営業アウトソーシングとは?メリット・デメリットや注意点などを解説
セールス活動を進めるにあたって、各企業はそれぞれの悩みや問題点を抱えているものでしょう。
自社内の戦力だけで満足のいく実績につなげることが難しいことも多々あり、頭を抱えている管理職・経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな時に活用を検討したいのが、営業アウトソーシングです。
営業アウトソーシングを活用することで、短期的な成果の獲得やセールス部門の強化など様々な効果が期待できるでしょう。
この記事では、営業アウトソーシングの概要やメリット・デメリット、注意点や料金形態などを解説します。
営業アウトソーシングとは
ここでは、営業アウトソーシングの概要や各類似サービスとの違いを解説します。
営業アウトソーシングについて
企業がセールス活動を外部組織に委託することです。
セールスに割ける担当者が不足しているケースや、これまでのやり方では上手くいきそうにない新規顧客を獲得する際には適しているでしょう。
営業アウトソーシングには、以下3つの形態があります。
営業代行との違い
企業のセールス活動を代行することです。
テレマーケティングやオフラインでのセミナー等による集客など様々な労務を代わりに遂行します。
新規事業に対するセールス技術がない場合やセールス担当者が不十分なケースなどではおすすめでしょう。
SPOとの違い
SPOは「セールス・プロセス・アウトソーシング」の略語であり、セールス活動を代わりに遂行するだけでなくプロセス戦略の改善案提示までを行います。
セールス活動の外部組織への委託との意味では営業代行と共通していますが、依頼元のセールスチームと協業する点やセールス活動を総合的に行う点で異なります。
セールス部門におけるウィークポイントを改善したい場合や新しいビジネスをスタートさせる際などには適しているでしょう。
営業派遣との違い
依頼元に対し業者からセールスパーソンが派遣されるシステムです。
派遣されたセールスパーソンのマネジメントはあくまでも派遣元が行う点や人的資源の補充を目的としている点で他の手段とは異なります。
既にセールスの技術・システムが依頼元の企業に蓄積されており、人材不足のみが問題の場合に有効な手段です。
営業アウトソーシングの市場規模
矢野経済研究所の調査結果によると、営業アウトソーシングの市場規模は2016~2022年度にかけて年平均1.8%で成長し、市場規模を拡大し続けると言われています。
少子高齢化による人手不足や市場ニーズの多様化、セールス活動のスピード化などが理由に挙げられます。
営業アウトソーシングを依頼する業界
近年では広告・通信やIT・業界からの依頼が増えてきています。
また、業務別にはカスタマーサポートにおける電話業務への導入が増えています。
営業アウトソーシングのメリット
ここでは、営業アウトソーシングを導入する魅力を6つ紹介します。
短期間で成果が得られる
短いスパンで成果が見込める点は、大きな魅力の1つです。
従来は担当者を新たに一から教育しなければならなく、短期間で収益拡大を狙うことは困難でした。
しかしセールスの一部または全てを外部組織に任せることで短いスパンでのセールス成功が期待できるのです。
営業コスト削減ができる
セールス費用を抑えることも望めます。
外部組織への委託費用はかかりますが、担当者の教育にかかる費用などを勘案すると低コストに収まることが大半です。
必要な時に柔軟にセールス戦力を拡充できるため、費用負担の最適化が見込めます。
営業のプロの力を借りられる
セールスのプロフェッショナルを簡単に戦力に加えられる点も、見込めます。
組織自体にセールス技術や経験が蓄積されているため、導入することで依頼元組織が抱える問題を解消し、業務効率化につながることも期待できるでしょう。
自社の営業人材の強化につながる
依頼元のセールスチームと共にタスクに望むことで、中長期的な営業戦略の見直しや改善が期待できます。
短い期間で成果を狙いつつ、依頼元のセールス部門の強化も図れるのです。
競争力の強化につながる
競争力の強化も、大きな魅力の一つです。
柔軟にセールス部門の戦力を拡充できるため、必要な時に迅速かつ適切にセールス力を高められます。
新規顧客の開拓ができる
セールス技術や経験を持った外部組織に任せることで、依頼元企業だけではアプローチが難しかった企業・業界の新規開拓が望めます。
営業アウトソーシングのデメリット
ここでは、外部組織へセールス活動を任せるデメリットを解説します。
赤字リスクがある
売り込む商品の単価が低い場合にはより多くの売上が必要になるため、赤字の心配があります。
しかし逆の発想をすれば、高額商品の方がセールスの外部委託には適しているということでしょう。
営業活動のプロセスが見えにくい
依頼元の企業はマネジメントする必要がない点は魅力ですが、裏を返せばセールス活動のプロセスが把握しにくいとも言えます。
