カスタマーサクセスと営業の違いは?業務内容や連携のメリット・注意点を解説
カスタマーサクセスと営業は、どちらも顧客と接する仕事ですが、目的や担当するフェーズが異なります。
営業は契約の獲得を担い、カスタマーサクセスは契約後の顧客の成功を支援する役割です。
この違いを理解せずに連携すると、顧客への案内内容がずれたり、部門間で情報が引き継がれなかったりする場合があります。
この記事では、カスタマーサクセスと営業の違いを業務内容やKPIの観点から整理し、連携するメリットと注意点、連携を成功させるポイントまで解説します。
目次
カスタマーサクセスと営業との違いとは?

カスタマーサクセスと営業の違いは、担当するフェーズと目的にあります。
以降では、両者の役割の違いを5つの観点から確認します。
- カスタマーサクセスは顧客の成功を支援する役割
- 営業は契約獲得・売上拡大を担う役割
- 目的・KPI・評価指標の違い
- 担当する顧客フェーズの違い
- カスタマーサポートとの違い
カスタマーサクセスは顧客の成功を支援する役割
カスタマーサクセスとは、顧客が製品・サービスを使って成果を得られるように、契約後も継続的に支援する役割のことです。
問い合わせを待つのではなく、顧客の利用状況を確認しながら能動的に働きかける点が特徴です。
たとえば、SaaSサービスであれば、導入直後の使い方の案内や活用が進んでいない顧客への声かけなどを行います。
顧客の継続利用や成果創出を支援する役割を担い、営業と連携して顧客との関係を築いていきます。
営業は契約獲得・売上拡大を担う役割
営業とは、見込み顧客にアプローチして課題やニーズを把握し、契約の獲得につなげる役割です。
商談を通じて製品・サービスの価値を伝え、価格や導入条件を調整しながら受注を目指します。
営業は新規顧客の獲得など契約前の活動を中心に担い、カスタマーサクセスは契約後の活用支援を中心に担当します。
両者は担当するフェーズに違いがあるものの、企業によって業務範囲は異なります。
目的・KPI・評価指標の違い
営業とカスタマーサクセスは、目的とKPIが異なります。
営業の目的は、新規契約の獲得や売上の拡大にあり、受注数や売上高、商談件数などがKPIになります。
一方でカスタマーサクセスは、顧客の成果創出や継続利用の支援を目的とし、解約率や継続率、アップセル・クロスセルの件数などがKPIになることが多くあります。
評価指標が異なるため、同じ顧客に対して異なる目線でアプローチしている点を理解しておく必要があります。
担当する顧客フェーズの違い
営業とカスタマーサクセスは、担当する顧客フェーズが異なります。
営業が見込み顧客への提案や契約獲得を担当し、契約後の活用支援をカスタマーサクセスへ引き継ぐ体制を採用する企業も多くあります。
カスタマーサクセスは契約後の顧客を担当し、導入支援から契約更新、追加提案までを継続して担当します。
このフェーズの区切りがあいまいだと、顧客対応の抜け漏れにつながる場合があります。
カスタマーサポートとの違い
カスタマーサポートは、顧客から寄せられる問い合わせやトラブルに対応する役割が中心です。
対してカスタマーサクセスは、問い合わせを待たずに顧客の課題解決を積極的に支援する点が違いです。
名称は似ていますが、カスタマーサポートは不具合や使い方の質問対応、カスタマーサクセスは契約継続や活用促進を目的とする点で役割が異なります。
両者を兼務する組織もあるため、社内でどちらの役割を担うのか明確にしておくことが大切です。
カスタマーサクセスと営業の業務内容

以降では、営業とカスタマーサクセスがそれぞれ担う具体的な業務内容を解説していきます。
営業の業務内容
営業の業務内容は、見込み顧客の開拓から契約締結までの一連の活動です。
具体的には、リード(見込み顧客)へのアプローチ、ヒアリングによる課題把握、提案書の作成、商談での価格・条件交渉などを行います。
契約締結後は、カスタマーサクセスへ顧客情報や商談での合意内容を引き継ぐことも営業の業務に含まれます。
引き継ぎの精度が低いと、顧客が同じ説明を繰り返す負担を感じる場合があるため注意が必要です。
カスタマーサクセスの業務内容
カスタマーサクセスの業務内容は、契約後の顧客が製品・サービスを使いこなせるように支援することです。
具体的には、導入初期に使い方の案内、利用状況のモニタリング、活用が進んでいない顧客への声かけ、契約更新に向けたフォローなどを行います。
企業によっては、オンボーディング担当と活用促進担当のように業務を分業している場合もあります。
顧客の状況に応じて対応の濃淡を変える点も、カスタマーサクセスの業務の特徴です。
アップセル・クロスセルは両部門が連携して行う
アップセルとは既存顧客により上位のプラン・製品を提案すること、クロスセルとは関連する別の製品・サービスを提案することを指します。
どちらも既存顧客への提案であるため、カスタマーサクセスが顧客の利用状況から提案のタイミングを見極め、営業が価格交渉や契約手続きを担う、といった分業で進める場合が一般的です。
価格設定や契約条件の調整が必要な場合は、営業と連携して進めることで対応しやすくなります。
両部門が役割を整理して連携することで、顧客の利用状況やニーズに沿った提案につなげやすくなります。
カスタマーサクセスと営業が連携する5つのメリット

