マーケティングにAIを活用するメリットは8つ!活用できる分野や事例も紹介

インターネットの普及により、企業を取り巻く環境は大きく変わり、情報のスピードも格段に早くなっています。
こうした変化に対応し、多様化する顧客ニーズを把握してスピーディに施策を実行するには、マーケティング領域にもAIの導入が求められています。
しかし、AIには大きなメリットがある一方で、コストや運用面でのデメリットも存在するため「導入すべきか迷っている」という方も多いでしょう。
そこで本記事では、マーケティングにAIを活用する8つのメリットや、活用できる分野について解説します。AIの種類や手順、導入事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
マーケティングに活用できるAIの種類

それでは、マーケティングに活用できるAIの種類を紹介します。
- 生成AI
- 識別AI
- 会話AI
- 予測AI
- 実行AI
生成AI
生成AIとは、テキスト・画像・音声など既存のデータから学習した情報に基づき、新しいコンテンツを作る技術のことです。
マーケティングでは以下の分野で活用できます。
- テキスト生成:ターゲットに合わせた広告のキャッチコピーやメールの件名など
- 画像・動画生成:プロモーション用の画像や動画、クリエイティブ素材など
- データ拡張:社内向けサービス向けAIチャットボット、カスタマーサポートの顧客対応など
代表的なものでは「ChatGPT」「Gemin」などがあり、コンテンツ制作に活用することで業務効率化につながります。
識別AI
識別AIとは、テキスト・画像・音声などのデータを分析して、パターンを認識する技術です。
マーケティングにおいては、顧客の行動分析や、Webサイト上のコンテンツに対する適切なキーワードの自動割り当てなどに活用できます。
- 画像認識:SNSの画像から自社商品やブランドロゴを使っている状況を特定し、顧客の関心度やトレンドを分析する
- 音声認識:電話窓口での顧客との会話データを分析しサービス改善につなげる
たとえば、画像分析に特化した「Google Cloud Vision API」は、SNS画像からトレンドを把握したいときに役立つでしょう。
コールセンターシステムに認識AIが組み込まれていれば、通話内容から分析が可能です。
会話AI
会話AIとは、人が使う自然な言語を理解し、まるで人と話しているかのように必要な情報を提供する技術です。
チャットボットや音声アシスタントとして、簡単な顧客対応にも活用されています。
- カスタマーサポート:顧客からの問い合わせや質問に24時間365日対応できる
- リード獲得:Webサイトの訪問者にパーソナライズされた会話で関心や興味を引く
チャットボットで代表的なものでは、多言語対応で有人チャット切り替えが可能な「Chat Plus」、音声アシスタントを搭載した「ChatGPT」「Gemini」などがあります。
マーケティングでは、市場調査や最新の業界動向の把握に役立つでしょう。
予測AI
予測AIとは、購買履歴や市場トレンドなどの膨大なデータを分析して、将来の出来事や可能性を予測する技術です。
マーケティングでは、以下の分野で活用できます。
- ニーズ予測:過去の販売データからニーズを分析して機械損失を防ぐ
- 顧客行動予測:顧客の行動からアプローチに最適なタイミングを見極める
代表的なものでは、売上やニーズの予測に特化した「Deep Predictor」「Forecast Pro」があります。
実行AI
実行AIとは、生成AIや予測AIによる分析結果を活用して、具体的なアクションや作業を自動で実行する技術のことです。
マーケティングでは、以下の分野で活用できます。
- パーソナライズドメール:過去の顧客行動から件名やメールを作成し自動送信する
- 広告の自動最適化:ターゲットに合わせて広告の入札額や配信先を自動で調整する
AIが組み込まれたMA(マーケティングオートメーション)ツールは、スコアリングやフォローアップメールの自動送信などが可能です。
「Google 広告」は、設定した目標に合わせて広告の自動入札をします。
マーケティングにAIを導入する8つメリット

では次に、マーケティングにAIを導入することで得られる、8つのメリットを紹介します。
