リード獲得のKPI設定ガイド!業界別獲得率や平均単価・手順も紹介

リードとは見込み顧客のことであり、効果的なアプローチにより売上につながる可能性があります。
効率よくリードを獲得するには、適切なKPIを設定することも重要です。リード獲得の施策にはオンラインとオフラインがあり、施策により手法は異なります。
「リード獲得のKPIを設定しても集客につながらない……」
「リード獲得に必要なKPIと設定のコツが知りたい」
このように考える方もいるかも知れません。
そこで本記事では、リード獲得に必要なKPIの項目を紹介します。業界別獲得率や平均単価、手順についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
リード獲得にKPI設定が必要な理由

では早速、リード獲得にKPI設定が必要な3つの理由を紹介します。
- 社内で共通の認識を持てる
- データに基づく客観的な意思決定が求められる
- 課題の早期発見と解決が重要になる
社内で共通の認識を持てる
一口にリードといっても、購買意欲はそれぞれ異なるため、すべてのリードから成約を獲得できるとは限りません。
- リードジェネレーション:見込み顧客の獲得
- リードナーチャリング:見込み顧客の育成
- リードクオリフィケーション:見込み顧客の絞り込み
成約につなげるにはリード獲得後にもさまざまな施策を講じて、顧客の購買意欲を高める必要があります。
目的を達成するには、社内で共通の認識を持ちチームが一丸となって取り組むことが大切です。
KPIを設定して社内で共有すれば、目標までの道のりを可視化でき、かつ行動指針も把握しやすくなります。
データに基づく客観的な意思決定が求められる
KPIを設定すれば、リード獲得に向けてやるべきことを可視化できます。
最終的な目標が「リードから成約を獲得する」と理解していても、達成までの道筋が見えなければ適切な施策を策定できません。
そこでKPIを具体的に設定すれば、データに基づく客観的な意思決定が可能になります。
客観的に判断できれば、リソースの最適化やパフォーマンスの向上により、効果的に施策を実行できるでしょう。
課題の早期発見と解決が重要になる
KPIを適切に設定すれば、プロセスごとの進捗状況を俯瞰しながら把握できます。
もしKPIを設定しなければ、どこかのプロセスで問題が発生した時に、気づくのが遅れて業務がストップする恐れがあります。
そこでKPIを設定していれば、全体の進捗状況や達成度を把握しやすくなるので、問題が生じても早期発見と解決が可能です。
リード獲得のKPIとKGIの違い

リード獲得の施策を講じる際は、KPIとKGIの関係性も重要です。以降で、KPIとKGIの違いについて解説します。
リード獲得のKPIとは?
KPIは「重要業績評価指標」のことです。
中間指標とも呼ばれるように、目標達成に向けてプロセスごとの進捗状況を可視化する役割を持ちます。
目標達成に向けて重要な中間指標を把握できていれば、各プロセスを適切に管理できるのがメリットです。
リード獲得のKGIとは?
KGIは「重要目標達成指標」の意味があり、プロジェクトの最終目標を指します。
KPIはプロセスごとに複数設定しますが、KGIは単独で設定するのも違いです。
獲得したいリード数と目標売上率のように、具体的に設定してゴールを明確にする目的があります。
KPIを設定する際はKGIから逆算すれば、具体的な行動指針を把握しやすくなるでしょう。
業界別リード獲得平均値

リード獲得に向けた施策は業界や商材で異なるため、平均値も変わってきますが、BtoCは高くBtoBは低い傾向が見られます。
リード獲得率の計算式
リード獲得にかかった費用÷リード獲得数
各業界ごとのリード獲得平均値の目安は、以下の通りです。
業界 | 平均値 |
---|---|
小売・Eコマース | 3.0~8.0% |
医療・ヘルスケア | 2.5~6.5% |
IT.ソフトウェア | 2.0~7.0% |
製造業 | 1.5~5.0% |
不動産 | 1.0~4.0% |
金融 | 1.0~3.5% |
リード獲得の施策例とリード獲得単価

リード獲得の施策は、オンラインとオフラインの2種類あり、実施する施策によってもリード獲得単価は異なります。
以降でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
オンライン
施策 | 単価(目安) | 項目 |
---|---|---|
メール | 1,000円~10,000円 | 送信数開封率 本文内のリンク クリック数 返信率 |
ホワイトペーパー | 3,000円~5,000円 | ダウンロード数 コンバージョン率 商談化率 受注数 |
お問い合わせ | 30,000円~100,000円 | コンバージョン率 サイト訪問者数 問い合わせ数 商談化率 |
メディア広告 | 5,000円~10,000円 | インプレッション数 クリック数 コンバージョン率・数・単価 |
オンライン施策は、インターネットを活用します。オフライン施策より大量のリードにアプローチでき、営業コストや時間を削減できるのがメリットです。
ただし、非対面のため成果につなげるには専門的な知識が求められることに留意しましょう。
オフライン
施策 | 単価(目安) | 項目 |
---|---|---|
セミナー | 8,000円~ | 申込者数 参加人数 アンケート回答数 |
展示会 | 8,000円~10,000円 | ブース訪問者数 名刺交換数 資料請求数 問い合わせ数 有効リード数 商談化率 |
オフライン施策は、顧客と対面でアプローチできるのがメリットです。
顧客の反応を直接確認できるので、その場で商談に進むケースは少なくありません。商談にはつながらなくても、名刺を交換しておけばアプローチのきっかけを作れます。
ただし、アプローチできる数が限定されること、準備にコストや時間がかかる場合があるのが留意点です。
なお、こちらの記事では、BtoBのリード獲得施策15選と成功のポイントについて解説していますので、あわせてご覧ください。
リード獲得のKPIを設定する手順6ステップ

