SaaS企業はインサイドセールスと相性抜群!役割や成果を高めるポイント解説

インターネット経由でビジネスを展開するSaaS企業にとって、インサイドセールスは重要な役割を持ちます。
企業が成長し続けるには、顧客と長期的な関係性を構築し、売上を安定させることが必要不可欠です。
とはいえ、インサイドセールスは非対面で行うため、顧客との関係性を構築しづらいといった課題があります。
そこで本記事では、SaaS企業がインサイドセールスと相性抜群な理由と、役割について詳しく解説します。成果を高めるポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
SaaS企業がインサイドセールスと相性抜群な理由

SaaS企業は、インターネット上でソフトウェアを提供しています。
一方、インサイドセールスは見込み顧客に対して、テレアポやメールなどで見込み顧客にアプローチする非対面営業という特徴があります。
SaaS企業が扱う商材は、長期的な利用を前提としていますが、高単価な場合はリードタイムが長くなるのが懸念点です。
そこで、見込み顧客に素早くアプローチできるインサイドセールスを活用すれば、最適なタイミングでアプローチできるので、リードタイムを短縮できます。
顧客先への移動もないため、限られたリソースでITツールを活用しながら、効果的な営業活動ができるのもメリットです。
さらに、顧客と長期的な関係性を構築できれば、アップセルやクロスセルにつながりやすく、顧客単価の向上も見込めるでしょう。
SaaS企業におけるインサイドセールスの役割

それでは、SaaS企業におけるインサイドセールスの役割を3つ紹介します。
- 顧客との信頼関係を構築する
- スムーズに案件を引き継ぐ
- 他部署と連携して顧客情報を展開する
顧客との信頼関係を構築する
SaaS企業が扱うサブスクリプションモデルは、中長期的な契約を前提としています。
サブスクリプションは、気軽に利用しやすい反面、簡単に解約できるので顧客との信頼関係を構築して長く利用してもらう必要があります。
長く利用してもらうには、顧客からの信頼を勝ち取るのが必要不可欠です。
インサイドセールスは非対面営業ですが、電話やメールなどを活用しながら丁寧にコミュニケーションを図れば、関係性を構築しやすくなります。
スムーズに案件を引き継ぐ
フィールドセールスへスムーズに案件を引き継ぐのも重要な役割です。
インサイドセールスが見込み顧客との関係性を構築しても、顧客の購買意欲が低いタイミングでは、成果につながりにくいので機会損失のリスクがあります。
インサイドセールスが見込み顧客と関係性を構築する過程で、顧客の課題やニーズを正確に把握しながら、購買意欲が高まったタイミングで引き継ぐことが大切です。
他部署と連携して顧客情報を展開する
インサイドセールスは、マーケティングとフィールドセールスの橋渡し的な存在ともいえます。
情報の共有がスムーズに行かなければ、認識のズレが生じてプロジェクトの遂行を妨げかねません。
トラブルに対処している間に、最適なアプローチのタイミングを逃せば本末転倒です。
インサイドセールスが、他部署とスムーズに連携して顧客情報を展開すれば、営業活動を最大化できます。
SaaS企業におけるインサイドセールスの営業プロセス

では次に、SaaS企業におけるインサイドセールスの営業プロセスを紹介します。
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- クロージング
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、見込み顧客を獲得することです。
通常は、マーケティング部門が担当しますが、独立型の場合はすべての営業プロセスをインサイドセールスが担当します。
Webサイトや広告、セミナーや展示会などを活用しながら、顧客情報を収集・分析して角度の高い見込み顧客を選出します。
リードナーチャリング
リードナーチャリングは、見込み顧客を育成することです。
電話やメール以外にも、Web会議ツールなどを活用しながら、積極的にコミュニケーションを図り関係性を構築します。
コミュニケーションを通じて、顧客の課題やニーズを引き出し、課題解決に向けて最適な提案を提示し顧客の購買意欲を高めます。
クロージング
クロージングは、成約につなげる最終工程です。
分業型ではフィールドセールスの役割ですが、独立型ではインサイドセールスがクロージングまで担当します。
ここまで顧客と良好な関係性を構築していても、クロージングで強引に売り込むと、顧客に不信感を与え機会損失のリスクを高めかねません。
顧客の購買意欲が高まったタイミングで、適切にアプローチして成約につなげる必要があります。
SaaS企業がインサイドセールスを導入する4つのメリット

