インサイドセールスの導入フローを徹底解説!成功のポイントも紹介
電話やメールを活用して非対面で行うインサイドセールスは、業務効率化や営業コストの削減につながることから多くの企業で導入されています。
しかし、分業制を前提としているため、導入フローを正しく理解できていなければ業務を最適化できません。
そこで本記事では、インサイドセールスの導入フローを詳しく解説します。成功のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
インサイドセールスの種類と手法
まず、インサイドセールスの種類と手法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- インサイドセールスの種類
- インサイドセールスの手法
インサイドセールスの種類
インサイドセールスは、BRD(新規開拓型)とSDR(反響型)の2種類があります。
BDR(Business Development Representative)は、企業から見込み顧客にアプローチするアウトバウンド型のインサイドセールスです。
マーケティング部門が創出した見込み顧客に、電話やメールなどを使用して顧客との関係性を構築しながら、商談の機会を創出します。
丁寧なヒアリングで顧客が気づいていない潜在課題を引き出し、最適な提案ができれば成果につながりやすくなります。
SDR(Sales Development Representative)は、資料請求や問い合わせがあった見込み顧客をフォローアップする、インバウンド型の手法です。
Webサイトやメルマガなどが起点となりますが、資料請求や問い合わせをするのは自社商材に高い関心や興味を持っていると考えられます。
継続的にフォローすれば、成果につながりやすいでしょう。
インサイドセールスの手法
インサイドセールスの手法は、分業型・独立型・協業型の3種類があり企業によって選択肢が異なります。
手法 | 概要 | 向いている企業 |
---|---|---|
分業型 | マーケティング部門:見込み顧客の創出 インサイドセールス部門:見込み顧客の育成と商談機会の創出 | 大企業 |
独立型 | インサイドセールスがマーケティング部門の役割も担う | 中小企業 |
協業型 | 目的や状況に応じて分業型と独立型を使い分ける | 高単価商材を扱う企業 |
分業型は、業務を細分化するため各部門がコア業務に注力できます。業務品質が向上すれば、受注率のアップにもつながるでしょう。
独立型は、インサイドセールスがマーケティングの役割も担います。部門間の引き継ぎがないため、進捗状況の把握や案件の管理がしやすくなるのがメリットです。
協業型は、分業型と独立型のメリットを活かせるため、顧客に合わせて柔軟に対応できます。
このように手法によってもインサイドセールスの役割は異なるので、青自社にマッチした手法を見極めることが大切です。
インサイドセールスを導入するフロー9ステップ
では次に、インサイドセールスの導入フローを9つのステップで紹介します。
- インサイドセールスの役割や型を明確にする
- 狙うターゲットの層を決める
- 社内体制を決定する
- 情報共有の基盤を整える
- インサイドセールスの業務プロセスを決める
- KPIを設定する
- カスタマージャーニーマップを作成する
- シナリオを設計する
- ツールを選定する
ステップ1.インサイドセールスの役割や型を明確にする
インサイドセールスは、種類や型によって対応領域が異なるので、はじめに役割と型を明確にしてください。
役割や業務範囲を明確化できていないと、認識のズレにより軋轢が生じて業務をスムーズに遂行できなくなる恐れがあります。
インサイドセールスの役割と型が明確なら、業務の最大化により成果につながりやすくなるでしょう。
ステップ2.狙うターゲットの層を決める
次に、狙うターゲットの層を設定します。
自社プロダクトのニーズが低いターゲットを選んでも、成果にはつながりません。自社プロダクトのニーズが高い業界から、ターゲットを選定しましょう。
さらに、自社の企業規模にマッチした手法でアプローチすることも重要です。
ステップ3.社内体制を決定する
設定したターゲット像に合わせて、社内体制を決定しましょう。
分業型を選択するなら、マーケティング部門とインサイドセールス部門それぞれに人材を配置します。
独立型を選択する場合は、業務量が増えるため人材の確保が難しい場合があります。内製化が困難なら、インサイドセールスを外注するのも選択肢の一つです。
ステップ4.情報共有の基盤を整える
インサイドセールスの手法によって各部門の役割は異なるものの、見込み顧客を育成して商談の機会を創出したら、フィールドセールスに引き継ぎます。
