コールセンターのAI導入事例15選!流れや失敗しないための注意点を解説
コールセンターの運営において、人手不足やオペレーターの負担増加、応対品質のばらつきといった課題に直面していませんか。
これらの課題を解決する手段として、AIの導入が注目されています。
AIチャットボットやボイスボットなどを適切に活用すれば、問い合わせ対応の自動化や受付時間の拡大が可能です。業務負担の軽減や運営コストの適正化、顧客利便性の向上につながる可能性があります。
この記事では、AI導入を成功させた企業の具体的な事例を15選紹介するとともに、導入のメリットや流れ、失敗しないためのポイントまで解説します。
目次
- コールセンターでのAIの導入が注目される理由
- コールセンターのAI導入事例15選
- トランスコスモス|生成AIを活用したオペレーター支援
- ベルシステム24|生成AIによるナレッジ活用・回答自動生成
- アルティウスリンク|AIチャットボット導入支援(日本航空事例など)
- NTTマーケティングアクトProCX|AI音声解析による応対品質向上
- 株式会社TMJ|AIによる応対要約の自動化
- りそな銀行|AIチャットボットで問い合わせ対応を効率化
- 三井住友カード|AIチャットボットによる自己解決を促進
- ソフトバンク|AI音声ボットによる電話受付
- KDDI|AIを活用した問い合わせ対応の効率化
- NTTドコモ|生成AI対応チャットによる顧客サポート
- 東京電力エナジーパートナー|AIチャットボットで問い合わせ対応
- ヤマト運輸|AIチャット/AIオペレータによる問い合わせ対応
- 佐川急便|LINEによる再配達・配送問い合わせの自動受付
- LINEヤフー|AIを活用したカスタマーサポートの効率化
- アスクル|AIチャットボットで顧客対応を効率化
- コールセンターで活用可能なAIの種類
- コールセンターにAIを導入するメリット
- コールセンターにAIを導入するときの流れ
- コールセンターにAIを導入するポイント
- コールセンターへのAI導入に関するよくある質問
- AI活用での営業支援はディグロス
- まとめ:コールセンターのAI導入事例を活用して自社の業務を効率化しよう
コールセンターでのAIの導入が注目される理由

AIの導入がコールセンター業界で急速に進んでいるのには、明確な理由があります。
深刻化する人手不足への対策はもちろん、オペレーターの働きやすい環境づくりや、顧客が求めるサービスの質を高めるうえでも、AIは重要な役割を果たします。
- 深刻な人手不足を解消できる
- オペレーターの負担を大きく減らせる
- 24時間365日対応できて顧客満足度が上がる
- いつでも同じ品質で対応できる
深刻な人手不足を解消できる
コールセンターがAI導入を進める大きな理由の一つは、深刻な人手不足を解消できる点にあります。
多くの業界で労働人口の減少が課題となる中、コールセンターは特に人材の確保が難しい職種とされています。
AIを導入することで、よくある質問への回答や定型的な手続きといった業務を自動化できます。
これにより、これまで人が対応していた作業の一部をAIに任せられるため、少ない人数でもコールセンターの運営を維持しやすくなります。
定型業務に必要な工数を減らせるため、限られた人員でも問い合わせ対応を継続しやすくなります。
オペレーターの負担を大きく減らせる
AIの導入は、オペレーター一人ひとりの負担を大幅に軽減する効果も期待できます。
コールセンターの業務には、同じ内容の問い合わせに繰り返し対応したり、通話後システムへ記録を入力したりといった、単純でありながら時間のかかる作業が多く含まれます。
これらの業務をAIが代行することで、オペレーターの時間的な負担を軽減できるほか、定型的な問い合わせに繰り返し対応する負担の緩和も期待できます。
空いた時間や労力は、AIでは対応が難しい複雑な相談に乗ったり、より丁寧な顧客対応をしたりといった、付加価値の高い業務に集中できるようになります。
これにより、働きがいが向上し、離職率の低下にもつながることが期待されます。
24時間365日対応できて顧客満足度が上がるから
顧客満足度の向上も、AI導入が注目される重要な理由です。
AIチャットボットやボイスボットを導入すれば、24時間365日、いつでも顧客からの問い合わせに対応できるようになります。
これまでは、企業の営業時間が終わると顧客は翌日まで待つしかありませんでした。
しかしAIであれば、夜間や休日でも簡単な質問への回答や手続きの受付が可能です。
顧客が営業時間外でも必要な情報を確認できるため、利便性の向上が期待できます。
待ち時間なくスムーズに対応できる体制は、顧客体験を大きく向上させ、ビジネスチャンスを逃さないことにもつながるのです。
いつでも同じ品質で対応できる
コールセンターにおける長年の課題の一つに、オペレーターの経験や知識によって対応品質に差が出てしまう「属人化」があります。