SaaS企業がインサイドセールスを導入すると得られる、4つのメリットを紹介します。
- 営業プロセスごとに専門性を発揮できる
- 顧客と長期的な関係性を構築できる
- 営業コストを削減できる
- 非対面で全国の企業にアプローチできる
営業プロセスごとに専門性を発揮できる
インサイドセールスは、分業制で行うため営業プロセスごとに専門性を発揮できるのは大きなメリットです。
各部門には、専門性の高いスキルを持つ人材が配置されているので、それぞれが自身のスキルを最大限に発揮できます。
営業プロセスごとに専門性を発揮できれば、営業全体のパフォーマンスが向上し、組織力の強化にもつながるでしょう。
顧客と長期的な関係性を構築できる
顧客との長期的な関係性構築は、SaaS企業にとって非常に重要な施策です。
一度は成約を獲得しても関係性を構築できなければ、途中解約される恐れがあります。
そこで、インサイドセールスを導入すれば、顧客と長期的な関係性を構築しやすくなります。
電話やメールだけでなく、チャットやWeb会議ツール、SNSなどのマルチチャネルでアプローチできるのもインサイドセールスの強みです。
顧客にとって都合が良いツールであれば、よりスムーズにコミュニケーションを図れます。
営業コストを削減できる
インサイドセールスは、営業コストの削減が可能です。
インターネット環境があればアプローチできるため、交通費や移動時間を削減できます。
これまで移動にかかっていた時間を顧客対応に充てられるので、アプローチ数を増やせるのもメリットです。
非対面で全国の企業にアプローチできる
顧客先への移動が不要なため、これまでは訪問が難しかった地域の顧客にもアプローチが可能になります。
顧客によっては、顔が見えない非対面営業に不信感を持つ場合もあります。
このような場合は、Web会議ツールを使えば画面越しにお互いの顔を確認できるので、顧客の不安が軽減されるでしょう。
商談までのスピードも早くなるため、購買意欲が高まったタイミングを逃さないのもメリットです。
インサイドセールスを導入すべきSaaS企業の特徴

では、インサイドセールスを導入すべきSaaS企業の特徴を紹介します。
- 業績を伸ばしたい企業
- 高単価や長期契約の商材を扱っている企業
- 人手不足の課題を抱えている企業
- 生産性や業務効率の低下に悩んでいる企業
業績を伸ばしたい企業
業績を伸ばしたい企業こそ、インサイドセールスを導入すべきでしょう。
飛び込み営業では、事前のアポなしでアプローチするため、警戒されやすいのが課題でした。
しかし、インサイドセールスでは、顧客との関係性を構築しながら、顧客が納得したタイミングで提案をします。
一方的な押し売りとは違うため、顧客が納得して契約するのも特徴です。
成果が出るまでにはある程度の時間がかかりますが、契約を獲得できれば長期的な継続により業績向上も見込めます。
高単価や長期契約の商材を扱っている企業
高単価や中長期的な契約が期待できる商材を扱う企業にも、インサイドセールスが向いています。
高単価商材は、成約すれば売上に大きく貢献しますが、成立するまでのハードルが高いです。継続して契約してもらうタイプの商材も、信頼関係が成り立っていなければ続けてもらえません。
そこで、インサイドセールスを導入して、顧客と長期的な関係性を構築できれば、アップセルやクロスセルにつながる可能性があります。
顧客ロイヤリティが高まれば、営業コスト以上のリターンも期待できます。
人手不足の課題を抱えている企業
SaaS企業の多くは、営業職が不足している傾向が見られます。
優れた商材でも、営業活動を最大化できなければ売上にはつながりません。
インサイドセールスは、非対面で営業活動を行うので、少ないリソースでも営業活動を最大化できます。
今いるスタッフで対応できれば、人材採用や教育にかかるコストを削減できるのもメリットです。
生産性や業務効率の低下に悩んでいる企業
営業職は業務量が多く煩雑化しやすいため、担当者にかかる負担も大きくなるのが懸念点です。
人材は足りているのに生産性や業務効率の低下に悩んでいるなら、インサイドセールスの導入で解決できる可能性があります。
インサイドセールスにはツールの導入が必須ですが、作業を自動化できるので業務効率が大幅に向上します。
たとえば、メール管理や資料・日報作成などの事務作業は、ツールで自動化できます。
顧客対応の時間もフィールドセールスに比べて短いので、生産性の向上にもつながるでしょう。
SaaS企業がインサイドセールスで成果を高める5つのコツ

