営業パーソンの正しい評価とは?評価基準や指標・作り方を解説
営業評価は、多くの企業で売上さえ見ていればよいと考えられがちですが、それだけでは営業担当者の成果や能力を正しく評価できません。
売上の背景にある行動やスキル、顧客との関係づくりを見落としてしまうと、評価への不満やモチベーション低下につながる恐れがあります。
本記事では、営業評価基準の基本的な考え方から、具体的な評価指標(KPI)の項目例、営業スキルや力量を測るための評価ポイントまでを分かりやすく解説します。
人事担当者や営業管理職が、納得感のある評価制度を設計するために押さえておきたい視点を整理しました。
営業評価を「結果を見るだけの仕組み」から「成長と成果を支える仕組み」へと進化させたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
営業評価基準とは?人事評価における基本的な考え方

営業評価基準とは、営業担当者の成果や行動、成長の度合いを公平に判断するための判断軸です。
多くの企業では売上や契約数といった数値が重視されがちですが、それだけでは営業の実力や将来性を十分に捉えられません。
営業活動には、顧客との信頼関係づくりや提案内容の質など、結果に表れにくい要素も多く含まれています。
そのため、人事評価における営業評価基準では、「成果」だけでなく、以下の要点も反映させることで、より評価の納得感が高まるようになります。
- どのような行動が成果につながったのか
- どの部分が成長しているのか
企業が営業の評価制度を取り入れるメリット
営業の評価制度を整えることで、まず社員のモチベーション向上が期待できます。頑張りが正しく評価されることで、やりがいや達成感が生まれやすくなります。
また評価の軸が明確になれば、上司と部下の間で目標のすり合わせがしやすくなり、育成の方向性もぶれません。
さらに、優秀な人材を客観的に見極められるため、昇進や報酬の判断に納得感が生まれます。結果として、離職率の低下や組織全体のパフォーマンス向上にもつながり、企業の競争力を高める土台となるのです。
なぜ営業スキルや力量は評価しづらいのか

営業スキルや力量が評価しづらい理由の一つは、成果に個人差や外部要因が大きく影響する点にあります。
同じ努力をしても、担当する顧客や市場環境によって結果が変わるため、売上だけでは実力を正確に判断しにくいのが実情です。
さらに、ヒアリング力や提案力といった営業スキルは数値化しづらく、評価者の主観が入りやすい側面もあります。その結果、評価にばらつきが出たり、本人が納得できなかったりするケースも少なくありません。
こうした背景が、頑張っているのに評価されないという不満につながりやすく、営業評価を難しくしている要因といえます。
営業評価基準の作り方5ステップ

営業評価基準は、思いつきで決めてしまうと形だけの制度になりがちです。
ここでは、営業スキルや力量を正しく評価し、現場で機能する評価基準を作るための基本的な手順を紹介します。
- 評価の目的を明確にする
- 職種・役割ごとに評価軸を分ける
- 定量評価と定性評価のバランスを決める
- 評価基準を言語化・定義する
- フィードバック前提で設計する
評価の目的を明確にする
評価制度を作る前に、まず何のために評価するのかを明確にしましょう。目的があいまいだと、評価項目がぶれてしまい、社員にとっても納得感が得られません。
たとえば、成果を重視して報酬に反映したいのか、育成や能力開発に重点を置くのか、それとも組織全体のパフォーマンス向上を狙うのかによって、評価の設計は大きく変わります。
目的が明確であれば、評価項目の選定や配点もスムーズに決まりますし、社員にも評価の意図が伝わりやすくなります。目的の共有は、評価制度を機能させるための第一歩です。
職種・役割ごとに評価軸を分ける
営業といっても、新規開拓を担当する人と既存顧客を深耕する人では求められる役割が異なります。
また、チームリーダーと一般社員では責任の範囲も違います。そのため、職種や役割ごとに評価軸を分けることが大切です。
例えば、新規営業と既存営業で分けた場合、以下の指標を設定します。
- 新規営業:行動量やアポイント数を重視する
- 既存営業:リピート率や顧客満足度を重視する
一律の基準で評価すると、頑張っているのに評価されないという不公平感につながりかねません。役割に応じた評価軸を用意することで、誰もが納得できる仕組みになります。
定量評価と定性評価のバランスを決める
営業評価には、数字で測れる定量評価と、スキルや姿勢を見る定性評価の両方が必要です。
定量評価は売上や契約数など客観的で分かりやすい反面、プロセスや工夫が見えにくいという弱点があります。
一方、定性評価は成長や努力を評価できますが、主観が入りやすく公平性の確保が課題です。
| 評価の種類 | 主な評価内容 |
|---|---|
| 定量評価 | ・売上 ・契約数 ・達成率など |
| 定性評価 | ・行動 ・スキル ・姿勢 ・取り組みなど |
定量評価は、売上や契約数など数値で判断できるため客観性が高く、公平な評価を行いやすい点がメリットです。一方で、結果重視になりやすく、過程や工夫が評価されにくい点には注意が必要です。
定性評価は、行動や姿勢、スキルの成長など努力の過程を評価しやすいのが特徴です。ただし、評価者の主観が入りやすいため、評価基準を明確にしないと公平性を欠く恐れがあります。
このバランスをどう取るかが重要で、たとえば定量評価を60%、定性評価を40%といった配分を決めておくと評価がぶれにくくなります。
企業の方針や営業スタイルに応じて、最適なバランスを設定しましょう。
評価基準を言語化・定義する
評価項目を決めたら、次はその基準を具体的に言葉で定義します。
たとえば「提案力が高い」という項目があっても、人によって解釈が異なっては意味がありません。
そこで『顧客の課題を的確に把握し、具体的な解決策を3つ以上提示できる』といったように、できるだけ具体的に表現します。
また評価のレベルも「期待以上」「期待通り」「改善が必要」など段階を設け、それぞれの基準を明文化しておくと、評価者によるばらつきを減らせます。
言語化された基準は、評価の透明性と納得感を高める鍵です。
フィードバック前提で設計する
評価は、ただ点数をつけるだけでなく、成長につなげるためのものでもあります。そのため、フィードバックを前提とした設計が欠かせません。
評価項目ごとに、どこが良かったのか、どこを改善すべきかを具体的に伝えられる仕組みにしておきます。
また評価のタイミングも、年に一度ではなく四半期ごとや月次で振り返る機会を設けることで、早めの軌道修正が可能になります。
上司と部下が対話を通じて目標を共有し、次の行動につなげられる評価制度こそが、組織の成長を支える土台となります。
営業評価指標(KPI)の代表例

