セールスイネーブルメント事例10選から学ぶ成果を最大化するコツ

近年の市場変化に対応し、企業が継続的な利益を上げるには、営業組織全体の底上げが不可欠です。
こうした背景から、セールスイネーブルメントが注目を集めています。そもそも、セールスイネーブルメントとは、顧客に価値を提供し、効率的かつ効果的に売上を上げるための取り組みです。
注目はしているものの「具体的に何をすればいいかわからない」と悩む企業は少なくありません。
そこで本記事では、セールスイネーブルメントの事例10選から学ぶ、成果を最大化するコツを紹介します。
目次
セールスイネーブルメントとは?

セールスイネーブルメントとは、組織の営業活動を包括的に強化する取り組みを指しています。
研修や教育に留まらず、営業プロセスやITツール・コンテンツなどを統合的に最適化して、営業組織全体のパフォーマンスを向上させるのが目的です。
セールスイネーブルメントは、人材育成とも大きく関わっていますが、範囲と目的が異なります。
セールスイネーブルメント | 人材育成 | |
---|---|---|
対象 | 営業組織全体 | 営業担当者個人 |
目的 | 営業組織全体のパフォーマンス向上 | 個々のスキル向上 |
セールスイネーブルメントを実施すれば、営業担当者個人に依存せずに済むため、属人化を防げます。
さらに、組織全体の営業力の底上げが実現すれば、継続的な利益にもつながるでしょう。
セールスイネーブルメントの成功事例10選