では次に、SaaS企業がインサイドセールスで成果を高めるコツを5つ紹介します。
- 適切なペルソナを設定する
- カスタマージャーニーマップを作成する
- 社内の情報共有体制を整備する
- 分析と効果検証を繰り返す
- ツールを活用する
適切なペルソナを設定する
まず、適切なペルソナを設定してください。
ペルソナとは架空の人物を設定して、心理や行動を把握しやすくする手法です。
ターゲットによって設定する項目は異なるものの、ペルソナ設定により顧客の課題やニーズへの理解度が高まります。
ターゲットをイメージしづらい場合は、既存顧客をモデルに考えるとよいでしょう。ターゲットが複数の場合は、それぞれ設定する必要があります。
カスタマージャーニーマップを作成する
ペルソナを設定したら、次はカスタマージャーニーマップを作成します。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社商材を認知してから購入に至るまでのプロセスを可視化する手法です。
認知・検討・購入までのプロセスを、段階的に可視化します。
カスタマージャーニーマップでは、プロセスごとの感情も把握できるため、アプローチのタイミングを見極める際にも役立ちます。
顧客が求める情報を提供して、購買意欲が高まった最適なタイミングでアプローチすれば、成果につながりやすくなるでしょう。
社内の情報共有体制を整備する
インサイドセールスでは、各部門での情報共有が必要不可欠です。
部門間の引き継ぎで見落としや伝達ミスがあれば、顧客に最適な提案はできません。
認識のズレや齟齬を防ぐためにも、社内の情報共有体制を整備しましょう。
なお、体制を整備する際には、社内に周知して理解を得ることも大切です。情報共有体制が整備されれば、営業の属人化を防げます。
分析と効果検証を繰り返す
インサイドセールスで扱う情報やデータは、分析と効果検証を繰り返すほど精度が上がります。
扱う情報やデータの精度が低いと、営業活動を最大化できません。
仮に成約にはつながらなくても、失敗した原因を探り改善すれば次に活かせます。
社内で収集した情報だけでなく、ツールに記録されるログもデータとして活用するとよいでしょう。
ツールを活用する
ツールも大いに活用してください。
インサイドセールスにツールを活用すれば、情報共有がスムーズになる他にも、業務効率化による生産性の向上にもつながります。
ただし、ツールには種類がありそれぞれ機能がことなるため、自社の課題解決に役立つツールを見極めることが大切です。既存システムがある場合は、連携が可能かも確認しておくとよいでしょう。
なお、こちらの記事ではインサイドセールスツールのおすすめ20選や選び方を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
インサイドセールスツールのおすすめ20選を徹底比較!選び方やメリットも紹介
SaaS企業におけるインサイドセールスの手法