AIを導入することで、この課題を解決し、いつでも安定した品質の対応を提供できるようになります。
AIは、あらかじめ登録されたナレッジや回答ルールに基づいて応答するため、回答内容を一定の基準にそろえやすくなります。
新人オペレーターがベテランの知識を借りなければ答えられなかったような質問にも、AIが即座に正しい回答を提示してサポートします。
これにより、どのオペレーターが対応しても、あるいはAIが直接対応しても、顧客は同じ水準のサービスを受けられるようになり、企業全体の信頼性向上に貢献します。
コールセンターのAI導入事例15選

国内のさまざまな企業が、AIを導入してコールセンターの課題解決に取り組んでいます。
以降では、業界を代表する15社の具体的な導入事例を紹介します。
- トランスコスモス|生成AIを活用したオペレーター支援
- ベルシステム24|生成AIによるナレッジ活用・回答自動生成
- アルティウスリンク|AIチャットボット導入支援(日本航空事例など)
- NTTマーケティングアクトProCX|AI音声解析による応対品質向上
- 株式会社TMJ|AIによる応対要約の自動化
- りそな銀行|AIチャットボットで問い合わせ対応を効率化
- 三井住友カード|AIチャットボットによる自己解決を促進
- ソフトバンク|AI音声ボットによる電話受付
- KDDI|AIを活用した問い合わせ対応の効率化
- NTTドコモ|生成AI対応チャットによる顧客サポート
- 東京電力エナジーパートナー|AIチャットボットで問い合わせ対応
- ヤマト運輸|AIチャット/AIオペレータによる問い合わせ対応
- 佐川急便|LINEによる再配達・配送問い合わせの自動受付
- LINEヤフー|AIを活用したカスタマーサポートの効率化
- アスクル|AIチャットボットで顧客対応を効率化
各社がどのようなAI技術を活用し、どのような成果を上げているのかを見ていきましょう。
トランスコスモス|生成AIを活用したオペレーター支援
大手BPOサービスのトランスコスモスは、生成AIを活用したオペレーター支援システムを導入し、業務効率を大幅に向上させています。
このシステムは、顧客との対話内容をリアルタイムで分析し、オペレーターの画面に最適な回答の候補を自動で表示します。
これにより、オペレーターは迅速かつ正確な案内が可能になりました。
特に、より上位の管理者(スーパーバイザー)への確認が必要となる「エスカレーション」の発生率を6割も削減することに成功しています。
新人オペレーターでも自信を持って対応できるため、教育期間の短縮や応対品質の均一化にも大きく貢献している事例です。
参照:トランスコスモス、「CXスクエア」において生成AIによるコンタクトセンター運用支援機能を強化
ベルシステム24|生成AIによるナレッジ活用・回答自動生成
コールセンター大手のベルシステム24は、生成AIを駆使してナレッジの活用と回答の自動生成を進めています。
同社は、AIが通話データから自動でナレッジベースを構築・更新する機能を備えた、コンタクトセンター自動化ソリューション「Hybrid Operation Loop」の開発・提供を進めています。
従来は人が行っていたFAQの作成や更新作業をAIが担うことで、常に最新の情報に基づいた高精度な自動応答を実現することを目指しています。
また同社は別途、AIが有人のオペレーターのように通話応対する完全自動化技術も開発しており、2026年のサービス開始を目指しています。この技術により、応対の完全自動化で人手を従来から5割減らせる見通しであることも明らかにしています。
BPO業界全体のビジネスモデルを変える可能性を秘めた、先進的な取り組みといえるでしょう。
参照:ベルシステム24、国内初の通話データからナレッジベースを自動生成する機能を搭載した、コンタクトセンター自動化ソリューション「Hybrid Operation Loop」を開発開始
アルティウスリンク|AIチャットボット導入支援(日本航空事例など)
アルティウスリンク(旧KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズが統合)は、AIチャットボットの導入支援で豊富な実績を持ちます。
特に有名なのが日本航空(JAL)の社内ヘルプデスクに導入した事例です。
同社はJALのWebサイト上に24時間365日対応可能なAIチャットボットを導入・育成し、コロナ禍や日々変化する情勢に応じてFAQ内容を柔軟に更新することで、回答範囲カバー率90%以上を達成しています。
チャットボットで解決できない場合にのみ有人チャットへスムーズに引き継ぐ仕組みを構築し、利用者の満足度を維持しながら効率化を実現した好例です。
参照:ジャルパックのコンタクトセンターにAIチャットボットを導入し、 正答率・回答範囲カバー率ともに1か月で90%超を達成