- 分析精度が向上する
- 業務効率が向上する
- コスト削減につながる
- 24/7稼働を実現できる
- 顧客対応を自動化できる
- ビッグデータを活用できる
- 高速でPDCAを回せる
- 担当者はコア業務に注力できる
分析精度が向上する
まず、分析精度の向上は大きなメリットです。
これまでの人による分析では、扱えるデータ量が限られ、多くの時間とコストがかかっていました。しかし、AIなら購買履歴・Web行動ログなど、大量のデータを瞬時に処理できます。
また、予測AIや識別AIの活用により複雑なデータも分析できるため、顧客ニーズの理解が深まるのもメリットです。
これにより、顧客自身が気づいていない潜在課題やニーズを洗い出せるようになれば、データに基づいた客観的な意思決定が可能になります。
業務効率が向上する
AIの導入により、これまで人が行っていたルーチンワークや時間がかかる作業を自動化できれば、業務効率が大幅に向上します。
- コンテンツ制作:広告コピー・SNS投稿文・メールマガジンの下書きなどを短時間で作成
- データ処理・分析:データ収集から分析までを自動化
上記は一例ですが、ルーチンワークや時間がかかる作業をAIが代行すれば、マーケティング担当者は戦略立案や施策の検討などに集中できます。
コスト削減につながる
そして、コスト削減につながるのもメリットです。
たとえば、簡単な問い合わせ対応やデータ入力などの作業をAIに任せれば、担当者はコア業務に集中できます。これにより人件費を削減しながら、限られたリソースでも成果を最大化できるでしょう。
さらに、広告コピーやバナー制作にAIを活用すれば、外部の制作会社に依頼するコストを削減できます。
24/7稼働を実現できる
AIの導入は、24/7稼働を実現できるというメリットもあります。
24/7稼働とは、24時間・週7日間のことを指す、年中無休の意味を持つ言葉です。
どれだけ人員を増やしても、人が24時間365日稼働し続けるのは現実的ではありません。
そこでAIを導入すれば、システムが稼働している限り24/7稼働を実現できます。
- 顧客対応の強化:AIチャットボットで深夜や早朝も対応できる
- 最適なタイミングでの施策実行:担当者が不在の時間帯も自動で施策を実行できる
- グローバル展開:時差を気にせず各地域の最適な時間帯に自動でアプローチできる
このような対応が可能になれば、機会損失を防ぎつつ担当者の業務負担も軽減できます。
顧客対応を自動化できる
チャットボットや音声アシスタントなど、会話AIの導入により顧客対応を自動化できます。
たとえば、顧客からの問い合わせがあったときに、担当者の不在時には対応できません。
そこでチャットボットや音声アシスタントが対応すれば、顧客を待たせることなくAIが瞬時に回答します。
また、人による対応では、言い間違いや聞き間違いなどのヒューマンエラーが発生するリスクも少なくありません。
AIなら、こうしたリスクもなく一定水準の対応が可能になり、サービスの品質の向上にもつながります。
ビッグデータを活用できる
マーケティングの精度を高めるには、顧客や市場に関する多くの情報が必要ですが、人の手でこれらのデータをすべて集計・分析し、施策に活かすのは困難です。
しかし、AIの導入によりこれまで扱いきれなかったビッグデータを、マーケティングに活用できます。
また、AIならビッグデータも瞬時にかつ多角的に分析できるため、顧客行動の隠れたパターンや市場の予期せぬトレンドを発見できるでしょう。
さらに、顧客一人ひとりの行動や嗜好に関する詳細な情報を把握できるようになれば、パーソナライズされた提案により、顧客体験の向上にもつながります。
高速でPDCAを回せる
顧客ニーズや市場のトレンドは日々変化していくため、迅速に対応するには高速でPDCAサイクルを回しながら、継続的な検証と改善が欠かせません。
しかし、データ収集から評価までには時間がかかるため、PDCAサイクルが長期化しやすいという課題がありました。
そこでAIを導入すれば、高速でPDCAサイクルを回せるようになります。改善すべき課題が発覚しても、早期発見と対応が可能です。
結果として、競合他社よりも早く市場の変化に対応し、マーケティングの成果を最大化できます。
担当者はコア業務に注力できる