カスタマーサクセスと営業が連携すると、顧客対応と売上の両面でメリットが生まれます。以降では、5つのメリットを紹介します。
- 顧客満足度・LTVの向上につながる
- アップセル・クロスセルの成功率が高まる
- 解約率の低下が期待できる
- 顧客情報を共有して提案の質を高められる
- 部門間の引き継ぎがスムーズになる
顧客満足度・LTVの向上につながる
LTVとは、一人の顧客との取引期間を通じて生涯で得られる収益性を示す指標です。
営業が獲得した顧客をカスタマーサクセスが継続的に支援することで、製品・サービスの活用促進や顧客満足度の向上につながります。
満足度が高い顧客は契約を継続しやすく、結果としてLTVの向上につながりやすくなります。
営業とカスタマーサクセスの連携は、継続利用や追加契約を促し、LTV向上につながる施策の一つです。
アップセル・クロスセルの成功率が高まる
カスタマーサクセスは、顧客の利用状況を把握しているため、追加提案に適したタイミングを見つけやすい立場にあります。
その情報を営業と共有することで、的外れな提案を避け、顧客のニーズに合ったアップセル・クロスセルを提案しやすくなります。
情報共有が不十分な場合、顧客の利用状況やニーズと合わない提案につながる可能性があります。
連携によって提案の精度を高められる点は、両部門が協力する大きな理由の一つです。
解約率の低下が期待できる
営業とカスタマーサクセスが連携し、契約前の期待値と契約後の実際の使い方にズレが生じないようにすることで、解約率の低下が期待できます。
営業が契約時に伝えた内容と、カスタマーサクセスが案内する使い方に食い違いがあると、顧客が不満を感じてしまいます。
両部門で契約時の期待や利用目的を共有し、顧客の成果創出を支援することが解約防止につながります。
顧客情報を共有して提案の質を高められる
営業が商談で得た顧客の課題やニーズ、カスタマーサクセスが把握している利用状況を共有することで、顧客への提案の質が高まります。
たとえば、営業だけでは気づけない活用上の課題を、カスタマーサクセスの情報から把握できる場合があります。
逆に、カスタマーサクセスだけでは分からない導入の背景や決裁の事情を、営業の情報から把握できる場合もあります。
両部門の情報を組み合わせることで、顧客の状況をより多角的に把握できます。
部門間の引き継ぎがスムーズになる
営業とカスタマーサクセスが日常的に連携していると、契約成立時の引き継ぎがスムーズになります。
商談内容や顧客の要望をあらためて聞き直す必要がなくなるため、顧客の手間を減らせます。
引き継ぎの手間が減ると、顧客体験の向上だけでなく、両部門の業務効率化にもつながります。
連携の仕組みが整っていない場合、引き継ぎ時に必要な情報が漏れる可能性があります。
カスタマーサクセスと営業が連携するときの注意点

連携にはメリットがある一方で、進め方を誤ると部門間の対立につながりかねません。
以降では、連携前に押さえておきたい注意点を5つ紹介します。
- 役割と責任範囲を明確にする
- KPIが部門ごとに対立しないように設計する
- 顧客情報をCRM・SFAで一元管理する
- 顧客への案内内容にズレが生じないようにする
- 情報共有だけで終わらず改善につなげる
役割と責任範囲を明確にする
連携を進める前に、どこまでを営業が担当し、どこからをカスタマーサクセスが担当するのかを明確にしておく必要があります。
役割が曖昧なままだと、顧客対応が重複したり、逆にどちらも対応しない抜け漏れが発生する場合があります。
契約締結のタイミングを引き継ぎの基準にするなど、具体的な線引きを決めておくことが有効です。
組織の規模や営業体制に応じて、適切な役割分担を設定することが重要です。
KPIが部門ごとに対立しないように設計する
営業は受注件数や売上、カスタマーサクセスは継続率や解約率など、重視するKPIが異なるため、設計を誤ると部門間で目線が対立する場合があります。
たとえば、営業が受注数を過度に重視すると、カスタマーサクセスが対応しきれない顧客を抱えてしまう可能性があります。
両部門が納得できる共通の目標を設定し、対立が起きにくい評価の仕組みを作ることが重要です。
評価制度の見直しは、経営層や部門責任者の協力が必要になる場合があります。
顧客情報をCRM・SFAで一元管理する
CRMとは顧客情報を管理するシステム、SFAは営業活動を管理・支援するシステムのことです。
営業とカスタマーサクセスが別々のツールや資料で顧客情報を管理していると、連携のたびに情報をまとめ直す手間が発生します。
CRM・SFAで顧客情報を一元管理しておくことで、両部門が最新の顧客情報を共有しやすくなります。
ツールの導入・運用には一定のコストがかかるため、組織の規模に合った選定が必要です。
顧客への案内内容にズレが生じないようにする
営業が契約時に伝えた内容と、カスタマーサクセスが案内する内容にズレがあると、顧客に不信感を持たれかねません。
特に、営業が製品・サービスで実現可能な範囲を超えて説明すると、カスタマーサクセスが後からその期待を修正する対応に追われることになります。
製品・サービスの仕様や提供範囲について、両部門で認識を統一しておくことが重要です。
契約前の説明内容は、社内で共有しておくと食い違いを防ぎやすくなります。
情報共有だけで終わらず改善につなげる
顧客情報を共有すること自体は手段であり、目的ではありません。
共有した情報をもとに、提案内容や対応方法を改善しなければ、連携の効果は限定的になります。
定期的に振り返りの場を設け、共有した情報がどのように活用されたかの確認が必要です。
情報共有を形骸化させないため、定期的に運用方法や顧客対応を見直しましょう。
カスタマーサクセスと営業の連携を成功させるポイント