各部門で情報を共有できていないと、業務効率の低下から失注リスクを高めかねません。
情報共有体制の基盤を整える際は、ツールが有効です。ツールに記録される活動ログをデータ化すれば、トークスクリプトやマニュアルの作成などに活用できます。
ステップ5.インサイドセールスの業務プロセスを決める
情報共有体制の基盤を整備したら、次はインサイドセールスの業務プロセスを決めます。
業務プロセスは選択する手法でも異なりますが、ここでは分業型を例に紹介します。
- マーケティング部門が創出したリードを引き継ぐ
- リードにヒアリングをする(初回アプローチ)
- リードナーチャリング(見込み顧客の育成)をする
- 見込み顧客をスコアリングする
- スコアリングを元にリードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)をする
- リードにアプローチして商談の機会を創出する
- フィールドセールスにリードを引き渡す
情報共有体制が整備されていれば、マーケティングからリードを引き継ぐときと、フィールドセールスへのリードの引き渡しがスムーズになります。
ステップ6.KPIを設定する
そして、KPI(重要業績評価指標)を設定します。
インサイドセールスにおけるKPIの項目例は以下の通りです。
- リードジェネレーション数
- 商談化率
- 成約率
- 顧客獲得コスト
- 顧客満足度
- リードクオリフィケーション率
上記は一例ですが、KPIを設定すれば業務プロセスの中間指標を見える化できます。
もしプロセスの途中で問題が生じても、KPIを設定していれば早期発見と対策が可能です。
なお、KPIは定期的に見直すことと、KGI(重要目標達成指標)にマッチしている必要があることに留意しましょう。
ステップ7.カスタマージャーニーマップを作成する
カスタマージャーニーマップは、顧客が商材を認知してから購入に至るまでのプロセスを可視化するものです。
横軸には、「認知・興味・情報収取・比較検討・購入」など顧客の購買プロセスを設定します。縦軸には、「行動・接点・思考・感情」など、顧客の状況を設定します。
カスタマージャーニーマップは、顧客目線で戦略を立案できるのがメリットです。さらに、社内で共有すれば共通認識を持てるので、組織力の強化にもつながるでしょう。
ステップ8.シナリオを設計する
次に、カスタマージャーニーマップに基づきシナリオを設計します。
具体的にペルソナを設定すれば、シナリオを設計しやすくなります。ペルソナをイメージしづらい場合は、既存顧客をモデルにするとよいでしょう。
なお、顧客によって抱える課題やニーズが異なるので、ペルソナも複数設定しておく必要があります。
ステップ9.ツールを選定する
最後に、ツールを選定します。
- CRM(顧客関係管理)
- MA(マーケティングオートメーション)
- SFA(営業支援システム)
このようなツールを活用すれば、作業の自動化による業務効率化が可能ですが、目的や状況にマッチしたツールを選ぶことも大切です。
こちらの記事では、インサイドセールスツールのおすすめ20選を紹介していますので、あわせてご覧ください。
インサイドセールスツールのおすすめ20選を徹底比較!選び方やメリットも紹介
インサイドセールスにおける業務フロー7ステップ
では次に、インサイドセールスにおける業務フローを7つ紹介します。
- マーケティング部門からリストを引き継ぐ
- リストの見込み顧客にアプローチする
- 顧客との関係性を構築する
- 購買意欲が高いホットリードを抽出する
- 最適なタイミングで商談の機会を創出する
- フィールドセールスに引き継ぐ
- 問い合わせに都度対応する
ステップ1.マーケティング部門からリストを引き継ぐ
まず、マーケティング部門からリストを引き継ぎます。
リストには、見込み顧客の情報が記載されており、インサイドセールスはリストに基づき見込み顧客にアプローチします。
ただし、リストには潜在層や無関心層が含まれる場合があります。効率よくアプローチするには、確度の高い見込み顧客を選定して優先順位を付けることも重要です。
ステップ2.リストの見込み顧客にアプローチする
次に、優先順位の高い顧客からアプローチをしていきます。
顧客の検討期間が長くなると、購買意欲が低下したり競合他社に乗り換えたりするリスクが高まります。ですから、初回アプローチは、スピーディーに実施することも大切です。
なお、潜在層や無関心層でも、丁寧にアプローチすれば商談につながる可能性はあります。顧客の購買意欲が高い状態で、迅速なアプローチを心がけてください。
ステップ3.顧客との関係性を構築する
