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クロスセルとは?成功戦略や例文・実践の基本ステップを紹介

企業が売上を伸ばすには、新規顧客を獲得しなければなりません。

しかし、新規顧客を獲得するには手間とコストがかかり、近年の人口減少に伴い困難になる傾向が見られます。

クロスセルは、既存顧客にアプローチするため、手間やコストをおさえながら売上アップにつなげられるでしょう。

とはいえ、クロスセルにはコツがあるので、むやみにアプローチしても成果にはつながりません。

そこで本記事では、クロスセルの成功戦略について解説します。例文や実践する基本ステップも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

クロスセルとは購入予定の商品との関連商品をすすめて売上アップを図ること

クロスセルとは、顧客が購入しようとしている商品との関連商品を提案して、セットで購入してもらうことで売上アップを図る施策です。

商品やサービスに関して興味がない顧客は、熱心にすすめても購入にはつながりません。無理にすすめれば、押し売りされたとネガティブな印象を持たれる恐れがあります

クロスセルは、商品を購入する意思がある顧客に向けた施策なので、売上アップにつながりやすいでしょう。

クロスセルとアップセル・ダウンセルとの違い

それでは、クロスセルとアップセル・ダウンセルのとの違いを見ていきましょう。

  1. クロスセルとアップセルとの違い
  2. クロスセルとダウンセルとの違い

クロスセルとアップセルとの違い

クロスセルとアップセルは、アプローチの仕方が違います

施策アプローチの仕方
クロスセル購入予定の対象に関連した商品やサービスをすすめる
アップセル購入予定の対象よりも上位の商品やサービスをすすめる

いずれも売上アップに向けた施策です。

アップセルは見込み顧客も対象となりますが、クロスセルなら新規顧客を増やすことなく既存顧客で売上アップを目指せます

クロスセルとダウンセルとの違い

クロスセルとダウンセルの違いは、プラン設計です。

施策プラン設計
クロスセル関連商品を一緒にすすめて売上アップを図る
ダウンセル顧客の購買意欲を引き出して売上アップを図る

クロスセルは既存顧客に対する施策ですが、ダウンセルは見込み顧客や新規顧客にもアプローチしやすいのが特徴です。

例えば、気になる家電があっても、予算より高いと購入をためらうでしょう。

そこで、あえて顧客が気になっている商品よりも安いモデルを紹介すれば、購入へのハードルが下がるため購買意欲を引き出しやすくなります。

低価格の商品を提案するので、一時的に売上が下がることもあるでしょう。しかし、長期間利用してくれるリピーターを獲得できれば、安定した売上につながります

クロスセルを行う5つのメリット

次に、クロスセルを行うメリットを5つ紹介します。

  1. 顧客単価の増加が見込める
  2. リピーターになりやすい
  3. 単品では売れにくい商品を売り込める
  4. 営業効率アップにつながる
  5. 顧客ニーズを把握できる

