BPOサービスとは?アウトソーシングとの違いやメリットについて解説
国内における人手不足の深刻化は、多くの企業が抱えている課題です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表したデータによると、2018年からD.I.値(プラスは過剰・マイナスは不足を表す)がマイナスの状態から回復できていません。
2024年には、全企業平均が-28ポイントと過去最低値となっており、人手不足が深刻化していることを示唆しています。
こうした課題を解決する方法として、BPOサービスが注目されるようになりました。
とはいえ、BPOサービスは業務によって向き不向きがあるため、自社が抱える課題に対応できるかを確認したうえでの導入が求められます。
そこで本記事では、BPOサービスについて詳しく解説します。アウトソーシングとの違いや導入するメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
BPOサービスとは自社業務の一部を外部に委託するサービス
BPO(Business Process Outsourcing)は、自社業務の一部を外部に委託するサービスのことです。
具体的には、企画や設計といった上流工程から、実施や試験運用といった下流工程までのプロセスを一括で外注します。
人手不足で業務をスムーズに遂行できない課題を抱える企業でも、BPOサービスを利用すれば応対品質を落とすことなく顧客に対応できるでしょう。
BPOサービスとアウトソーシングの違い
アウトソーシングも業務委託のことを指しますが、BPOサービスとは異なる点がいくつかあります。
BPOサービス | アウトソーシング | |
---|---|---|
業務範囲 | 業務の一部を委託 | 丸ごと委託 |
期間 | 中長期的 | 短期的 |
役割 | 企業の課題を解決するパートナー | 人員の確保 |
BPOサービスは業務の一部を継続的に委託しますが、アウトソーシングは単一業務の外部委託であり、前後のプロセスは自社で対応します。
さらに、BPOサービスでは中長期的に継続するのに対して、アウトソーシングは短期的または一時的な委託が多いのも特徴です。
BPOサービスに向いている業務
BPOサービスには、向いている業務と不向きな業務があるため、外注する際は事前の確認が必要です。
BPOサービスに向いている業務と業務内容例を以下の表にまとめました。
業務 | 業務内容 |
---|---|
バックオフィス | 人事:勤怠管理、労務関係、福利厚生など 経理:決算処理、国税関連手続き、収益分析など 総務:契約関係、資料作成、在庫管理など |
フロントオフィス | 営業:顧客情報の管理、資料作成など 製造:企画・研究、組立・加工、点検など 販売:シフト管理、在庫管理、受発注など |
コールセンター | インバウンド:問い合わせ対応、カスタマーサポート、ヘルプデスクなど アウトバウンド:テレアポ、テレマーケティング、既存顧客へのフォローなど |
マーケティング | 広告運用、情報収集、データ分析など |
IT・システム(ITO) | システム運用、セキュリティ管理、ヘルプデスクなど |
このように、業務によって内容は異なりますが、専門性の高いスキルや知識が求められる業務において、自社対応が難しい場合にBPOサービスが適しています。
BPOサービスを利用する4つのメリット
では次に、BPOサービスを利用するメリットを4つ紹介します。
- 自社スタッフはコア業務に集中できる
- 業務品質が向上する
- コスト削減につながる
- 人手不足を解消できる
自社スタッフはコア業務に集中できる
人手不足の課題を抱える場合は、コア業務以外の事務作業まで全て限られたリソースで対応しなければなりません。
事務作業に手間取りコア業務に支障が出れば、顧客対応が後回しになる恐れがあります。
そこで、BPOサービスに事務作業を委託すると、コア業務に集中できます。社内のリソースを最適化できれば、売上向上にもつながるでしょう。
業務品質が向上する
BPOサービスは、ノウハウを持つプロが対応するので、業務品質が向上するのもメリットです。
自社では対応できなかった新規顧客開拓やルート改革が可能になり、ビジネスチャンスが広がります。
BPOサービスの利用でリソースを有効活用できれば、業務効率化も可能です。スムーズな業務の遂行により、リードタイムの短縮や顧客満足度向上にもつながります。
コスト削減につながる
BPOサービスは、コスト削減につながるといったメリットもあります。
もちろん、BPOサービスの利用コストは発生しますが、採用費や教育費など企業のコストで大半を占める人件費を削減できるのは大きなメリットです。