それでは、セールスイネーブルメントの成功事例10選を紹介します。
- 東芝テック株式会社
- 日清食品株式会社
- トランスコスモス株式会社
- NTTドコモビジネス株式会社(旧NTTコミュニケーションズ)
- SALES ROBOTICS株式会社
- 株式会社ドリーム・アーツ
- SATORI株式会社
- ソニービズネットワークス株式会社
- 株式会社ROBOT PAYMENT
- 株式会社セレブリックス
事例1.東芝テック株式会社
東芝テック株式会社は、「営業組織全体のスキルレベルに差がある」という課題を抱えていました。
そこで、課題解決策として、セールスイネーブルメントツールを導入し、クラウドプラットフォームにて社内ナレッジを共有する仕組みを構築します。
その結果、スキルの標準化に成功し売上3倍を実現。情報共有もスムーズになり、属人化からの脱却にも成功しています。
参考:営業の資料制作時間を大幅削減、売上は3倍UPを実現!大手BtoB営業企業のデジタル活用術 | riclink導入事例 | riclink – リクリンク
事例2.日清食品株式会社
日清食品株式会社は、全国に展開する拠点がそれぞれナレッジを個別に管理していたため、「情報共有が上手く行かない」という課題を抱えていました。
課題解決策として、一旦はファイル共有システムを導入したものの、共有できる情報が限定されたため課題の解決には至りません。
そこで、セールスイネーブルメントツールを導入して、あらゆる情報を共有できる仕組みを構築します。
その結果、全拠点でナレッジを共有できるようになり、商談準備にかかる時間の短縮も実現しています。
事例3.トランスコスモス株式会社
トランスコスモス株式会社は、「機会損失のリスク」という課題を抱えていました。原因は、営業アプローチ方法や、コンテンツ活用方法が統一されていなかったからです。
そこで、セールスイネーブルメントツールを導入して、ノウハウやコンテンツを動画で共有する仕組みを構築します。
動画は繰り返し視聴できるため、結果として営業スキルの底上げに成功し、機会損失のリスクも軽減されました。
参考:トランスコスモス株式会社様の導入事例をご紹介しています。 | riclink導入事例 | riclink – リクリンク
事例4.NTTドコモビジネス株式会社(旧NTTコミュニケーションズ)
NTTドコモビジネス株式会社は、「社内のデータやツールを活用しきれていない」という課題をかかえていました。
そこで、セールスイネーブルメント専門の部署を立ち上げ、データドリブン営業の仕組みを構築します。
その結果、情報共有がスムーズになり、業務効率化やコミュニケーションの強化に成功しています。
参考:セールスイネーブルメントの事例を第一人者である山下貴宏さんが解説
事例5.SALES ROBOTICS株式会社
SALES ROBOTICS株式会社は、「営業研修を実施しても営業力の平準化が難しい」という課題を抱えていました。
そこで、セールスイネーブルメントツールを導入して、動画コンテンツを活用した教育体制を整備します。
その結果、トップセールスの営業ノウハウを共有できるようになり、営業力の標準化だけでなく、属人化の解消も実現しています。
参考:SALES ROBOTICS株式会社様の導入事例をご紹介しています。 | riclink導入事例 | riclink – リクリンク
事例6.株式会社ドリーム・アーツ
株式会社ドリーム・アーツは、「インサイドセールスチーム内で情報をスムーズに共有できない」という課題を抱えていました。
というのも、同社では顧客に合わせてさまざまな資料が必要な一方で、セキュリティの観点からメールへの添付がNGであり、資料準備に時間がかかっていたからです。
そこで、セールスイネーブルメントツールを導入して、資料送付業務を自動化します。
その結果、資料の準備にかかる時間を大幅に削減でき、データの一元管理も可能になりました。また、既存ツールとの連携が可能だったことから、生産性の向上にもつながっています。
事例7.SATORI株式会社
SATORI株式会社は、セールスイネーブルメントを目的とした、MAツールの導入で営業プロセスの最適化に成功しています。
MAツールの分析機能を活用して、営業活動の成果や課題を可視化するという取り組みです。
また、獲得したアポイントを6段階に分類しランク付けすることで、営業担当者のスキルに合わせて割り振る仕組みも構築しています。
結果として、機会損失のリスクも軽減されています。
参考:セールス・イネーブルメントとは?概念と事例をわかりやすく解説
事例8.ソニービズネットワークス株式会社
ソニービズネットワークス株式会社は、「営業データの管理体制が整備されていない」ことに加えて、「人材育成が上手く行かない」という課題を抱えていました。
データ管理にはSFAツールを導入していましたが、データ量が膨大だったため活用できていなかったのも原因です。
そこで、セールスイネーブルメントを実施して、SFAツールの活用術を社内で共有します。人材育成方法の見直しも行い、適切に評価する仕組みも構築しました。
その結果、データを一元管理できるようになり、適切な評価によりスタッフのモチベーションアップにもつながっています。
事例9.株式会社ROBOT PAYMENT
株式会社ROBOT PAYMENTは、MA・CRMツールを導入しても活用できていないため、「定量的なデータがなく顧客の課題やニーズを正確に把握できない」という課題を抱えていました。
こうした課題の解決に、セールスイネーブルメントツールを導入します。
既存ツールとの連携により、顧客の課題やニーズを正確に把握できるようになり、営業品質の向上と情報共有体制の整備にも成功しています。
事例10.株式会社セレブリックス
株式会社セレブリックスは「担当者によるスキルのバラつきにより、成果が安定しない」という課題を抱えていました。
同社では無形サービスを扱っているため、スキルのバラつきによる影響を受けやすいのも要因です。
そこで、セールスイネーブルメントを実施して、営業スキルの標準化やツールの活用により、売れる仕組みを構築します。
結果として、営業成果が可視化されたことで、担当者ごとの強み・弱みを把握できるようになり、営業スキルの標準化にも成功しています。
参考:特別インタビュー/セレブリックス・今井氏「営業活動で誰もが売れる仕組み化を実現するセールスイネーブルメントとは?」
セールスイネーブルメントの事例から学ぶ6つのコツ