顧客単価の増加が見込める

まず、顧客単価の増加が見込めます。

クロスセルで提案するのは、元々顧客が購入予定の商品やサービスに関連したものです。

もちろん、必ず購入してもらえるとは限りませんが、顧客が提案に納得すれば関連商品やサービスを検討してもらえる可能性があります

既存顧客を対象としているため、新規顧客を獲得する手間やコストを削減しながら、売上アップを図れるのもメリットです。

リピーターになりやすい

リピーターになりやすいのもメリットです。

クロスセルによって提案された商品やサービスの中には、顧客が気づいていないものもあるでしょう。

提案によって存在を知り利用した結果満足できれば、リピーターになってもらえる可能性があります

また、企業への信頼も高まるので、顧客ロイヤルティの向上にもつながります。

単品では売れにくい商品を売り込める

クロスセルは、単品では売れにくい商品を売り込めます。

例えば、ハンバーガーショップで、ポテトやドリンクなどのサイドメニューは単体では売れにくいものの、ハンバーガーとセットなら売り込みやすいでしょう。

顧客1人あたりの単価は低くても、店舗や企業全体で見れば売上アップにつながります

営業効率アップにつながる

そして、営業効率アップにつながるのもメリットです。

例えば、関連したAとB2つの商品があった場合、個別に売り込むと時間と手間もそれぞれにかかります。

そこでクロスセルの提案により、AとBを関連商品として売り込み成約につながれば、1度の営業で済みます

その場で成約につながらなくても、商品の存在を知ってもらえるのはメリットです。

顧客ニーズを把握できる

顧客ニーズを把握できるメリットもあります。

顧客はニーズにマッチしていない商品やサービスを提案されても、購入や成約には至らないでしょう。

クロスセルを成功させるには、顧客ニーズの把握に向けた検証や分析が欠かせません

ただし、顧客ニーズは変化していくため、検証と分析は継続的に実施することが大切です。

クロスセルを実践する基本ステップ

続いて、クロスセルを実践する基本ステップについて順番に見ていきましょう。

  1. 顧客情報を収集・分析する
  2. 商品設計をする
  3. クロスセルを取り入れる
  4. プランをもとに実施する
  5. 分析・改善を繰り返す

顧客情報を収集・分析する

まず、顧客ニーズを把握するために、顧客情報の収集と分析からはじめます。

収集する情報は以下の通りです。

  • 顧客の属性
  • 購入履歴
  • 問い合わせ履歴

クロスセルは既存顧客に対して実施するので、顧客の年齢・性別・住所・趣味などの属性と、購入履歴や問い合わせ履歴を確認してください。

購入履歴や問い合わせ履歴は、「LWP分析」や「RFM分析」が役立ちます。

LWP分析顧客リスト・顧客行動・行動範囲の3つから分析する
RFM分析最終購入日・購入頻度・購入金額の3つから分析する

分析手法を用いることで、効果的な分析が可能になります

商品設計をする

次に、商品設計を行います。

クロスセルを実施しても、関連性が低い商品では顧客に興味を持ってもらえません

ステップ1で収集した顧客情報や分析結果を元に、商品は「関連性の高いもの」、サービスは「定期コース」など、顧客ニーズにマッチした商品設計を意識してください。

クロスセルを取り入れる

次に、クロスセルを取り入れます。

クロスセルは、商品とサービスではアプローチの仕方が異なることに留意しましょう。

商品の場合は、関連性が高いことに加えて季節性も意識してください。

  • バレンタインデー:チョコレートとセットでプレゼントを提案する
  • クリスマス:メッセージカードやラッピンググッズを提案する
  • 暑い季節:紫外線対策や接触冷感商品を提案する

サービスの場合は、付加価値が高まるように追加提案するのも有効です。

  • 新規口座開設:クレジットカードを提案
  • 新車を購入:自動車保険を提案

銀行が発行するクレジットカードは、系列のATMなら利用手数料がかかりません。

新車を購入する際に、カーディーラーから紹介された自動車保険ならスムーズに対応してもらえます。

プランをもとに実施する

次は、プランを元に実施します。

クロスセルは一度実施したら終わりではありません。

企業が売上を伸ばし続けるには、長期的に実施する必要があります

分析・改善を繰り返す

そして、分析や改善を繰り返してください。

長期的にクロスセルを実施するには、分析や改善が欠かせません

分析や改善は、PDCAサイクルを活用するといいでしょう。

  • Plan:計画
  • Do:実行
  • Check:測定・評価
  • Action:改善

PDCAサイクルは、4つのプロセスを繰り返しながら効果的に実施できます。

クロスセルを成功させる5つの戦略

クロスセルを成功させるには、以下に紹介する5つの戦略をコツとして把握しておくことが大切です。

  1. 強引にすすめない
  2. お得感が出る価格帯に設定する
  3. 複数パターンのクロスセルを検討する
  4. ナーチャリングをする
  5. アフターフォローを丁寧にする