NTTマーケティングアクトProCX|AI音声解析による応対品質向上
NTT西日本グループのNTTマーケティングアクトProCXは、AIによる音声解析技術を活用して応対品質の向上に取り組んでいます。
この技術は、顧客とオペレーターの通話音声をリアルタイムでテキスト化し、内容を分析するものです。
例えば、顧客が話すスピードや声のトーンから感情を読み取ったり、禁止用語の使用を検知して管理者にアラートを送ったりできます。
これにより、応対中のトラブルを未然に防いだり、通話後の評価を客観的なデータに基づいて行ったりすることが可能になります。
オペレーターへのフィードバックも具体的になるため、スキルアップ支援にもつながっています。
参照:カスタマーサポートの応対品質をAIで評価」均質にスコア化することで、体系的なコーチングの実現による応対品質向上に貢献
株式会社TMJ|AIによる応対要約の自動化
セコムグループのTMJは、AIを活用した応対内容の要約自動化に力を入れています。
オペレーターは通話終了後、顧客とのやり取りの内容をシステムに入力する「後処理業務」を行う必要がありますが、これが大きな負担となっていました。
同社ではAI Shiftと共同で、音声認識AIが通話内容を自動でテキスト化し、その内容を生成AIが要約してシステムに記録する実証実験を実施しています。
これにより、オペレーターは後処理業務に費やす時間を大幅に短縮でき、次の顧客対応に素早く移れるようになりました。
業務効率の改善はもちろん、オペレーターの負担軽減にも直結する実用的なAI活用事例です。
参照:TMJ、AI Shiftと共同でコンタクトセンターにおける生成AI活用の実証実験を開始
りそな銀行|AIチャットボットで問い合わせ対応を効率化
りそな銀行では、Webサイト等に「りそなAIチャット」を導入し、顧客からの問い合わせ対応の効率化を図っています。
口座開設の手続きや各種手数料、店舗の場所といった、よくある質問に対してAIが24時間自動で回答します。
これにより、顧客はコールセンターの営業時間を待つことなく、疑問をすぐに解決できるようになりました。
コールセンターへの入電数を削減できるため、オペレーターはより専門的な相談や複雑な手続きに集中できます。
金融機関ならではの正確性が求められる問い合わせ対応において、AIが人的リソースを最適化し、顧客サービスの向上に貢献している事例です。
三井住友カード|AIチャットボットによる自己解決を促進
三井住友カードは、AIチャットボットを積極的に活用し、顧客の自己解決を促進しています。
同社のWebサイトや会員向けアプリに搭載されたチャットボットは、「カードを紛失した」「支払日を確認したい」といった頻度の高い問い合わせに対して、対話形式で分かりやすく案内します。
多くの顧客がチャットボットで問題を解決できるようになった結果、コールセンターへの電話による問い合わせ件数が減少し、オペレーターの負担軽減につながりました。
また、顧客にとっても、電話がつながるのを待つ必要がなく、手軽に問題を解決できるというメリットがあります。
顧客と企業の双方にとって価値のあるAI活用を実現しています。
参照:チャット受付サービス|クレジットカードの三井住友VISAカード
ソフトバンク|AI音声ボットによる電話受付
ソフトバンクは、生成AIをベースとした高性能なAI音声ボット「X-Ghost」を開発・提供し、自社のコールセンター業務にも活用しています。
このボイスボットは、従来のIVR(自動音声応答システム)のように番号を選択する方式ではなく、顧客が自然な言葉で話した内容をAIが理解し、対話を進められます。
例えば、料金プランの確認や契約内容の変更といった手続きを、オペレーターを介さずにAIとの会話だけで完結させることが可能です。
これにより、入電の一次対応を大幅に自動化し、オペレーターの業務効率を向上させています。
参照:X-Ghost(クロスゴースト) – 生成AIオペレーティングプラットフォーム
KDDI|AIを活用した問い合わせ対応の効率化
KDDIは、自社開発の自律型AIエージェント「auサポート AIアドバイザー」を導入し、問い合わせ対応の次世代化を進めています。
このAIエージェントは、単に質問に答えるだけでなく、状況を自ら判断して複数の業務を遂行できるのが特徴です。
例えば、顧客からの問い合わせ内容に応じて、関連システムの情報を参照したり、必要な手続きを自動で実行したりします。
2026年3月からの導入時点では、au PAY・au PAYカード・Pontaポイントに関する問い合わせから対応を開始し、2026年度内をめどにauサービスに関わるすべての問い合わせへの導入拡大を目指しています。
より複雑で多岐にわたる顧客の要望に、AIがワンストップで応えることを目指しています。
参照:お客さまセンターの応対実績を基に独自開発した自律型AIエージェントによるお問い合わせ対応を開始