では次に、リード獲得のKPIを設定する手順を6つのステップに分けて紹介します。
- 各フェーズの転換率を設定する
- KGIを設定する
- 受注数を設定する
- 商談数を設定する
- リード数を設定する
- リード獲得の費用を確認する
ステップ1.各フェーズの転換率を設定する
まず、各フェーズの転換率を設定します。
- マーケティング基準を満たすリードの割合:50~70%
- リード獲得から商談化した割合:40~60%
- 商談から受注を獲得した割合:20~40%
上記は目安であり、商材や施策によっても転換率は変わるので、自社にとって適切な転換率を見極めることも大切です。
ステップ2.KGIを設定する
次に、KGI(最終目標)を設定しますが、実現可能な数値であることも重要です。達成度を適正かつ公正に評価するためにも、具体的な数値を設定しましょう。
目標が高すぎると、スタッフに過度のプレッシャーを与え、モチベーションの低下を招く恐れがあります。
各フェーズの転換率に基づき、自社の現状で達成可能なKGIを設定してください。
ステップ3.受注数を設定する
受注率は、KGIに基づき設定します。
たとえば、KGIが「年間2,000万円の売上を達成する」なら、商材の単価から何件の受注を獲得すればいいか見えてくるでしょう。
単価が50万円の商材なら、40件の受注が求められます。
ステップ4.商談数を設定する
受注数が明確になれば、商談数も設定しやすくなります。
40件の受注が必要な場合、仮に転換率が40%だとすると100件の商談が必要です。
ステップ5.リード数を設定する
そして、商談数からリード数を設定しましょう。
100件の商談が必要なのに対して、転換率が50%の場合は、200人のリードを獲得する必要があります。
ステップ6.リード獲得にかかる費用を確認する
次は、リード獲得にかかる費用を設定します。
ここでは「リード獲得の施策例とリード獲得単価」の見出しで紹介した施策を例に比較してみましょう。
- メール:1,000円~10,000円
- ホワイトペーパー:3,000円~5,000円
- お問い合わせ:30,000円~100,000円
- メディア広告 :5,000円~10,000円
- セミナー:8,000円~
- 展示会:8,000円~10,000円
上記は1件あたりの費用なので、200人のリードにメールで訴求するなら、最低でも20万円の費用がかかります。
このように各フェーズの転換率を設定してKGIから逆算していけば、適切なKPIを設定できます。
リード獲得のKPIを設定するポイント

それでは、リード獲得のKPIを設定する7つのポイントを紹介します。
- 全体を俯瞰して設定する
- 定量的な数値にする
- ターゲットについての理解を深める
- 競合他社が実施していない施策を検討する
- 実現可能な数値を設定する
- 設定後も検証と改善を繰り返す
- 達成期限を設ける
全体を俯瞰して設定する
KPIを設定するにあたって、まず全体を俯瞰して設定しましょう。
とくにリード獲得のKPI設定では、リード獲得数だけに焦点を当ててしまうケースも少なくありません。しかし、獲得数だけ追っていてもそれがその後の商談やクロージングにつながるとは限らないです。
また、リード獲得で満足してしまい、ゴールまでの到達がより難しくなります。
そこで、ナーチャリングやクオリフィケーション、さらに商談やクロージングといった契約に至るまでのプロセスも意識し、全体感を捉えてKPIを設定してください。
定量的な数値にする
KPIは、定量的な数値にするのも重要です。
たとえば「前年度より売上を増やす」のように、目標が漠然としていると適切なKPIを設定できません。
- 前年度より売上を2倍に増やす
- 商談化数を月150件以上にする
このように、具体的な数値を設定すれば社内の認識を統一でき、チーム力の強化につながるでしょう。
ターゲットについての理解を深める
そもそも、ターゲットを正しく理解できていなければ、適切な施策を策定できません。
ターゲットに対する理解を深めるには、ペルソナ設定が有効です。
ペルソナを設定する際は、人物像をできるだけ細かく設定してください。人物像が明確になれば、課題やニーズも理解しやすくなるでしょう。
また、リード獲得後のアクションも設定しておくと、フォローが必要になった時スムーズに対応できます。
競合他社が実施していない施策を検討する
企業が売上を増やして経営を安定させるには、リードの獲得が欠かせません。
リード獲得に関する取り組みは競合他社も実施しているため、同じような施策では差別化を図れず埋没しかねません。
そこで、入念なリサーチで競合他社が実施していない施策を検討すれば、差別化を図り優位性を確立できます。
実現可能な数値を設定する
非現実的なKPIを設定しても、達成できなければ意味がありません。
無理難題を押し付けられたと感じたスタッフのモチベーションが下がり、生産性が低下すれば本末転倒です。
自社の現状を把握したうえで、実現可能な数値を設定してください。
設定後も検証と改善を繰り返す
KPIは、設定後も検証と改善を繰り返すことが重要です。
実現可能な数値を設定しても、施策やターゲットによっては思うように成果を出せない場合があります。
そこで、原因を追求して改善していかなければ、一向に現状を変えられません。
このように検証と改善を繰り返すことで、適切なKPIを設定できるようになります。また、こうした取り組みは、社内ノウハウとして蓄積できるのもメリットです。
達成期限を設ける
目標を明確にしても、期限が設定されていないと計画的に実施できません。
そこで、リード獲得のKPI設定には、達成期限を設けてください。
期限が不明瞭だと、各スタッフのスケジュール管理がしづらくなり、他の業務にも支障が出る恐れがあります。
達成期限が明確なら、スケジュール管理もしやすくなり計画的に実施できます。
各施策別のリード獲得KPI一覧