これまで多くの時間を費やしていた、ルーチンワークや膨大なデータ処理にかかる業務をAIに任せれば、担当者はコア業務に注力できます。
たとえば、生成AIに広告コピーやメールの下書きを作成させれば、後は人による最終チェックのみで済み、担当者の業務負担が軽減されます。
その結果、担当者が戦略立案や顧客との関係構築といった、売上や企業の成長に直結する業務に集中できれば、チーム全体の生産性向上にもつながるでしょう。
マーケティングにAIを活用できる分野11選

マーケティングにおいてAIを活用できる分野はさまざまです。
ここでは、AIを活用できる11分野を紹介します。
- テレアポ
- マーケティングオートメーション
- 顧客分析・管理
- ターゲティング
- パーソナライズドマーケティング
- コピーライティング
- SEO対策
- クリエイティブ制作
- Webサイト最適化
- SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティング
- カスタマーサポート
テレアポ
顧客への直接的なアプローチとなるテレアポにおいて、AIは非常に効果的です。
一口にテレアポといっても、その業務はリスト作成からフォローアップまで多岐にわたります。AIは、業務効率化と成約率の向上に大きく貢献します。
テレアポでAIを活用できるシーンを以下にまとめます。
- 自動架電:リストに沿ってAIが自動で電話をかけて受付通話まで対応
- 会話分析:録音した通話データを分析し顧客ニーズや重要なキーワードの洗い出し
- 見込み顧客の絞り込み:過去データから成約につながる可能性が高いリストを作成
上記はあくまでも一例ですが、テレアポにAIを活用すれば担当者はコア業務に集中でき、業務の質向上と効率化を図れるでしょう。
マーケティングオートメーション
AIを搭載したMAツール(マーケティングオートメーション)を活用すれば、見込み顧客の獲得から、育成・選別までのプロセスを自動化できます。
マーケティングオートメーションにおけるAIの活用領域は、以下の通りです。
- スコアリングの最適化:膨大なデータから成約の可能性が高いリードを選別
- パーソナライズ対応:顧客一人ひとりに合わせたフォローアップメールやコンテンツの自動配信
- A/Bテスト:AIが自動で効果の高いパターンの分析・選定
マーケティングオートメーションにAIを活用すれば、自動で次にすべきことを判断・実行します。結果として、データに基づいた精度の高いマーケティング施策を実行できるでしょう。
顧客分析・管理
AIは、CRM(顧客関係管理)ツールとの連携により、顧客データの分析や管理の質を向上させます。
分析精度が上がり、データを正しく管理できれば、顧客への理解が深まり良好な関係性構築につなげられるでしょう。
- 顧客データの統合や自動名寄せ
- 顧客行動を分析して最適なセグメントの作成
- 音声データから顧客の感情や意図の分析
- 行動データから離脱や解約のリスクが高い顧客の特定
これらは過去のデータに基づき予測しますが、AIは多くの情報を瞬時に分析でき、人では気付かない情報やパターンまで洗い出します。
これにより顧客自身が気づいていない潜在ニーズを洗い出せれば、顧客ロイヤリティの向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化を実現できるでしょう。
ターゲティング
マーケティング活動を最大化するには、ターゲティング精度が重要ですが、AIはターゲティング精度の向上に役立ちます。
たとえば、AIが過去データから成約につながる可能性が高い顧客を自動で特定する場合、人の経験や勘に頼ることがないため、客観的かつ精度の高い意思決定が可能です。
さらに、顧客行動から将来を予測し、ニーズが顕在化する最適なタイミングでアプローチすれば、広告費の無駄を削減できます。
パーソナライズドマーケティング
顧客は一人ひとり課題やニーズが異なるため、画一的なメッセージでは顧客の心を動かせません。
顧客の心を掴むには、パーソナライズマーケティングが重要であり、AIの導入により精度が向上します。
AIは顧客行動を予測し先回りできるため、顧客が求める情報を適切なタイミングで提供できます。
顧客が「自分のことを理解してくれている」とポジティブなイメージを持てば、エンゲージメントが高まり、やがてコンバージョン率向上につながるでしょう。