NTTドコモ|生成AI対応チャットによる顧客サポート
NTTドコモは、音声ボットとチャットボットの両面でAI活用を進めています。
同社グループの「ひかりTV」「ぷらら」のサポート窓口では、音声ボット「PKSHA Voicebot」の導入により、サポートへの全入電のうち20%以上をボイスボットで自動応答化することに成功しています。
また、生成AIに対応したチャットサポートも展開しており、より複雑でシナリオ化しにくい質問にも柔軟に対応できる体制を整えています。
通信業界特有の膨大な問い合わせに対し、AIを効果的に活用して顧客体験と業務効率の両方を高めている代表的な事例です。
参照:サポートへの入電のうち20%以上をボイスボットで自動応答化
東京電力エナジーパートナー|AIチャットボットで問い合わせ対応
東京電力エナジーパートナーは、引越しに伴う電気の利用開始・停止手続きといった定型的な問い合わせに、AIチャットボットとボイスボットを導入しています。
特に引越しシーズンは問い合わせが集中し、電話がつながりにくくなることが課題でした。
AIによる自動受付を導入したことで、顧客は24時間いつでもWebサイトや電話で手続きを済ませられるようになり、利便性が大きく向上しました。
コールセンター側も、繁忙期の入電を平準化でき、オペレーターの負担を軽減することに成功しています。
社会インフラを支える企業として、AIを活用して安定したサービス提供を実現しています。
参照:お引越しに伴う電気・ガスの使用開始・停止等の電話受付においてAI(人工知能)技術を活用した電話受付を開始いたします
ヤマト運輸|AIチャット/AIオペレータによる問い合わせ対応
ヤマト運輸は、再配達の受付業務にAIを導入し、業務効率化を実現しています。
顧客が集荷を依頼する電話をかけると、自動音声ガイダンスで「集荷のご依頼」を選択した場合に、AIオペレータにつながります。
AIが音声認識技術を用いて、集荷する場所や希望時間などを自動で聞き取り、受付を完了させます。対応が難しい場合や複雑な要望がある場合は、有人オペレーターへスムーズに引き継がれます。
電話が混み合う時間帯でも顧客を待たせることなく、スムーズな受付が可能となり、顧客満足度の向上にも貢献しています。
物流業界の膨大なオペレーションを支える、効果的なAI活用事例の一つです。
佐川急便|LINEによる再配達・配送問い合わせの自動受付
佐川急便は、多くの人が利用するコミュニケーションアプリ「LINE」を活用した自動受付システムを構築しています。
顧客は佐川急便の公式LINEアカウントを友だち登録することで、チャットボットとの対話を通じて、荷物の配送状況の確認や再配達の依頼ができます。
また、荷物の発送時に登録電話番号をもとにLINE上で配達予定を自動通知する「LINE通知メッセージ」も提供しており、特定地域では導入前後で再配達率が2%低減したという結果も報告されています。
顧客にとっても、電話をかける手間なく、使い慣れたアプリで手軽に手続きができるというメリットがあります。
顧客の生活スタイルに合わせたチャネルでAIを活用した好例です。
参照:特定地域の再配達率が2%減!ユーザーの利便性を高める佐川急便の「LINE通知メッセージ」活用術
LINEヤフー|AIを活用したカスタマーサポートの効率化
LINEヤフー(旧ヤフー)は、AIを活用してカスタマーサポートの効率化を図っています。
同社のサービスに関する問い合わせ窓口では、AIチャットボットが一次対応を行い、よくある質問に自動で回答します。
これにより、簡単な問い合わせの多くが自己解決されるようになりました。
また、AIが問い合わせ内容を分析し、適切な担当部署へ自動で振り分ける仕組みも導入しています。
これにより、顧客はたらい回しにされることなく、スムーズに専門の担当者へつながれます。
多様なサービスを展開する企業ならではの、膨大な問い合わせを効率的に処理するためのAI活用が進められています。
参照:【LINEヤフー】カスタマーサポートの舞台裏。問い合わせの80%をAIエージェントが対応する環境の礎は整った
アスクル|AIチャットボットで顧客対応を効率化
オフィス用品通販のアスクルが運営する個人向けECサイト「LOHACO」では、AIチャットボット「マナミさん」が活躍しています。
このチャットボットは、商品の配送状況や返品・交換の手続きなど、顧客からの幅広い問い合わせに24時間対応しています。
2016年の同社発表によると、当時の問い合わせ全体の約3分の1を「マナミさん」が自動で処理し、オペレーター6.5人分の業務量に相当する省人化効果を生み出していました。その後の報道によれば、現在ではマナミさんの対応割合は約半数まで拡大し、オペレーター換算で10人分以上の効果を上げているとされています。