次に、リードナーチャリングで顧客との関係性を構築します。
インサイドセールスは非対面となるため、中長期的に顧客との関係性を構築するのが成功のポイントです。
初回アプローチが好感触でも、すぐに購買につながるとは限りません。継続的に顧客をフォローアップしながら関係性を構築していけば、顧客に安心感を与えられます。
フォローアップには、セミナーやウェビナーの案内や、顧客に有益な情報を発信できるコンテンツが有効です。
ステップ4.購買意欲が高いホットリードを抽出する
ある程度顧客との関係性を構築できたら、スコアリングを実施してホットリードを抽出します。
そして、リードによって属性が異なるので、スコアリングを実施する前にセグメント化しておくことも重要です。
セグメント化したら、そこから属性や行動で点数を設定します。
属性(役職) | 部長:10点 係長:5点 |
---|---|
企業規模 | 大企業:10点 中小企業:5点 |
行動 | 資料請求・問い合わせ:10点 セミナー・ウェビナーへの参加:10点 Webサイト訪問:8点 リンクをクリック:5点 |
上記は一例ですが、点数が高いほど購買意欲が高く、アプローチの優先順位も高いと判断できます。
ステップ5.最適なタイミングで商談の機会を創出する
インサイドセールスの成功は、最適なタイミングでの商談機会の創出にあるといっても過言ではありません。
時間をかけて顧客との関係性を構築しても、タイミングを間違えると商談にはつながらず失注を招く恐れがあります。
タイミングは顧客によって異なるため、ヒアリングやリードナーチャリングの過程で見極めながら、最適なタイミングで打診してください。
ステップ6.フィールドセールスに引き継ぐ
商談の機会を創出したら、フィールドセールスに引き継ぎます。
ただし、全ての顧客から受注を獲得できるとは限りません。
フィールドセールスが商談を終えた後は、相互のフィードバックで成果を確認することも大切です。
仮に受注を獲得できなくても、相互フィードバックで課題を発見できれば改善に活かせます。
ステップ7.問い合わせに都度対応する
顧客からの問い合わせに都度対応するのも、インサイドセールスの役割です。
顧客からの問い合わせに対して迅速に対応できなければ、顧客満足度が低下する恐れがあります。
これまで築いてきた関係性を維持するためにも、問い合わせには都度対応してください。さらに、迅速なレスポンスを心がけることも大切です。
インサイドセールスのフローを最大化するポイント
では最後に、インサイドセールスのフローを最大化するポイントを3つ紹介します。
- 部門間の連携を強化する
- 短いスパンでPDCAサイクルを回す
- 目的に合わせて最適なツールを見極める
部門間の連携を強化する
分業制で実施するインサイドセールスは、部門間の連携強化が必須です。
連携がうまく取れないと、認識のズレから業務がストップする恐れがあります。再開までに時間がかかり最適なタイミングを逃すと、売上の低迷を招きかねません。
クラウド型のツールやシステムは、インターネット環境があれば、場所を問わず情報を共有してリアルタイムで確認できます。
部門間の連携強化にも役立つので、ぜひ活用してください。
短いスパンでPDCAサイクルを回す
PDCAサイクルは、短いスパンで回すことも重要です。
PDCAサイクルのスパンが長すぎると、課題があってもすぐに発見できず対応も遅れます。
日次や週次など、短いスパンでPDCAサイクルを回せば、課題の早期発見と対応が可能です。
なお、PDCAサイクルを回すほど、精度の高い効果検証と改善ができるのもメリットといえるでしょう。
目的に合わせて最適なツールを見極める
インサイドセールスにはツールの導入が必要不可欠ですが、目的にマッチしていなければ業務に支障が出る恐れがあります。
ツールによって搭載されている機能は異なるので、求める機能が搭載されているかも確認してください。
無料ツールは手軽に導入できますが、機能が限定されることに留意しましょう。業務効率化を重視するなら、有料ツールの方が適している場合があります。
目的や解決したい課題に合わせて、最適なツールを選定してください。
まとめ:インサイドセールスのフローを理解して営業活動を最大化させよう
インサイドセールスの導入には、組織体制の整備や人材の確保など事前準備が必要です。
企業や目的によって、適した種類や方は異なりますが、フローを正しく理解していれば業務を最適化できます。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、インサイドセールスのフローを理解して営業活動を最大化して、成果につなげてください。