以降では、カスタマーサクセスと営業の連携を実務でどう進めればよいか、5つのポイントを紹介します。
- 共通KPIを設定する
- 商談時の情報をカスタマーサクセスへ正確に引き継ぐ
- 顧客の利用状況や課題を営業へ共有する
- 定例ミーティングで成功事例・課題を共有する
- 新規開拓と既存顧客対応の分業体制を整える
共通KPIを設定する
営業とカスタマーサクセスがそれぞれのKPIだけを追うと、連携が形式的になりやすくなります。
LTVや顧客満足度など、両部門で共有できるKPIを設定することで、連携の方向性を揃えやすくなります。
個別のKPI(受注数・解約率など)は残したまま、共通KPIを部門間の方向性をそろえる指標として活用できます。
共通KPIは、部門間の話し合いの起点としても活用できます。
商談時の情報をカスタマーサクセスへ正確に引き継ぐ
営業が商談で聞き取った顧客の課題や期待、決裁の背景は、カスタマーサクセスにとって初期対応の重要な手がかりになります。
口頭での引き継ぎだけに頼ると、情報が抜けたり伝わり方が変わったりする場合があります。
商談メモや提案内容をCRMなどの共通の場所に記録し、カスタマーサクセスがいつでも確認できるようにしておくことが有効です。
引き継ぎのフォーマットを社内で統一しておくと、担当者が変わっても情報の質を保ちやすくなります。
顧客の利用状況や課題を営業へ共有する
カスタマーサクセスが把握している顧客の利用状況や課題は、営業がアップセル・クロスセルを提案する際の判断材料になります。
逆に、営業に情報が伝わっていないと、顧客の実情に合わない提案をしてしまう可能性があります。
利用状況をまとめたレポートを定期的に営業へ共有するなど、一方通行にならない情報の流れを作ることが大切です。
共有する情報は、提案に使える範囲に絞って整理しておくと活用しやすくなります。
定例ミーティングで成功事例・課題を共有する
営業とカスタマーサクセスが定期的に情報交換する機会を設けることで、日々の業務では気づきにくい課題を共有できます。
成功事例を共有すると、他の顧客対応にも応用できる知見が蓄積されやすくなります。
一方で、課題やうまくいかなかった事例も合わせて共有することで、同じ問題の再発を防ぎやすくなります。
ミーティングの頻度は組織の規模に応じて調整し、無理のない範囲で継続することが重要です。
新規開拓と既存顧客対応の分業体制を整える
営業が新規開拓と既存顧客対応を兼務すると、業務負荷が高まり、それぞれの活動に十分な時間を確保できない場合があります。
既存顧客への継続対応をカスタマーサクセスに任せることで、営業は新規契約の獲得に集中しやすくなります。
分業の範囲は組織の規模によって異なり、小規模な組織では営業がカスタマーサクセスの業務を兼務する場合もあります。
自社の組織規模や業務量に応じて、適切な役割分担の設計が重要です。
営業活動の効率化ならディグロス

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営業リソースの不足や新規開拓の効率化に課題を抱えている企業は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ:カスタマーサクセスと営業の違いを理解して連携を強化しよう

カスタマーサクセスと営業は、契約前後で担当するフェーズと目的が異なる役割です。
違いを理解したうえで顧客情報を共有し、共通KPIを設定して連携を進めることで、顧客満足度やLTVの向上が期待できます。
自社の営業とカスタマーサクセスの役割分担を整理し、情報共有やKPI設計などの連携体制を整えることが重要です。