これにより、オペレーターはより複雑な相談に集中できるようになり、サービス品質の向上にもつながっています。
ECサイトにおける顧客サポートの効率化と品質向上の両立に成功した事例です。
参照:お問合せAIチャットボット「アオイくん」に注文データを連携
コールセンターで活用可能なAIの種類

コールセンターで使われるAIには、いくつかの種類があり、それぞれ得意なことや役割が異なります。
自社の課題を解決するためには、どの種類のAIが最適なのかを理解することが大切です。
以降では、代表的な4つのAIについて、その特徴を解説します。
- ボイスボット(AIが音声で自動応答)
- チャットボット(AIが文字で自動応答)
- 応対支援AI(オペレーターの補助)
- 通話内容の要約・分析AI
ボイスボット(AIが音声で自動応答)
ボイスボットは、音声認識や音声合成の技術を用いて、電話での問い合わせに自動応答するシステムです。
顧客が電話をかけると、従来の「◯◯の方は1番を」といったプッシュ操作の代わりに、ボイスボットが「ご用件をお話しください」と自然な言葉で問いかけます。
顧客が話した内容をAIが音声認識技術で理解し、最適な回答を音声で返したり、適切な部署へ電話を転送したりします。
資料請求の受付や予約、簡単な質問への回答といった定型的な業務を得意としており、24時間対応が可能です。
オペレーターの一次対応の負担を減らし、顧客の待ち時間を短縮する効果が期待できます。
チャットボット(AIが文字で自動応答)
チャットボットは、Webサイトやアプリ、LINEなどの画面上で、AIがテキスト(文字)を使って自動で応答するプログラムです。
顧客が入力した質問のキーワードや文章の意図をAIが解析し、登録されたFAQやナレッジなどをもとに回答を提示します。
ボイスボットと同様に、よくある質問への回答や簡単な手続きの案内を得意とし、24時間稼働できます。
電話をかけるほどではないけれど疑問を解決したい、という顧客のニーズに応えるのに適しています。
コールセンターへの入電数を減らし、顧客が自分のペースで気軽に問題を解決できる手助けをするAIです。
応対支援AI(オペレーターの補助)
応対支援AIは、顧客と直接やり取りするのではなく、オペレーターの業務を裏側でサポートするAIです。
オペレーターが顧客と通話している最中に、その会話内容をリアルタイムでAIが分析します。
そして、顧客の質問に対する回答の候補や、関連するマニュアル、FAQなどをオペレーターのパソコン画面に自動で表示します。
これにより、新人オペレーターでもベテランのようにスムーズで正確な案内ができるようになります。
調べものにかかる時間を短縮できるため、通話時間が短くなり、業務効率が向上します。
オペレーターのスキルアップを助け、応対品質を均一化するうえで大きな役割を果たします。
通話内容の要約・分析AI
通話内容の要約・分析AIは、顧客との通話記録を有効活用するためのAIです。
まず、音声認識技術を使って、通話の音声データをすべてテキストに変換します。
次に、生成AIなどがその長文のテキストを解析し、重要なポイントをまとめた要約を自動で作成します。
これにより、オペレーターが通話後に行う応対履歴の入力作業(後処理業務)の時間を大幅に削減できます。
さらに、蓄積された大量のテキストデータを分析(テキストマイニング)することで、顧客の要望や不満(VOC:顧客の声)の傾向を掴み、商品やサービスの改善につなげることも可能です。
コールセンターにAIを導入するメリット

AIをコールセンターに導入することは、多くの利点をもたらします。
単に作業を自動化するだけでなく、運営コストの削減や顧客からの評価向上、さらには従業員の働きやすさ改善にもつながります。
以降では、AI導入がもたらす5つのメリットを見ていきましょう。
- 業務の効率が上がってコストを削減できる
- 顧客満足度が向上する
- オペレーターのストレスを軽減できる
- 24時間対応でビジネスチャンスを逃さない
- 対応品質のばらつきがなくなる
業務の効率が上がってコストを削減できる
AI導入の大きなメリットは、業務効率の向上によるコスト削減です。
これまで人が行っていた定型的な問い合わせ対応やデータ入力作業をAIが代行することで、オペレーターはより少ない時間で多くの業務をこなせるようになります。
これにより、残業時間の削減や、必要最小限の人員での運営が可能となり、人件費を抑制できます。
また、AIが新人オペレーターの教育をサポートすることで、研修にかかる時間やコストも削減できます。
顧客満足度が向上する
AIの導入は、顧客満足度の向上に直接的に貢献します。
AIチャットボットやボイスボットにより、顧客は24時間365日、好きなタイミングで問い合わせができるようになります。
「電話がなかなかつながらない」といった待ち時間のストレスからも解放されます。
簡単な質問であればAIが即座に解決してくれるため、問題解決までのスピードが格段に上がります。