コピーライティング
AIを活用すれば、コピーライティングを自動化できます。
たとえば、複数のコピー案が必要な場合でも、AIなら瞬時に複数パターンを作成できます。
さらに、プロンプトを細かく設定しておけば、顧客データやペルソナに合わせて最適な文章やトーンを自動で調整できるのも強みです。
あくまでもAIはアシスタント的な位置づけですが、担当者は最終チェックのみで済むため、コア業務に集中できます。
SEO対策
リード獲得において、検索エンジンからの自然流入は非常に重要であり、成果を出すにはSEO対策が欠かせません。
また、SEO対策におけるAIは、戦略の立案やコンテンツ作成、サイトの技術的な改善などで、非常に重要な意味を持ちます。
たとえば、AIは、大量の検索データ・競合情報・順位変動などを瞬時に分析します。これにより、ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツテーマが明確化されれば、競合との差別化を図れるでしょう。
さらに、内部リンクや表示速度など、Webサイトの構造や性能に関する改善点もAIが自動で特定し、具体的な修正案を提示します。
このようにSEO対策にAIを活用すれば、データに基づいた客観的な意思決定が可能になり、集客効果を高められるでしょう。
クリエイティブ制作
生成AIは、クリエイティブ制作に活用できます。
たとえば、画像や動画が必要な場合は、プロンプトで指定すれば瞬時に作成します。
これにより、画像や動画制作に費やしていた時間や、外注コストの削減が可能です。
また、顧客一人ひとりの嗜好に合わせた広告を大量に作成したい場合にも、AIなら迅速かつ複数のデザインパターンなども作成できます。
Webサイト最適化
Webサイトの最適化は、最終的な成約につなげる重要な施策であり、AIの導入は非常に有効です。
たとえば、CTAボタンや問い合わせフォームを設置しても、導線が悪いと成果につながりません。そこでAIに分析させれば、成果につながりやすい導線を自動で予測・判断します。
さらに、AIによるヒートマップ分析を活用すれば、離脱ポイントを特定し、離脱する原因や求めている情報を洗い出すことが可能です。
このように、Webサイトの最適化にAIを活用すれば、顧客体験の向上やコンバージョン率の最大化を図れます。
SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティング
AIが得意とするビッグデータの分析は、SNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングに活用できます。
たとえば、SNSの投稿やコメントを分析すれば、トレンドやユーザーの感情を瞬時に把握できます。
また、フォロワーの属性に基づき、費用対効果の高いインフルエンサーの自動選定なども可能です。
その結果、ブランドと親和性の高いアプローチが可能になれば、広告効果やエンゲージメントの最大化につながるでしょう。
カスタマーサポート
顧客体験の質を高めるうえでは、カスタマーサポートへのAI活用が有効です。
たとえば、問い合わせ対応にAIチャットボットを導入すれば、時間や曜日を問わず24時間年中無休で対応が可能になります。
対応できるのは定型的な質問や簡単な問い合わせに限定されますが、待ち時間もなく自身で問題を解決できれば、顧客満足度の向上につながるでしょう。
さらにコールセンターにおいては、通話内容をAIが分析し、状況に応じて最適な回答や指示を出します。
トークスクリプトやマニュアル作成に活用すれば、新人育成やサポート品質の均一化にも役立つでしょう。
マーケティングにAIを導入する手順4ステップ

では次に、AIをマーケティングに導入する手順を4つのステップに分けて紹介します。
- 目標を明確に設定する
- 必要なデータを準備する
- AIツールを選定する
- 継続的に効果検証と改善を繰り返す
ステップ1.目標を明確に設定する
まず、どのような目的で何を達成したいのか、その目標を明確にしましょう。
目標が曖昧だと、導入するAIツールの選定基準がブレたり、効果測定ができなかったりするからです。
また、目標は「問い合わせ件数を〇%増やす」のように、数字を含めて具体的に設定することも大切です。