SaaS企業における、インサイドセールスの手法を紹介します。
- テレアポ
- メルマガ
- オウンドメディア
- セミナー・ウェビナー
- SNS
以降でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
テレアポ
テレアポは、電話で顧客にアプローチする手法です。
見込み顧客に電話をかけて、顧客が抱える課題やニーズをヒアリングします。
通常のテレアポは、アポイントの獲得が目的なので、断られれば一度で終わります。
インサイドセールスにおけるテレアポは、顧客との関係性を構築するのが目的なので、複数回アプローチするのが大きな違いです。
最終的には商談のアポイントを獲得しますが、関係性を構築できた状態なので商談の機会を獲得しやすくなります。
メルマガ
メルマガは、電話では伝えきれない情報を提供できるのがメリットです。
定期的に配信できるので、長期的に見込み顧客を育成したい時にも役立ちます。
送信側も受信側も、都合の良いタイミングで利用できるのもメリットです。
ただし、開封されないと内容を読んですらもらえません。読みたくなるようなタイトルや「限定キャンペーン」のように、特別感を出すような内容にするなどの工夫を盛り込んでください。
オウンドメディア
インサイドセールスにおけるオウンドメディアは、リードの獲得やリードナーチャリングに欠かせない施策です。
WebサイトやSNS、ブログなどが該当しますが、顧客の意思で行動するので自社商材への関心や興味が高いと判断できます。
フォームからの問い合わせや、資料請求があった顧客に対して迅速に対応すれば、商談の機会を獲得しやすくなります。
セミナー・ウェビナー
セミナーやウェビナーへの参加者は、見込み角度の高い顧客と考えられます。
そもそも、興味や関心がなければ、わざわざセミナー会場まで足を運ばないでしょう。
セミナー会場で名刺交換をしておけば、名刺をきっかけに後から問い合わせにつながる可能性もあります。
また、ウェビナーなら会場に足を運ぶ必要がないので、セミナーに参加できない顧客も参加しやすくなります。
なお、セミナー・ウェビナーは、顧客にとって有益な情報を提供できる内容であることも大切です。
SNS
SNSは情報拡散力が高いので、リードの獲得に有効です。
幅広い層に訴求できるので、潜在層と接点を持てる可能性もあります。
DMやコメントなどでもコミュニケーションを図れますし、フォローや「いいね」からリード獲得につながりやすいのもメリットです。
不特定手数にアピールできるので、企業や商材の認知度を高めたいときにも活用できます。
SaaS企業の営業担当者に求められるスキル

では最後に、SaaS企業の営業担当者に求められる、4つのスキルを紹介します。
- コミュニケーションスキル
- ITリテラシー
- ヒアリングスキル
- 自社商材への理解力
コミュニケーションスキル
非対面のインサイドセールスにおいて、コミュニケーションスキルは重要な意味を持ちます。顧客対応だけでなく、部門間の連携も必要となるからです。
電話なら声のコミュニケーション、メールならわかりやすい文章などが求められます。
Web会議ツールではお互いの顔を見ながら話ができますが、画面越しの対応はリアクションの大きさや表情などにも注意しなければなりません。
インサイドセールスでは、幅広い要素のコミュニケーションスキルが必要です。
ITリテラシー
インサイドセールスは、いかにツールを使いこなせるかも営業担当者に求められる要素です。
ITリテラシーには、4つの要素が含まれています。
- 情報基礎リテラシー:情報収集して分析するスキル
- ネットワークリテラシー:インターネットを正しく理解するスキル
- コンピュータリテラシー:コンピューターを操作するスキル
- 情報セキュリティリテラシー:セキュリティに関する知識
ITリテラシーが低いと、業務効率の低下や情報が漏洩するリスクがあります。ITリテラシーは、他の業務にも活かせるので身につけておくとよいでしょう。
ヒアリングスキル
ヒアリングは、顧客の課題やニーズを洗い出す目的があります。
ただ話を聞くだけでなく、話から顧客の心理を読み取ったり、傾聴(気持ちに寄り添い共感する)したりする力が求められます。
特に、電話で顧客と話をする際には、限られた時間内で多くの情報を引き出さなければなりません。
なお、ヒアリングの際は、スピードと正確性も求められます。
自社商材への理解力
自社商材への理解力も欠かせません。
たとえば、顧客の購買意欲が高まったタイミングでアプローチしても、質問に対して的確に答えられなければ不信感を与えます。
信頼できない企業だとマイナスな印象を与えると、機会損失のリスクを高めます。
自社商材への理解力を深めておけば、あらゆる質問にも的確に回答できるようになり、顧客からの信頼を得やすくなるでしょう。
なお、情報が古いと正確に伝えられません。定期的に情報をアップデートすることも意識してください。
まとめ:SaaS企業こそインサイドセールスを導入して営業力を高めよう

SaaS企業は、インターネットを通じてビジネスを展開するので、非対面のインサイドセールスとの相性は抜群です。
とはいえ、新たに導入する場合は、新部門の設置や社内体制の整備が欠かせません。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、SaasS企業こそインサイドセールスの導入で営業活動を最大化して、成果につなげてください。