こうしたコストを固定費から変動費にできれば、コストのコントロールがしやすいでしょう。
人手不足を解消できる
人手不足の課題を抱えていても、BPOサービスを利用すれば人員を補充する必要はありません。
BPOサービスは、中長期的な継続依頼を前提としているため、少ない人数でも社内リソースを最適化できます。
採用や人材教育に労力がかからないのもメリットです。
BPOサービスを利用する際の注意点
続いて、BPOサービスを利用する際の注意点を6つ紹介します。
- 導入に時間がかかる
- 初期費用とランニングコストがかかる
- 情報漏洩の可能性がある
- 社内ノウハウが蓄積されにくい
- スタッフのモチベーション維持が難しい場合がある
- 導入後は定期的にモニタリングする
導入に時間がかかる
BPOサービスの導入にかかる時間は、3~4ヶ月が目安です。企業規模が大きくなるほど、導入に時間がかかることに留意しましょう。
委託先を選ぶ基準を決めるか、導入にあたって専門チームを作るなどの対策を取れば、導入までの時間を短縮できる可能性があります。
初期費用とランニングコストがかかる
BPOサービスの導入には、初期費用とランニングコストがかかります。
また、コストは料金形態で変わるのも注意したいポイントです。
料金形態 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
月額制 | 毎月一定の金額を払う | 成果がなくても費用が発生する |
成果報酬型 | 事前に設定した成果を達成したときに費用が発生する | 成果が多い場合は費用が高くなる可能性がある |
複合型 | 成果報酬をベースに少し低めの料金に設定されている | 委託先で費用が異なるため予算を立てづらい |
このように、料金形態によって初期費用やランニングコストが異なります。
委託先を比較検討する際は、自社予算と導入コストがマッチしているかも確認してください。
情報漏洩の可能性がある
委託先と共有する資料や情報に、顧客の個人情報や重要な情報が含まれているケースは少なくありません。
万が一、情報が漏洩すれば、企業の信頼を損ないます。一度失った信頼を回復するのは、非常に困難です。
委託先を選ぶ際は、情報管理体制が整備されているかを確認してください。
社内ノウハウが蓄積されにくい
BPOサービスは、業務に関する全てのプロセスを委託するので、社内ノウハウが蓄積されにくいのが留意点です。
サービス継続中は問題がなくても、解約後に内製化できなければ業務に支障をきたします。
いずれ内製化する前提があるなら、ノウハウを共有してもらえるか確認してください。
スタッフのモチベーション維持が難しい場合がある
BPOサービスの導入によって、委託する業務を担当していたスタッフが配置転換になれば、モチベーションの維持が難しくなる場合があります。
不安や不満が大きくなれば、離職の可能性も否定できません。
BPOサービスの導入にあたっては、前任者の精神的なケアも必要になります。
導入後は定期的にモニタリングする
BPOサービスを導入しても、委託先にただ丸投げすればいいわけではありません。
導入後は、定期的なモニタリングを実施してください。
モニタリングでは、目的に合わせて導入前と導入後では、どのくらい成果が出ているかを確認します。なお、判断する際は定量的に中長期的な視点で実施することも大切です。
BPOサービスを導入する手順
BPOサービスを導入する手順として、6つのステップを紹介します。
- 導入する目的を明確にする
- 提案依頼書を作成する
- BPOサービスを選定する
- 業務プロセスを構築し最適化する
- 試験運用を実施する
- 本運用を開始する
ステップ.1導入する目的を明確にする
まずは、導入する目的を明確にします。
目的が曖昧なまま導入すると、ゴールまでの道筋を把握できません。目標を達成できず、導入コストを無駄に消費する恐れがあります。
目的を明確にしたら、KPI(重要業績評価指標)を設定してください。
KPIを設定することで、目的とゴールまでの道筋を見える化できます。KPIの設定により、中間目標を把握できるのもメリットです。
ステップ.2提案依頼書を作成する
次に、提案依頼書を作成します。
提案依頼書を作成すると、自社の要望を委託先に正しく伝えられるのがメリットです。また、目標や目的を共有することで認識のズレを解消できます。
なお、提案依頼書を作成する際には、委託先の評価基準を決めておくと自社にマッチした委託先を見極めやすくなります。
ステップ3.BPOサービスを選定する
BPOサービスの依頼先は、3~4社で相見積もりを取り比較するようにしてください。
業者によって、対応可能な領域は異なります。中には特定の業種に特化している場合もあるので、自社の業種にマッチしていることも重要です。
