コールセンターの離職率が高いのはなぜ?7つの理由と改善方法9選を解説
企業の顔として顧客のさまざまな要望に対応するコールセンターは、離職率が高いことでも知られています。
オペレーターが不足すれば、コールセンターの運営は成り立ちません。コールセンターの運営を検討するにあたって、不安に思う担当者も少なくないでしょう。
そこで本記事では、コールセンターの離職率が高い理由と、離職率が高まることで生じる影響について解説します。離職率を下げる対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
コールセンターの離職率は増加傾向にある
コールセンターの離職率は、年々増加する傾向が見られます。
コールセンタージャパンが2019年に取り上げた特集でも、新人オペレーターの離職率推移が高まっていることがわかります。
割合 | 2013年 | 2018年 |
---|---|---|
10%以下 | 57.3% | 26.7% |
11~30%以下 | 28.9% | 8.6% |
31~51%以下 | 5.8% | 15.1% |
51~70%以下 | 1.3% | 18.5% |
71%以上 | 0.9% | 22.0% |
無回答・不明など | 5.8% | 9.1% |
2013年には半数以上を占めていた10%以下が、2018年には約半数の割合になっています。
31%以上の割合が大幅に増えていることから、コールセンターの離職率が上昇している点がうかがえるでしょう。
コールセンターの離職率が高い7つの理由
それでは、コールセンターの離職率が高い理由を7つ紹介します。
- トラブル・クレーム対応が精神的につらい
- 覚えないといけないことが非常に多い
- 課せられるノルマが厳しい
- 業務が煩雑化しやすい
- モチベーションが上がらない
- 研修やサポート体制が整備されていない
- スキルアップできない
トラブル・クレーム対応が精神的につらい
コールセンターの離職率を高める要因として最も多いのが、トラブルやクレーム対応で精神的につらい思いをすることです。
お互いの顔が見えない電話での対応は、顧客に失礼のないよう細心の注意を払わなければなりません。
特にクレームやトラブルにまつわる電話の場合は、顧客から厳しい言葉を投げかけられることもあるでしょう。
毎日のようにクレーム対応に追われていると、精神的な負担が大きくなり離職につながります。
覚えないといけないことが非常に多い
覚えないといけないことが非常に多いのも、離職率を高める要因の一つです。
オペレーターは電話対応のマナーにも、さまざまなことを覚えなければなりません。
経験を積めば知識やノウハウは蓄積されますが、新人オペレーターは膨大な知識を身につけることを求められます。さらに、新商品が出れば知識のアップデートが必要です。
覚えられないことでトラブルに発展すれば、辞めたいと考えるようになります。
課せられるノルマが厳しい
ノルマが厳しいのも離職率を高める要因とされています。
特に、アウトバウンド業務では、成約率のノルマを達成できないと自信を喪失したりストレスが大きくなったりするでしょう。
ノルマを達成できないことでのペナルティはなくても、自信を失えばやる気もなくなり離職につながる可能性が高くなります。
業務が煩雑化しやすい
コールセンターは、業務が煩雑化しやすいのも離職率に関係していると考えられます。
オペレーターは電話対応以外にも、資料作成やメール処理などさまざまな業務をこなさなければなりません。
離職者が出た場合は、在籍者の業務負担が増えるので拘束時間も長くなるでしょう。このような悪循環は、更に離職率を高める恐れがあります。
モチベーションが上がらない
モチベーションが上がらないのも、離職率を高める要因になりえます。
オペレーターは、スタッフ同士でのコミュニケーションが取りづらい傾向があります。
膨大な知識を詰め込み、黙々と仕事をこなす日々が続けば、モチベーションを保つことすら難しくなるでしょう。
研修やサポート体制が整備されていない
新人オペレーターの研修やサポート体制が万全でなければ、業務に支障が出ます。
知識不足のまま業務にあたれば、顧客からの要望に応えるのは困難でしょう。それが原因でトラブルに発展し、顧客から責められればオペレーターは自信を失いかねません。
そのような体制の企業に対して不信感も生まれるでしょう。信頼できない企業で働けないと思えば、離職につながります。
スキルアップできない
オペレーター業務は、ルーチンワークがメインです。
業務に必要な膨大な知識やノウハウは身についても、それ以外のスキルを身につけるのは困難です。
スキルアップを目標にする場合は、限界を感じて離職を選ぶこともあります。
コールセンターの離職率が高まると生じる影響
次に、コールセンターの離職率が高まることで生じる影響について解説します。
- 生産性が低下する
- 顧客満足度の低下につながる
- 管理者に負担が集中する
- 採用コストがかかる
生産性が低下する
離職率の増加は、生産性の低下につながる恐れがあります。
離職者が出ても、業務量は変わりません。電話対応やその他の業務は、在籍しているオペレーターが対応することなり、業務負担が増えます。
ただでさえ煩雑化しやすいところに、業務負担が増えれば業務効率が低下しかねません。
業務負担が増えたことで更に離職者が出れば、生産性は低下し続けます。
顧客満足度の低下につながる
顧客満足度の低下につながるのも留意点です。
そもそも、コールセンターには「顧客満足度を向上させる」という目的があります。離職率が高まればオペレーター不足になり、応対品質の低下につながるでしょう。
電話がつながるのに時間がかかったり、オペレーターの経験不足で顧客満足度が低下したりすれば、企業の信頼を損ないかねません。
管理者に負担が集中する
管理者の負担が増えるのも懸念点です。
人材不足の状態が続けば、在籍オペレーターだけでは対応しきれないことも出てくるでしょう。
その場合は、管理者に負担が集中する恐れがあります。