また、すべてをAIに代替できるわけではないので、どの業務を任せて、どのような成果を求めるのかも定義しましょう。
ステップ2.必要なデータを準備する
AIの精度は、学習に用いるデータの質に大きく左右されるため、データを準備する際には質の高さも重要です。
また、データが古かったり、誤った情報が含まれたりすると、精度が下がるので注意しなければなりません。
必要なデータを準備する際には、社内に散在するデータを統合し、不要なデータや重複したデータを取り除く「クリーニング作業」から始めましょう。
ステップ3.AIツールを選定する
必要なデータを準備したら、次はAIツールを選定します。
ツールを選ぶ際には、以下の点を意識しながら比較検討するとよいでしょう。
- 課題の解決に必要な機能が搭載されているか
- 既存システムとの連携が可能であるか
- 導入・運用コストが自社予算にマッチしているか
- 直感的に操作できて扱いやすいか
- サポート体制が整備されているか
ツールを選ぶ際は性能に注目しがちですが、自社の状況や予算、使いやすさなどを総合的に判断しながら選んでください。
ステップ4.継続的に効果検証と改善を繰り返す
AIツールを導入したら終わりではありません。
AIを最大限に活用するには、運用後も継続的に効果検証と改善を繰り返す必要があります。
効果検証の際には、ステップ1で設定した目標に対して、AIの効果がどれだけ出ているかを測定しましょう。
もし思うような成果が出ていない場合は、AIの設定を変えたり、データを追加して学習させたりする必要があります。
検証と改善には、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すとよいでしょう。PDCAサイクルを回すほどに、AIにデータが蓄積され精度が向上します。
マーケティングにAIを活用する際の注意点

マーケティングにAIを活用する際には、以下に紹介する5つの注意点をおさえておく必要があります。
- 質の高いデータを担保する必要がある
- AIの知識を持つ人材が必要になる
- コストが高くなる場合がある
- 情報得漏洩や著作権侵害のリスクがある
- 人による最終チェックが必要になる
以降でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
質の高いデータを担保する必要がある
マーケティングにAIを導入する手順の「ステップ2.必要なデータを準備する」でも述べたように、AIの精度は学習するデータの質で大きく変わります。
AIを活用して成果を出すには、質の高いデータの担保が欠かせません。
実際に導入・運用してみて精度に疑問が生じた場合は、データの質に原因があると考えられます。
導入後も継続的にデータ収集・統合のプロセスを見直し、整合性の取れた質の高いデータで学習させましょう。
AIの知識を持つ人材が必要になる
AIを導入しても、データ分析やAIに関する知識を持つ人材がいなければ活用できません。
そもそも、AIは導入して終わりではなく、継続的な学習と調整を繰り返しながら成長していくものです。
たとえば、AIはビッグデータを瞬時に分析しますが、結果が必ずしも正しいとは限りません。万能ではない部分もあるため、その都度人の手で調整が必要になります。
マーケティングにAIを導入して成果を出し続けるには、データとAIの橋渡しができる人材が必要になることに留意しましょう。
コストが高くなる場合がある
導入するツールによる違いはあるものの、初期費用以外にさまざまなコストが発生するケースがあります。
導入費用が自社予算にマッチしていても、追加費用が高くなる場合があるので注意しましょう。
たとえば、クラウドサービスを利用する場合では、データ量に応じて従量課金が発生するケースがあります。
また、AIを扱う人材の確保や育成には、採用・育成コストがかかることもあるでしょう。
コストについては、3〜5年と中長期的な視点で把握しておくことも大切です。
情報得漏洩や著作権侵害のリスクがある
AIの利用に際しては、情報漏洩や著作権侵害のリスクが少なからずあります。
例えば、個人情報や機密情報を含むデータを使用する場合、AIが学習に利用すると意図せず情報が外部に流出するケースは少なくありません。
