(約1,52円)/分 ※2025年10月時点 |
| 機能 | 音声認識 文字起こし 通話分析など |
| 無料トライアル | ◯ |
| 公式サイト | https://www.ibm.com/jp-ja/products/speech-to-text |
Watson Speech to Textは、音声認識と文字起こしで、音声テキストに変換します。
独自のドメイン言語と特定の音声特性に基づくトレーニングにより、自社に合わせたカスタマイズが可能です。
また、クラウドやオンプレミス、ハイブリッドなどあらゆるクラウドに展開でき、強固なセキュリティでデータを保護しているのも特徴といえるでしょう。
ライトプランであれば、1か月500分まで無料で使えますが、IBM Cloud アカウントを作成して無料評価版で試してからの検討も可能です。
COTOHA

| 運営会社 | NTTドコモビジネス株式会社 |
|---|---|
| 料金(税込) | ベーシックプラン 10名:月額88,000円 15名:月額112,200円 30名:月額211,200円 100名:月額616,000円 |
| 機能 | テキスト翻訳ファイル翻訳辞書機能逆翻訳など |
| 無料トライアル | ◯(1か月) |
| 公式サイト | https://www.ntt.com/business/services/application/ai/cotoha-translator.html |
COTOHAは、TOEIC960点超レベルの翻訳機能を搭載した、ファイルを丸ごと翻訳できるAI翻訳サービスです。
NTTグループ企業(株式会社みらい翻訳)のAIエンジンを採用しているため、Word・PowerPoint・Excel・PDFなど、ビジネス文書もレイアウトを崩さずに翻訳できます。
圧倒的なスピードで翻訳作業を効率化でき、ログイン時の「二段階認証」や、申込時に指定したグローバルIPアドレスの接続端末からのみ利用なども可能です。
VOICEVOX

| 運営会社 | ヒホ(ヒロシバ)氏 |
|---|---|
| 料金 | 無料 |
| 機能 | テキスト読み上げ |
| 無料トライアル | – |
| 公式サイト | https://voicevox.hiroshiba.jp/ |
VOICEVOXは、無料で利用できるテキスト読み上げ・歌声合成ソフトウェアです。
商用・非商用問わず無料なので、気軽に導入でき、直感的な操作で誰でも簡単に使用できます。
無料でありながら、イントネーションの詳細な調整や、喋り声で歌えるハミング機能なども搭載されています。
なお、Windows版とMac版があるので、使用するOSに合わせて選びましょう。
また、GPUモードを使うと生成スピードがアップしますが、Macには対応していないので注意してください。
AIGIJIROKU

| 運営会社 | 株式会社オルツ |
|---|---|
| 料金 | 個人向け フリー:無料 パーソナル:月額1,500円 法人向け ビジネス:月額200,000円 ※月払い |
| 機能 | AI要約機能 清書機能 内部音声収録機能 |
| 無料トライアル | ◯(パーソナルプラン:1週間) |
| 公式サイト | https://gijiroku.ai/ |
AIGIJIROKUは、Zoomとの連携により、会議やウェビナーの会話をリアルタイムで画面にテキスト化します。
議事録を自動保存する機能も搭載されているので、会議後に会話内容を可視化できるのも特徴です。
30か国の言語に対応しており、リアルタイム翻訳や、外国人メンバーには翻訳テキストの発話もできます。
さらに「清書機能」を使えば、精度の高い議事録を簡単に作成でき、個人向けなら無料から試せるのも嬉しいポイントです。
Nuance 音声認識

| 運営会社 | 株式会社アイスマイリー |
|---|---|
| 料金 | 要問い合わせ |
| 機能 | 音声認識 文字起こし 音声合成 |
| 無料トライアル | ◯(要問い合わせ) |
| 公式サイト | https://aismiley.co.jp/product/vr-ca-ai-solution/ |
Nuance 音声認識は、音声認識と対話型AIのソリューションです。
音声対話に必要な要素を集約しているので、幅広い用途に対応します。
クラウド・オンプレミスのどちらにも対応しており、認識精度の向上を目的とした単語の登録や管理も可能です。
また、IVRとの組み合わせが可能なため、コールセンターの自動化や人件費の削減などにも役立つでしょう。
加えて、音声合成では「52言語・131音声」に対応しており、日本語だけでも5つの異なる音声から選択できます。
Ami Voice