営業評価基準を実際に運用するためには、具体的な評価指標(KPI)の設定が欠かせません。売上のように結果を示す指標だけでなく、行動量や顧客との関係性、効率や利益への貢献度など、さまざまな視点から営業活動を測ることが重要です。
ここでは、営業評価でよく使われる代表的なKPIを、目的別に整理して紹介します。
金額・売上に関する評価指標
営業評価の中で最も基本となるのが、金額や売上に関する指標です。具体的には、月次売上高や受注金額、達成率、目標対比などが挙げられます。
これらは成果が数字で明確に表れるため、評価しやすく分かりやすいのが特徴です。
ただし、市場環境や担当エリアによって難易度が異なるため、公平性を保つには目標設定の工夫が必要です。
また売上だけを重視しすぎると、短期的な成果を追いすぎて顧客との信頼関係を損なうリスクもあります。他の指標とバランスよく組み合わせるようにしましょう。
件数・行動量に関する評価指標
売上だけでなく、営業活動のプロセスを測る指標も重要です。
たとえば、訪問件数や架電数、商談数、提案書の提出数などが該当します。こうした指標は、努力や行動量を可視化できるため、成果がすぐに出にくい新人や育成中のメンバーの評価に適しています。
また行動量を見ることで、成果が出ていない原因が量と質どちらかを分析する手がかりにもなります。
ただし、件数だけを追うと中身のない活動に陥る恐れもあるため、質を測る指標と併用することが望ましいです。
リピート率・継続率
既存顧客との関係を評価する指標として、リピート率や継続率があります。主に一度取引した顧客が再度購入してくれる割合や、契約を継続してくれる割合を示します。
リピート率が高いということは、顧客満足度が高く信頼関係が築けている証拠です。短期的な売上だけでなく、長期的な関係構築ができているかを測る大切な指標といえます。
特にサブスクリプション型のビジネスや、継続取引が前提の業界では、この指標が営業の質を判断する重要な基準になります。顧客との関係を大切にする文化を育てるためにも有効です。
業務効率・生産性の評価指標
営業の質を高めるには、効率や生産性も見逃せません。
たとえば、受注までにかかった平均商談回数、一件あたりの受注単価、訪問あたりの売上高などが代表的です。
これらの指標は、少ない時間や労力で高い成果を出せているかを測るもので、働き方改革が求められる現代において重要性が増しています。
また、無駄な業務を減らし、本質的な営業活動に集中できているかを確認する材料にもなります。
効率を評価することで、スマートに成果を上げる営業スタイルを組織全体に根付かせることができます。
コストダウン・利益率改善の評価指標
売上だけでなく、利益にどれだけ貢献しているかを見る指標も大切です。
具体的には、粗利率や値引き率、営業コスト対売上比率などが挙げられます。
売上が高くても、過度な値引きやコストがかかっていては企業の利益にはつながりません。利益率を意識した営業活動ができているかを評価することで、持続可能な成長を支える人材を育てられます。
また、無駄なコストを削減する工夫や、付加価値の高い提案ができているかも見えてきます。売上と利益のバランスを保つために、欠かせない視点です。
営業スキル・力量を測る評価項目例