では次に、セールスイネーブルメントの事例から見えてくる、成功のコツを6つ紹介します。
- 組織全体で取り組む
- 社会に蓄積されたデータを駆使する
- 専任チームを設置する
- 他部署との連携を強化する
- 目的に適したツールを活用する
- 継続的に分析と改善を繰り返す
組織全体で取り組む
まず、セールスイネーブルメントは営業組織全体で取り組むため、社内からの理解を得る必要があります。営業部門だけでなく、マーケティングや開発、カスタマーサポートなど、関連部門との連携が不可欠です。
社内からの理解を得られないまま導入すると、現場が混乱し、期待する成果は得られません。
特に、経営層や他部署の管理者に対しては、一時的な取り組みではなく、継続的であることも伝えて理解を得てください。
社内からの理解を得たうえでセールスイネーブルメントに取り組めば、社内に定着して成果を最大化できるでしょう。
社会に蓄積されたデータを駆使する
社内に蓄積されたデータは、最大限に活用しましょう。
顧客行動や商談履歴といった、ツールに蓄積されたデータは営業戦略の立案に不可欠です。
データに基づき客観的な判断を下すことで、より精度の高い意思決定ができるようになります。
これにより、営業活動の無駄を省き、コア業務にリソースを集中できるのも利点です。
専任チームを設置する
専門チームを設置すれば、継続的に成果を出す仕組みを構築できます。
専門チームがいない場合は、営業マネージャーや担当者が通常業務と並行しながら進めなければなりません。このような状態で続けても、リソース不足で目的を達成できなくなれば本末転倒です。
専任チームは、セールスイネーブルメントに集中できるため、他部門との連携もスムーズに進み、状況に応じた柔軟な対応も可能になるでしょう。
他部署との連携を強化する
セールスイネーブルメントの成功は、営業部門だけでは達成できません。
たとえば、営業部門だけで完結しようとせず、マーケティング部門や人事部門との連携がとても重要です。
他部門との連携を強化して、質の高いリードを引き継ぐようになれば、成約率の向上が見込めます。
また、現場や顧客の声をフィードバックすることで、ニーズに合ったコンテンツや、サービスの改善にもつながるでしょう。
目的に適したツールを活用する
セールスイネーブルメントの効率を高めるには、目的に適したツールの活用も重要です。
ツールを活用すれば、データに基づいた意思決定が可能になり、営業品質や生産性の向上につながります。
- MA(マーケティングオートメーション)
- CRM(顧客管理)ツール
- SFA(営業支援システム)
上記は一例ですが、ツールによって機能が異なるため、求める機能が搭載されているかも確認してください。
なお、目的はセールスイネーブルメントの成功であり、ツールの導入ではないことに留意しましょう。ツールは活用して初めて効果を最大化できます。
継続的に分析と改善を繰り返す
セールスイネーブルメントは、導入したら終わりではありません。
市場動向や顧客の課題・ニーズは、常に変化しているため、継続的に分析と改善を繰り返す必要があります。
具体的には、営業プロセスを各フェーズでPDCAサイクル(Plan・Do・Check・Action)によって分析します。
これにより、ボトルネックを洗い出せれば、課題の早期発見と改善が可能です。
営業の最適化ならコンサルティングもおすすめ

セールスイネーブルメントの導入を検討していても、何から手を付けていいかわからないと悩む企業は多いでしょう。
自社対応が難しい場合は、コンサルティングの活用もおすすめです。
株式会社ディグロスでは、業界トップを誇るセールス×アウトバウンドの豊富な経験を活かして、多様なニーズに対応するコンサルティングサービスを提供しています。
年間3,400件のプロジェクト進行による、あらゆる業界の深い知見と、プロダクトサービスの深い知識を武器に、一貫したエンドツーエンドのサポートで継続的な改善を実現します。
セールスイネーブルメントの導入コンサルティングをご検討中の企業様には、電話やメールでご説明しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ:セールスイネーブルメントの事例から学んで組織力を強化しよう

セールスイネーブルメントは、インターネットの普及で変化した現代の営業環境において、企業の継続的な成長に不可欠な取り組みです。
営業部門だけでなく、組織全体として取り組むので、営業組織の底上げにもつながります。
本記事で紹介したセールスイネーブルメントの事例や、成功のコツを参考にしながら、組織力を強化して成果につなげてください。