負担増加により管理者が離職すれば、コールセンターの存続が危ぶまれる事態になりかねません。
採用コストがかかる
離職率が高まれば、採用コストがかかります。
離職率が出た場合、早急に人材を補充しなければ、さらなる離職者の増加につながりかねません。
採用には、求人広告費用がかかります。さらに新人オペレーターの育成にも研修やマニュアルの最適化などにも費用がかかるでしょう。
コールセンターの離職率を低下させるために取り入れたい対策9選
では最後に、コールセンターの離職率を低下させるために取り入れるべき対策9つ紹介します。
- 研修やサポート体制を整備する
- 給与制度を見直す
- 働きやすい職場環境を作る
- 適切な評価制度とフィードバックを取り入れる
- 業務システムを導入する
- コールセンターで得られるスキルをアピールする
- コールセンターの適性があるか採用時点で見極める
1on1できめ細やかなメンタルケアを行う
離職率を低下させるには、オペレーターのメンタルケアが欠かせません。
1on1ミーティングで、細やかなメンタルケアを実施してください。
オペレーター同士のコミュニケーションが難しくても、上司やカウンセラーに悩みを打ち明けられれば気持ちが楽になる可能性があります。
ストレスのはけ口ができれば、オペレーターの精神的負担も軽減されるでしょう。
ただし、一度のケアでは解決しないことも多いので、定期的に継続することが大切です。
1on1は、研修に取り入れることもできます。
新人研修の一環として、ベテランオペレーターの業務を見学したり、新人オペレーターにベテランが指導したりすれば、不安を軽減できるでしょう。
研修やサポート体制を整備する
研修やサポート体制の整備も重要です。
研修やサポートが不十分だと、新人オペレーターは戸惑うことも多いでしょう。
新人研修にはコストもかかりますが、離職者が増えれば採用コストがかさみます。
そして、マニュアルの作成と最適化も重要です。
マニュアルがあれば、オペレーターが対応に困ったとき、エスカレーションしなくても自身で対応できる可能性があります。
オペレーターの自信につながるだけでなく、業務効率や顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
給与制度を見直す
給与制度の見直しも有効です。
オペレーター業務は煩雑化しやすいため、給与と業務量が見合ってないと感じるのも離職率を高める要因になりえます。
コールセンター全体の離職率が高まる傾向が見られるため、好条件をアピールすれば人材は集まりやすいでしょう。
働きやすい職場環境を作る
オペレーターが働きやすいと思える環境作りも必要です。
- 設備や制度を見直す
- シフトを見直す
長時間座っても疲れにくい座り心地の良い椅子や、業務負担を軽減するシステムの導入を検討してください。
シフトの選択肢が限られると、働きづらいと感じることもあるでしょう。シフトを多様化して選択肢を増やせば、プライベートな時間が増え心にもゆとりが生まれます。
コールセンターは女性が多い職場なので、産休・育休制度の導入や、施設内にキッズスペースを作るといった取り組みなど、働きやすい環境作りが必要です。
オペレーターごとにノルマを見直す
オペレーターごとに、ノルマの見直しをしてください。
経験やスキルには個人差があるため、業務内容に差が出るのは仕方ないことです。厳しいノルマを課せれば達成できず自信を失うことにつながりかねません。
ノルマはオペレーターごとに、達成できる範囲を見極め設定することが大切です。
適切な評価制度とフィードバックを取り入れる
オペレーターごとに、適切な評価とフィードバックを取り入れてください。
評価制度を導入する際は、「どのように評価しているのか?」その項目をオペレーターにも伝えるのが重要です。
仕事を評価してもらえるのは、オペレーターのモチベーションアップにもつながります。
業務システムを導入する
業務システムを導入するのも有効です。
コールセンター業務は煩雑化しやすいため、オペレーターの負担が大きいほど離職率を高める恐れがあります。
システムの導入により、業務負担が軽減されればオペレーターの応対品質も向上するでしょう。
システムは社内で情報を共有しやすいのもメリットです。
コールセンターで得られるスキルをアピールする
コールセンターで得られるスキルが、電話応対に関するものだけではないことをアピールしましょう。
コールセンターでは、電話のマナーだけでなく、パソコンスキルやコミュニケーションスキル、トークスキルなども身につきます。
顧客の話を傾聴したり、トラブルに迅速に対応したりといったスキルは、日常生活にも役立つでしょう。
コールセンターの適性があるか採用時点で見極める
オペレーターを採用する際は、コールセンターの適性があるか見極めることが大切です。
慢性的な人材不足に陥っていると、希望者であればすぐに採用することもあるでしょう。
しかし、採用した人材がコールセンターに向いていなければ、研修に時間をかけてもすぐに辞めてしまう恐れがあります。
コールセンターの適性があるか、適職診断などで採用時に見極めましょう。
コールセンターのアウトソーシングで離職の影響を軽減
コールセンターをアウトソーシングすれば、離職率の軽減に繋がる可能性があります。
株式会社ディグロスでは、成果報酬型テレアポ代行サービスを提供しています。
1,000社以上の支援実績があり、アポイントメント獲得とプロデュース力に特化しているのが強みです。
初期費用や固定費はかかりませんし、成果報酬型なので低コストで導入できます。1ヶ月単位からのご契約も可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ:コールセンターの人材が離職しない体制づくりをしよう
コールセンターの離職率は高い傾向が見られます。
企業の顔として顧客に対応するため、応対品質が低下すれば企業のイメージを損ないかねません。
本記事で紹介した離職率を下げる方法を参考にしながら、オペレーターが働きやすい環境作りを目指してください。