また、既存コンテンツから画像や映像を作成する場合は、既存の著作物と酷似してしまい、著作権侵害の問題を引き起こす可能性があります。
こうしたリスクを回避するには「個人情報や機密情報をプロンプトに使用しない」のようなルールを設けておくとよいでしょう。
さらに、利用するAIツールの「セキュリティポリシー」や「著作権に関する規約」なども確認してください。
人による最終チェックが求められる
AIの精度が高くても、分析結果や生成した画像・映像は、100%正確であるとは限りません。というのも、AIは過去のデータに基づき最適解を出すため、事実とは異なる内容が含まれる可能性があるからです。
そのため、AIが生成した文章や画像はそのまま使用せず、必ず人の手で最終チェックをしましょう。
マーケティングにAIを活用した事例5選

では最後に、マーケティングにAIを活用した事例を5つ紹介します。
- 江崎グリコ
- 株式会社ライブドア
- 株式会社伊藤園
- 日本コカ・コーラ株式会社
- 大日本除虫菊株式会社
江崎グリコ株式会社
江崎グリコ株式会社は、バックオフィス業務の効率化を目的として、AIチャットボットを導入し、社内外のオペレーション業務の効率化に成功しました。
特に、社外からの問い合わせ窓口をAIチャットボットに任せることで、対人での対応が必要な問い合わせ件数が約31%減少しています。
さらに、AIを用いた需要予測によるマーケティングや商品開発への活用など、さまざまなシーンにAIを取り入れているのも特徴です。
参照:Allganize、Glicoグループのバックオフィス効率化をAIチャットボット「Alli」で支援
株式会社ライブドア
株式会社ライブドアは、AIを活用した24時間ニュース配信サービス「ライブドアニュース24」を公開しています。
このサービスには、ニュース配信までの一連の流れにChatGPTなどの生成AI技術を活用しているのも特徴です。
なお、ニュースキャスターには、人ではなくAI Tuberを採用し、デジタル世代やテクノロジーに関心を持つ新しい顧客層へのアプローチを図っています。
24時間体制での情報提供と、新規顧客層の獲得を両立させるという、革新的なマーケティング施策につなげた事例です。
株式会社伊藤園
株式会社伊藤園は、「お~いお茶 カテキン緑茶」のTV-CMにおいて、AIタレントを起用したことで注目を集めました。
約30年後の未来の自分と現在の自分が登場し、製品の機能性を訴求する構成です。さらに、商品パッケージには、生成AIが作成したデザインを採用しています。
AIをクリエイティブ制作に活用して、新しいブランドイメージを確立させた事例です。
参照:AIタレントを起用した「お~いお茶 カテキン緑茶」のTV-CM第二弾!新作TV-CM「食事の脂肪をスルー」篇を、4月4日(木)より放映開始
日本コカ・コーラ株式会社
日本コカ・コーラ株式会社は、生成AIを活用し、同社の商標資産を「民主化」する取り組みを進めています。
この取り組みは、デザイナーや一般ユーザーが、独自のアイデアで新しいコカ・コーラに関連するデザインを提案できるようにするものです。
その結果、ブランドの象徴的な要素が多様な視点から再構築され、企業とコミュニティそして消費者とのエンゲージメント向上につなげています。
参照:米コカ・コーラ「何が起こるか試したい」生成AIで商標資産を“民主化”する真意
大日本除虫菊株式会社
大日本除虫菊株式会社は、キンチョールの認知拡大を目的として、「ヤング向け映像」篇というテレビCMを制作しました。
この背景には、「若年層の殺虫離れ」の課題を解決するために、「シティ」「ポップ」「AI」「チル」などのヤングトレンドを取り入れているのが特徴です。
生成AIが作成したビジュアルイメージに、人の手を加えて温かみのある映像にしています。
クリエイティブ制作にAIを活用して、若年層へのリーチとブランド認知の向上につなげた事例です。
まとめ:マーケティングにAIを活用して企業の成長を加速させよう

AIは、情報収集から分析まで、マーケティング活動の領域で効率化と成果向上に不可欠です。
導入には、具体的な目標設定と質の良いデータの準備などの注意点もありますが、コツをおさえて上手に活用すれば、優秀なアシスタントとして活用できます。
本記事で紹介した情報を参考に、マーケティングにAIを活用して企業の成長に役立てましょう。