では次に、各施策別にリード獲得のKPIを紹介します。
- テレアポ
- オウンドメディア
- オンライン広告
- ウェビナー
- ナーチャリング
テレアポのKPI
テレアポは、架電数を増やすことも重要ですが、有効な会話ができなければアポイントを獲得できません。
テレアポの主なKPI
- 架電数
- 有効会話数
- フォローアップ数
- アポイント件数
- 成約数
また「顧客からの質問に答える」「有益な情報を提供する」など、フォローアップも重要です。
オウンドメディアのKPI
オウンドメディアは、メディアの種類によって適切なKPIは異なります。
オウンドメディアの主なKPI
- サイト訪問数
- PV(ページビュー)数
- SS(セッション)数
- 自然検索流入数
- CV(コンバージョン)数・率
上記はWebサイトの例ですが、専門性をアピールしたいなら「記事数」も重要です。
CV数・CV率は、「問い合わせ」や「資料請求」などと関連付けて設定するとよいでしょう。
オンライン広告のKPI
オンライン広告も、広告の種類で異なるものの、主なKPIは以下の通りです。
オンライン広告の主なKPI
- インプレッション数
- クリック率
- CV数
- CV率
- CV単価
加えて、種類によって費用が変わります。
- リスティング広告:月額20万~30万円
- ディスプレイ広告:月額20万~50万円
- SNS広告:1円~200円/1クリック
上記は目安ですが、ターゲットに合わせた広告を選ぶ必要があります。
ウェビナーのKPI
ウェビナーは、種類や目的によってターゲットが異なるものの、重要なのは効果を測る指標です。
ウェビナーの主なKPI
- 申込者数
- 出席率
- アンケート回答率
- 満足度
- 案件化率
- チャネル別の参加者数
なお、規模によっても設定すべきKPIの数値が変わることに留意しましょう。
ナーチャリングのKPI
見込み顧客の育成を目的としたナーチャリングは、とくに潜在層へ向けてアプローチします。
ナーチャリングの主なKPI
- アプローチ数
- メール開封率
- メール返信率
- 問い合わせ数
- 資料請求数
- インプレッション数
- コメント数
- 商談化率
ターゲットによって、利用するチャネルは異なります。SNSやメルマガなど、ターゲットに合わせて適切な施策の選定と、アプローチのタイミングを見極めるのも重要です。
リード獲得のKPI管理はテンプレートやツールの活用がおすすめ

リード獲得のKPIは、設定後の管理も重要です。そこで、テンプレートやツールを使えば、管理しやすくなるでしょう。
KPIは、ツリー形式で管理するので、Excelのテンプレートを使えばコストを削減できます。
KPIツリーとは、複数設定するKPIを樹状図として表示する手法です。KGIを達成するために、どのようにしてKPIを設定したのかを可視化し、把握しやすくする目的があります。
ツールを活用する際には、Excelテンプレートに対応しているかを確認するとよいでしょう。
まとめ:リード獲得のKPIはKGIに基づいて設定しよう

リード獲得は売上につながる重要な要素であり、効率よくリードを獲得するには、適切なKPI設定が欠かせません。
リード獲得の施策には、オンラインとオフラインがあり、ターゲットによっても選択肢は変わります。
本記事で紹介した情報を参考にしながら、リード獲得のKPIはKGIから逆算して適切に設定してください。