丁寧にヒアリングしているか、担当者と良好な関係性を構築できるかなども、比較すべきポイントです。
ステップ4.業務プロセスを構築し最適化する
委託先を選定したら、業務プロセスを構築して最適化します。
この工程は委託先で行いますが、ソリューションを提案する際にデモを受けられるとイメージしやすいでしょう。この段階で積極的に意見交換をしておくと、効果的な導入が可能になります。
なお、常に情報を共有して、進捗状況を把握しておくことも大切です。
ステップ5.試験運用を実施する
業務プロセスを構築したら、次は試験運用を実施します。
入念に準備を進めても、実際に稼働し始めたとき想定外のトラブルや問題が生じる可能性は否定できません。
不具合に気づかず運用を開始すれば、業務に支障が出る恐れがあります。
こうした事態を防ぐためにも、試験運用が欠かせません。万が一不具合が見つかっても、試験運用中なら修正が可能です。
ステップ6.本運用を開始する
試験運用で問題なく運用できると確認できたら、本運用を開始します。
- 業務委託契約の締結
- 既存業務からの切り替えや引き継ぎ
- 本運用
このようなステップで進めていきますが、規模が大きくなると一括移行が難しいケースもあります。
一括移行が難しい場合は、委託先と相談しながら段階的な移行を検討しましょう。
BPOサービスを選ぶポイント6つ
では最後に、BPOサービスを選ぶポイントを6つ紹介します。
- 実績が豊富か
- 対応可能な業務範囲はどこまでか
- 契約形態を確認する
- セキュリティ体制は万全か
- 導入コストが予算内か
- 担当者と良好な関係性を構築できるか
実績が豊富か
BPOサービスを提供している業者でも、実績に乏しければ思うような成果につながらない恐れがあります。
また、業種によっても戦略や施策が異なるため、自社業界での実績が豊富かを確認してください。
自社業界での実績が豊富なら、安心してお任せできるでしょう。
対応可能な業務範囲はどこまでか
そして、対応可能な業務範囲の確認も必要です。
委託先によって対応可能な業務範囲はそれぞれ異なります。実績が豊富でも、求める領域に対応してもらえなければ、スムーズに業務を遂行できません。
なお、業者によっては、相談すれば対応範囲を拡大してもらえるケースもあります。ホームページで確認できない場合は、範囲の拡大が可能かを確認するといいでしょう。
契約形態を確認する
BPOサービスの契約形態は、「委任契約・準委任契約」と「請負契約」の2種類あります。
委任契約は法律行為を委託する場合、法律行為ではない事務の場合に準委任契約を用いますが、目的の作業を実行すると契約は終了するのが特徴です。
請負契約は、業務の達成を目標として、成果を達成したときに依頼主が報酬を支払うものです。
目的が「実行」か「達成」かで契約形態が異なることに留意しましょう。
セキュリティ体制は万全か
BPOサービスを利用するにあたっては、委託先と個人情報や機密性の高い情報を共有することも多くあります。
重要な情報を取り扱う以上は、セキュリティ体制が万全であるかの確認が必要です。「プライバシーマーク」や「ISMS認証」を取得しているかは最低限確認しましょう。
なお、秘密保持契約(NDA)を締結しておけば、情報漏洩のリスクに備えられます。
導入コストが予算内か
自社が希望する条件をクリアしていても、導入コストが予算を超えてしまうと継続できなくなる恐れがあります。
BPOサービスは中長期的に継続することを前提としているので、導入コストが予算内であるかも重要です。
なお、想定外のトラブルに対応が可能でも、追加料金が発生する場合があります。
ランニングコストだけでなく、非常事態のコストも確認しておくといいでしょう。
担当者と良好な関係性を構築できるか
中長期的な継続利用を前提としているBPOサービスは、担当者との関係性も重要です。
もし担当者との意思疎通が上手く行かなければ、認識のズレが生じて業務に支障が出る恐れがあります。
委託先を選定する際は、担当者の人間性も確認したいポイントです。
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まとめ:BPOサービスを導入して企業価値を高めよう
BPOは、人手不足を解消して社内リソースを最大化できる画期的なサービスです。
業務の一部を委託することで、自社スタッフはコア業務に集中できるので、業務品質の向上にもつながります。
導入コストがかかるものの、営業コストの削減や人件費を変動費にしてコントロールしやすくなるのもメリットです。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、BPOサービスを導入して企業価値を高めてください。