また、オペレーターが対応する場合でも、AIの支援によってよりスムーズで的確な案内が可能です。
こうした質の高い顧客体験は、企業のブランドイメージや顧客ロイヤルティの向上につながります。
オペレーターのストレスを軽減できる
コールセンターの仕事は、精神的な負担が大きいと言われていますが、AIはそのストレスを軽減する助けとなります。
同じ質問に何度も答えたり、クレーム対応をしたりすることは、オペレーターにとって大変です。
AIが一次対応を担うことで、こうした定型業務や簡単なクレーム対応からオペレーターを解放できます。
また、応対支援AIが難しい質問への回答をサポートしてくれるため、「答えられなかったらどうしよう」という不安も和らぎます。
心に余裕が生まれることで、オペレーターはより丁寧で温かみのある対応に集中でき、仕事への満足度も高まるでしょう。
24時間対応でビジネスチャンスを逃さない
コールセンターの営業時間が限られていると、夜間や休日に商品やサービスに関心を持った顧客からの問い合わせを取りこぼしてしまう可能性があります。
AIを導入し、24時間対応の窓口を設けることで、こうした機会損失を防ぎます。
例えば、深夜にECサイトを見ていて疑問が湧いた顧客が、チャットボットですぐに解決できれば、そのまま購入に至るかもしれません。
営業時間外でも見込み客からの問い合わせや資料請求を自動で受け付けられるため、翌営業日にスムーズなアプローチが可能です。
AIは、眠らない営業担当として、新たなビジネスチャンスを創出する役割も担うのです。
対応品質のばらつきがなくなる
オペレーターの経験やスキルによって案内の質が変わってしまうことは、コールセンターが抱える根強い課題です。
AIを導入することで、誰が対応しても、いつ対応しても、常に一定水準の品質を保てます。
AIは、学習したデータに基づいて、常に正確で最新の情報を提供します。
感情に左右されることもなく、安定したパフォーマンスを発揮します。
また、応対支援AIを使えば、新人オペレーターでもベテランと同じ質の高い案内が可能になります。
対応品質が標準化されることで、顧客はいつでも安心してサービスを利用でき、企業への信頼感を深めることにつながります。
コールセンターにAIを導入するときの流れ

コールセンターへのAI導入を成功させるためには、計画的にステップを踏んで進めることが重要です。
思いつきで始めてしまうと、期待した効果が得られないばかりか、現場が混乱してしまう可能性もあります。
以降では、導入をスムーズに進める手順を4つのステップで紹介します。
- 課題を洗い出して目標を決める
- AIツールを選んで比較する
- 一部の業務で小さく試してみる
- 本格的に導入して改善を続ける
ステップ1.課題を洗い出して目標を決める
まず、自社のコールセンターが抱える課題を具体的に洗い出しましょう。
「待ち時間が長い」「オペレーターの負担が大きい」「コストがかかりすぎている」など、現状の問題点を明確にします。
次に、それらの課題を解決するために、AIを導入して何を達成したいのか、具体的な目標を設定します。
例えば、「AIで定型的な問い合わせの80%を自動化する」「平均応答時間を30%短縮する」といった数値目標を立てると、その後の計画が立てやすくなります。
この段階で目的が曖昧だと、導入そのものが目的化してしまい、失敗の原因となるため注意してください。
ステップ2.AIツールを選んで比較する
次に、ステップ1で設定した目標を達成するために、最適なAIツールを選びます。
コールセンター向けのAIツールには、チャットボットやボイスボット、応対支援システムなど、さまざまな種類があります。
それぞれのツールの機能や特徴、導入コスト、サポート体制などを比較検討しましょう。
例えば、電話での問い合わせを自動化したいならボイスボット、Webサイトからの質問に答えたいならチャットボットが適しています。
複数のベンダーから資料を取り寄せたり、デモンストレーションを見せてもらったりして、自社の課題解決に最も貢献してくれるツールを慎重に選ぶことが大切です。
ステップ3.一部の業務で小さく試してみる
いきなりコールセンター全体の業務にAIを導入するのはリスクが大きいため、まずは一部の業務範囲に限定して試験的に導入してみましょう。
これをスモールスタートやPoC(概念実証)と呼びます。
例えば、「営業時間に関する問い合わせ」や「資料請求の受付」など、特定の簡単な業務だけをAIに任せてみます。
この試行期間を通じて、AIが想定通りに機能するか、顧客やオペレーターがスムーズに使えるか、費用対効果はどれくらいか、といった点を確認します。
ここで見つかった問題点を改善し、効果や課題を確認してから対象業務を広げることで、本格導入後のリスクを抑えやすくなります。
ステップ4.本格的に導入して改善を続ける