営業の成果は数字だけでなく、日々の行動やスキルの積み重ねによって支えられています。そのため、営業評価では売上などの結果に加え、どのような力を発揮して成果につなげているのかを評価することが重要です。
ここでは、営業スキルや力量を把握するうえで代表的な評価項目を取り上げ、どのような視点で評価すべきかを整理して解説します。
- ヒアリング・課題把握力
- 提案力・課題解決力
- クロージング力
- 関係構築力・信頼形成
ヒアリング・課題把握力
顧客のニーズや課題を正しく引き出す力は、営業の基本スキルです。表面的な要望だけでなく、その背景にある本質的な課題を見抜けるかどうかが、提案の質を左右します。
評価のポイント
- 顧客の話を丁寧に聞けているか
- 適切な質問を投げかけられているか
- 潜在的なニーズを掘り起こせているか
このスキルが高い営業は、顧客から信頼され、的確な提案ができるため、成約率も高まります。
ヒアリング力を評価することで、顧客志向の営業スタイルを組織に浸透させることができます。
提案力・課題解決力
顧客の課題に対して、最適な解決策を提示できる力も重要な評価項目です。
商品やサービスの特徴を伝えるだけでなく、それが顧客にとってどんな価値をもたらすのかを分かりやすく説明できるかがカギです。
評価のポイント
- 提案内容の具体性
- 顧客の反応
- 提案の独自性やカスタマイズ性
また、複数の選択肢を用意し、顧客の状況に合わせた柔軟な提案ができているかも大切です。
課題解決力の高い営業ができれば、顧客にとって欠かせないパートナーになれます。
クロージング力
商談を最後まで進め、契約まで導く力がクロージング力です。どれだけ良い提案をしても、最後の一押しができなければ受注には至りません。
評価のポイント
- 適切なタイミングで契約を促せているか
- 顧客の不安や懸念を解消できているか
- 断られたときに粘り強く対応できているか
クロージング力が高い営業は、商談の成約率が高く、売上にも直結します。このスキルを評価し育成することで、組織全体の受注力を底上げできます。
関係構築力・信頼形成
長期的な取引を生み出すには、顧客との信頼関係が欠かせません。
関係構築力とは、誠実なコミュニケーションを通じて顧客との絆を深める力です。
評価のポイント
- 継続的に連絡を取れているか
- 顧客の立場に立った対応ができているか
- 困りごとに迅速に対応しているか
また、社内の関係者ともスムーズに連携できているかも重要です。
信頼される営業は、リピート率や紹介につながりやすく、安定した成果を生み出します。この力を評価することで、顧客との長期的な関係を大切にする文化が育ちます。
人事・管理職が陥りやすい営業評価の失敗例

営業評価でよくある失敗は、成果だけを見て過程を評価しないことです。
売上が高ければよいという姿勢では、無理な値引きや顧客との関係を犠牲にした短期的な営業が横行してしまいます。
また、評価基準があいまいで上司の主観に左右されると、不公平感が生まれモチベーションが下がります。
さらに、全員に同じ基準を当てはめることも問題です。役割や担当エリアの違いを考慮しないと、納得感が得られません。
評価後のフィードバックが不足している場合も、成長につながらず評価制度が形骸化してしまいます。
こうした失敗を避けるには、透明性と対話を大切にしましょう。
営業評価を成果と成長につなげる運用ポイント

評価制度は作って終わりではなく、運用の仕方が成果を左右します。
まず、評価結果をもとにした丁寧なフィードバック面談を実施しましょう。一方的に点数を伝えるのではなく、対話を通じて強みや改善点を共有します。
また、評価と連動した育成プランを用意することで、次の成長ステップが明確になります。
定期的に評価基準の見直しを行い、現場の声を反映させることも大切です。さらに、評価が報酬や昇進にどう影響するかを明示することで、納得感とやる気が高まります。
まとめ:営業評価基準と評価指標で力量を正しく可視化しよう
営業評価は、成果だけでなくスキルやプロセスも含めて多面的に行うことが重要です。明確な評価基準と適切な指標を設けることで、社員は何を目指せばよいかが分かり、成長の道筋が見えてきます。
また、公平で透明性のある評価は、組織への信頼とモチベーション向上につながります。
定量と定性のバランスを取り、役割に応じた評価軸を用意し、フィードバックを通じて育成につなげる。こうした仕組みを整えることで、営業の力量を正しく可視化し、組織全体の成長を支えることができます。
ぜひ自社に合った評価制度を構築し、営業力の強化に取り組んでください。