実績を上げるために無理のあるやり方をとる代行業者もあるため、契約時には業者の比較検討やセールスプロセスの報告形態の確認しましょう。
情報漏洩リスクがある
外部組織にセールスを任せると、情報漏洩のリスクが発生します。
秘密保持契約(NDA)を結び、外部組織に任せてよいタスクなのかを事前に精査しましょう。
依存しすぎてしまう
外部組織がセールスの成果を挙げたとしても、依頼元の組織にセールス技術が貯まってはいきません。
あまりに依存しすぎると自前の戦力が育たず、組織としての力が脆弱になってしまう危険性があると言えるでしょう。
セールスの代行をしつつ、依頼元の営業体制の構築をサポートしてくれる業者もあるため、利用することもおすすめします。
営業アウトソーシングの契約形態
ここでは、営業アウトソーシングの契約方式を3つ紹介します。
成果報酬型
アポ成立や売上実績など、成果に応じて報酬額が決まる方式です。
実績に応じて費用を支払うため無駄な負担はなくなりますが、料金設定が高めなことが多いといえます。
売上の3~5割程度が費用の目安です。
固定報酬型
実績に関わらずあらかじめ契約した費用を支払う方式です。
予算が組みやすい一方で、成果が挙がらなかった場合には無駄な費用を支払うことになる点には注意しましょう。
セールスパーソン1人当たりの日当は2万5,000~3万円が費用相場です。
複合型
成果報酬と固定報酬の両方を合わせた支払方式です。
両方のメリットを取り入れデメリットを補う方式ですが、費用は業者によって様々なため事前の確認が必要でしょう。
営業アウトソーシング可能な業務
以下のタスクは外部委託が可能です。
・顧客発掘…新たな取引先を、飛び込み営業やWeb集客、テレアポなどによってリストアップします。
・顧客育成…既存の取引先と定期的にやり取りをして、無駄のない受注につなげます。
・商談・契約…発掘・育成後の取引先と実際の契約までに至るタスクです。
・アフターフォロー…契約後の定期的なフォローアップにより、クロスセル・アップセルを狙うタスクです。
営業アウトソーシング依頼時のポイント
ここでは、営業アウトソーシングに依頼する際のポイントを解説します。
自社の課題を洗い出す
導入前には、自社が抱えている問題点やウィークポイントを整理しておきましょう。
新規案件の獲得ができないのか、クロージング段階で失敗しているのか、もしくは獲得した取引先との関係維持ができていないのかなど考えられる課題は多岐に渡ります。
事前に課題を整理することで、適切な業者を選択できるでしょう。
依頼業務に対応しているか
業者によって対応分野は様々であり、依頼したいタスクへの対応が可能かを確認しましょう。
また、対応している地域も異なるため、委託したいタスクも含めて事前確認・相談をすることが大切です。
赤字のリスクがないかを確認
赤字リスクについては、事前に検証しておくべきです。
商品単価や契約内容の適切性によっては利益が出ない可能性があるため注意しましょう。
費用対効果の高い会社を選ぶ
依頼時に価格を確認することは大切ですが、利益の追求するのであれば費用対効果の高い業者を選ぶようにしましょう。
新規アポ獲得にかかる費用や新規見込み客の創出費用などを検証し、可能な限り最小限の費用で最大限の成果が見込める業者を選ぶことが重要です。
コミュニケーションがスムーズにできそうか
一丸となってセールスを行うためには、コミュニケーションが円滑にできるか否かも大切な要素です。
面談はもちろん電話やメッセージ、Web会議システムなど様々なツールで打ち合わせができるかどうかは、タスクを効率的にこなすために重要な確認ポイントです。 活動内容が不明確で見えない、レスポンスが遅いなどに加えて、依頼したタスクの遂行もできない業者は、業務に対して不誠実な可能性があるため注意すべきです。
目標を共有して一緒に課題解決してくれる、信頼のおけるパートナーを選ぶようにしましょう。
営業アウトソーシング導入事例
営業アウトソーシングの導入事例としては、株式会社リクルートの例が挙げられます。リクルートは障害福祉に特化した運営支援ソフト「knowbe(ノウビー)」の販売戦略において、営業代行を活用しています。
セールス担当者不足によってセールス部門内でのPDCAサイクルを回すことができず、外部のプロフェッショナルの手を借りることを選択しました。
そしてセールス担当者からのフィードバック量が増えたことにより、部門内でPDCAを回すことに成功しています。
まとめ
営業アウトソーシングとはセールス活動の一部または全部を外部組織に委託することであり、様々なタイプがあります。
様々なメリット・デメリットがあるものの事前にしっかりとした準備を行い、業者との情報共有を続けることで、新たなビジネスチャンスの獲得につなげられるでしょう。
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