スモールスタートで効果が確認できたら、いよいよ本格的な導入に進みます。
AIに任せる業務の範囲を段階的に広げていき、コールセンター全体の業務フローに組み込んでいきます。
ただし、AIは導入して終わりではありません。
導入後も、AIの応答精度が低い部分はないか、顧客は満足しているか、といったデータを収集・分析し、継続的な改善が不可欠です。
例えば、AIがうまく答えられなかった質問を定期的に学習させたり、顧客のフィードバックを元にシナリオを修正したりします。
こうした運用・改善を続けることで、AIはより賢くなり、導入効果を最大限に高められます。
コールセンターにAIを導入するポイント

AI導入を成功に導くためには、技術的な側面だけでなく、組織としての進め方にもいくつかの重要なポイントがあります。
目的を明確に持ち、現場のオペレーターと協力しながら、継続的に取り組む姿勢が求められます。
以降では、押さえておきたい5つのポイントを解説します。
- 導入する目的をはっきりさせる
- AIに任せる業務と人がやる業務をしっかり分ける
- オペレーターへの丁寧な説明を忘れない
- 導入して終わりではなく改善を続ける
- よくある失敗パターンと対策を知っておく
導入する目的をはっきりさせる
AI導入を検討するうえで重要なのは、「何のためにAIを導入するのか」という目的を明確にすることです。
「流行っているから」「他社がやっているから」といった曖昧な理由で始めると、適切なツール選びができず、導入自体がゴールになってしまいがちです。
「オペレーターの後処理業務の時間を平均20%削減する」「顧客の自己解決率を15%向上させる」のように、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。
目的がはっきりしていれば、導入プロセスで判断に迷ったときの指針となり、関係者全員が同じ方向を向いてプロジェクトを進められます。
AIに任せる業務と人がやる業務をしっかり分ける
AIは万能ではありません。
すべての業務をAIに任せようとすると、かえって顧客の不満を招いたり、システムが複雑になりすぎたりして失敗する可能性があります。
成功の鍵は、AIが得意なことと、人がやるべきことの役割分担を明確に決めることです。
例えば、よくある質問への回答やデータ入力といった定型業務はAIに任せ、クレーム対応や個別具体的な相談、共感が求められるような複雑な対応は経験豊富なオペレーターが担う、といった切り分けが考えられます。
このような人とAIが協働する「ハイブリッド運用」を設計することが、効率と顧客満足度を両立させるポイントです。
オペレーターへの丁寧な説明を忘れない
AI導入は、現場で働くオペレーターの協力なくしては成功しません。
中には「AIに仕事を奪われるのではないか」と不安を感じる人もいるでしょう。そのため、経営層や管理者は、なぜAIを導入するのか、導入によってオペレーターの仕事がどう変わるのかを丁寧に説明することが重要です。
「AIは単純作業を代行してくれるパートナーであり、皆さんにはより専門性の高い仕事に集中してもらいたい」といったメッセージを伝え、不安を払拭しましょう。
また、新しいツールの操作方法に関する研修を十分に行い、現場がスムーズに移行できるようサポートすることも大切です。
導入して終わりではなく改善を続ける
AIシステムは、一度導入すれば完成というわけではありません。
むしろ、導入してからが本当のスタートです。
AIの性能を最大限に引き出すためには、運用しながらデータを蓄積し、継続的に改善(チューニング)していく作業が欠かせません。
例えば、チャットボットがうまく答えられなかった質問を分析し、新しい回答を学習させたり、顧客の反応を見ながら対話のシナリオをより分かりやすく修正したりします。
定期的に効果測定を行い、目標達成度を確認しながら、PDCAサイクルを回していくことで、AIは自社の業務に最適化された、より強力なツールへと成長していきます。
よくある失敗パターンと対策を知っておく
AI導入には、いくつかの典型的な失敗パターンがあります。
例えば、「最初から100%の自動化を目指してしまう」「AIの認識精度を過信して例外対応を考えていない」「導入後の学習やメンテナンスの体制がない」などです。
これらの失敗パターンをあらかじめ知っておくことで、同じ失敗を避けられます。
対策としては、前述の通り、スモールスタートで始める、人とAIの役割分担を明確にする、継続的な改善計画を立てておく、といったことが挙げられます。
他社の成功事例だけでなく失敗事例からも学ぶことで、より確実な導入計画を立てることが可能です。
コールセンターへのAI導入に関するよくある質問

AIをコールセンターに導入するにあたり、多くの人が疑問や不安を抱くことでしょう。
以降では、特によく寄せられる3つの質問を取り上げて回答します。
- AIを導入するとオペレーターの仕事はなくなる?