| 運営会社 | 株式会社アドバンスト・メディア |
|---|---|
| 料金(税込) | 汎用(WebSocket・同期HTTP) ログ保存なし:0.04125円/秒 ログ保存あり:0.0275円/秒 汎用(非同期HTTP) ログ保存なし:0.0275円/秒 ログ保存あり:0.022円/秒 |
| 機能 | 音声認識 文章認識 ストリーミング認識 ファイル認識 単語登録など ※タイプによって異なる |
| 無料トライアル | 無料個別相談会 |
| 公式サイト | https://acp.amivoice.com/amivoice/ |
AmiVoiceは、高精度な音声認識を好みのプログラム言語で、アプリケーションに取り込めます。
ビジネスユースに特化しているため、専門用語にも強く、医療・金融・保険・コンタクトセンターなどにも対応が可能です。
また、独自のノイズ対策技術により、周囲の騒音や雑音が多い場所でもクリアに音を認識するため環境を選びません。
共用サーバー利用型・専用サーバー利用型・端末組み込み型の3つのラインナップから選べて、すべてのエンジンが毎月60分無料なのも特徴です。
音声認識AIの選び方

では次に、自社に合う音声認識AIを選ぶ5つのポイントを紹介します。
- 音声認識精度で選ぶ
- 機能で選ぶ
- 登録単語数で選ぶ
- 使いやすさで選ぶ
- セキュリティ性の高さで選ぶ
音声認識精度で選ぶ
音声認識精度は、非常に重要なポイントです。
精度が低いと、誤認識や誤変換が多発し、結局は人の手で大幅な修正が必要になります。これではかえって業務効率が低下し、導入のメリットを得られません。
特に、専門用語を使う場合やノイズが多い環境では、高精度なAIが必要になるでしょう。
導入前にトライアルや口コミなどを確認し、自社の利用環境に対応できる精度であるかを確認してください。
機能で選ぶ
音声認識AIツールは、製品によって機能が異なります。
利用シーンに応じて確認したい機能は、以下の通りです。
- 発言者識別機能:複数人での会議や商談が多く発言者を明確にしたい場合
- 要約機能:長い会話や通話内容から重要なポイントだけを抽出したい場合
- 感情分析機能:顧客の感情変化や不満度を把握したい場合
- 翻訳機能:外国語での顧客対応が多い場合
上記は一例ですが、ツールを選ぶ際は、自社が解決したい課題と照らし合わせながら、必要な機能が搭載されているかを確認しましょう。
登録単語数で選ぶ
音声認識AIは、登録された単語から適切なものを選択して認識するため、登録単語数が多いほど精度が向上します。
登録されている単語数が少ないと、誤変換が増えて修正の手間がかかります。特に、専門用語が多く使われる業務では、この機能が重要です。
「辞書機能の充実度が高いほど自然な文章を作成できる」という特徴をおさえつつ、自社にマッチしているかを見極めましょう。
使いやすさで選ぶ
ツールの使いやすさも重要なポイントです。
操作が複雑で分かりづらく、スタッフがツールを使いこなせないようでは、導入しても社内に定着しません。
誰でも使えるように、直感的な操作が可能であるかを確認しましょう。
加えて、音声認識AIツールのタイプには、インターネット経由で利用するクラウド型と、自社サーバーに構築するオンプレミス型があります。
使いやすさを重視するなら、自社の運用方針に合っている製品を選ぶことが大切です。
セキュリティ性の高さで選ぶ
音声認識AIで扱うデータの中には、顧客情報や機密情報などが含まれることもあるため、セキュリティ性の高さは非常に重要です。
特に、クラウド型のツールを利用する際には、以下の点を確認しましょう。
- 通信時や保存時のデータが暗号化されているか
- データにアクセスできるユーザーを限定できるか
- プライバシー保護の国際規格に準拠しているか
この点をおさえておけば、情報漏洩のリスクを最小限におさえられます。
音声認識AIを活用する3つのメリット