それぞれに詳しく見ていきましょう。

強引にすすめない

強引にすすめないように注意してください。

自社商品やサービスに興味を持ち、購入を予定している既存顧客でも、強引にすすめれば押し売りされたとネガティブな印象を与える恐れがあります。

関連性が高い商品でも、必要性を感じなければ購入しないでしょう。

あくまでも顧客ファーストで実施することが大切です。

お得感が出る価格帯に設定する

お得感が出るような価格帯に設定するのもポイントです。

関連性の高い商品やサービスでも、顧客は出費が増えます

クロスセルで提案する商品やサービスを購入すれば、5%割引や1,000円OFFになるなど、お得感をアピールするといいでしょう。

出費が増えても割引されるなら、お得感があるので購入しやすくなります。

複数パターンのクロスセルを検討する

複数パターンのクロスセルを検討しましょう。

顧客ニーズは個人差があるため、魅力を感じられなければ購入してもらえません

はじめの提案を断られても、選択肢があれば興味を持ってもらえる可能性があります。

クロスセルプランを複数パターン用意しておけば、幅広いニーズに対応できます。

ナーチャリングをする

そして、ナーチャリングも必要です。

クロスセルにおけるナーチャリングは、顧客を育成する意味があります。

既存顧客でも、ずっと自社商品やサービスを継続利用してもらえるとは限りません。

リピーターになってもらうためには、自社商品やサービスへの理解と、安心感を与える必要があります

  • メールマガジンやSNSで有益な情報を発信する
  • セミナーを開催する

上記は一例ですが、さまざまな方法で顧客に興味を持ってもらうことが大切です。

アフターフォローを丁寧にする

元々購入予定だった商品やサービスに関する知識はあっても、クロスセルですすめられた関連商品やサービスに疑問を持つこともあるでしょう。

購入後にアフターフォローをしてもらえなければ、不信感につながり、顧客満足度が低下する恐れがあります。

顧客からの問い合わせがあった場合は、アフターフォローを丁寧に行ってください。

購入後もしっかりとサポートしてもらえれば、顧客も安心できます

クロスセルの成功事例・例文3選

では最後に、クロスセルの成功事例と例文を紹介します。

クロスセルの事例1.関連商品の合わせ買いを提案する

顧客が商品を購入する際に、関連商品の合わせ買いを提案する事例を見ていきましょう。

ここでは、ハンバーガーショップで、ハンバーガーのみを注文した顧客に対してのクロスセル
例を紹介します。

「ハンバーガーと一緒に、ポテトやドリンクはいかがでしょうか?」

飲食店では定番のクロスセルです。

「ただいまキャンペーン中で、こちらの〇〇が◯円引きとなっております。ご一緒にいかがでしょうか?」

お得なセットメニューもありますが、キャンペーン中のサイドメニューがある場合は、割引価格で提供できることをアピールすれば購入してもらえる可能性があります

クロスセルの事例2.関連商品を安くしてついで買いを促す

関連商品のついで買いを促すのも、クロスセルでは有効な手法です。

コンビニやスーパーでは、レジ横にガムやキャンディ、乾電池などの消耗品を陳列しているところが多く見られます。

長期間保存が可能なものや、非常時に役立つものであれば、買っておいても損はないという心理が働きます

特に必要ではないものの、割引されているとついで買いを促しやすいでしょう。

クロスセルの事例3.よくセットで購入される商品を画面に表示する

普段からよくセットで購入される商品を、画面に表示するのも有効です。

具体的には、ECサイトで欲しい商品を検索したとき、画面下部にセットで購入される商品が表示されるように設定しておきます。

購入予定のない商品でも、あると便利だと納得できれば、表示された商品を一緒に購入してもらえるでしょう。

その場では購入に至らなくても、一旦お気に入りに登録して後日購入してもらえる可能性もあります

まとめ:クロスセルを効果的に取り入れて売上アップにつなげよう

新規顧客の獲得が困難な場合は、既存顧客へのクロスセルで売上を伸ばせる可能性があります。

むやみに商品やサービスをすすめても、興味を持ってもらえなければ購入してもらえません。

クロスセルは、商品やサービスの購入を検討している既存顧客に対して、関連商品をすすめるので興味を持ってもらいやすいでしょう。

事前に顧客ニーズを把握できていれば、顧客にネガティブな印象を持たれずに済みます。

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