- どんなコールセンターでもAIは導入できる?
- AIの応対の精度はどれくらい?
AIを導入するとオペレーターの仕事はなくなる?
結論、AIを導入しても現時点では、AIの導入によってオペレーター業務のすべてが代替されるとは限りません。
確かに、AIはよくある質問への回答やデータ入力といった定型的な業務を代替します。
しかし、これはオペレーターの仕事が「なくなる」のではなく、「変わる」と捉えるべきです。
AIにはできない、顧客の感情に寄り添った対応や、予期せぬトラブルへの柔軟な判断、複雑な課題解決といった業務は、今後ますます人間オペレーターの重要な役割となります。
AIをパートナーとして活用し、人はより付加価値の高い業務に専念する、という協働関係が未来のコールセンターの姿になるでしょう。
どんなコールセンターでもAIは導入できる?
基本的には、どのような規模のコールセンターでもAIの導入は可能です。
かつてはAI導入には高額な初期投資が必要でしたが、現在はクラウド型のサービスも提供されており、小規模な範囲から導入できる製品もあります。
ただし、初期費用や月額料金、利用量に応じた従量課金の有無は製品によって異なります。
重要なのは、企業の規模ではなく、AIを導入する目的が明確であることです。
特に、問い合わせ内容にある程度のパターンがあり、定型的な質問が多いコールセンターほど、AI導入の効果を実感しやすい傾向にあります。
まずは自社の課題を整理し、それを解決できる小規模なツールから試してみるのがおすすめです。
AIの応対の精度はどれくらい?
AIの応対精度は、技術の進歩により年々向上しています。
音声認識の精度は向上していますが、通話環境や話し方、専門用語の多さなどによって認識結果が変わります。そのため、自社の実際の通話データを使って事前に精度を確認することが重要です。
ただし、100%完璧ではないという点は理解しておく必要があります。
専門用語や方言、強い訛り、周囲の雑音などがあると、認識精度は低下する可能性があります。
また、AIが質問の意図を正確に汲み取れず、見当違いの回答をしてしまうこともあります。
重要なのは、導入後にAIの応答データを分析し、間違いを修正して再学習させるなど、継続的に精度を高めていく運用を行うことです。
AI活用での営業支援はディグロス

AIは、コールセンターの問い合わせ対応だけでなく、営業活動の効率化や商談創出にも大きく貢献します。
ディグロス株式会社では、AIコールサービス「CollaPath(コラパス)」を活用し、AIによる架電と人による営業を組み合わせた営業支援を提供しています。
AIが見込み顧客への一次アプローチやヒアリングを自動で行い、興味・関心の高いリードのみを営業担当へ引き継ぐことで、架電工数の削減と商談化率の向上を実現します。
また、当社では、通話データの分析によるトーク改善や顧客ニーズの可視化にも対応しており、継続的な営業品質の向上が可能です。
AIの導入によってコールセンター業務と営業活動を一体で最適化したい企業様は、ぜひご相談ください。
まとめ:コールセンターのAI導入事例を活用して自社の業務を効率化しよう

AIはもはや未来の技術ではなく、人手不足や品質課題といった現実的な問題を解決するための強力なツールです。
重要なのは、AIに全てを任せるのではなく、AIと人間がそれぞれの強みを活かして協力する体制を築くことです。
まずは自社の課題と導入目的を整理し、対象業務を限定して試験導入を行いましょう。
導入後も回答精度や利用状況を確認し、継続的に改善することで、AIの効果を高めやすくなります。