音声認識AIの導入によってもたらされるメリットを3つ紹介します。
- 業務効率化につながる
- 業務品質を標準化できる
- 顧客満足度の向上につながる
業務効率化につながる
音声認識AIを活用すれば、これまで人が行っていた作業を自動化できるため、業務効率化につながります。
たとえば、会議議事録の作成を音声認識AIに任せれば、リアルタイムで文字起こしができ、会議後に行っていた文書作成時間の削減が可能です。
削減した時間をデータ分析や戦略の立案といった、成果に直結する業務に充てることで、業務品質が向上します。
業務品質を標準化できる
スタッフのスキルや経験による業務品質のばらつきは、チーム全体の成果に影響を及ぼしかねません。
そこで音声認識AIを活用すれば、スタッフによるばらつきをおさえ、業務品質の標準化を実現できます。
チームの業務品質を標準化できれば、安定して成果を出せる仕組みを構築できるでしょう。
顧客満足度の向上につながる
そして、顧客満足度の向上につながるのもメリットです。
コールセンターの例では、AIがリアルタイムで適切な回答をオペレーターに提示することで、応対スピードが向上します。
これにより待ち時間が減れば、顧客のストレスを軽減しつつ、スムーズで質の高い対応が可能です。
その結果、リピート率の向上やブランドイメージのアップにもつながるでしょう。
音声認識AIを活用する際の注意点

音声認識AIは非常に便利な反面、いくつか注意したい点があります。
ここでは、音声認識AIの注意点を3つ紹介します。
- 環境によって認識精度が下がる場合がある
- 方言やスラングは識別されにくい
- 意訳まではできない
環境によって認識精度が下がる場合がある
まず、環境によってAIの認識精度が下がる場合がある点に注意が必要です。
特に「雑音やノイズが多い」「マイクから声が遠い」このような環境では、正確に認識できない可能性があります。
また、複数人の会議で発言が被ったり、声質が似ていたりする場合も誤認識のリスクがあります。
導入前にトライアルなどを活用し、自社の利用環境で認識精度を確認するとよいでしょう。
方言やスラングは識別されにくい
音声認識AIの学習データは、標準語や一般的な表現が中心です。
そのため、方言特有の言い回しやアクセント、スラングや専門的・略語などは正しく識別できない可能性があります。
方言やスラングを多く使用する場合は、カスタム辞書機能が充実した製品を選ぶとよいでしょう。
意訳まではできない
AIは、発言者の意図や背景にある感情や、細かいニュアンスを汲み取る意訳まではできません。
そのため、クレーム対応やカウンセリングのように、言葉の裏にある微妙な感情や真意を読み取る必要がある業務には不向きです。
AIの役割はあくまでも「発言内容の記録」であり、解釈や判断は人が行うといった役割分担を明確にするのも重要です。
音声認識AIの導入事例

ここまで、音声認識AIの特徴やメリットを紹介してきましたが、さらに具体的なイメージが湧くように、成功事例2選を紹介します。
- 株式会社レオパレス21の事例
- ヤマト運輸株式会社の事例
株式会社レオパレス21の事例
株式会社レオパレス21では、これまでオペレーターの対応が中心であり、問い合わせが集中する時間帯はつながりにくくなる課題を抱えていました。
そこで、問い合わせ対応の効率化を目的に、AI音声対話エンジンとAIチャットボットを導入します。
結果、24時間対応が可能になり、オペレーターはAIが対応できない複雑な案件や、緊急性の高い案件に集中できる体制を構築しています。
業務負担の軽減と応対品質向上の実現に向けた、成功事例といえるでしょう。
参考:株式会社レオパレス21|入居中の問合せ対応に、AI音声対話エンジンとAIチャットボットを導入
ヤマト運輸株式会社の事例
ヤマト運輸株式会社は、有人オペレーターにつながるまでの待ち時間を削減する目的で、電話での集荷依頼対応に「AIオペレータ」を導入しました。
音声認識技術がお客様の声を解析して、住所や集荷希望時間などの依頼内容を自動で聞き取り、集荷システムに登録する仕組みです。
これにより、繁忙期でも電話がつながりやすくなり、オペレーターの業務負担も軽減されました。
音声認識AIの導入により、サービスの質向上とコスト削減の両立を目的とした成功事例です。
参考:ヤマト運輸株式会社|4月23日(金)より、個人のお客さまからの電話による
集荷依頼を「AIオペレータ」が対応
まとめ:音声認識AIによる業務効率化を図り顧客満足度の向上を実現しよう

音声認識AIツールの導入は、スタッフの業務負担軽減や顧客対応品質の向上に有効な手段です。
AIは便利な反面、万能ではない部分もありますが、特性を理解したうえで自社に合う製品を選べば課題を解決できるでしょう。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、音声認識AIによる業務効率化を図り、顧客満足度の向上を実現してください。


